小松先生
リベラルタイム 2006.12

役に立つ健康情報 ― 41
愛犬の痴呆症改善に
期待高まる「人参養栄湯」

ジャーナリスト
◎油井富雄
  ゆい・とみお
1953年福島県生まれ。
早稲田大学文学部中退後、業界紙記者、「週刊現代」記者を経てフリー。
医療、健康食品問題を冷静な目で取材。

 人参養栄湯というという漢方薬がある。
漢方薬店でエキス剤が売られ、医師の処方であれば健康保険が適用される。適応症としては病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血に用いられる。この漢方薬が長寿社会の救世主になる可能性が出てきた。
 この夏に開かれた和漢医薬学会で、人参養栄湯を動物病院の獣医が高齢犬に投与して、ペットの認知症改善の有力な治療薬になると確認したのである。また、脳神経外科医が人参養栄湯を高齢者に投与し、新たな認認知症薬としての可能性を示すデータも併せて発表された。
 和漢医薬学会の演者の一人で漢方薬に詳しい小松靖弘氏(医学博士・獣医東洋医学研究会副会長)は、「もともと人参養栄湯は、中国の宋代(九六〇〜一二七九年)に編集された「太平恵民和剤局方」に記載される処方で、漢方的な診断では気≠竍血≠ェ衰えた気虚、血虚状態の人に対し、気力と体力の回復を図る薬として用いられていました。現在では厚生労働省が定める人参養栄湯の適応症の中に認知症は入っていませんが、昔は健忘の人に対しても使われていたのです」という。
 現在の薬の適応症には、現代西洋医学に倣った病名や症状が表示されている。ところが、漢方医学は診断方法が西洋医学と異なるので、漢方医学と西洋医学では薬の適用も変わってくる。それだけに漢方薬の薬効には、いま表示されている適応症以外にも、意外な効果が期待される場合が多い。

確実な治療薬はない

 人間の脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症には、進行を和らげる薬等はあるものの、決め手となる確実な治療法はまだない。
 事情はペット医療でも同じだ。東京・西荻動物病院院長の安川明男氏は、「他の病気やケガなら獣医の出番があるのですが、老化による犬の認知症には、これといった治療法がありませんでした」という。
 犬の平均寿命は十五歳ほど。それを超えると長生きの犬になるが、飼い主は、犬の老いとの闘いを目の当たりにすることになる。足腰は弱り、視力が低下し、白内障で失明することもある。聴力も衰える。飼い主の認知能力がなく、人と同じように徘徊したり、排尿や排便もままならなくなってしまう。
 安川氏の動物病院には、犬たちが次第に老いて、これまでの生活ができなくなり、飼い主たちが相談に訪れる。そんな老齢犬たちに安川氏は人参養栄湯を与えた。もちろん、科学的根拠がなく人参養栄湯を試みたわけではない。
 「人参養栄湯の認知症に対する基礎実験はしっかりしていたのです。痴呆の研究に取り組んでいる東京都老人総合研究所のデータでは、老齢ラットに投与すると脳の神経幹細胞に対して、賦活効果のあることを示していました」(安川氏)
 人参養栄湯の基礎研究では、東京都老人総合研究所の他に、北里大学生命科学研究所の山田陽城氏らの研究で、動物実験で神経成長因子をつくり出すことを促進する作用やアセチルコリンエステラーゼという認知症を促進する物質の働きを阻害する作用が確認されている。

三ヵ月で症状改善

 安川氏が最初に人参養栄湯を投与したのは、十六歳の柴犬の雌だった。症状は異常な食欲、食事以外は死んだように眠り、深夜から明け方にかけて、当然起き出して動き回る。歩き出すと狭い所に入りたがり、突き当たると後退するのに時間がかかり、起立姿勢は、頭部を下げフラフラとしてバランスが悪い。排尿場所を間違えることもしばしばだった。
 ところが、投与開始後六十二日目には、昼の寝たきり生活がなくなり、姿勢が良くなり、明け方に動き回ることもなくなった。百日目あたりには、認知症の犬の特徴である異常な食欲を示すこともなくなり、排尿場所を間違えることもなくなった。
 使った人参養栄湯は、顆粒状(カネボウ薬品)のもので、人体の投与量から体重換算して体重一kgあたり一日六十rを、餌に混ぜたり、オブラートに包んだりして摂取させた。
 人間用には、認知症の程度を表す長谷川式簡易知能評価スケールという判定スコアがあるが、犬の場合は、動物エイムイーリサーチセンターの内野富弥氏がつくった、さまざまな行動をチェックして数値化する痴呆評価スコアがある。スコアが五〇以上だと認知症と認定されるが、その柴犬のスコアは投与前が五〇で、百日後には三五になっていた。
 十九歳の雌の雑種犬の場合は、九十五日後に異常な食欲がなくなり、歩き出した時の旋向運動も消失、人や動物に対して無関心、無表情だったのが興味を示すようになった。この雑種犬は、内野式スコアが八三だったのが百日後には四九にまで改善していた。
 他の三匹を含めたスコアの変化は、投与前平均六一・五から平均四〇・五まで改善している。
 「柴犬の昼の寝たきり生活が治ったのには驚きました。犬の老化は、寿命から換算すると人間の約五倍のスピードで進みます。老いが目に見えて進む場合もあり、治療するのにも時間がないのです。人参養栄湯は、体力や気力を補う漢方薬であり、認知症だけではなく、老齢犬の生活の質の改善に有力な治療手段といえるでしょうね」と安川氏は語る。
 改善徴候が見られたのは平均七十九日目だった。犬の脳の老化という難しい病気なだけに長期の投与が必要なようだ。
 安川氏は、外科を得意とする獣医だが、尿路結石に猪苓湯、肝臓疾患には小柴胡湯の漢方薬の他に、がんにはキトサンやキノコ抽出物等を使用して治療にあたっている。今後は人参養栄湯が、認知症の老齢犬の治療の有力手段として、獣医たちの間で話題になりそうだ。

人の認知症にも効果

 安川氏の犬への人参養栄湯の投与は、いままでのラットを用いた研究より進んだ動物実験といえるが、さらに、今回の和漢医薬学会では、人間を対象とした研究結果も発表された。
 東京都品川区のくどうちあき脳神経外科では、患者と家族の同意を得て人参養栄湯を認知症患者八人に三ヵ月投与して、その結果、患者全員に何らかの症状改善の作用が出ていた。
 また、人の認知症度を示す改訂・長谷川式簡易知能評価スケールも改善していた。ただ、元気になり言動に激しさが見られる患者も出て、投与量の調整によって、このマイナス面は改善している。人参養栄湯は、もともと人間用のものだが、人間の認知症を対象にする時には、必ず医師の管理の下にすべきだろう。
 今回の研究は、動物病院の獣医師たちだけでなく、愛犬家に朗報には違いない。そして、この研究から人間用の認知症改善薬として人参養栄湯が注目されそうだ。



獣医東洋医学会誌Vol.13,bQ

高齢動物と漢方薬
Application of Kampo medicines and other natural herbs for aged animals

小松靖弘
Komatsu Y.1,2)
金沢医科大学 代替基礎医学 1) (サン自然薬研究所 2)・東京都中央区銀座 3−12−6)
Kanazawa Medical University,Complementary and Basic Medicine 1)
(Sun R&D Institute for Natural medicines 2),3−12−6 Ginza,Chuo,Tokyo 104−0061,Japan)

安川明男
Yasukawa A.
西荻動物病院・東京都杉並区西荻北 4−4−5
Nishiogikubo Animal Hosipital.4−4−5 Nishiogikita,Suginami,Tokyo 167−9942,Japan


要旨  今日の日本は高齢化社会となり、人口の5分の1が65歳以上になろうとしている。
 高齢者は犬、猫などをコンパニオン・アニマルとして飼育することに強い希望を持っている。動物を飼育している人の高齢化とともに、飼育されている動物もまた同様に高齢化している。種々の病気という観点からすると、人も動物も同様の問題を抱えていると考えられる。年を取った人は種々の病理学的変化を持つ疾患に罹患していることが多く、高血圧症で、糖尿病、動脈硬化症を同時に発病している、あるいは認知症をなども併発している場合も見られる。犬、猫でも同様の変化があると考えられる。
 この老化という変化は生理学的なものであることから、誰もこれを止めることは不可能である。
 それらは免疫応答の機能低下、心臓、肺臓、生殖、脳機能障害など生体の多くの臓器に及んでいる。この老化に伴う機能低下の抑制は健康維持に良いといわれるもの、例えば抗酸化活性を持つ健康食品などの利用で可能な部分もある。老人のQOLは脳機能と運動機能障害によって著しく低下する。我々はこの危険な機能障害を抑制、減少させる必要がある。その方法の一つは漢方薬である。漢方薬の中には多くの異なった作用を有する薬物がある。日本語で「補剤」と呼ばれ、英語では「tonic agent」といわれる一群の漢方薬があり、この種の薬剤は西洋医学、薬学の範疇にはない薬剤である。十全大補湯、補中益気湯、人参養栄湯などが有名な漢方処方であり、これらの3種類の補剤は貧血、食欲不振、顕著な疲労、慢性病などで体力が低下している時などの体力回復に昔より用いられている。これら3種の補剤には免疫応答性の賦活、食欲不振の改善、貧血、血液幹細胞の増殖賦活などの作用が確認されている。
 人参養栄湯は認知症を改善する可能性がある。先の報告で、人参養栄湯を30週齢の高齢ラットに30日間経口投与した際に、脳内のオリゴデンドロ細胞の前駆細胞を刺激することが示されている。そこで、2、3カ月前から認知症を発症している犬に人参養栄湯(カネボウ(株)製)の投与を行い、治療を試みたところ、日常の活動性、生活リズム、食事週間、睡眠行動などの認知症症状の改善が観察された。このことから、人参養栄湯には初期の段階の認知症を改善する効果のあることが分かった。
 本論文ではまた、新規な健康食品の作用についても紹介している。それは、関節痛の緩和を示すものである。高齢の動物、特に犬では、膝、肘、脊椎など多くの関節に障害を来たしている。ハーブ、種子、キノコなど9種類の天然素材を組み合わせて疼痛緩和作用を示す健康補助食品IPS−PP001(SRD−P001)を開発した。素材の多くのものは抗炎症、鎮痛作用また抗酸化作用を有している。IPS−PP001は既に人の関節痛に効果のあることが報告されている。今回、犬の関節痛を対象として、その効果を評価した。
 痛みの評価はVAS(Visual Analog Scale)を用いて評価した。その結果、変形性脊椎症、変形性関節炎などの関節痛の改善を認め、IPS−PP001は犬の関節症障害に有効性を示すことが明らかとなった。また、投与期間中副作用は認められず、安全な製品と考えられた。
キーワード:関節痛、認知症、漢方薬


Abstract   Now,Japan is in the elderly,One fifth of the population is over 65 years old.
Old people are interested in keeping dogs and /or cats with them as a companion.people are getting
old and also their companion is getting old. Both the people and their companion may have same 
problems in terms of diseases.Aged person normally have multi−pathological diseases,for instance
hypertension,diabetes and atherosclerosis at a time.Sometimes they have dementia. Aged dogs and 
cats also showed same diseases.Aging is a physiological phenomenon and we could not stop it.
 They show decreased physiological functions in the immune systems,cardiac,lung,genital,brain function
and so on.Delay the aging,however,could be possible by using something good for health such as anti
oxi‐dants substances.Their QOL could be very much reduced by the brain and the motor dysfunction.
We,there−fore,need to prevent or reduce such dangerous dysfunction.
 One of candidates is Kampo medicine.There are lots of different types of the medicines in Kampo
medicines.“Hozai” in Japanese,“Tonic Agent” in English,is a group of Kampo Medicines is not a 
category in Western Medicines.They are “Jyuzendaihoto”,“Hochuekkito”,and “Ninjinyoeito”.The three Tonic
Agents used to use for patients with loss appetite,fatigue,deteriorated general condition of body after a
chronic diseases,and anemia.They have immune augmenting activity,improve their appetite,anemia and 
the bone marrow stemcells.
 Ninjinyoeito could improve dementia.The previous reports showd it stimulated oligodendrocyte precursor
cells in 30 weeks old Aged rat brain when it was given for 3 months to.When Ninjinyoeito(Kanebo Co.
Ltd.)was given to a dog with dementia for a couple of months,it improved the symptoms of the dementia,for example her daily activity and her rhythm of life(eating habit,sleeping habit).It could have such improving activity for dementia in early stage.
 In this paper,also,a new type of a health food was introduced.It has an activity to reduce pain in joints.Aged animals have troubles in many joints such as back−bone,knee and elbow.IPS−PP001(SRD−P001)contains 9 different materials,herbs,fruits and a mushroom.The most of the contents have an anti−inflammatory,analgesic and anti oxidative activities.It has already reported that IPS−PP001showed anti inflammatory and analgesic activity on patients with joint pain.We assessed the efficasy of it on the joint pain in dogs by the evaluation method of Visual Analog Scale.It clearly exhibited to reduce the pain in joints of discospondylitis and other joint diseases.IPS−PP001 could be good analgesic and anti inflammatory herb substance as a health food for dogs with joint pain.It also could be a safe health food,so far.
Key Words:aging,arthritis,Kampo


動物の高齢化

 現在、日本は高齢化社会に移行しており、同様に動物、コンパニオン・アニマルといわれる犬、猫の世界でも高齢化した動物が多くなって来ている。人に限らず、動物においても加齢に伴い体全体が小さくなり、内臓の諸臓器も萎縮し、生体の生理的機能が低下することはよく知られる事実である。胸腺、性腺、筋肉、骨、皮膚などの免疫組織、生殖組織、支持組織の萎縮はそれぞれが関与する機能の低下を招き、すなわち日和見感染症、腫瘍の発生、生殖能力の減退、運動機能の低下など、生体の活動性を著しく阻害し、QOLへの影響は極めて大きいものである。神経組織では、人ではアルツハイマー型、あるいは血管障害型認知症などで大脳の萎縮を伴う変化を認め、また犬の認知症の発症も大きい問題と考えられている。加齢は、視聴覚への影響も大きく、人であれば老人性難聴、白内障などが、犬では白内障が重要問題となる。老化はある日、突然起こるものではないことから、普段より予防的考えでの治療が肝要である。著者は微生物感染症(細菌、ウイルスなど)が老化にも重大な影響を与えていると考えている。感染によって炎症が生じ、その結果発生する大量の活性酸素は細胞の変異をもたらす因子であり、組織障害のもとでもある。結果として老化の促進に関与する一面を持っていると思われる。
 加齢による生理的老化現象は遺伝子によって制御されていると考えられており、これを防ぐことはできない。しかし、生体に有害反応を引き起こすような環境要因、例えば居住域の衛生環境の改善により微生物汚染などを除去することで、また免疫機能を賦活することで日和見感染、あるいは発癌への影響を少なくすることができ、病的老化現象の惹起を抑制して、生理的老化に導き、天寿を全うできる状況を生むことも可能であろう(表1)。
 特に感染症の問題は、人では抗生物質の開発と衛生環境の整備から管理が行き届き、感染症の爆発的な発生は減少しているが、ときにはSARSウイルス、鳥インフルエンザウイルスなど新型のウイルスの出現で大問題となることもある。しかし、それ以上に動物では、より日常的に種々の微生物感染症が頻発しており、感染症との戦いは人以上に重要である。免疫機能が低下している高齢動物では感染症の予防処置は大切である。


補剤の考え方

 漢方薬は、表2に示したように作用の点から幾つかのカテゴリーに分けられている。その中の1つで、生体の機能低下に対して有効性を示す“補剤”と呼ばれる一群の処方がある。“補剤”とは生体機能の賦活を目的とした一群の漢方薬で、これらの薬剤は現代医薬品には存在しない範疇のもので、漢方特有のものといえる。虚弱体質の改善、老化による機能低下の改善、薬剤による機能低下の改善を図る薬剤群である。消化機能、免疫機能、呼吸機能、腎機能、性腺機能等の低下に対して、生体機能の低下改善、低下防止などの作用が考えられている。臨床的には、消化吸収機能の賦活と全身の栄養状態の改善を通じて、生体の防御機能の回復を図り治療を促進し、「抗病反応を賦活する」効果が期待されている。人参養栄湯と十全大補湯の原典は「和剤局方」の‐諸虚門‐「久病虚損」に書かれており、慢性疾患で様々な生体機能の低下、障害を受けている状況で、非常に体力が落ちて、「気、血」が足りない「気、血両虚」の状態に使われる両虚を補う‐補気補血薬‐として処方される漢方薬である(表3)。また、「気」が足りない「気虚」の状況では「気」を補う‐補気薬‐を、「血」が足りない「血虚」の状況では‐補血薬‐を用いる。「補気」剤としてよく用いられる処方に「補中益気湯」がある。これは「中を補い、気を益する」、すなわち消化管機能の改善を図り、食欲の改善、消化管の炎症などを抑え、消化吸収機能を改善することで生体の機能改善を図る作用があるとされ、頻繁に用いられる処方である。

表1 高齢化に伴う諸臓器の変化

  ・神経系 :大脳の萎縮(神経細胞の脱落、脱髄現象)、リポフスチン沈着、神経軸索ジストロフィー、βアミロイド沈着
  ・聴覚 :(老人性難聴)、視覚(白内障、老眼) 平衡感覚の鈍化、味覚、嗅覚
  ・運動能力 :筋力の低下、反射性反応の低下、嚥下障害
  ・循環器系 :心筋収縮力の減弱、心拍出量の低下
  ・呼吸器系 :換気機能の低下、肺活量の低下、残気量の増加、老人性肺気腫
  ・消化器系 :消化管粘膜の萎縮、蠕動運動の低下、酸分泌量の低下
  ・腎、排泄系 :糸球体濾過率低下、血液量減少
  ・代謝系 :耐糖能の異常、コレステロール・中性脂肪の増加 
  ・免疫系 :胸腺の萎縮、免疫機能の異常、T細胞機能の低下、B細胞機能は維持

表2 漢方薬の分類

  ○瀉剤 ・発汗剤 :桂枝湯、葛根湯、小青竜湯
        ・駆於血剤 :桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、桃核承気湯
        ・瀉下剤 :大黄甘草湯、桃核承気湯、大承気湯
        ・利水剤 :五苓散、猪苓湯、防巳黄耆湯
        ・清熱剤 :黄蓮解毒湯、白虎加人参湯
  ○和剤 :柴胡を含む処方小柴胡湯、柴胡桂枝湯
  ○補剤 :機能賦活(消化機能、免疫機能、呼吸機能、腎機能の賦活)

表3  補剤の薬効薬理

[T] 十全大補湯
担癌宿主の免疫機能障害
   担癌動物の制癌剤による治療時の免疫機能改善
1)日和見感染症(cychrophosphamidによる免疫不全)
   深在性真菌感染症(マウス)
   サルモネラ菌感染症(マウス)
2)抗腫瘍活性
   種々のマウス移植癌細胞による抗腫瘍効果
   (B16‐melanoma、Meth‐A、LLC、ヒト‐グリオーマ)
3)化学療法剤、放射線の有害作用の抑制・軽減
   免疫抑制に対する作用、骨髄抑制に対する作用

[U]補中益気湯
1)免疫調整作用
   Tヘルパー細胞、マクロファージ
   NK細胞等の活性化
   IFNなどサイトカインの誘導
   微生物感染症
2)抗アレルギー作用
3)男性不妊症改善作用
   精子形成促進
   精子運動の賦活
   精子の生存率の延長

[V]人参養栄湯
1)免疫賦活効果
     細胞性免疫、体液性免疫の賦活
     マクロファージ・好中球の貪食活性の賦活
2)血液幹細胞の賦活
3)神経幹細胞の賦活
4)精神・神経活動の改善


 先にも述べた通り、「十全大補湯」と「人参養栄湯」は、「気血両虚」に用いられ、身体が非常に衰弱している時に処方される。以前に「十全大補湯」については報告していることから、今回は補中益気湯と人参養栄湯について解説する。

1.補中益気湯
 補中益気湯の原典は「内外傷辧惑論」である。効能効果として示されているのは、消化機能が衰え、四肢倦怠感が著しい虚弱体質者の次の諸症状を有する人に用いられる。すなわち、夏痩せ、病後の体力増強、結核症、食欲不振、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、陰萎、半身不随、多汗症など、その臨床応用は多岐にわたるものであり、およそ新薬の薬効からは考えられ得ない効能効果が示されている。こうしたことから、上手に使うことにより、かなり有益な現象が得られるものと考えられる。人では、十全大補湯の服用で胃腸の調子が悪くなることがあり、胃腸の弱い人では補中益気湯の使用が勧められている。補中益気湯の構成生薬を見てみると、小柴胡湯に含まれる5つの生薬が含有されており、黄耆、当帰、蒼朮など十全大補湯に含まれている免疫応答の賦活作用が報告されている生薬もある。陳皮は血液循環の改善効果、鎮静作用、抗アレルギー作用などが知られ、升麻は強い抗炎症作用が報告されている。
 全体として小柴胡湯の持つ抗炎症、抗アレルギーなどの効果を升麻が強化していると考えられる。基礎的な研究結果から推測されるこれらの効果は、補中益気湯によって消化管内での様々な影響で起こるアレルギー性炎症を強く抑制することが報告され、臨床的にもその効果が検証されている。
 他の処方と著しく異なる点として、精子形成の促進効果が知られている。ハムスターの精巣上皮管細胞を使った研究から上皮管細胞の増殖賦活が確認され、蛋白質を合成促進し、精巣上皮管細胞を移動する精子の運動を賦活する作用によるのではないかと考えられている。このような作用から、高齢動物では、食欲がなくなり、体力が落ちている時には効果が示されるものと考えられ、応用する価値の十分ある処方である。

2.人参養栄湯
 人参養栄湯の使い方は“極度に体力が落ち、手足が動かず、筋肉が痛み、呼吸が浅くなり、動くと喘鳴が続き、小腹は拘急し、腰と背中が酷く痛む。心が虚して驚きやすくなり、動悸がして口唇と喉が乾き、飲食は味がなく、陰陽が衰弱し、憂い悲しみ、寝ていることが多く、起きている時間が少ない。このような状態が長く続いたため、痩せて五臓の気がなくなり、奮い起こすのが難しい者を治療する。また、大腸と肺がともに虚して、咳嗽、下痢して、呼吸が弱くなり、嘔吐、痰を吐く、者を治療する”とされている。すなわち、かなり体力が落ちている状態に用いるようである。特徴的なのは、“智”を益する効果を持つといわれている生薬類、遠志、五味子、陳皮が配合されていることである(表4)。人参養栄湯は12種類の生薬から構成されており(表5)、その構成内容は十全大補湯とよく似ている。川キュウを抜いて、陳皮、遠志、五味子など「益智」‐智を益する‐作用を有するとされる生薬が配合されている。したがって、十全大補湯と人参養栄湯との使用の判別には、健忘を伴う症状がある時には、人参養栄湯の「証」となり、適応処方と考えられる。そうであるならば、加齢に伴って、体力、気力が衰えている状態にある高齢者、高齢動物においても用いてみる価値は十分にある。人参養栄湯には十全大補湯と同様に免疫賦活作用のあることも知られている。この点から、制癌剤治療を行って免疫機能の低下している状況にある時などにも対応できるものである。
 今回は免疫に対する作用ではなく、健忘に対する作用に注目した。健忘の改善作用についてラットを使った実験で検証したところ、十全大補湯とは異なり、明らかに健忘を改善する効果が示された。江頭らはラットにスコポラミンを投与して一時的な健忘状態として、補中益気湯、十全大補湯そしてそして人参養栄湯の3種の補剤について、受動回避課題で健忘症状の回復効果を調べた(和漢医薬学雑誌、1996;13,476−477)。その結果、人参養栄湯だけにスコポラミン健忘の改善効果が認められ、また、アセチルコリン作動性神経の亢進についてもオキソトレモリン(ムスカリン受容体アゴニスト)の振戦を指標に調べたところ、振戦の亢進が観察されたことを報告している。アセチルコリンの作用の亢進は、消化管平滑筋に対する作用においても認められている。人参養栄湯にはアセチルコリンの作用を増強する効果があるものと判断された。北里大学の山田らは神経細胞を使った研究において、コリンアセチル・トランスフェラーゼ(Ch AT)活性に対する十全大補湯と人参養栄湯の作用を観察し、人参養栄湯にChATの活性を亢進させる効果のあることを報告し、さらに神経栄養因子(NGF)の産生を促す作用のあることも見出している。人参養栄湯を構成する生薬の中では人参、甘草、白朮、遠志にNGF産生増強作用が示されたが、なかでも遠志は強い作用を示した(Phytomedicine.2003 Mar;10(2‐3):106‐14)。このような人参養栄湯の作用から、認知症の改善に効果が期待される。
 加齢に伴う中枢神経系の機能の低下が報告されているが、人参養栄湯に中枢神経の機能低下を予防することができるか否かを検証するために東京都老人総合研究所の阿相らは高齢ラットを用いて研究を行った(International Immunopharmacology.3(2003),1027‐1039)。大脳は神経細胞などが存在する灰白質と神経線維が鞘(神経鞘)で覆われている白質部分で構成されている。高齢ラットではこの白質部分が脱落、減少している様子が観察されている。これは加齢に伴い神経鞘の生産不全が進むためであると考えられている。そこで、神経鞘の形成に関与している重要な細胞で、加齢とともに形成不全がみられるといわれているオリゴデンドロ細胞への人参養栄湯の作用について検討を加えた。研究はオリゴデンドロ細胞を30週齢のラットの大脳から採取し、得られた細胞について調べた。30週齢のラットに人参養栄湯を3ヵ月間投与すると高齢動物のオリゴデンドロ前駆細胞の増殖を強く促し、成熟オリゴデンドロ細胞が増加した。このことは、人参養栄湯が加齢に伴う脳機能障害を改善する効果を示すと期待される。

表4 人参養栄湯の特徴

 生薬:3種類の特徴ある生薬が配合されている
 遠志:能く智を益し、志を強くする作用があるためにこの名前が付けられ、“智を益する”生薬類で “益智”(やくち)の効果を持つもので     、中国では“精を益し、腎陽を補い、健忘を治する不老延年の仙薬”とされている。

表5 人参養栄湯の構成生薬

 1)当帰    4.0g       7)白朮     4.0g
 2)地黄    4.0g       8)茯苓     4.0g
 3)人参    3.0g       9)桂皮     2.5g
 4)芍薬    2.0g      10)遠志     2.0g
 5)黄耆    1.5g      11)陳皮     2.0g
 6)甘草    1.0g      12)五味子    1.0g


犬の認知症に対する効果

 これらの基礎的研究結果を基に、この効果が犬の認知症に対して、いかなる作用を示すか、1例ではあるが西荻動物病院にて検討を試みた。漢方薬は(株)カネボウの人参養栄湯を用いた。症例は17歳齢の雌の雑種犬、体重17.7sで眼疾患を併発し、失明状態であった。認知症の症状としては夜鳴き、徘徊、異常食欲、異常行動などを示し、飼い主の呼びかけにも鈍い反応を示していた。カネボウ人参養栄湯エキス製剤1.5gを1日2回朝晩投与した。投与開始後50日頃から、夜中の徘徊行動、夜鳴き行動が少なくなり、食事行動も改善し始めた。60日以降になると呼びかけにも応答するようになり、食事も1日2回で満足し、また散歩を要求するなど生活のリズムも安定してQOLの明らかな改善が示された。それらの症状をスコア化した(図1)が、生活リズムの改善の様子を感じ取ることができる。1例だけの結果ではあるが、さらなる今後の研究に期待が寄せられ、人参養栄湯の人と家畜における認知症の予防、治療に新たな臨床応用が期待される結果であると考えている。


消炎鎮痛効果

 加齢に伴う運動機能低下、障害に影響を与える関節の保護も大切である。中枢神経系の障害がQOLを著しく低下させることはもちろんであるが、運動機能の障害もまた同様である。移動が困難になることで、食事、散歩、排尿、排便に至るまで、不自由な生活になるのは人ばかりではなく、動物達のQOLの低下を招く。
 関節痛などの痛みを直接取り除く漢方薬は意外に少ない。附子が配合された漢方薬は確かに鎮痛効果を有している。附子は修治されて用いられるため、ときに鎮痛効果が明確に現れない場合もある。現在の西洋医学的な関節炎の治療は、主に非ステロイド性の消炎鎮痛剤(NSAIDs)によってなされている。しかし、NSAIDsはその性質上、強い消化器障害を誘発し長期間の使用には耐えられない。そこで、長期間にわたって安全に使用でき、消炎鎮痛効果を有する代替療法が求められる。
 今回開発した処方(IPS‐PP001またはSRD‐P001)は炎症を抑えるための、抗炎症作用を有するハーブ、ショウガ、西洋シロヤナギを配合し、炎症によって生じて来る活性酸素を除去するために強い抗酸化活性を有するハーブ、フランス海岸松(ピクノジェノール)、ハトムギ、また疼痛を感じる中枢神経を抑制するハーブ、西洋シロヤナギ、シナモン、さらに痛んだ関節を修復するのに必要なグルコサミンを加えたものである。ゆずはフラボノイド類を多く含み、それらの抗炎症作用はよく知られ、古来より痛みの除去に使われ、リューマチ性関節炎の疼痛緩和に使用されてきている。ゆずに含まれるヘスペリジンは血液循環改善作用が強く、体全体の血液循環改善により、炎症性関連物質の代謝、除去にも関連している可能性はあるが、今のところ詳細は不明である。
 痛みは直ちに治したいのが常で、治療の原点でもある。配合されている西洋シロヤナギエキスは鎮痛、消炎活性を示す生薬としてよく知られているハーブである。ヤナギはサリチル酸関連物質を含む生薬で、サリチル酸の発見のきっかけにもなった植物であり、古来より“痛み止め”として人々に役立てられてきている。現在でも、ヨーロッパでは鎮痛性の生薬として、関節痛の治療に使われている。
 一方、ショウガは日本での民間薬として知られ、漢方薬でも頻繁に使われる生薬の一つで、解熱作用、抗炎症作用、鎮咳作用、消化性潰瘍抑制作用など多彩な作用を持つことで知られている。今回は鎮痛、消炎、抗消化性潰瘍作用を期待して配合した。ニッキ(桂皮)にもショウガと同様消炎、鎮痛の他にも多彩な作用のあることが報告されており、芳香性健胃剤として古くから一般の人々に用いられている。このように、同製品の効果は製剤に含まれるヤナギ、ショウガなどによって急性炎症を抑制し、炎症によって発生した活性酸素をフランス海岸松エキスで消去して活性酸素による炎症の拡大を阻止し、さらに、ヤナギ、シナモンエキスで中枢に作用して、痛みを感じとるのを阻止することで発揮されている。関節などの痛みを、この3点からブロックしようとする、“痛みのトリプル・ブロック”効果なのである。
 メシマコブは免疫調節作用を持つキノコとして知られており、リュウマチなどに生じる免疫複合体の除去に関与している可能性が考えられ、リュウマチ性炎症の抑制が期待される。ショウガのエキスがリュウマチ性関節炎に有効であることはアメリカで臨床研究が実施されて報告されている。同製剤はそれに留まらず、関節を形成している結合組織の構成要素の一つであるグルコサミンを加えて、傷んだ関節組織の修復を図るために、長期にわたって摂取することで結合組織の崩壊の抑制、修復、関節の機能維持、関節機能の回復がもたらされるように工夫されているものである。


犬への適応

 同処方の人の関節痛に対する効果に関してはすでに調査されており、膝関節痛、腰痛、頚肩腕症候群に有効であることが示されている。そこで、西荻動物病院が中心となって比較的多くの関節疾患を持つ犬を対象として、その鎮痛作用の有効性を関節痛の緩和を目標としてVASを用いた指標により評価した(図2)。VASは飼い主による評価と、担当獣医師との両者による評価を試みた。具体的な疾患としては変形性脊椎症、股関節形成不全、打撲などであった。その結果の一部を紹介する。
 対象は高齢犬を中心とした成犬とし、関節痛を伴う整形外科領域の疾患とした。投与量は50r/sから100r/sの範囲内で、1日2回、投与期間は4週間とした。NSAIDsの使用は禁止した。変形性脊椎症では15例にIPS‐PP001が投与され、全症例で有効性が認められた(図3)。1症例についてIPS‐PP001(SRD‐P001)投与後の疼痛VASスコアの変化を図4に示した。VASスコアは投与後2週間まで直線的な下降を示し、疼痛改善効果が明らかになった。また、このスコアの減少は飼い主と担当獣医師とで同様の変化を記録しており、疼痛評価におけるVASの有効性が確認されたと考えられた。今後、この評価方法を用いた疼痛評価による臨床評価試験は有用であり、利用されることを期待したい。
 この臨床獣医学的研究結果からIPS‐PP001は試験期間を通じて重篤な有害反応は観察されず、安全で長期連用に耐える犬の関節痛治療に有効、有用な健康補助食品であると考えられる製品と判断される。


まとめ

 今回紹介した、漢方薬、認知症に対する人参養栄湯についての獣医臨床応用研究の継続は人の認知症への応用に新たな情報を提供することができるもので、今後の獣医臨床医学における新しい臨床研究の展開をもたらすものと考えている。また、関節痛に対する健康補助食品は人における有効性を確認する上で有用な情報を与えるものとなろう。
 人と動物(コンパニオン・アニマル)の共通する疾患の治療、予防に共通の治療薬剤、健康食品を用いることで、その有効性をさらに明確化でき、獣医臨床医学から新たな医学情報が発信できるものと確信している。
(本論文の要旨は第36回獣医東洋医学会にて発表した)





中高年の悩みにお答えします
漢方 Q&A

漢方の考え方を知っておこう
Q&A  中高年のこんな悩みに有効な漢方薬は?
 疲れやすくて、やる気がでません
 更年期のゆううつに効く漢方薬はありませんか?
 漢方薬で、認知症はどこまで改善できる?
 前立腺肥大症で夜間の頻尿に悩まされています
 くしゃみや咳をすると尿漏れが起こります
 やせすぎが心配です。漢方治療の可能性は?
 長年、慢性頭痛で悩んでいます
 うつ病も漢方薬で治せますか?

Q&A  漢方薬についての疑問にお答えします
 ウコンやドクダミも生薬だから漢方薬?
 漢方薬は長くのみ続けないと効果がない?
 漢方薬は西洋薬と併用しても大丈夫?
 漢方薬にも副作用がある?
 同じ病気であれば効く漢方薬も同じ?
 漢方治療はお金がかかる?
 漢方薬はどこで処方してもらえる?


漢方の考え方を知っておこう
 漢方医学には独特の病気のとらえ方があり、漢方薬はそれに基づいて用いられます。漢方の特性を知って正しく用いてこそ、漢方薬も、その効果を十分に発揮することができるのです。

「氣血水」の異常で病態をとらえる
 漢方では、体のどの部分に現れた変化も全身のゆがみの一部として考えます。治療では、そのゆがみを正す薬を用いることで全身のバランスを整え、本来の治癒力を発動させようとします。
 治療にあたっては、漢方独特のみかたで病気をとらえます。すなわち、「氣血水」という考えです。「氣」は生命体を支える根源となる生命エネルギー、「血」は主に血液とその働き、「水」は血液以外の体液とその働きで、血と水で氣の働きをサポートします。この氣血水がバランスよく体内を巡ることによって、生命活動が維持され、健康が保たれると考えるのです。逆に、氣血水の量が不足したり、流れが悪くなると、体の働きに異常が生じて症状が現れると考えます。これらの異常から背景にある病態をとらえます。

「虚実」などのものさしで患者さんの状態をみる
 漢方の基本的なみかたには「虚実」という概念もあります。これはいわば病気に対する闘病反応をみるもので、反応が弱いものを「虚症」、強すぎるものを「実証」、どちらともいえないものを「中間証」と呼びます。「実証」は脈やおなかの力がしっかりした、体力のあるタイプで、それに対し、「虚症」は脈もおなかの力も弱い、虚弱なタイプです。
 そのほか、「陰陽」という概念で、患者さんが冷えに支配された状態(陰症)か、熱に支配された状態(陽証)かをみたり、「五臓」という概念で心身の機能異常をとらえたりします。
 こうしたさまざまなものさし≠用いることで、患者さん一人一人の体質や体力などを含めた全身の状態を把握し、診断にあたる「証」を見極めます。

漢方薬の処方は「証」に応じて決められる
 「証」を見極めるためには、「四診」と呼ばれる漢方独特の診察法が用いられます。自覚症状を詳しく聞くほか、医師の五感を駆使して必要な情報を集めます。
 漢方薬の処方は、こうして診断された「証」に応じて決まります。「証」は病気の診断であると同時に、治療の指針なのです。「証」に合った薬を選んでこそ、漢方薬も有効に使えます。


漢方の考え方
 漢方では、「氣血水」の3つがバランスよく体内を巡ることで健康が維持され、その量の不足や流れの障害により「氣血水」の失調が生じ、病気が起こると考えます。

「氣」・・・生命エネルギー
      ●不足すると→氣虚
      ●循環が滞ると→氣滞
      ●逆流すると→氣逆

  *「気」は、中に「米」のある旧字の「氣」のほうが、四方八方へほとばしる生命エネルギーを感じさせるので、
    ここでは「氣血水」の「氣」に旧字を使っています。

「血」・・・主に血液とその働き
      ●不足すると→血虚
      ●循環が滞ると→於血

「水」・・・血液以外の体液とその働き(リンパ液、尿、汗、鼻汁など)
      ●循環が滞ると→水滞


漢方独特の診察法「四診」
「問診」
 西洋医学の問診とほぼ同じだが、冷えや熱感、汗のかき方、のどの渇き、便通や排尿の状態などを聞くのが特徴的。

「望診」
 目で見る診察法。顔色、皮膚の色つや、体型、動作などから読み取る。舌を見るのを特に「舌診」と呼ぶ。

「切診」
 体に直接触れて行う診察法。特に手首の脈をみる「脈診」、おなかの状態をみる。「腹診」が重要とされる。

「聞診」
 耳で聞く、鼻でにおいをかぐことによる診察法。声や話し方、せきや呼吸音、体臭などが情報になる。


Q&A 中高年のこんな悩みに有効な漢方薬は?
 NHK教育テレビ「きょうの健康Q&A」で取り上げた相談を中心に、中高年の方に多い悩みの改善に漢方薬を用いるうえでの質問にお答えします。併せて、代表的な処方例を紹介しますので、参考にしてください。ただし、同じ病気・症状であっても、「証」が違えば処方は違ってきます。服用に際しては、専門医に相談して、正しく用いるようにしてください。

Q 疲れやすくて、やる気が出ません
 2年前から「すぐイライラする、疲れやすい、やる気が出ない」といった症状があります。病院に行っても「異常なし」との診断ですが、漢  方薬でやる気を出すことはできませんか? (46歳・男性)

A ストレスの多い働き盛りの年代の「やる気が出ない」という症状は、かつては「初老期うつ病」と思われていたのですが、最近では、そ  のなかに「男性更年期障害」というべきものが含まれていることがわかってきました。男性更年期障害は、ホルモンバランスの変化に  過剰なストレスが加わると、起こりやすいと考えられています。
  漢方でいえば、生命エネルギーである「氣」の失調を来した状態で、この方の場合も「氣」の働きが不足する「氣虚」が疑われます。こ   うしたとき、漢方では「氣」を補う薬を用います。特に男性には、男性ホルモンのような作用がある「山薬」という生薬を含む「八味地黄  丸」などがよく用いられます。また、「地黄」や「附子」には免疫系を高める働きもあります。


【男性更年期障害のチェックリスト】
次の10項目のうち、3つ以上あてはまる場合、あるいは1と7のどちらかがある場合は、男性更年期障害が疑われる。
 1.性欲の低下がある
 2.元気がなくなってきた
 3.体力または持続力の低下がある
 4.身長が低くなった
 5.「日々の楽しみ」が少なくなったと感じる
 6.もの悲しい気分、怒りっぽい
 7.性機能(勃起力)が弱くなった
 8.最近、運動する能力が低下したと感じている
 9.夕食後、うたた寝をすることがある
10.最近、仕事の能力が低下したと感じている

【男性更年期障害の漢方処方例】
 主な症状                 漢方のみかた    漢方薬の例

体がだるい、気力がない、         氣虚   →    補中益気湯(虚)
疲れやすい、内臓下垂                      八味地黄丸(虚〜中)

抑うつ傾向、のど・胸のつかえ、     氣滞   →    香蘇散(虚)
頭重感、腹が張りやすい                     大柴胡湯(実)

冷えのぼせ、顔が赤い、          氣逆   →    桂枝加竜骨牡蛎湯(虚)
発作性の頭痛、気が動転しやすい               柴胡加竜骨牡蛎湯(実)

「氣」の失調には、「氣」の量が不足する「氣虚」、「氣」の流れが滞る「氣滞」、「氣」の流れが逆流する「氣逆」があり、そうした病態に応じて漢方薬が処方される。

   (虚)=虚症、 (中)=中間証、 (実)=実証


Q 更年期のゆううつに効く漢方薬はありませんか?
 親の介護に明け暮れて日々悶々としています。少しでも楽しく毎日を送りたいと思いますが、更年期障害のゆううつについて、漢方治療 を教えてください。  (50歳・女性)

A 女性の更年期障害は、昔から「血の道の病」といわれてきました。血の道の病とは、月経にまつわるさまざまな症状や、月経が停止し  た後の更年期の症状も含めたものを指します。
  漢方では、「氣血水」の「血」の失調を中心に考えます。代表的な漢方薬が「当帰芍薬散」「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」で、なかでも、   相談の方のように精神的なストレスが多く焦燥感のあるような人には加味逍遙散がよく用いられます。上半身の熱感があるような人   に向く薬で、「寝つきが悪い、怒りっぽい」という症状のある人にもよく用いられます。
  相談の方の場合、「氣」の働きが不足している「氣虚」もあるようなので、「氣」を補って元気を出す「補中益気湯」などが有効なこともあ  ります。

【女性更年期障害でよくみられる症状】
 抑うつ、のぼせ、イライラしやすい、めまい、発汗、肩こり、脱力感、不安、不眠、頭痛、耳鳴り、冷え、手足のしびれ

【女性更年期障害の漢方処方例】
 漢方薬の例         主な症状

 加味逍遙散(虚)      便秘傾向あり 背中・上半身の発作性熱感あり
 桃核承気湯(実)      便秘傾向あり 背中・上半身の発作性熱感なし S状結腸部の擦過痛*あり
 女神散(実)         便秘傾向あり 背中・上半身の発作性熱感なし S状結腸部の擦過痛*なし
 当帰芍薬散(虚)      便秘傾向なし 浮腫傾向、貧血あり
 桂枝茯苓丸(中〜実)   便秘傾向なし 浮腫傾向、貧血なし 安静時の動悸・不安、不眠なし
 柴胡桂枝乾姜湯(虚)   便秘傾向なし 浮腫傾向、貧血なし 安静時の動悸・不安、不眠あり

                  *(擦過痛)・・・腹診で左下腹部のS状結腸あたりを軽くこすった際に現れる痛み。


Q 漢方薬で、認知症はどこまで改善できる?
 母が4か月前に脳血管性の認知症と診断されました。できれば漢方で治療させたいと思うのですが、漢方薬で認知症はどこまで改善で きますか?   (母・80歳)

A 認知症(いわゆる痴呆)は、脳梗塞など、脳の血管障害によって起こる「脳血管性」と、脳が広範囲に萎縮して起こる「アルツハイマー  型」の2つに大きく分けられます。最近の研究で、このうち脳血管性の認知症に対し、漢方治療がかなり有効とわかってきました。
  脳血管性の認知症は、漢方では「血」の巡りが滞る「於血」ととらえられます。最もよく用いられるのが「釣藤散」という漢方薬です。西  洋医学的な臨床試験の結果でも、発症から5年以内の軽症〜中等症の脳血管性認知症の人の、頭痛やめまいなどの自覚症状、記   憶力や計算力などの精神症候、用便や座位などの日常生活動作の改善効果が認められています。
  釣藤散は、特に、冷えがあり、朝方に頭重感のあるような人に向く薬です。


【認知症の主な症状】
認知症の症状には、知的機能障害を主とする「中核症状」と精神症状を主とする「周辺症状」があり、現れ方は、脳が障害された場所や程度により個人差がある。

中核症状・・・思考・判断力の低下、記憶力の低下、見当識障害(自分は誰か、今どこにいるかなどの基本的な認識)、計算力の低下

周辺症状・・・幻覚・妄想、意欲低下、抑うつ・不安、睡眠障害、不穏(泣き叫ぶなど)・興奮、徘徊、不潔行為(排泄物を触るなど)


【脳血管性の認知症の漢方処方例】
 漢方薬の例          主な症状

 三黄瀉心湯(実)       便秘傾向、不眠・イライラあり、のぼせ感、出血傾向、顔面紅潮あり
 柴胡加竜骨牡蛎湯(実)   便秘傾向、不眠・イライラあり、のぼせ感、出血傾向、顔面紅潮なし
 黄連解毒湯(実)       便秘傾向なし、不眠・イライラあり、出血傾向、熱性湿疹あり
 釣湯散(虚)          便秘傾向なし、不眠・イライラあり、出血傾向、熱性湿疹なし、朝方の頭痛・頭重感あり
 桂枝茯苓丸(中〜実)    便秘傾向、不眠・イライラなし、のぼせ感、あざができやすい、顔面紅潮、痔あり
 真武湯(虚)          便秘傾向、不眠・イライラなし、のぼせ感、あざができやすい、顔面紅潮、痔なし


Q 前立腺肥大症で夜間の頻尿に悩まされています
 6〜7年前から、夜トイレに行く回数が増え、5年前に前立腺肥大症と診断されました。現在、睡眠不足に苦しんでいます。漢方で頻尿を 治せませんか?   (64歳・男性)

A 排尿の悩みのなかでも頻尿は最も多い訴えで、特に「夜間頻尿」が問題になります。中高年の男性の場合、頻尿の原因で最も多いの  は前立腺肥大で、大きくなった前立腺により、膀胱の尿の出口が刺激されたり尿道や尿が出にくいなどの排尿の異常が起こります。
  前立腺肥大に対しては西洋薬でよく効くものがありますが、漢方薬を併用すると夜間頻尿が改善することがよくあります。漢方では頻  尿を「氣」を蓄える「腎」の働きが衰えた「腎虚」ととらえ、腎虚を改善する薬を用います。特に「牛車腎気丸」などは、膀胱が収縮して尿  を押し出す力を高めて、夜間頻尿の改善に役立ちます。この薬は、胃腸が虚弱でなく、むくみ(浮腫)があるような人に向く薬です。


【漢方のみかた】
 「五臓」とは
 漢方では、西洋医学のような解剖学的な内臓ではなく、心身の機能の面から「肝、心、脾、肺、腎」という五臓の概念があり、その失調  から病気をとらえます。
 五臓のひとつである「腎」は、水分代謝、成長と生殖、耳・骨・歯の機能の維持、驚きや恐れの感情のコントロールなどの機能を担って  いるとされ、腎の働きが衰える「腎虚」になると、次のような症状が現れます。

「腎虚」で起こる症状
 ●気力・精力の減退
 ●視力・聴力の衰え
 ●排尿異常(夜間頻尿など)
 ●腰痛
 ●手足のしびれやほてり


【頻尿の漢方処方例】
 漢方薬の例         主な症状

 苓姜朮甘湯(虚)      胃腸虚弱あり、腰より下の冷え、下半身が重だるい
 清心蓮子飲(虚)      胃腸虚弱あり、腰より下の冷え、下半身が重だるくない
 五苓散(虚)         胃腸虚弱なし、浮腫傾向あり、汗をかきやすい
 牛車腎気丸(虚〜中)   胃腸虚弱なし、浮腫傾向あり、汗をかきやすくない
 猪苓湯(実)         胃腸虚弱なし、浮腫傾向あり、汗をかきやすくない
 八味地黄丸(虚〜中)   胃腸虚弱なし、浮腫傾向軽度〜なし
 六味丸
 (六味地黄丸)(虚)     胃腸虚弱なし、浮腫傾向なし、乾燥傾向、口が渇く


Q くしゃみや咳をすると尿漏れが起こります
 数年前からくしゃみや咳をすると尿漏れが起こるようになり、気になって外出もゆううつです。薬はあまりのみたくないと思っていました  が、漢方で改善できないでしょうか?  (56歳・女性)

A 尿失禁の原因はさまざまですが、相談の方は、おなかに力が入った拍子に尿が漏れる「腹圧性尿失禁」と思われます。腹圧性尿失禁  は、尿道・膣・肛門周囲の骨盤低筋の筋力低下や、膀胱を支える組織が緩むことなどが原因で起こります。女性に多く、特に、経産婦  や運動不足の人によく見られます。
  腹圧性尿失禁に対しては、骨盤低筋を鍛える体操が基本になります。もも上げ、その場跳び、なわ跳び、水中歩行などの運動に役立  ちます。
  相談の方は筋力とともに気力も低下しているようなので、運動と併せて「補中益気湯」などを用いるとよいかもしれません。緩みがちな  ものを引き締め、元気を補ってくれる薬です。「小建中湯」や「黄耆建中湯」などもよく用いられます。


【腹圧性尿失禁を改善する体操】
 もも上げ、その場跳び、なわ跳び、水中歩行
 日常、こうした運動をすることも腹圧性尿失禁の予防や改善に役立つ。

【腹圧性尿失禁の漢方処方例】
 漢方薬の例          主な症状

 当帰芍薬散(虚)       腹直筋の緊張*あり、浮腫傾向あり
 黄耆建中湯(虚)       腹直筋の緊張*あり、浮腫傾向なし、皮膚が弱く、化膿しやすい
 小建中湯(虚)         腹直筋の緊張*あり、浮腫傾向なし、皮膚が弱く、化膿しやすくない
 補中益気湯(虚)       腹直筋の緊張*なし、微熱、夏やせあり

                   *(腹直筋の緊張)・・・膝を伸ばして仰向けに寝ても腹直筋が緊張する。


Q やせすぎが心配です。漢方治療の可能性は?
 半年ほど前から体重が減り始めました。体重を落としたくないと思ってたくさん飲んだり食べたりすると、大量の寝汗をかき、尿が出ます 。やせすぎに対する漢方治療を教えてください。  (60歳・男性)

A 体重が減ってくる病気もいろいろあるので、急に体重が減り始めたようなときには、まず原因となっている病気がないか確認する必要  があります。例えば、糖尿病、甲状腺機能亢進症、がん、結核などの代謝性・消耗性疾患でも、体重減少が起こります。このような場   合は、もちろんその治療が先決です。
  特に病気がないのにやせるという場合には、漢方治療が役立つでしょう。
  相談の方は飲食を契機にいろいろな症状が出ているので、胃腸の働きを補って元気を増していく「補中益気湯」あたりがまず考えられ  ます。この薬に含まれる「黄耆」という生薬には寝汗を抑える効果もあります。もちろん、漢方薬の服用と併せて、食事をきちんととるこ  とが大切なのはいうまでもありません。


【やせてくる代表的な病気】
 病気                主な症状

 糖尿病            のどの渇き、多尿、化膿しやすい   食欲があり、食べられるのにやせる

 バセドウ病          首の腫れ、動悸、眼球突出      食欲があり、食べられるのにやせる
(甲状腺機能亢進症)

 がん              発熱、患部の痛み・しこり       食欲がなく、食べられなくてやせる

 肺結核            発熱、咳、痰、胸痛、息苦しい     食欲がなく、食べられなくてやせる

 消化器の病気        下痢、腹痛、腹鳴            食欲がなく、食べられなくてやせる

急にやせてきたときには、ほかの症状にも注意し、原因となっている病気がないかを確認することが大切。

【やせ・胃腸虚弱の漢方処方例】
 漢方薬の例             主な症状

 真武湯(虚)         胃部振水音あり、むくみ、尿量減少あり、まっすぐ歩けない、ふらつき、めまいあり
 茯苓飲(虚)         胃部振水音あり、むくみ、尿量減少あり、まっすぐ歩けない、ふらつき、めまいなし
 安中散(虚)         胃部振水音あり、むくみ、尿量減少なし、上腹部痛、胸焼けあり
 平胃散(虚)         胃部振水音あり、むくみ、尿量減少なし、上腹部痛、胸焼けなし
 半夏瀉心湯(中)      胃部振水音なし、グル音亢進(腹鳴)あり
 補中益気湯(虚)      胃部振水音なし、グル音亢進(腹鳴)なし、食後の眠気あり
 香蘇散(虚)         胃部振水音なし、グル音亢進(腹鳴)なし、食後の眠気なし、便秘がち


Q 長年、慢性頭痛で悩んでいます
 若いころからの頭痛もちで、頭痛薬をのみ続けています。病院で検査を受けたこともありますが、特に病気はないといわれました。強い 頭痛も漢方薬で改善できますか?  (43歳・女性)

A 頭痛はさまざまな原因で起こります。なかには脳の重大な病気による場合もありますから、まずきちんと診断を受けることが大切です  。相談の方のように、検査では異常がないのに長い間繰り返し起きる頭痛が「慢性頭痛」で、頭の片側がズキンズキンと脈打つように  痛む「片頭痛」と、頭全体が締めつけられるように痛む「緊張型頭痛」が代表的です。両方が合併している場合もあります。こうした頭  痛には漢方治療が適応となります。
  片頭痛のような強い頭痛に最もよく用いられるのが「呉茱萸湯」で、胃腸が虚弱で冷えがあるような人に向く薬です。一方、胃腸虚弱   や冷えがなく、特に天気が崩れる前に頭痛がひどくなるような人には「五苓散」がよく用いられます。


【頭痛の主な種類と特徴】
 片頭痛  
 ●脈打つようにズキンズキンと痛む
 ●突然、頭の片側に起きる
 ●頭痛の前に光が見えたりする(前兆)

 緊張型頭痛
 ●頭全体が締めつけられるように痛む
 ●肩から首にかけて重苦しい 
 ●後頭部が痛む
 ●夕方起きやすい

 片頭痛と緊張型頭痛が合併していることもある。

★注意:急性の「脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞」のほか、「脳腫瘍」や「慢性硬膜下血腫」(頭部打撲により硬膜とくも膜の間に血の塊ができる)などの脳の病気が原因で頭痛が起きることもある。

【慢性頭痛の漢方処方例】
 漢方薬の例          主な症状

 桂枝人参湯(虚)       胃腸虚弱、手足の冷えあり、顔ののぼせあり
 半夏白朮天麻湯(虚)    胃腸虚弱、手足の冷えあり、顔ののぼせなし、めまいあり
 呉茱萸湯(虚)         胃腸虚弱、手足の冷えあり、顔ののぼせなし、めまいなし
 釣藤散(虚)          胃腸虚弱あり、手足の冷えなし、肩や首すじがこる、起床時に頭痛がひどい
 五苓散(虚)          胃腸虚弱、手足の冷えなし、天気が崩れる前の頭痛あり
 葛根湯(実)          胃腸虚弱、手足の冷えなし、汗をかきにくい
 川きゅう茶調散(中)     胃腸虚弱、手足の冷えなし、汗をかきやすい


Q うつ病も漢方薬で治せますか?
 現在、うつ病を患っています。男性更年期症害の症状を聞いて、うつ病の症状と似ていると感じました。更年期障害に効く漢方薬で、う  つ病も治療できるのでしょうか?  (39歳・男性)

A 男性更年期障害のなかには抑うつ症状のある場合があります。たしかにうつ病の症状と似ていますが、うつ病と男性更年期障害は   分けて考える必要があります。
  うつ病であれば、やはり精神科での治療を優先します。中心になるのは、抗うつ薬という薬です。
  ただ、例えば、SSRIやSNRIという抗うつ薬を使っている人で、気持ちは安定したがいまひとつ元気が出てこないという場合に、「補   中益気湯」や「香蘇散」などの「氣」を補う漢方薬の併用が有効なことがあります。担当医に相談してみるとよいでしょう。
  うつ病には自殺をはかるような危険な症状もあるので、自己判断で抗うつ薬をやめたりするのは禁物です。


Q&A  漢方薬についての疑問にお答えします

Q ウコンやドクダミも生薬だから漢方薬?

A 自然の植物からつくられた生薬だからといって、それだけで漢方薬とはいえません。ウコンやドクダミなどは、生活の知恵として家庭で  用いられている民間薬、あるいは健康食品やサプリメントにあたるものです。
  それに対し、漢方薬は医薬品です。複数の生薬でつくるのが基本で、複合的な作用を生かして治療を行います。その配合は、漢方医  学の理論に基づき、経験的に確かめられてきたもので、ただ、生薬が入っていれば漢方薬とはいえません。

Q 漢方薬は長くのみ続けないと効果がない?

A 漢方薬は効果が出るのに時間がかかるものだというイメージがあるようです。しかし、漢方薬も使い方によって即効性を期待できます  。例えばかぜをひいたときには、その人に合った薬をすぐにのめば、一服でおさまることもよくあります。
  もちろん慢性病の場合は長く薬をのむこともありますが、効果は1〜2週間で判断できることが多いものです。いつまでのみ続けるか   は治療の目的によっても違ってきます。免疫・アレルギー性疾患などでは時間をかけて治療することもありますし、体質改善を期待す  るなら、漢方薬の服用と併せて、生活改善に努めることも大切です。

Q 漢方薬は西洋薬と併用しても大丈夫?

A 漢方薬は原則としては西洋薬と併用できますが、なかには注意を要する組み合わせもあります。現在、小柴胡湯は肝炎の治療に使   われるインターフェロンと併用しないことになっているので、医師が併せて処方することはありません。「麻黄」という生薬を含む漢方薬  は 、西洋薬のかぜ薬、特に解熱剤と併用すると、発汗を促す作用が重なって脱水になることがあります。また、「陳皮」という生薬を   含む漢方薬は、降圧薬のなかで最も多く使われているカルシウム拮抗薬と併用すると、カルシウム拮抗薬の作用が長く続き、血圧が  下がりすぎるおそれがあります。
  漢方薬を処方してもらうときには、服用している薬はすべて医師に伝えて相談してください。
  危険なのみ合わせさえ避ければ、漢方薬を併用することで西洋薬を減らしたり、両者のよい点を生かすこともできます。

Q 漢方薬にも副作用がある?

A  西洋薬に比べればずっと少ないとはいえ、漢方薬でも副作用がでることがあります。例えば「甘草」という生薬でむくみが起きたり、「   桂枝」という生薬が合わない人では、湿疹やのぼせなどが起こることもあります。「麻黄」という生薬は、お年寄りや心臓病のある人    では、血圧を上げたり不整脈を誘発することもあるので注意して使う必要があります。
   また、エキス剤の場合、乳糖を使用しているものがあり、乳糖不耐症のために下痢する人がいますが、こういう人は乳糖分解酵素と   併せてのめば漢方薬を使えます。牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする人は、予め医師に伝えてください。

Q 同じ病気であれば効く漢方薬も同じ?

A 西洋医学では、基本的に病名をもとに治療薬が決まりますが、漢方では「同病異治」といって、同じ病気でも「証」が違えば用いる薬が  違ってきます。逆に「異病同治」といって、違う病気の治療に同じ漢方薬を用いることもあります。
  便秘に対する「大黄甘草湯」、鼻炎に対する「小青竜湯」など、比較的広く使える薬もありますが、基本的には患者さん一人一人に応   じた「テーラーメイド医療」が漢方の持ち味といえます。「証」に合わない薬を用いれば副作用も出やすいものです。





漢方の専門家が現代女性へ警告!!

漢方周期療法で不妊を乗越える女性が増加中!
生理前後のニキビ・肌荒れ・便秘・そしてツライ生理痛などその場しのぎのケアで済ませがち!
繰り返す様々な症状は身体からのシグナルでこうした症状をほっておくと将来、不妊症や婦人病になりやすいと漢方の専門家 坂本 自啓先生は警鐘します。又、私ども誠心堂では、漢方不妊指導で近年めざましい成果をあげております。
一言でいえば生理を大事にする療法『漢方周期療法』のススメです。
今回、【東京パノラマ(2006年8月7日発行)】で坂本先生の温かい人柄と深い専門知識を駆使したカウンセリングの模様をご紹介してます。

◆症状でわかる 婦人病危険度◆
 あなたもチェックしてみませんか?

 全身症状  計20個
 □偏頭痛  □目の下のクマ  □目の充血  □頬のにきび  □頬のシミ  □不眠  □唇の荒れ
 □舌の色が暗い  □唇が紫色  □肩こり  □乳房のはり  □胃下垂  □便秘  □下痢
 □おなかのはり  □腰痛  □お尻が冷える  □むくみ  □足の静脈瘤  □手足の冷え

  結果 4個〜7個・・・要注意  8個〜15個・・・要相談  16個以上・・・要検査

 生理  計10個
 □生理がこない  □生理不順  □生理痛がひどい  □おりものが多い  □おりものがない
 □生理の色が黒い  □生理がレバー様塊がでる  □生理がだらだら続く  □生理前緊張症が強い
 □排卵痛がある

  結果 1個〜2個・・・要注意  8個〜7個・・・要相談  8個以上・・・要検査

漢方では全身症状と生理症状、両方チェックして身体全体のバランスを見ます。
専門家によるとこれだけのチェックでも本人が気付かないトラブルが見えてきます。
普段何気なくいつものことと見過ごしがちなこの症状!
気になりましたら、まずは無料相談をオススメします。


漢方相談で3回の流産を乗り越えて幸せな出産をされたNさん(37歳)へのインタビューです。

Nさんにとって漢方との出会いとは?
 「今、娘の顔をまじまじ見て思うのは「娘に会えたのは、漢方に出会えたおかげだなぁ」ってつくづく感じるんです。」
赤ちゃんに会えるまでは辛い時期も?
 「習慣性の流産で、授かっても3回も流産し、病院の不妊治療にも疲れて、これ以上治療を続けるのが恐くなっていました。夫婦だけの 生活もいいかなと諦めかけていたんです。それで体質改善のために漢方を試してみようと思って。」
先生のアドバイスは?
 「流産手術で内膜が薄くなっていることもあり、周期療法で元気な赤ちゃんができる体づくりをしましょうとアドバイスをうけました。妊娠が わかってからも我が子を抱けるのか不安でしたが張先生に「1週間に1回相談にいらっしゃい」と言ってもらって、すごく安心できました。
 つわりやお腹が張った時もそのつどアドバイスがもらえて心強かった。これからも健康面で相談できる場所ができたのが嬉しいです。」

Ads by Sitemix