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アトピー性皮膚炎を治す漢方療法

まえがぎ
 現在、日本医療のなかで広く使われるようになった漢方には、二千年の歴史があり、漢方療法を上手に行えば、アトピー性皮膚炎にもすぐれた効果を発揮します。ただし、アトピー性皮膚炎に関する漢方療法の歴史と経験は、まだそう深いものではありません。というのは、アトピー性皮膚炎のような病気は生命に別状がないため、昔は医者にかかるよりガマンするのが当然で、患者さんの数も今よりはるかに少なかったからです。
 実際、アトピー性皮膚炎は、二十年ほど前までは、さほど話題になるような病気ではありませんでした。ところが、みるみるうちに患者数が急増し、やがて現代医療に疑問を持って漢方治療を求める患者さんも増えてきました。現在では、本格的な漢方治療を行っている医療施設の多くで、アトピーの患者が最も多くなっているといわれています。
 このようにアトピーが急増した理由については、患者数がまだ少なかった昔とでは、原因が違うところにあると推論されます。
 たとえば、これと同じような病気にスギ花粉症があります。スギ花粉症も近年急増しましたが、この場合は病気のメカニズムがよくわかっているため、増加の要因もかなりの程度までわかってきています。それは、「スギ花粉の量が増えたため」というような単純なものではありません。主因はまだ確率されていませんが、排気ガスなども何かが人体に働きかけた状態で花粉が作用すると、花粉症になりやすいことなどが知られています。
 アトピーについてはまだはっきりしませんが、同じようなことが予測されています。この場合、「体に作用する何か」というのは、昔と違っているもの、おそらく食物(農薬・食品添加物など)、ダニの増殖しやすい住居環境、大気、水の汚れなどが指摘されています。
 ただし、アトピーの場合は、社会変化によるストレスなどの心理的因子が、予想より大きなウェイトを占めている点が花粉症とかなり異なっています。受験や就職ストレスなどによって、アトピー性皮膚炎が悪化するのはよく知られたことです。
 ちなみに、漢方を専門にしてアトピーを診ている医師は、ストレスなどの心理的要因を重視する傾向があります。これは、漢方の治療法に根ざした考え方によるもので、精神と肉体を切り離して病人を診ることをしないためです。
 現代医学は精神と肉体を別々に考え、精神は精神科、肉体は内科や外科などとなりますが、漢方では「心身一如」であり、精神と肉体は別々のものではないと考えます。
 こういう見方でアトピーを診ていくと「身体」の皮膚症状よりも「心」のほうに治療のウェイトをおく必要を感じ、実際にそのほうが治療効果があるのです。つまり、漢方では、経験上から「心の治療」を重視することになってきたわけです。こうした眼でアトピー性皮膚炎について考え直すと、「アトピーは家庭病」というふうにも考えられるのです。
 この本でも、そのあたりのところを配慮し説明したつもりですが、心理療法の本ではないので、心の治療についてはさりげなくふれるにとどめました。たとえば、気功は「心」の治療が主眼となります。そして、ここで用いている漢方処方は「心身一如の治療薬」となっています。
 近年、アトピーの漢方療法への注目度が高まっていますが、この本ではアトピーのタイプをいくつかに分けるなどして、一般の方にも取り組みやすいよう工夫したつもりです。本書がアトピー性皮膚炎の患者さんやご家族の方にとって、何らかのお力添えになることを願ってやみません。



第1章
漢方はアトピーになぜ効くか?
アトピー性皮膚炎には漢方が効く
◆さまざまな治療法が登場!
◆漢方の新しい可能性が開ける
漢方がアトピーに効く理由は?
◆漢方薬は根本的な治療が期待できる
◆漢方は「体と心」の療法を治療する
◆漢方は「総合的な医療体系」である
◆漢方には薬害への対応法もある

第2章
西洋医学からみたアトピー性皮膚炎
1 皮膚の変化に注意する
皮膚のバリア機能に注目!
◆皮脂には重要な働きがある
◆アトピーの人は皮脂量が半分程度
アトピー性皮膚炎は「湿疹」の一種
◆皮膚病の30%異常が「湿疹」
◆湿疹が慢性化したら要注意!

2アトピー性皮膚炎の種々のタイプ
年齢によって症状が違ってくる
◆”アトピー”は「奇妙な病気」?
隠れたアトピー性皮膚炎も多い
◆医師が違うとアトピーも変わる?
◆アトピー性皮膚炎の範囲が拡大?
アトピー性皮膚炎は合併症も多い
◆「アレルギーマーチ」がみられる
◆白内障や脱毛症も合併する

3アレルギーはなぜおこる?
免疫反応がアレルギーにつながる
◆”性状状態からの変化”とは?
◆体を守る”防衛線”の主役とは?
◆特殊な科学物質が炎症をおこす
◆ふつうの免疫反応が過敏におこる
アトピーとアレルギーの関係は?
◆”状況証拠”は何を物語る?
◆W型アレルギーにも注意する
◆アトピーに似た”かぶれ”とは?
アトピーを急増させた犯人がいる
◆生活環境からの影響も大きい
◆アトピーは「家庭病」である

4アトピーの検査と治療の特徴は?
アレルギーの原因物質を探り出す
◆まず一型アレルギーをチェックする
◆RAST検査で原因物質を確かめる
西洋医学のアトピー治療の特徴は?
◆軟膏の種類によく注意する
◆生活療法はアレルギー対策が主体
◆根本的治療が必要な人が多い

第3章
漢方医学の特徴とアトピーへの対応法
1 漢方と西洋医学はここが違う
漢方薬と西洋薬は効きかたも違う!
◆西洋薬も「生薬」から生まれた
◆世界最高の「生薬の複合剤」とは?
◆漢方薬は徐々に体質を強化する
漢方は「本当の健康」を得る医療
◆漢方では体全体の状態に注目する
◆「未病」状態も積極的に治療する
2 漢方にも「基本理論」がある
人体の「陰と陽」とは?
◆独自の「医学理論」がつくられた
◆すべてのものに「陰と陽」がある
◆「陰陽」が乱れると異常がおこる
◆内臓の5つの”元素”とは?
◆日本生まれの「漢方」とは?
3「未病」や「病気」の原因は?
「気・血・水」の乱れに要注意
◆「気」は生命活動のエネルギー源
◆「血と水」も重要な役割を果たす
◆気の病・血の病・水の病に注意!
◆「気・血・水」は処方選びの指針
外因や内因が「気・血・水」を乱す
◆「病邪」が体内に侵入する
◆食生活にはとくに注意する
4漢方の診療法と治療法の基本
「証」に応じて処方を選ぶ
◆「証」で個人差を把握する
◆個人差を重視して処方を選ぶ
標治法を本治法とは?
◆慢性病では「基礎治療」を重視
◆アトピーでは「本治法」が重要
5漢方の「アトピー理論」
アレルギー病は「外邪」でおこる
◆「外邪」が体表近くに存在する
◆漢方の治療体験が示すことは?
日本漢方の「アトピー理論」
◆過剰な「熱」に要注意!
◆漢方理論からはみ出す例も多い
◆処方選びを狂わせるケースも多い
中医学の「アトピー理論」
◆「五臓六腑」の考え方を応用する
◆「脾と胃」の機能低下に注意
◆「痰飲」がさまざまな病害を生む
◆そのつど生薬の使い方を求めていく
6アトピーへの漢方的な対応法
わかりやすくて便利な方法を優先
◆「中医学」は生薬使用量が3倍以上
◆日本では「漢方エキス剤」が普及
アトピーの漢方療法の基本
◆自分がどんなタイプかを見分ける
◆処方と養生の二本立てで治療する

第4章
アトピー性皮膚炎のタイプ別処方選び
1アトピーの処方選びの基本とは?
最初に「大きなタイプ」に分ける
◆最適の処方を選び出す方法は?
@「「ステロイド壊病」を見分ける
A処方と養生を続けてようすをみる
B必要ならほかの処方を併用する
C効果が不十分なら再検討する
2アトピーのタイプ判定の進め方
「幼小児型」から自分のタイプを選ぶ
◆最も多いのは「家庭病タイプ」
◆心身の病態をきちんと見定める
@家庭病タイプ(自律神経失調型)
A癇が強いタイプ
B消化器症状タイプ
C熱感(あつがり)タイプ
D水分代謝異常タイプ
Eその他のタイプ
自分の体質や体力の状態を見分ける
◆先入観を持たず注意深く観察する
◆「実証」と「虚証」の見分け方は?
「成人型」から自分のタイプを選ぶ
◆成人では「適応べたタイプ」が多い
@適応べたタイプ(自律神経失調症型)
A消化器症状タイプ
Bお血タイプ
C熱感(あつがり)タイプ
D冷え性タイプ
Eその他のタイプ
3最適処方の選び方
「幼小児型」のタイプ別処方選び
@家庭病タイプ(自律神経失調型)
A癇が強いタイプ
B消化器症状タイプ
C熱感(あつがり)タイプ
D水分代謝異常タイプ
Eその他のタイプ
「成人型」のタイプ別処方選び
@適応べたタイプ(自律神経失調型)
A消化器症状タイプ
Bお血タイプ
C熱感(あつがり)タイプ
D冷え性タイプ
Eその他のタイプ
5併用のための処方の選び方
ようすをみて第2段階へ進む
◆併用には二つのケースがある
@最初の処方が効かなかった場合
A最初の処方が不十分な場合
ジクジク型(湿潤型)の併用処方
◆ジクジク型は「水毒」が多い
カサカサ型(乾燥型)の併用処方
◆「気」や「血」の不足に注意
5漢方薬の上手な服用法
生薬を煎じるコツは?
◆煎じると治療効果が高くなる
◆煎じる時は弱火で煮詰める
適切な飲み方をすることが大切
◆時間を決めて服用を続ける
◆幼小児の服用量に注意する
◆子どもへの飲ませ方を工夫する
西洋薬との併用や副作用は?
◆抗生物質との併用は便秘に注意
◆漢方薬にも副作用がある

第5章
アトピー性皮膚炎のタイプ別養生法
1生活養生の効果とは?
処方の作用をうまく引き出す
◆漢方は”神秘的な万能療法”?
◆処方を生かす”条件づくり”が必要
◆生活養生が重要な役割を果たす
◆処方と養生が「互いに補い合う」
西洋医学と漢方を組み合わせる
◆アレルゲン対策も考慮する
◆食養生は「身土不二」が基本
◆タイプが違うと注意点も違う
2最も大切なのは皮膚の保護
アトピーの乾燥肌は傷すきやすい
◆皮膚の保護が生活養生の基本
◆皮膚保護剤をこまめに塗る
ときにはステロイドを上手に使う
◆使用日数は2〜3日以内とする
◆非ステロイド軟膏はかぶれに注意
3自律神経失調型の養生法が基本
生活養生の「基本7項目」とは?
◆生活養生に”王道”なし
@皮膚の保護
A生活環境の改善
B食生活の改善
Cストレス・過労対策
D自律神経の訓練
Eその他の生活養生
F各種民間療法など
4タイプ別「生活養生」のポイント
各タイプの注意ポイントとは?
◆自分のタイプの重点項目を知る
@癇が強いタイプ(幼小児型)
A消化器症状タイプ(幼小児型・成人型)
Bお血タイプ(成人型)
C熱感(あつがり)タイプ(幼小児型・成人型)
D水分代謝異常タイプ(幼小児型)
E冷え性タイプ(成人型)
Fその他のタイプ(幼小児型・成人型)

第6章
「ステロイド壊病」への対応法
1ステロイド剤の”光と影”とは?
よいステロイドと悪いステロイド
◆ステロイドはストレスから体を守る
◆乱用すると副腎皮質が萎縮する
◆ステロイド剤をやめたその先は?
ステロイドによる異変がおこる
◆副作用の前兆に注意する
◆すさまじい「離脱症候群」
◆顔が真っ赤にはれることも多い
2「ステロイド壊病」の4タイプ
ステロイドの塗り方でタイプがわかる
「どのように縫ったか?」が大問題
自分がどのタイプかを把握する
@ステロイド剤を顔だけに塗ってきたケース
Aステロイド剤を顔と体の両方に塗ってきたケース
Bステロイド剤は体だけ、顔には非ステロイド系軟膏をぬったケース
C顔にアトピー症状がなく、体にステロイド剤を使ったケース
3「ステロイド壊病に使う処方
「壊病」という認識が大切
強い皮膚症状にだまされやすい!
「気と血」の不足状態になる
「気と血」を補う処方が基本
十全大補湯が多用される
時間をかけて徐々に回復する
皮膚にはワセリンを塗る
4「ステロイド壊病」の養生法
まず環境からの悪影響に注意する
皮膚への物理的な刺激が大問題
@自然環境への注意
A住居・職場への注意
B入浴時の注意
C安静・休養
D衣類の注意
E食生活の注意
Fその他の注意事項

付録アトピー関連漢方処方一覧
この本にに出てくる漢方処方
コラム
「心身症」とは?
白色描記
「湿疹三角」とは?
アトピー家系
ステロイド剤の副作用症状
ベニエの痒疹
黄色ブドウ球菌に要注意!
免疫システムとワクチン
免疫グロブリンの役割分担
アトピー体質とアレルギー体質
ツベルクリン反応
寄生虫とアレルギー
長寿の秘訣とは
日本の柴胡
「漢方理論」の役割
五苓散の秘密
漢方と急性熱病
腹診と胸脇苦満
汗・吐・下法
痰飲の害
アトピー性皮膚炎と自律神経と「気」
病の影響は、体温にアワラレル
華岡青洲の医術
検査結果をどう読むか?
リノール酸の過剰摂取にご用心

第一章
漢方はアトピーになぜ効くか?
アトピー性皮膚炎には漢方が効く
さまざまな治療法が登場
 近年、わが国ではアトピー性皮膚炎が目立って増加し、「国民病」といえるような状態になっています。
 アトピー性皮膚炎は、皮膚にいろいろな発疹ができたち、皮膚が異常に乾燥して荒れたりする病気ですが、
かゆみがひじょうに強いうえに、なかなか治らないケースが増えたため、患者さんの悩みも深刻化しています。
 もともと、この病気はあまり多くはなかったのですが、」わが国の生活水準が向上し、生活環境が大幅に変わってきた20年
程前から患者数が増加しはじめました。
今日までの研究では、「アトピー性皮膚炎は、アレルギー反応によっておこる病気の一種」とされています。しかし、実際には
詳しくわかっていない点が多く、決め手となる治療法もまだ確立されていません。
 そのため、健康食品などを使った治療法や、種々の特殊療法、・民間療法などが一時的に脚光を浴び、マスコミで取り上げられたりしています。
漢方の新しい可能性が開ける
 そうしたなかで、漢方に関しても、西洋医学や民間療法などで治らない人が、漢方専門医のいる医療施設に来院するケースが増えています。
 ちなみに、かつてのアトピー性皮膚炎は、発育過程で自己治癒力が強化されていくと、思春期までに自然に治ってしまうのがふつうでした。
 ところが、最近は発育しても治らないケースや、たとえ一時的に治っても、思春期や成人意向に再発するケースが増えてきたのです。
 こうしたケースは、家庭環境などの、影響による、精神的、心理的な要素や、その他の生活環境の影響、西洋医学の治療で用いるステロイド軟膏の
副作用が関係して治りにくくなっていることが少なくありません。
 漢方療法は、このような「最近のむずかしいアトピー」にも治療効果が期待できるため、現時点では最適の治療法といっても過言ではありません。
 ただし、漢方療法だからといって、容易に漢方薬を選んで服用してもなかなか十分な効果が得られません。
 アトピー性皮膚炎にはさまざまなタイプがあり、「自分がどのタイプで、どんな状態なのか」といったことをよく見極めたうえで、多数の漢方薬の中から
その人に最も適した書法を選びだす必要があります。
 そのためには、まずアトピー性皮膚炎の基本的な特徴をよく知っておくことが大切です。


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はじめに

 今、アトピー性皮膚炎の治療はステロイド(副腎皮質ホルモン)やプロトピック軟膏の使用をめぐって大きな混乱がおきております。
 また、治療法も数えきれないほどあります。その中でどの治療法を選ぶかは大変難しいことです。アトピー性皮膚炎ほど個人差の大きい病気は他にありません。
 ただ、共通していえることは、ステロイド(副腎皮質ホルモン)を使用すると一時的には皮膚炎が改善したようにみえても、使用を止めた時にかゆみがいっそうひどくなったり、時には激しいリバウンド現象が出たりして、結局は長いあいだ苦しまなければならないことが多いのです。
 アトピー性皮膚炎に限らず、ステロイド(副腎皮質ホルモン)の乱用による副作用で苦しんでおられる患者さんがこれ以上増えないことを願って、平成10年7月7日にホームページを開きました。
(たらお皮膚科URL http://www.mirai.ne.jp/〜seisinc5/)
 患者さん一人ひとりに詳しい説明をするとよいのですが、限られた時間の中ではとうていできません。

特にアトピー性皮膚炎は薬だけではなおりませんので、生活習慣の改善が大変重要となってきます。しかも、現在の保険診療で認められている薬は限られていますので、患者さん自身が自分の病気を冷静に受け止めて、薬のみに頼るのではなく、自然治癒力をたかめ、自分自身でなおすという強い意志がないとなかなか良くなりません。
 また、現在私の医院では、患者さんの数%はステロイドの副作用のために通院されています。
 このような現状の中で、一人でも多くの方に、ステロイドを使用しないで安心してアトピー性皮膚炎をなおす方法と、ステロイド外用薬に関する正しい知識を伝えたくて本書を執筆しました。
 アトピー性皮膚炎の治療に関する本は、書店でも非常に多くみかけますが、本書では皮膚科専門医の長年の臨床経験を素に、アトピー性皮膚炎とステロイド(副腎皮質ホルモン)の功罪という、今までに例をみない観点から書いてみました。
 ホームページをみて頂いた方も本書ではさらにわかりやすく解説しましたので、ぜひ御一読ください。
  平成16年5月




第1章 アトピー性皮膚炎とはどんな病気?
第2章 アトピー性皮膚炎の原因
第3章 アトピ性皮膚炎の治療方針
第4章 アトピー性皮膚炎治療のポイント
(1)皮膚の洗い方を工夫しましょう
(2)肌にやさしい衣類を選びましょう
(3)自分に合う外用薬を使用しましょう
(4)かゆみに対する対策を立てましょう
(5)食事は規則的に、バランスよく、よくかんで楽しくとりましょう
(6)ダニ対策をしましょう
(7)洗濯の仕方を工夫しましょう
(8)ストレスを解消する工夫をしましょう
(9)マスコミで得た情報に惑わされないようにしましょう
(10)血液検査について
(11)合併症に気をつけましょう。
(12)自律神経失調症を改善する工夫をしましょう
第5章部位別にみたアトピー性皮膚炎の悪化の原因
第6章良い診療ができるために患者様へのお願い
第7章ステロイドとは何?
第8章ステロイド外用薬の種類
第9章ステロイド外用薬は正しく使用しましょう
第10章ステロイドの副作用
第11章ステロイドの副作用の出る本当の理由
第12章”あまった”ステロイド外用薬のゆくえ
第13章ステロイドの被害は自分自身で防ぎましょう…実際によくある例
第14章脱ステロイドについて
第15章プロトピック軟膏について
第16章Summary in English
第17章体験談
あとがき

第1章
アトピー性皮膚炎とはどんな病気?
 アトピー性皮膚炎はかゆみの強い「湿疹」の一種です。「湿疹」とは、かゆみがあり、皮膚が赤くなる、ブツブツができる、小さい水疱ができる、ジュクジュクと汁が出る、カサブタができる、カサカサと皮がむける、亀裂ができる、色素沈着が残る、ゴワゴワとして感じの皮膚になるなどの症状が現われる皮膚の病気ですが、他の人にはうつりません。
 アトピー性皮膚炎は、いろいろなことで「湿疹」が良くなったり、悪くなったりをくりかえします。また、本人または家族にアトピー性皮膚炎の他に気管支喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、じんましんなどのアレルギー性の病気がみられやうし傾向があります。
 以前、「アトピー性皮膚炎は乳幼児から子供の病気で思春期ころまでになおる」といわれておりました。ところが、最近では乳児から大人まであらゆる年齢にみられます。
 症状は年齢によってやや特徴がありますが、必ずしも家庭医学の本や専門書に書かれているような年齢によって、はっきり区別できる特徴的な症状が出るわけではありません。この症状の出方は、ステロイド(副腎皮質ホルモン)の使用によって大きく変わってくることが、私の長年の臨床経験ではっきりわかりました。これから述べることは一般にあまり知られていないことと思いますが、私は長いあいだ皮膚科専門医として多くの患者さんを診察して、年齢によりも今までにどのような治療をしてきたかによって、症状が変わってくると考えています。
 例えば、一般に「成人型アトピー性皮膚炎は顔が赤いことが多い」といわれていますが、ステロイド外用薬を使用したことのない人は赤くなりません。たとえ赤くなっても一時的な皮膚炎または細菌感染によるもので、その治療、すなわち皮膚炎なら皮膚炎の原因を除去し、細菌感染ならば細菌を殺せばすぐに改善します。
 アトピー性皮膚炎で最初に現われる症状は「アトピー皮膚とかアトピックスキン」といわれる皮膚がカサカサ乾燥した状態です。程度の差はありますが、鼻のあたまを除く全身のどの部分にも現われます。特に下腿の前面(皮脂欠乏性湿疹ともいう)や、
ひざやひじの内側、顔、(皮脂欠乏性湿疹ともいう)や、ひざやひじの内側、顔、首、手などに多くみられます。また「小児乾燥型湿疹」といって背部や胸部などにザラザラする皮膚がみられます。同時に「はたけ」といって、顔などの皮膚がほぼ円形に少し白なり、カサカサする状態もよくみられます。また、「耳切れ」といって、耳の付け根の部分(耳介の上、下、後ろなど)が切れる症状もよくみられます。ひざやひじの内側などの汗のたまる部位に紅斑ができることもあります。乳児では、最初に顔面に紅いブツブツができ、やがて汁がでることがあります。激しいかゆみのためにひっかくことや、衣類などの摩擦によって皮膚が厚くなり苔癬化」と「いわれるゴワゴワの皮膚になってくることもあります。また、一定の季節だけ皮膚炎ができ、時期がくると自然によくなることもおおいのです。冬の空気の乾燥したじきに悪化する人、夏に汗で悪化する人、春またたh、秋の季節の変わり目に悪化する人などいろいろです。
 ところが実際にはアトピー性皮膚炎の患者さんは、今までにいろいろ治療を受けていることが多く、前に書いた「本来のアトピー性皮膚炎の患者さんは、今までにいろいろな治療を受けていることが多く、前に書いた「本来のアトピー性皮膚炎の症状」と、ステロイドの影響による症状」との両方の症状が混在していると考える必要があります。
 ステロイド(副腎皮質ホルモン)を使用すると、最初のうちは非常によく効きます。短期的にみればステトイドは「最も湿疹に良く効く薬」です。しかし、よくなってしばらくすると湿疹がまた再発します。今度は前のステロイドでないと効かなくなり、より強いステロイドでないと効かなくなってきます(ステロイドの効果の減弱:タキフィラキシスといいます)。こうして症状とステロイドの”いたちごっこ”が始まり、湿疹の出る範囲が広がっていき、必ず皮膚に、”持続性の赤み”が出てきます。ステロイドの使用をとめると、かゆみが激しくなり、汁が出て、カサブタができます。このように症状がだんだん複雑になってきます。これを”ステロイド皮膚症”といいます。
 特にステロイドの使用を急に中止した際は、リバウンド現象といって、激しいかゆみ、傷み、赤み、浸出液、落屑(皮が剥げ落ちること)、亀裂、発熱、全身倦怠感、発汗異常などの特有の症状がみられます。これはもう本来のアトピー性皮膚炎の症状ではありません。本来のアトピー性皮膚炎はそれほど重症になることはまずありません。リバウンド現象や皮膚炎の再発によって日常生活に大きな支障が出る方は、皆ステロイドやプロトピック軟膏の使用歴があります。

第2章
アトピー性皮膚炎の原因
 アトピー性皮膚炎の原因は、いろいろな節(病因論)があって、現在のところ決定的なものはありません。
 現在一般的に認められているアトピー性皮膚炎の大きな原因の一つは、「皮膚の角質細胞どうしをつなぎとめている、角質細胞間脂質(主にその中のセラミド)が少ないため、皮膚が乾燥して皮膚の防御機能、すなわちバリアー機能が低下すること」といわれています。
 もうひとつの原因は、「チリダニ(ヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニ)、ハウスダスト(ほこり)、カビ、花粉、ペットの毛、食物(主に3歳未満では、卵、牛乳など)などのアレルゲン(抗原ともいい、アレルギー反応を起こすもの)といわれています。しかし、ここで注意すべきもの(発症因子)、または悪化させるもの(悪化因子)の一つにすぎないということです。
 アトピー性皮膚炎は、”アレルギー”のみで起きるわけではありません。したがって、アレルギーの血液検査だけで原因を知ることは不可能です。検査法が進歩したとはいっても最新の検査法でさえ複雑な人間の体の、ほんのわずかな情報が得られにすぎません。検査法は進歩しても、実際にアトピー性皮膚炎の患者さんは増加しており、また完治に至らない患者さんが大勢います。
 アトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚から水分が蒸発しやすく、カサカサの皮膚になり、皮膚のすきまやひっかき傷から、チリダニやハウスダストなどのアレルゲンや細菌などが進入しやすいのです。また、衣類などの摩擦に弱く、外からのいろいろな刺激に反応しやすい(かぶれを起こしやすい)、かゆみを感じやすいなどの特徴があります。
 今まで述べた「アレルギー、カサカサの皮膚」などは、いわゆる”体質”といわれているものですが、私はこれらの体質に加えて、生活習慣(ライフスタイル)の乱れがアトピー性皮膚炎の炎症および悪化に大きく関係すると考えています。
 子供が大きくなり手が離れたと考えて、母親が就職して毎日務めに行くようになると、今まで皮膚に異常がなかった子供に、典型的なアトピー性皮膚炎が発病する場合がしばしばあります。また就学や就職を機会に一人暮らしを始めると、子供のときに出ていったんは治癒していた皮膚炎が再発することも多いのです。このような事実からも、ライフスタイルの乱れが、アトピー性皮膚炎の発病・悪化の重要ば因子となっていることがわかります。
 糖尿病、高脂血症、高血圧、がん、脳卒中など従来「成人病」といわれてきた疾患が細菌になって「生活習慣病」といわれつようになりました。これらは体質に加え食事、嗜好品(アルコール、タバコなど)、運動、ストレス、睡眠などの毎日の生活習慣が関係して発病する病気のことです。
 アトピー性皮膚炎は先に述べた述べた体質に加え、これらの生活習慣(特に食事とストレス)および皮膚に接触するもの(海面活性剤、大気汚染物質、衣類、汗など)、季節、清潔志向(入浴の際の洗いすぎ、頻回の入浴、子供に泥んこ遊びをさせない、抗菌グッズの氾濫)など、摩擦、自律神経失調、ステロイドの使用などが関係して発病すると考えています。
 
また、ビル、オフィス、交通機関、家庭などの過剰な冷暖房、家の新築や改築の際の内装材に使用される化学物質、食品添加物などの化学薬品、農薬、殺虫剤、防虫剤、抗菌剤、合成洗剤、歯磨き粉、接着剤、ゴム、化粧品、整髪料、芳香剤、灯油などを使用するフンヒーター職場でしようする化学薬品、水道水に含まれる塩素などのあらゆる化学物質や金属アレルギー(特に歯科金属)、電磁波などもアトピー性皮膚炎の症状の悪化と関係があると考えています。
 つまり、アトピー性皮膚炎はいろいろな要因によって発病したり、悪化したりする大変複雑な病気なのです。
第三章
アトピー性皮膚炎の治療方針
 私は昭和55年から皮膚科の委員を開業していますが、開業当時と現在のアトピー性皮膚炎の患者さんの状況を比べると、患者さんの人数が確かに増えてきています。
 しかし最も変わってきたことは、顔の赤みがひどい人、リバウンド現象の人、全身に皮膚炎がある人、一年中症状がある患者さんが多くなってきていることでうs。こういう人は全員が現在または過去にステロイド(副腎皮質ホルモン)を使用しています。
 私は、ステロイドを使用したことがある人、全く使用していない人を多くまた長期間にわたり診療していて、患者さんからたくさんのことを学びました。
 ステロイドに疑問を持った最初のきっかけは、「眼科用ワセリン(プロペト)」といって、普通は顔にぬってもかぶれを起こすことはほとんどない外用薬にもかかわらず、かぶれをおこす患者さんに遭遇したことでした。こういう人は全員が例外なく、顔にステロイドを使用しています。
 また、重症の患者さんが、私の医院の治療に不満を持ち転医を希望されたため、ある大学病院に紹介したところ、2〜3年経ってその患者さんが再び私の医院にもどって来られたとき、なおらないばかりか、ステロイド特有の副作用(ステロイド皮膚症)が出て、以前より悪化した状態になっているという事実を数人の患者さんで経験し、やはり「ステロイドではアトピー性皮膚炎をなおすことはできないと」確信しました。
 また一般の方向けに書かれた多くの本で、ステロイドを使用された方のリバウンド現象の体験談を読み、さらに自分が今までにいってきた治療成績と考え合わせ、「アトピー性皮膚炎にステロイドを使用するのは大変危険だ」と考えるようになりました。
 アトピー性皮膚炎がどの部分にあり、どういうときに悪化するかを考えて、悪化の原因を除去して必要に応じ、保護剤、保湿剤、古典的外用薬(ステロイドを含まない薬で昔からある薬)かゆみ止めの飲み薬などを使用します。
 また、アトピー性皮膚炎が急に悪化することがありますが、たいていの場合細菌が関与しています。黄色ブドウ球菌などの細菌が皮膚炎の部位で急に増えることがあり、これらの細菌が出す”毒素”が皮膚炎をさらに悪化させます。幸い、消毒液や抗生物質などを使用すればたいてい一週間くらいでおさまります。
 最近は少なくなってきましたが、主に小児科の医師の診察を受け、血液検査の値のみで判断され、きびしい食事制限をうけた結果、皮膚炎がかえって悪化することや、もっとひどい場合には心身の発育が遅れることもありますので、食事制限を行う場合は身長行わなければなりません。私は、血液検査はあまり薬に立たないことがおおいと思います。
 アトピー性皮膚炎でいちばん問題になるのは、ステロイド」(内服薬や注射薬はもちろんのこと、外用薬も含みます)やプロトピック軟膏の使用だと思います。ステロイドを使用すると、一時的には、かゆみも止まり皮膚炎が改善したようにみえても、長い目でみていくと、湿疹のでる範囲が徐々にひろがったり、細菌感染やウイルス感染を起こしやすくなり、いろいろなものにかぶれやすくなるなどの副作用が出てきます。また、ステロイドを中止した場合すぐに皮膚炎が悪化したり、かゆみが異常に強くなったり、リバウンド現象がで可能性が大きくなってきます。
 リバウンド現象は、かゆみが極めて強く、勉強や仕事の面でも支障がでてきます。どういう治療をしてもおさまるまでに時間がかかります。成人の”難治性アトピー性皮膚炎”の多くは”ステロイド皮膚症(ステロイドの副作用)”と考えられます。
 私はアトピー性皮膚炎の治療にステロイドやプロトピック軟膏をはじめから使用しないことをお勧めします。今まで使用していた人は、生活習慣の改善や悪化因子の除去を行って、徐々にステロイドやプロトピック軟膏を中止すること(脱ステロイド、脱プロトピック)をお勧めします。
 ただしアトピー性皮膚炎の人は、アレルギー性鼻炎や花粉症や気管支喘息やじんましんなどのアレルギー性疾患にもかかりやすく、その治療にステロイドがよく使用されるので、自分の使用している薬が何であるかを把握しておく必要があります。
 また、内kや小児科では風邪の治療の歳、熱が下がりにくいときにはステロイド内服薬を処方されることが多いようです。ステロイドは大変効き目の良い薬ですが、使用法も難しい薬です。医師のあいだでもいろいろの考え方があり、使用方法にはっきりした基準はありません。
 一方、ステロイドの外用薬はもちろんのこと、内服薬までもが薬局で簡単に買えます。外用薬の箱に「ステロイド(副腎皮質ホルモン)」と書いてないことも多く、ほとんどの人は「ステロイド」としらずに使用しています。あるいは、「ステロイド(副腎皮質ホルモン)と書いてあっても、かゆみ、しっしん、かぶれ、あせもといった効能、効果だけから判断して使用している人がほとんどです。
 また、病院や医院で治療を受ける際、薬のみでなおすことは可能であることを自覚する必要があり、通院のたびにどんどん皮膚炎が良くなるという薬(たいていの場合、ステロイド)を望まないほうが良いと思います。なおりが早いということはそれだけ強い薬であり、ステロイドであることが多いです。医師の立場からすると「この薬は効かない、まだなおりません」と患者さんに言われると少しでも早く現在の症状が改善するようにと考えて、さらに強い薬(ステロイド)を処方してしまうことが多いです。もちろん私は処方しませんが。
 アトピー性皮膚炎がこんなにも大きな社会問題になった原因はここにあるのです。すなわち患者さんと医師双方の問題だと思います。通院の目的は、医師とともに悪化の原因を考え、より良い治療法を見つけ、早く自然治癒にもっていくためと考えたほうがよいでしょう。
第4章
アトピー性皮膚炎治療のポイント
(1)〜(12)
(1)皮膚の洗い方を工夫しましょう
 ひとくちにアトピー性皮膚炎といっても、病状によって皮膚の洗い方を工夫する必要があります。
 脱ステロイドや皮膚炎の再燃で、ジュクジュク汁が出る場合は、細菌が関与することが多いので、毎日1回細菌を落とすために石けん(普通の固形石けん)を用いて洗い、石けんが残らないように浴槽に入って洗います。洗い上がりには、シャワーを浴びておいたほうが良いでしょう。なお、熱い風呂や長湯はかゆみが強くなります。
 乾燥した皮膚炎やアトピックスキン(乾燥肌)の場合は、洗い過ぎないように工夫が必要です。
 夏は外から帰ったらすぐに入浴またはシャワーを行いましょう。汗をかいたらなるべく早く汗を落としてください。
 普通は一日1回(帰宅してすぐが望ましい)ぬるめのお湯につかります。汗をかかない季節は、入浴は隔日くらいが良いこともしばしばあります。1日に何回も入浴(シャワー)することはさけてください。お湯につかる時間は数分間で良いと思います。体質や季節によって、入浴の頻度や時間を加減してみてください。一般的には洗いすぎの傾向があります。
 石けんの使用には慎重になる必要があります。界面活性剤がアトピーの主因だという考え方もあります。
 乾燥性の皮膚炎には、基本的には石けんを使用しないほうが良いでしょう。アトピックスキン(乾燥肌)の場合は、石けんの使用部位をわき、陰部、肛門周囲、足の指の間、足のうら、汚れた部位などに限定したほうが良いでしょう。
 石けんを使用する場合は、自分に合う石けんを用い、手または柔らかい布でやさしく洗います。手の届くろことは、手のひらに石けんを充分泡立て、その手で皮膚をなでるようにやさしく洗います。手に湿疹がある時は、アトピーの患者さん用に開発された柔らかいタオルを使用されるとよいでしょう。
 決してタオルなどでゴシゴシこすってはいけません。また、ナイロンタオル、ボディブラシ、フェイスブラシや垢すりの使用は絶対に避けてください。皮膚を保護している”保護膜”がとれてしまうからです。
 普通は「低刺激の石けん」が無難ですが、これにもいろいろな商品があり、どれが合うかわからないので、いろいろ試して自分に合う石鹸をみつけましょう(例えばノブソープD,アクセーヌフェイシャルADなど)。ベビー石けんでも合う方もあれば、合わない方もあります。一般の方向けのボディソープは、脱脂力が強いので使用しないでください。体質によっては普通の固形石けん(シャボン玉石けんなど)でも支障ありません。石けんが合うという目安は、カサカサにならない、赤くならない、ヒリヒリしない、ブツブツができない、つっぱらないなどです。また、低刺激、弱酸性の石鹸はニキビができることがあるので気をつけましょう。
 汗、細菌感染、チリダニ、ハウスダストなどが皮膚炎の悪化の原因となっていると考えられる場合は、朝も短時間でも良いので入浴するか、シャワーを浴びてみるのも良いでしょう。ただし、朝はせっけんを使用しません。一日に二回もせっけんを使用すると、皮膚はますますカサカサになってしまいます。入浴剤は個人差が大きく、もちろん必須のものではありませんが、自分に合うものがあれば使用しても良いでしょう。保湿効果のあるもの、ミネラルを含むもの(荒塩など)などは役にたつ場合がありますので、試してみるのも良いと思います。ただし、皮膚炎が悪化することもあるので、使用するときは慎重に選んでください。からだを温める成分入りの入浴剤はかゆみが増すことがあるので避けたほうがよいでしょう。また水道水がしみる場合は塩素除去(シャワーヘッド、ビタミンC、炭など)をすると良い場合があります。
 頭を洗うシャンプーは、一般的に刺激が大きいので、低刺激の(例えばノブシャンプー、マーベセラーヘアーシャンプーソフトなど)を使用されると良いでしょう。シャンプーが合わない人は、からだを洗う石けんで頭を洗ってみてください。また、頭や首の皮膚炎がひどいときは、シャンプーや石けんを全部中止して、お湯だけで洗ってみてください。
 リンスは頭皮や顔、首に皮膚炎がある時は使用しないようにしましょう。やむなくリンスを使用するときは低刺激のもの(例えばノブリンス、酢など)を使用してみてください。
 どの石けんやシャンプーやリンスを使用するにしても、これらの成分が皮膚に残らないように、よく洗い流してください。この際も手を添えて、なでるように洗ってください。特にこ子供の場合は洗い方やすすぎ方が充分でないことが多いので、普通は小学校高学年になる頃までは大人が洗ってあげてください。
 乳幼児では、首、わきの下、四肢の関節の内側などシワの部位(皮膚が重なる部位)は汗やアカがたまりやすいので奥まで充分洗ってください。たあだしこれらの部位は皮膚が非常に薄いので、手または、ガーゼなどや柔らかい布でなでるように洗ってください。
 入浴やシャワーのあとはすぐに、乾いたタオルをそっと当てるように充分ふきましょう。拭き残して、水分が残っているとただれたり、赤くなったりしやすくなります。
 病院や外出先から帰ったら、必ずすぐシャワーや入浴を行ってください。細菌やウイルスを家庭にもちこまないためです。特に子供の場合は必ず実行してください。これは案外しられていないことですが、大変じゅうようなことです。
 また、病院のベットやカーテンや本などを介して、細菌に感染することが多いので、これらに触らないようにしましょう。乳幼児の診察の際は、めんどうでも家からバスタオルを持参して、ベッドの上に敷いてから診察を受けてください。
 子供の皮膚炎が、体育の授業、運動会、クラブ活動、合宿、修学旅行、スキー、水泳などによって悪化することがあります。汗をかくこと、細菌感染、日光、ポリエステルのジャージや体操服、疲労、ストレスなどが原因と考えますが、皮膚炎がひどい時はこれらのことは中止してください。
 また、風邪をひくと皮膚炎が悪化することが多いのですが、一般に日本では風邪の時に入浴を制限する傾向が外国と比べて強いようです。高熱がなければ短時間の入浴は支障がないことが多いので、小児科の医師とよく相談してください。逆に風邪をひいて入浴を控えた結果皮膚炎が良くなる場合もあります。その際は入浴回数を減らしてみてください。
 入浴後、必要に応じて保護剤、保湿剤などのスキンケア用品や自分に合う外用薬を使用します。脱ステロイドの際には何も塗布しないのも重要な選択肢です。
 細菌が関与して皮膚炎が悪化した際は、消毒療法が有効なこともしばしばあります。
消毒療法
 通常はイソジン液を使用します。イソジン液を水で3倍に薄め、入浴またはシャワーの最後に患部に塗布し、1〜2分してからシャワーで洗い流します。イソジン液がしみる場合や効果がない場合は、弱酸性水やヒビディール液や紫水を使用することもあります。もちろん細菌感染がアトピー性皮膚炎の悪化の原因になっている部位、期間(通常は3〜7日間)だけdす。スキンケアとして漫然と長期に使用するのは絶対に避けてください。また、消毒液の刺激による皮膚炎や過敏症(アナフィラキシーショック:重篤なアレルギー反応のこと)をおこすこともあるので、必ず診察を受けて使用する必要があります。
(2)肌にやさしい衣類をえらびましょう。
ウール、アクリルなどチクチクしたり、ジーンズ、麻、デニムなどのゴワゴワする衣類は極力避けましょう。アトピー性皮膚炎の患者さんだけでなく、小さい子供のいる家庭では、子供を抱いたりすることが多いので家族全員同じ注意が必要です。特に乳幼児をいだくことが多いお母さんは綿のエプロンをしてください。
衣類(上着、ズボンやスカート)の素材としては綿、シルク、ポリエステルなどが良いでしょう。
 下着は綿100%のメリヤスの下着をつけましょう。綿は吸水性と通気性にすぐれ、肌触りがよく、安価で一番好ましいと思います。キルト加工などの凸凹のある素材は避けましょう。高齢の人はたいてい下着をつける習慣が身についていますが、最近は幼児は大人にいたるまで、多くの人が下着を正しくつけていません。食事の習慣と同じで、幼少の時から下着をつける習慣をつけておかないと、大きくなってから変えるのはなかなか困難です。事実、下着を正しくつけるだけで皮膚炎が良くなります。
 新しく購入した下着はいろいろな加工がなされているので、めんどうでも一度洗濯してから使用してください。また、衣替えの際もダニ、防虫剤を落とすために一度洗濯してから使用してください。
 衣類の摩擦は、皮膚炎の悪化と密接な関係があります。ひざの裏側の皮膚炎がひどい人は、たいていジーンズを着用しています。しかも下着は着けていません。ストッキングをはく女性には、このような症状はみられないので、衣類による摩擦がいかに悪い影響をおよぼすかわかっていただけると思います。衣類の摩擦は「苔癬化」といって、皮膚がゴワゴワになった皮膚は、なかなか柔らかい普通の皮膚にもどりません。
 かなり皮膚炎がひどい人でも、常に綿の下着を着けているおしりには、皮膚炎がない、あるいは、あっても他より軽いという事実からも、いかに下着が重要であるかがわかると思います。いる波ファッション性や流行にとらわれず、皮膚にやさしいものにしましょう。しかし、このことを正しく理解して実行している人は、意外に少ないのです。
 また、綿ではありませんが、良質の紙おむつをしている乳児も、全身の皮膚炎がひどくてもおしりに皮膚炎がないことが多く、柔らかくてすべすべの表面でおおわれ、適度の湿度があり、ひっかかなければ皮膚炎ができないことを証明しています。20〜30年前は、赤ちゃんの皮膚炎はおむつかぶれとあせもがほとんどだったのに対し、現在では正反対におむつの部位のみ皮膚炎がないという事実が、アトピー性皮膚炎の原因を考える大きな”ヒント”になると思います。時代とともに病気は変化します。
 下着の縫い目、しわ、ゴム、ラベルなどもささいなことと思われがちですが、皮膚炎が悪化する原因になることが多いので充分気をつけましょう。乳児に下着をつけずに、”ブランド物”の外出着を着せて平気で、むしろ得意そうな顔をしているお母さんがいますが、あきれてしまいます。赤ちゃんや乳児には、ガーゼの下着を着せるくらい、皮膚を大切にしてほしいと思います。また、袖口や裾の部分にゴムが入っていない衣類を選びましょう。
 なるべく下着は裏返して、縫い目が直接皮膚にふれないようにして着ましょう。(アトピーの方のために特別に加工された下着はその必要はありません)。特にわきの下の皮膚は、よれたりこすれたりしやすいため皮膚炎が発生しやすい部位です。肩やわきの下に皮膚炎がある人は、タンクトップ型ではなく、そでのついたTシャツ型の下着をおすすめします。
 実際のところ、一番問題の多い下着はブラジャー、ボディスーツ、ガードル、ブリーフ、トランクスです。これらの下着は、しめつけ、素材(ゴム、化繊、金具)、摩擦などの皮膚炎を悪化させやすい要素を持っています。かゆみから開放されることを望むなら、これらの下着は止めて皮膚にやさしい下着にしましょう。パジャマはもちろん綿100%のものにします。家に帰ったらすぐにパジャマに着替えましょう。
 幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校生の制服も問題です。体操副は綿とポリエステルの混紡のものが多く、ジャージは吸湿性、通気性がないため暑く、また皮膚をチクチク刺激し、特に夏には皮膚にとって好ましくありません。また、ブラウスが綿ではなく、混紡という規定の学校があります。学生服のカラー、ブルマーなども皮膚炎の悪化と関係があります。アトピー性皮膚炎の人にとっては、このような衣類の規定は本当に残酷で、ぜひなくしてほしいものです。
 また、社会人の方も背広、ワイシャツ、ネクタイ、スーツ、会社の制服など皮膚にわるいとはわかっていても、なかなか変更できないことがあり、こういう所にアトピー性皮膚炎の治療の難しさがあると思います。
 衣類ではありませんが、毛布は綿100%のものを使用しましょう。アクリルや羊毛の毛布を使用するときは、厚い綿の毛布カバーをかけましょう。また、シーツも皮膚にやさしい綿100%の凹凸のないものにしましょう。
 おへそあたりの湿疹が汗をかく季節になると悪化する場合は、たいていベルトの金具やボタンの金属アレルギーによる湿疹(皮膚炎)です。ピアス、ネックレス、時計、ブレスレット、ファスナーなどによる金属アレルギーによる湿疹(皮膚炎)もアトピー性皮膚炎の人に多くみられます。特にピアスは最も危険です。

(3)自分に合う外用薬を使用しましょう。
 ステロイド外用薬やプロトピック軟膏は一時的には効くようにみえても副作用が出やすい薬ですので、原則として始めから使用してはいけません。
 しかし、現在、ほとんどの病院、医院の皮膚科、小児科や産婦人科ではアトピー性皮膚炎の治療に、いろいろな種類のステロイド外用薬が使用されています。日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2004年」でもステロイドやプロトピックを上手く使い分けるというのがスタンダード(標準的)なアトピー性皮膚炎の治療ということになっています。
 「ステロイド外用薬を使用しない」という意見は、現在のところ確かに少数派ですが、私は皮膚科専門医として多くの患者さんを長く診療した経験から「人生長い眼でみれば、はじめからステロイドを使用しないで、自分の体質を理解してうまくアトピー性皮膚炎とつきあっていくのが良い」と考えています。そして、はじめからステロイドを使用しなければ、それが可能であることをひしひしと実感しています。また、ステロイドを止めただけで(もちろn生活習慣の改善は必要ですが)完治されてしまう方もしばしばあります。
 乳幼児、小児など年齢が低いほど、ステロイドの影響が強く長期にわたり現われるようです。私はアトピー性皮膚炎以外のほとんどの皮膚疾患に対しても、少し時間がかかっても、ステロイドを使用しないで治療することを勧めています。むしろステロイドを使用しないほうがどの疾患もすっきりなおることを多く経験しています。
 赤ちゃんのおむつかぶれ、あせも、虫さされなどにステロイド外用薬を使用されている人が多いのですが、ステロイド以外の薬、または、手当てで充分です。例えば、おむつかぶらなら、皮膚を清潔にして亜鉛華軟膏などでなおります。あせもなら、涼しい環境と皮膚の清潔や亜鉛華でんぷんやラ・ワセのみでなおります。虫さされは、普通はかゆみ止め(カチリ)でなおります。なおりにくい時はグリパスCやモクタールを使用します。
 また、大人でも顔、首、陰部、ひじの内側、ひざの裏側などは副作用の現われやすい部位なので、これらの部位も含め極力ステロイドやプロトピックを使用しないようにしましょう。特に顔には絶対に使用しないでください。ステロイドやプロトピックは、アトピー性皮膚炎にとって一種の”麻薬”のようなものです。
 外用薬を使用するなら保護剤、保湿剤、古典的外用薬、非ステロイド剤などを使用します。細菌感染のある時は抗生物質の入った軟膏や抗菌クリームを使用すると良いことがあります。また、軽いかゆみには、かゆみ止めの軟膏が有効な場合があります。
 これらは個人差が大きいので、使用してみて自分に合うものを使用してください。どの外用薬もかぶれる可能性があります。特にステロイドやプロトピックの使用歴がある場合はかぶれやすいので、慎重に選んでください。まずは硬貨大くらいの範囲に2〜3日試してみます。かぶれなければ徐々に塗布する範囲を広げます。その際、からだの左右でぬり比べながら、有効かどうか判断しながら使用してください。
 脱ステロイドの際や、乳幼児の顔、首の皮膚炎は、かえって何も塗布しないほうが早く改善する場合がしばしばあります。「何も塗布しない」というのも選択肢の一つと考えてください。また、夏は油性の外用薬を使用するとベタベタして、かえってかゆみが強くなることがあります。

保護剤・保湿剤
 保護剤・保湿剤の使用目的は、皮膚の乾燥防止や皮膚を物理的刺激から守ることなどです。通常脱ステロイドの際や炎症(赤み、ブツブツ、汁など)のある部位には使用しません。
 現在保健診療で使用できる保護剤・保湿剤には、ワセリン(プロペト、ハクワセ、ワセリン)、アズノール軟膏、プラスチベース、ヘパリン類似物質製剤(主にヒルドイドソフト、ヒルドイドローション、ビーソフテンローション)、尿素軟膏(ケレチナミン、ウレパール、パスタロン)、ザーネ軟膏ぐらいしかありません。これらの製品は同じ薬効の薬でもメーカーによって品質にバラツキが大きく、自分に合うものを使用する必要があります。
 皮膚炎がどんなにひどい人でも、鼻のあたまにはほどんど異常はみられません。これは鼻のあたまにはいつも皮脂がでているためです。つまち、皮脂は”天然の保湿クリーム”なのです。カサカサを放置することは、場合によっれ大変危険です。
  保護剤として一番多く使用されているのは、現在のところワセリンだと思います。すぐにはかぶれにくいからです。ただし、長期間の使用には向いていません。また、脱ステロイドの際や、炎症のある部位にワセリンを塗布すると赤くなったり、かゆみが強くなります。
 ワセリンを使用するといっても、ただ単にぬればよいというわけではありません。一番効果的な使用法は一日2回、適度の温度のお風呂に数分間つかり、お風呂に数分間つかり、お風呂から出てから柔らかいタオルなどをそっと当てるようにして水分をf具枳、すぐに(なるべく三分以内に)ワセリンをうすく、軽くぬります。決してすりこんではいけません。つまり、入浴して皮膚の表皮の角層に水分を含ませ、その水分を逃さないためにワセリンを使用するのです。シャワーの後にワセリンを使用するだけではあまり効果がありません。
 またワセリンやプラスチベースなどの油性の軟膏は、長期にわたり使用すると、体質や薬の種類や使用法にもよりますが、”油やけ”といわれる赤黒い色素沈着を伴う皮膚炎を起こしたり、皮膚がガサガサになる可能性があります。油性の軟膏を長期にわたって使用することは好ましくありません。
 "美肌水”が有効なことが時々ありますので、カサカサや軽い炎症を目安に、一度は試してみる価値があります。体質、皮膚炎の状態、体の部位、濃度、季節などによって合う場合、合わない場合がありますので、慎重に判断してください。また、かぶれることもしばしばあります。
 保湿剤は市販の製品のほうがいろいろな種類があり、使用感のよい製品もあるので試してみるのも良いでしょう。市販の保湿剤はその他にも非常に多くの種類がありますが、ステロイドが少量でも入っていないか充分気をつけてください。最近ではハンドクリームにもステロイドが入ったものが販売されています。ふつう、箱や容器に「ステロイド(副腎皮質ホルモン)」とは書いてありません。たとえ書いてあってもほとんどの人は気がつきません。見分け方については、「大8章ステロイド外用薬の種類 市販のステロイド外用薬」をお読みください。
古典的外用薬
 ステロイド外用薬が開発されるまではよく使用された薬で、ステロイドが頻繁に使用されるようになってからは使用されることが少なくなったが、最近そのよさが見直されてきた薬「古典的外用薬」と呼んでいます。ワセリン、プラスチベース、亜鉛華軟膏(ボチ)、亜鉛華単軟膏(サトウザルベ)、ボチシート、亜鉛華油、亜鉛華でんぷん、アトピー軟(院内処方)、ラ・ワセ(院内処方)、青ボチ(院内処方)、親水軟膏、吸水軟膏、モクタール、グリパスCなどは代表的な古典的外用薬です。これらは、ステロイド軟膏、非ステロイド軟膏、かゆみ止めの軟膏、抗生物質の軟膏などの基剤としても使用される場合もあります。
 古典的外用薬の使用の目的は、外からの刺激に対するほど、乾燥を防ぐ、汁を止める(患部を乾かす)、かさぶたの除去、かゆみをとめる、炎症を抑えるなどです。
 炎症に対しては亜鉛華軟膏や亜鉛華油やモクタールやグリパスCは大変よく効きます。ステロイドよりずっと効果的です。体質に合えば使用したその日からかゆみが止まります。ただし、すでにステロイド外用薬を使用したことがある場合は、かぶれることがあるので注意してください。塗布して数分間は、ヒリヒリする感じやチカチカする感じがありますが、普通はまもなくおさまります。この感じがずっと続くようならかぶれの可能性があります。使用してすぐにかぶれる可能性もあれば、試用期間中のどの時点でもかぶれる可能性があります。「おかしい」と思ったらすぐに使用を中止してください。
 独特の臭いやべたつきがある外用薬は、さらしやガーゼの包帯を巻いて使用します。なおガーゼを固定するための絆創膏は使用しないでください。皮膚炎のある周囲は絆創膏のかぶれが置きやすいためです。
 古典的外用薬は、目的に合わせ、どの部位にでも何回でも塗布できます。普通は軽くのばすように塗布してください。

非ステロイド

 ステロイドを含んでいない薬で、炎症を抑える効果を持った薬のことです。
 アンダーム軟膏、コンベック軟膏、フェナゾール軟膏、ステダルム軟膏、スレンダム軟膏、トパルジック軟膏、デルマクリンA軟膏、ハイデルマート、ロバック軟膏、エンチマック軟膏(いずれも商品名)などがよく使用されます。
 ただし効果は弱く、かぶれたり、皮膚の色が黒くなったりすることが多いので注意が必要です。使い始めはかぶれなくても、しばらく使用しているとかぶれるようになったり、薬を塗布して日光に当たるとかぶれる場合もあります。
 特に以前にステロイド外用薬を使用したことのある方はかぶれやすいです。乳幼児や小児の軽い皮膚炎(紅斑、丘疹など)にはある程度効果がある場合もありますが、大人はほとんど効果は期待できません。むしろかぶれると思ってください。脱ステロイドの際は特に危険です。時々保湿剤と勘違いして使用している人がいますがとんでもないことです。
かゆみ止めの軟膏
 保険診療で使用できるものはレスタミン軟膏、ベナパスタ、オイラックス、CRR水(大人用)などです。これらは、あくまでも一時的なかゆみ止めです。また時々かぶれる人がいるので気をつけましょう。かゆみ止めの軟膏は、皮膚炎を改善する作用はありません。皮疹がほとんどないのにかゆい時に使用します。また長く使用することは好ましくありません。
 市販(薬局)のかゆみ止めの軟膏も、ほとんどが同じような成分を含んでいます。また市販の薬で、ウナコーワA、ウレパールプラスローション、エスアランD軟膏、エスアランDクリーム、オイラックスクール、オイラックスタッチ、キシロA(またはF)軟膏など局所麻酔薬(リドカイン、ジブカイン、塩素ジブカインなど)を含んだ薬がありますが、これらの薬はかゆみが止まることが多いのですが、成分の局所麻酔薬の過敏症になることがあり、この場合は今後同じ局所麻酔薬を使用した時にアナフィラキシーショックを起こす可能性がありますので、原則的には使用しないほうが安全です。

(4)かゆみに対する対策をたてましょう
 かゆみは、汗をかいた時、蒸し暑い時、入浴の前や着替えのために服をぬいだ時、入浴して体が温まった時、暖房(エアコン、ストーブ、こたつ、ホットカーペット、電気毛布など)を使用するとき、ふとんに入ってから寝つくまで、一眠りしてから、食事の後(時にアルコール、刺激物、甘いもの、仮性アレルゲンを含むもの、熱いものを摂った時)、生理の少し前から生理のとき、イライラしている時などに強くなる人が多いようです。 
 自分に合ったかゆみを止める工夫をしてください。例えば、入浴する、シャワーを浴びる、アイスノン(保冷剤)で冷やす、冷やした缶ジュースや氷のうにラップを巻いて冷やす、クーラーで冷やす、扇風機の風にあたるなどです。好きなことに熱中するのも良いでしょう。子供の場合はかゆがる時にしかるより、親の手で傷がつかない程度にかいてあげたほうが安心して眠ってくれることが多いようです。
 かゆみ止めの内服薬や、かゆみのため寝つきが悪かったり、夜中に眼が覚めてしまうときには睡眠薬を飲みます。ステロイドを使用したことがない人は、睡眠薬を必要とすることはあまりありません。逆にステロイドの使用を止めた時のリバウンド現象の際は、普通の睡眠薬を飲んでも眠れないことがあります。
  必要に応じ、皮膚炎の部位に自分いあう外用薬(モクタールやグリパスCや亜鉛華軟膏など)を塗布して、なるべく洗濯したさらしや包帯を当てます。特にモクタールやグリパスCは、体質に合えば、塗布したその日からかゆみが止まるのでぜひ試してください。汁が出て固まりさらしや包帯をはがすのが難しいときは、さらしや包帯をつけたまま入浴します。さらしや包帯は入浴中に自然にとれます。決して無理にはがしてはいけません。無理にはがすと、いつまで経っても汁が止まりません。下着が汁で固まっているときも同様にしてください。
 ひっかくと治癒が遅れます。傷をつけると皮膚のバリアー機能が低下し、いろいろな刺激を受けやすくなり、さらに細菌感染を起こして皮膚炎がいっそう悪化してかゆみも強くなります。ひっかくと皮膚の再生が起こりにくく、また傷がなおる際にかゆみが出たりします。いわゆる悪循環が起こります。リバウンドの際はかゆみをがまんするのは困難なことが多いのですが、次第にかいても傷がつきにくくなっていきます。
 いろいろ、ひっかかない工夫をしてみてください。例えば、さらしを巻く、ガーゼを当てそれをネットで固定する、顔の場合はお面包帯をする、チュビファーストをはめる、手が出ないように工夫されたパジャマを着る、爪を絶えず短く切ってヤスリをかけてひっかき傷ができないようにするなど自分に合う方法をみつけて実行してみてください。ただし、特にこどもの場合、「かいてはダメ」としかるとかえってかいてしまう場合があります。
 お面包帯の仕方ですが、ガーゼを5、6枚重ねて、目、鼻、口にあたる部分を切り取って穴をあけます。そのガーゼの上に必要な薬(亜鉛華軟膏、モクタール、グリパスCなど)を厚めにのばします。それを顔面に当て、その上から包帯でグルグル巻きます。病状によって外用薬をかえていきます。
 私の医院に通院しているアトピー性皮膚炎の患者さんで、12歳の子供ですが、皮膚炎のある左腕の骨折のためギプスをはめ、20日間くらい洗うこともできなかったのですが、キプスをはずしたところ、きれいになおっていました。しかし、右腕は同じように皮膚炎があったのですが、ひっかいたためになおっていませんでした。皮膚の汚れ(汗やアカ)よりも、かかないということのほうが重要な意味を持っていることが証明されました。
 また、以前、NHKの『きょうの健康』という番組で俳優の仲代達也さんがアトピー性皮膚炎の体験談を話しておられました。その際、「顔は俳優にとって、とても大切だから、絶対にかかないように努力をしたらなおった」といっておられました。
 手の届きやすいところに皮膚炎がひどく、手の届きにくいところ(背中の中央)に皮膚炎がない場合は、かくことが皮膚炎の悪化の大きな原因になっていると考えられます(嗜癖的掻破といいます)。
 またひっかくこと以外にも皮膚をたたいたり、こすったり、触ったり、皮をむいたり、無理にカサブタをはがしたりしてはいけません。特に目をたたいたり、こすったりすると網膜剥離を起こす危険性があります。
 なお、鼻の穴には通常のブドウ球菌やMRSA(メキシリン耐性ブドウ球菌という普通の抗生物質が効きにくい細菌)が存在しているので、できる限りさわらないようにしましょう。
かゆみ止めの内服薬
 いろいろな種類があります。日本では「抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤(アレルギー性疾患治療剤)」といわれています。(表1)抗ヒスタミン剤は、かゆみをひきおこす主な物質であるヒスタミンに拮抗する(ヒスタミンの働きを弱める)薬です。
 抗アレルギー剤は、アレルギー反応の進行を途中で止める働きを持った薬です。もちろんアレルギー反応を100%阻止することはできませんが、抗ヒスタミン剤や、抗アレルギー剤はアトピー性皮膚炎、湿疹、皮膚炎、じんましん、アレルギー性鼻炎などによく使用します。
 体質によっては、眠け、体がだるい、便秘、口の渇き、胃部不快感などが現われることがありますが、一般的には重篤な副作用はありません。まれに激症肝炎、膀胱炎様症状などが発症する場合もあるので、内服して異常を感じたら直ちに中止して診察を受けてください(これはかゆみ止めの内服薬に限らず、抗生物質や抗ウィルス薬などあらゆつ薬に共通です)。また、眠けがある薬は車の運転や危険な機械の操作の前には飲まないでください。アルコールや他の薬との併用には注意が必要です。体質によっては、まれに肝機能の異常などが現われることがあるので、自覚症状がなくても定期的な検査が必要です。

 なお「セレスタミン」という薬は、内科や耳鼻科をはじめ、いろいろな診療科で非常に多く処方われ、薬局でも販売されており、とりあえずはよく効きますし、すぐには副作用と自覚できる症状は現れませんが、抗ヒスタミン剤の「ポララミン」と「ステロイド」が入っています。花粉症、じんましん、湿疹、アトピー性皮膚炎などに処方されていることが多いので気をつけてください。
 私は乳幼児や小児には、かゆみの強い時のみ、なるべく抗ヒスタミン剤を飲むことをすすめています。抗ヒスタミン剤が効かない小児には抗アレルギー剤を使用します。
 大人は抗アレルギー剤または抗ヒスタミン剤の中から、自分に合う薬を飲むことをすすめています。
 内服薬の使用についてはいろいろな考え方がありますが、ひっかくとなおりが遅れるので、薬を飲んでかゆみが楽になるようなら、かゆみ止めの内服薬を使用したほうが良いと考えています。
 「体質改善剤」といわれている薬(抗ヒスタミン作用を持たない抗アレルギー剤のこと)は、「3カ月〜1年間位続ければ有効」という意見もありますが、私は現在のところほとんど処方していません。体質改善の薬にはかゆみを止める作用がないし、アトピー性皮膚炎の原因がアレルギーのみではないからです。また、抗アレルギー作用を持つ注射薬(ネオミノファーゲンシー、ノイロトロピンなど)が有効な場合も有ります。ネオミノファーゲンシーと同じような成分の内服薬(グリチロン)も、即効性はありませんが長い目でみれば効果が期待できます。
 アトピー性皮膚炎の人は花粉症やアレルギー性鼻炎などにもかかりやすいので、参考までに現在よく使用される非ステロイド剤の点眼薬と点鼻薬を紹介します。
 
 種類 抗ヒスタミン剤
 薬の名前(商品名) タベジール、テルギンG、ホモクロミン、ポララミン、ペリアクチン、アタラックス、アタラックスP
 特徴 あまり、血液検査の必要はない

 種類 抗ヒスタミン作用を持つ抗アレルギー剤
 薬の名前(商品名) ニポラジン、クラリチン、セルテクト、アレロック、ジルテック、アゼプチン、ザジテン、ジキリオン、アレジオン、エバステル、アレグラ
 特徴 効き目がやや良いようだが、時に血液検査が必要

 種類 抗ヒスタミン作用を持たない抗アレルギー剤 
 薬の名前(商品名) アイピーディ、リザベン
 特徴 眠気はほとんどないが、かゆみに対する直接的な効果はない

点眼薬 インタール、インタールUD、リボスチン、ザジテン、リザベン、アイビナール
点鼻薬 インタール、、リボスチン、ザジテン、アトロベント、トーク

(5)食事は規則的に、バランスよく、よくかんで楽しくとりましょう。
アトピー性皮膚炎と食事は非常に密接な関係があります。食事は規則的に、バランスよく、よくかんで楽しくとりましょう。暴飲暴食を避け、腹八分目にします。肥満にならないようにしましょう。
 大学生、単身赴任など一人暮らしの方はバランスのとれた食事をとりにくい場合が多く、皮膚炎が悪化することがよくあります。また、ダイエットなどをきっかけに皮膚炎が発症することがあります。
 重要なことは、幼少の時から「正しい食習慣」を身につけることです。大人になってから食習慣を改善するのは大変難しいことです。
 朝食を摂っていない人も多く、また摂っている場合でもパンとコーヒー、ハムだけまたは、ごはんとみそしる、漬け物程度という人が結構あります。ビタミン、ミネラルや蛋白質の不足が目立ちます。昼食は一般に野菜不足になりがちです。三色とも栄養のバランスのとれた食事が必要なことはいうまでもありません。皮膚に必要な栄養分を摂らなければ皮膚炎は絶対に良くなりません。皮膚炎のなおりが悪い人は必ず食事に問題があります。どうしてもビタミンやミネラルが不足する時は、サプリメントさえとれば野菜などをとらなくても良いというわけではありません。あくまでも補助食品と考えてください。事実、皮膚科診察において、ビタミン剤はアトピー性皮膚炎を含む湿疹に処方して、かなり効果があることがあります。
 また、寝る前に水分を多くとると、夜間汗をかいて全身、特に背部や腰部などの汗のたまる部位の皮膚炎が悪化します。
 ある特定の食物を摂って明らかに皮膚炎が悪化する場合や、じんましんがでる場合は、それを避けます。必ず下血液検査で抗体価(IgE−RAST)が高いものが原因とは限りません。抗体価は参考程度として、食物負荷、除去の結果で判断します。つまり、あるものを食べると皮膚炎が悪化し、食べないと皮膚炎が改善する場合は食物アレルギーと考えられます。
 食物アレルギーの原因をみつけつには、血液検査よりも”アトピー日記”のほうが役に立ちます。毎日の三度の食事、間食などを日記や家計簿のように記録しておくと、どの食物を摂った場合に症状が悪化するかが、わかる場合がよくあります。また同時に、症状、使用している薬、石けん、シャンプー、洗剤、体調(風邪、生理、胃腸の具合、他の疾患など)、ストレスの有無、日時、天候なども記録しておきましょう。診察の際に持参されるととても役に立ちます。
 乳幼児、小児で食物アレルギーの原因がみつかった場合は、数ヶ月経てから少量食べてみて、皮膚炎が悪化しないか様子をみながら徐々に食品の数を増やしていきます。血液検査の値のみで食事制限をすると、からだの発育に悪い影響をおよばしたり、親のストレスがたまったり、経済的負担が増えたり、保育園や学校の給食が食べられなかったりするので、食事制限は身長に行わなければなりません。明らかなアレルゲン以外は、避けるより慣れるのが良いと考えます。
 妊婦本人や家族にアレルギー性疾患がある際の妊婦の食事制限については、どちらかが良いか結論はでていません。妊娠6ヶ月以降は卵(特に卵白)や牛乳の摂取を控えたほうが極端に控える必要はないと思います。むしろ栄養のバランスのとれた食事のほうが大切だと考えます。むしろ栄養のバランスのとれた食事のほうが大切だと考えます。また、乳児の離乳食(特に卵、牛乳)の開始は遅らせたほうがよいと考えます。
 次に食物アレルギーとは関係なく、アトピー性皮膚炎の際(妊婦も含む)、皮膚炎の原因・悪化因子、かゆみの誘発などの観点から、避けたほうが良い食品、積極的に摂ったほうが良い食品、普通で良い食品に分けてみましたので、これを参考に毎日いろいろな献立を考えてみてください。アトピー性皮膚炎に良い食事は家族全員の生活習慣病の予防にも良いのです。大人や兄弟が食べて、患部だけががまんするのは困難です。また、誕生日、クリスマス、忘年会、正月などの行事の際に、ついうっかり食べてしまうこともあるので気をつけましょう。
 @避けたほうが良いもの
アルコール、コーヒー、ココア、コーラー、炭酸飲料、ジュース、香辛料、塩分の多いもの、インスタント食品(特にラーメン)、加工食品、添加物の多いもの、脂肪分の多いもの(ハンバーガー、ハンバーグ、ステーキ、焼肉、鶏の唐揚、豚肉など、揚げ物、てんぷら、ラーメン、スパゲティ(ミートソース)、焼きそば、スナック菓子、バターピザ、マーガリン、ドレッシング、マヨネーズ、紅花油、コーン油、綿実油、ウナギ、ニシンなど)、糖分の多いもの(チョコレート、ケーキ、アイスクリーム、アメ、お菓子など)、もち、あられ、パン、あくの強い野菜(たけのこ、山芋、ワラビ、ごぼう、くわいなど)、鮮度の落ちた魚介類(干物)、ドライフルーツ、ソバ、タバコ(受動喫煙を含む)、(栗、とうもろこし、かぼちゃ、さつまいも?)など。
 A積極的に摂ったほうが良いもの
緑黄色野菜(にんじん、小松菜、大根の葉、なばな、みず菜、チンゲンサイ、サラダ菜、サニーレタス、大根、モロヘイヤ、オクラ、、ブロッコリー、ピーマン、パプリカ、グリーンアスパラガス、かいわれ大根、にがうり、セロリ、パセリ、春菊など)、乾物(切干大根、干し椎茸、きくらげなど)、オオムギ、レバー、貝類(カキ、アサリ、シジミ、ハマグリ、ホタテガイなど)、小魚、新鮮な魚(マグロ、カツオ、サケ、サワラ、タチウオ、アユ、アマゴ、ニジマス、イワシ、サンマ、サバ、アジ、ブリ、タラ、カレイ、カジキ、タイ、シタヒラメ、ホッケ、ムツ、キスなど、煮付け、蒸す、焼くなどの調理法が良い)。
B普通に摂って良いもの
米、発芽玄米、めん類、牛乳、チーズ、緑茶、ルイボスティ、ウーロン茶、紅茶、プレーンヨーグルト、とうふ、豆類、卵、赤みのお肉(煮付け、水炊き、網焼き)、ささみ、いか、たこ、かに、えび、海藻類(ひじき、わかめ、のり)、きのこ類、こんにゃく、淡色野菜、ほうれんそう、トマト、いも類、くだもの(いちご、バナナ、メロンは控え目、りんごは皮をむくこと)、植物油(なるべくシソ油、アマニ油、オリーブ油などが良いと思います)。







(5)食事は規則的に、バランスよく、よくかんで楽しくとりましょう。
アトピー性皮膚炎と食事は非常に密接な関係があります。食事は規則的に、バランスよく、よくかんで楽しくとりましょう。暴飲暴食を避け、腹八分目にします。肥満にならないようにしましょう。
 大学生、単身赴任など一人暮らしの方はバランスのとれた食事をとりにくい場合が多く、皮膚炎が悪化することがよくあります。また、ダイエットなどをきっかけに皮膚炎が発症することがあります。
 重要なことは、幼少の時から「正しい食習慣」を身につけることです。大人になってから食習慣を改善するのは大変難しいことです。
 朝食を摂っていない人も多く、また摂っている場合でもパンとコーヒー、ハムだけまたは、ごはんとみそしる、漬け物程度という人が結構あります。ビタミン、ミネラルや蛋白質の不足が目立ちます。昼食は一般に野菜不足になりがちです。三色とも栄養のバランスのとれた食事が必要なことはいうまでもありません。皮膚に必要な栄養分を摂らなければ皮膚炎は絶対に良くなりません。皮膚炎のなおりが悪い人は必ず食事に問題があります。どうしてもビタミンやミネラルが不足する時は、サプリメントさえとれば野菜などをとらなくても良いというわけではありません。あくまでも補助食品と考えてください。事実、皮膚科診察において、ビタミン剤はアトピー性皮膚炎を含む湿疹に処方して、かなり効果があることがあります。
 また、寝る前に水分を多くとると、夜間汗をかいて全身、特に背部や腰部などの汗のたまる部位の皮膚炎が悪化します。
 ある特定の食物を摂って明らかに皮膚炎が悪化する場合や、じんましんがでる場合は、それを避けます。必ず下血液検査で抗体価(IgE−RAST)が高いものが原因とは限りません。抗体価は参考程度として、食物負荷、除去の結果で判断します。つまり、あるものを食べると皮膚炎が悪化し、食べないと皮膚炎が改善する場合は食物アレルギーと考えられます。
 食物アレルギーの原因をみつけつには、血液検査よりも”アトピー日記”のほうが役に立ちます。毎日の三度の食事、間食などを日記や家計簿のように記録しておくと、どの食物を摂った場合に症状が悪化するかが、わかる場合がよくあります。また同時に、症状、使用している薬、石けん、シャンプー、洗剤、体調(風邪、生理、胃腸の具合、他の疾患など)、ストレスの有無、日時、天候なども記録しておきましょう。診察の際に持参されるととても役に立ちます。
 乳幼児、小児で食物アレルギーの原因がみつかった場合は、数ヶ月経てから少量食べてみて、皮膚炎が悪化しないか様子をみながら徐々に食品の数を増やしていきます。血液検査の値のみで食事制限をすると、からだの発育に悪い影響をおよばしたり、親のストレスがたまったり、経済的負担が増えたり、保育園や学校の給食が食べられなかったりするので、食事制限は身長に行わなければなりません。明らかなアレルゲン以外は、避けるより慣れるのが良いと考えます。
 妊婦本人や家族にアレルギー性疾患がある際の妊婦の食事制限については、どちらかが良いか結論はでていません。妊娠6ヶ月以降は卵(特に卵白)や牛乳の摂取を控えたほうが極端に控える必要はないと思います。むしろ栄養のバランスのとれた食事のほうが大切だと考えます。むしろ栄養のバランスのとれた食事のほうが大切だと考えます。また、乳児の離乳食(特に卵、牛乳)の開始は遅らせたほうがよいと考えます。
 次に食物アレルギーとは関係なく、アトピー性皮膚炎の際(妊婦も含む)、皮膚炎の原因・悪化因子、かゆみの誘発などの観点から、避けたほうが良い食品、積極的に摂ったほうが良い食品、普通で良い食品に分けてみましたので、これを参考に毎日いろいろな献立を考えてみてください。アトピー性皮膚炎に良い食事は家族全員の生活習慣病の予防にも良いのです。大人や兄弟が食べて、患部だけががまんするのは困難です。また、誕生日、クリスマス、忘年会、正月などの行事の際に、ついうっかり食べてしまうこともあるので気をつけましょう。
 @避けたほうが良いもの
アルコール、コーヒー、ココア、コーラー、炭酸飲料、ジュース、香辛料、塩分の多いもの、インスタント食品(特にラーメン)、加工食品、添加物の多いもの、脂肪分の多いもの(ハンバーガー、ハンバーグ、ステーキ、焼肉、鶏の唐揚、豚肉など、揚げ物、てんぷら、ラーメン、スパゲティ(ミートソース)、焼きそば、スナック菓子、バターピザ、マーガリン、ドレッシング、マヨネーズ、紅花油、コーン油、綿実油、ウナギ、ニシンなど)、糖分の多いもの(チョコレート、ケーキ、アイスクリーム、アメ、お菓子など)、もち、あられ、パン、あくの強い野菜(たけのこ、山芋、ワラビ、ごぼう、くわいなど)、鮮度の落ちた魚介類(干物)、ドライフルーツ、ソバ、タバコ(受動喫煙を含む)、(栗、とうもろこし、かぼちゃ、さつまいも?)など。
 A積極的に摂ったほうが良いもの
緑黄色野菜(にんじん、小松菜、大根の葉、なばな、みず菜、チンゲンサイ、サラダ菜、サニーレタス、大根、モロヘイヤ、オクラ、、ブロッコリー、ピーマン、パプリカ、グリーンアスパラガス、かいわれ大根、にがうり、セロリ、パセリ、春菊など)、乾物(切干大根、干し椎茸、きくらげなど)、オオムギ、レバー、貝類(カキ、アサリ、シジミ、ハマグリ、ホタテガイなど)、小魚、新鮮な魚(マグロ、カツオ、サケ、サワラ、タチウオ、アユ、アマゴ、ニジマス、イワシ、サンマ、サバ、アジ、ブリ、タラ、カレイ、カジキ、タイ、シタヒラメ、ホッケ、ムツ、キスなど、煮付け、蒸す、焼くなどの調理法が良い)。
B普通に摂って良いもの
米、発芽玄米、めん類、牛乳、チーズ、緑茶、ルイボスティ、ウーロン茶、紅茶、プレーンヨーグルト、とうふ、豆類、卵、赤みのお肉(煮付け、水炊き、網焼き)、ささみ、いか、たこ、かに、えび、海藻類(ひじき、わかめ、のり)、きのこ類、こんにゃく、淡色野菜、ほうれんそう、トマト、いも類、くだもの(いちご、バナナ、メロンは控え目、りんごは皮をむくこと)、植物油(なるべくシソ油、アマニ油、オリーブ油などが良いと思います)。
 ”回転食”といって、毎日同じものをとるのではなく、いろいろメニューを変えましょう。また、最近の野菜は以前と比べ、ビタミン・ミネラルなどの含有量が少なくなって来ているので、なるべく多種類(一日25〜30品目を目標)の食品を摂るようにしてください。
 食品添加物や農薬をできる限り避けましょう。そのためには食事や間食はできる限り家庭で手作りしましょう。なるべく市販のドレッシングなどを使用しないで、しょうゆ、みそ、酢、砂糖(なるべく控え目)、塩、(天然塩)、料理酒、みりん、植物油など、できるだけシンプルな調味料をおすすめします。また、野菜のあくをぬいたり、野菜や米についている農薬を落とすため、ゆでたり、よく洗ったりすることも重要です。
 食物アレルギーとは別に、「仮性アレルゲン」といってかゆみを起こすヒスタミンのような物質を含む食品があります。たけのこ、トマト、なす、、ほうれんそう、山芋、ごぼう、くわい、いちご、りんごの皮などです。これらの食品を一度に多く摂ることは避けてください。 
 「バランスの良い食事」という言葉はよく使われますが、具体的に、どういう食品を、どれくらいとれば良いかというと迷うことがあります。私はバランスの良い食事という際の一つの目安として、アメリカのフードガイドピラミッド(1992)を参考にされることをおすすめします。ただし、主食は日本人の場合は米と考えてください。

まとめ:食事はバランス良く、糖分、脂肪分、塩分控え目、肉より魚、洋食より和食、多様な食品、ビタミン、ミネラル、食物繊維を十分にとりましょう。

(6)ダニ対策をしましょう。
 掃除はダニ対策用掃除機を使った後、拭き掃除を行うと良いでしょう。普段から部屋の換気を充分に行ってください。じゅうたん、カーペット、クッション、ぬいぐるみ、布製ソファ、ペット、観葉植物などはチリダニやほこり(ハウスダスト)の発生源となりやすいので避けましょう。掃除をしやすいように整理整頓しましょう。エアコンのフィルターを週に一回は掃除しましょう。カーテンは時々丸洗いしましょう。
 ふとんに入ると明らかにかゆみが増える場合は、ダニが関与している可能性があります。ふとんにも掃除機をかけましょう。天気の良い日はふとんを干して、ふとんたたきで軽くほこりを落としましょう。特に押入れの奥にしまってあった時(季節の変わり目で寝具を替える時)はこれらのことを充分に行ってください。シーツ、ふとんカバー、毛布カバーなどの寝具もできるだけマメに洗濯しましょう。ただし、ふとんが暖まりすぎると、かゆみのもとになることに気をつけましょう。枕はパイプ枕など、洗えてダニがつきにくいものにしましょう。布団は年一回丸洗いするのが理想的です。
 なお、アトピー性皮膚炎に「いろいろなカビが関与している」という考え方もあります。ダニ対策の他にカビ対策も行ったほうが良いでしょう。カビ対策の基本は高温、多湿を避けることです。例えば、部屋の換気をよくしたり(窓をあける、各部屋のドアーを少しでも開けておく、ドアの下部にルーバーをつける、換気扇を使用する、押入れにすのこを置いて寝具が湿気を帯びないようにする、壁と家具のあいだにすきまをあけるなど)、除湿機を使用したり、掃除をマメに行いましょう。ダニ、カビ対策にいろいろな化学薬品を使用するのは避けましょう。
 以上に述べた、ダニやハウスダストやカビなどを減らす対策は、理想ですが、実際には毎日行うのが困難な場合があります。また、どれだけ行っても完璧とはいえませんし、かえってストレスになる場合もあります。からだに付着したダニ、ハウスダストなどが皮膚炎の悪化の大きな原因となっている場合は、これらを落とすため、掃除の後や朝起きた時にシャワー(入浴)を行ってみてください。それでも改善しない場合は防ダニふとんにかえたり、ベッドを使用すると良い場合があります。
 ダニ対策と矛盾するようですが、乾燥が皮膚炎の悪化の大きな原因になっている場合は、冬など乾燥する季節には加湿器が役に立つ場合もあります。

(7)洗濯の仕方を工夫しましょう
 衣類に被われた部位、特に背部や腰部やおしりの皮膚炎がひどい時は、洗剤の残りや夜間の発汗が関係することが多いので、洗濯の仕方を工夫しましょう。 
 洗剤は合成洗剤よりも天然油脂を用いた粉石けんのほうが良い場合があります。生協やスーパーマーケットで販売されていますので、使用してみてください。これでも合わないときは、入浴用の石けんを使用してみてください。粉石けんは溶けにくいので湯で溶かし、すすぎを標準よりかなり長い時間行ってください。のりづけ、柔軟剤、漂白剤などは使用しないほうが良いと思います。

(8)ストレスを解消する工夫をしましょう
 ストレスはアトピー性皮膚炎の悪化と非常に密接な関係があります。イライラすると思わずひっかいてしまうことが多いものです。また、怒り、あせり、フラストレーションがたまるとかゆみが強くなります。皮膚炎がひどい方が、入院しただけでも皮膚炎が良くなります。これは、普段の生活の中にあるストレスから開放されるからだと考えられています。
 ストレスがなくなったり、転職をしたり、海外に転居すれば薬を全く使わなくても完全になおることがよくあります。あるサラリーマンの人が退職して自営で自分の好きな仕事をはじめたら、何もしなくても完全になおってしまったことがありました。また、外国へ行くと皮膚炎がなおる患者さんにその理由を聞くと「知らない人ばかりだから、人目を気にしなくても良いから」といわれます。個人により良くなる理由はちがうと思いますが、そのような経験をされた人が実際に大勢います。
 また、患者さんの家族、友人、職場の同僚や上司、保育園や幼稚園や学校の先生、医師など、患者さんと接する人みんなの、アトピー性皮膚炎という病気に対する正しい理解と協力は大変重要です。機械があれば同じ病気を持つ人と交流を持つのも良いと思います。そのためには、インターネットの利用や、アトピー・ステロイド情報センターへの入会が役立ちます。
 不安や緊張も皮膚炎の悪化と大きな関係があります。試験や面接(入試や就職)や結婚式の前などに悪化する人が多いようです。少しでも緊張をほぐすには深呼吸をするとよいでしょう。
 また、自分ひとりではストレスの解消が難しいときは、皮膚科医や精神科医による心身医学的治療すなわち抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬などの向精神薬や自律神経調整薬の使用や、カウンセリング(面接による支持的療法)が必要なこともあります。
 日程の決まった旅行や、イベントなど多くの人の集まる所はかえって疲れることが多いものです。自然は人を癒してくれると思います。住まいはなるべく自然の多いところ、車や工場の少ない所がよいでしょう。青い空、広大な海、湖、山、川、四季おりおりに咲く花など、ごく身近にある自然のすばらしさに接するだけでもストレスはかなり取れると思います。ただ単に、一日中家の中でごろごろしているだけでは、ストレスは解消できません。また、趣味を持つことも大変良いことだと思います。

(9)マスコミで得た情報にまどわされないようにしましょう
 特殊な治療法は効く人もあるかも知れないが、悪化することも多いと考えた方が良いでしょう。できれば医師と相談してから行いましょう。
 ”ステロイド皮膚症”の場合や、ステロイドを中止して数ヶ月(乳幼児や顔や首はもっと長い期間)くらいまでは何をやってもすぐには改善しないことがありますが、決してあせってはいけません。後々に副作用を残さない自分に合う治療法がきっとみつかるはずですから、いろいろなことを試してみるのも良いでしょう。
 ”漢方薬”をはじめ、いろいりな”健康食品”などの効果や副作用は個人差が大きいので充分気をつけて使用しましょう。私はこれらの効果は少ないように思っています。むしろ、副作用のほうが心配です。
 海水浴、温泉、入浴剤なども個人差が大きいことを理解した上で試してみても良いでしょう。
 特に海水浴は良くなる人が多いようです。ただし、全員に良いわけではなく、海水浴で悪化する人もありますので、特に初めての時は短時間にしましょう。
 温泉はかゆみが楽になるようなら利用しても良いでしょう。ただし、熱いお湯につかったり、1日に何回もつかったりいい、長い時間お湯につかるとかゆみが強くなる場合が多いようです。
 入浴剤も個人差が大きく、皮膚炎がひどい時は悪化する事が多いので、使用される時は慎重に選んでください。自分に合う入浴剤が見つかれば使用してください。保湿効果のある入浴剤やミネラル配合の入浴剤が合う人もあります。
 いわゆる”民間療法”といわれるものの中には、皮膚炎が悪化したのを”好転反応”といって、体内の”毒素”が出てそれからよい皮膚ができるというような説明を受け、続けているうちにどんどん悪くなる場合があります。漢方薬も含めどんな治療法も、始めてから皮膚炎が悪化するなら止めた方が良いと思います。また、民間療法の中には法外な費用を請求したりする、いわゆる”悪徳商法”もあるので充分気をつけてください。

(10)血液検査について
 若いお母さん方は、お子さんを連れてきて、「アトピーの原因を調べてください」といわれますが、アトピー性皮膚炎は血液検査だけで原因がわかるような単純な病気ではありません。また、アトピー性皮膚炎であるにもかかわらず、血液を調べてもらい異常がなかったからアトピー性皮膚炎ではない」と主張されるお母さんもいます。アトピー性皮膚炎は血液検査で診断するのではなく、あくまで皮疹で診断します。
 乳児検診の際、保健婦さんが皮膚に異常がある子に対して「アトピーかもしれないから一度病院で調べてもらったほうが良い」というようにアドバイスされ、小児科や産婦人科で血液検査を受け、食事制限をし、弱いステロイド外用薬を使用して少し良くなり、ステロイドを止めると悪くなって、そこでお母さんは「おかしい」と気づいて、始めて私の医院に診察に来ることがよくあります。現在行われている乳児検診が、一体どうなっているのか疑問に思ってしまうこともあります。ステロイドを使用してからでは遅いのです。
 血液検査では、抗原(アレルゲンともいい、アレルギー反応を起こすと疑われるもの)に対する抗原価がわかるだけです。あくまでも参考にしかなりません。皮膚炎が体の広い範囲にあり、通常の治療で改善しない場合や、乳児で顔や首に皮膚炎があり食事のあと赤くなるような場合には、血液検査を行ってみるのも一つの方法です。
 しかし、決して血液検査のみでアトピー性皮膚炎の原因のすべてがわかるわけではありません。血液検査は乳幼児や小児にとって、ストレスになります。また貴重な血液を失います。したがって検査は慎重に行ったほうが良いと思います。あくまでも除去、負荷試験の結果で判断します。
 原因を知るには、皮膚炎がどの部位にあるか、どうしたら悪化するか、またどうしたら改善するかを考えることが大変重要です。なお、血液検査をするなら、アレルギーの検査(IgE-RISTやIgE-RAST)だけでなく、貧血の有無、血液像(白血球の種類)、肝機能、脂質、血糖値、血清蛋白、A/G比なども調べてください。
 その他のアトピー性皮膚炎の際行われる検査には、次のような検査法があります。
 「スクラッチ法」は注射の針の先で皮膚に傷をつけ、そこに抗原(アレルギー反応を起こすと疑われるもの)をたらし、その反応の強さを調べます。
 「皮内注射法」は少量の抗原(アレルギー反応を起こすと疑われるもの)を皮膚に注射して、反応が現われるかどうかを調べます。通常15〜30分後と、24〜48時間後の二回、反応の強さ(赤み、しこりなど)を測ります。
 「パッチテスト」は抗原(アレルギー反応を起こすと疑われるもの)をつけた布などをせなかなどの皮膚に24〜48時間はりつけて、反応(赤み、ブツブツ、水泡など)が現われるかどうかを調べます。
 いずれの検査法も血液検査と同様に、これらの検査のみで「アトピー性皮膚炎の原因のすべて」がわかるわけではありません。参考になることもありますが、特に皮内注射法とスクラッチ法は、検査の時、アナフィラキシーショック(重篤なアレルギー反応のこ)を起こすことも考えられますので、慎重に行わなければなりません。

血液検査
 IgE-RISTは、血液中のIgE抗体(免疫グロプリンの一つ)の合計値を測る検査法です。アトピー性皮膚炎の人では一般に高いことが多いのですが、低い場合もあり検査の意義はよくわかっていません。気管支喘息や花粉症のようにハウスダスト(ほこり)、ダニ、花粉などを吸い込んだら数十分以内に発作が起きる即時型アレルギーによるといわれています。
 IgE-ARASTは、血液を採取してチリダニ、ハウスダスト、花粉、カビ、卵、牛乳などの抗原(アレルゲン)との反応をみる検査法です。陽性反応がでた抗原が必ずしもアトピー性皮膚炎の原因とは限りません、負荷、除去試験(例えば、卵を食べれば症状が悪化するか、食べなければ良くなるか)のほうが原因を知るのに有意義だと思います。抗体価が高いアレルゲンがみつかった場合は、2週間位をめどにそのアレルゲン避けてみて(除去試験といいます)皮膚炎が改善し、避けなかった場合(負荷試験といいます)には再び皮膚炎が悪化すれば原因の一つと考えてよいでしょう。

(11)合併症に気をつけましょう
 アトピー性皮膚炎の人は白内障、緑内障、網膜剥離などの目の合併症に気をつける必要があります。また、細菌やウイルスの感染を受けやすく、特に単純疱疹ウイルスによるカポジ水痘様発疹症は、発病の初期に正しい診断と適切な治療を行わないと、生命の危険にかかわるほど重要な病気です。また、円形脱毛症もよく合併します。
 @目の合併症
 アトピー性皮膚炎の人は、白内障、緑内障、網膜剥離などになりやすい傾向があります。自覚症状がなくても定期的に眼科を受診することをおすすめします。

白内障
 白内障は眼のレンズである水晶体が白くにごる病気で、進行すると視力が低下します。初期には自覚症状がありませんので定期的に眼科で診察を受けてください。
 アトピー性皮膚炎の人は体質的になりやすいようです。また、眼のまわりの皮膚炎がひどく、まぶたを強くかいたり、こすったり、たたいたりすることと関係があるともいわれています。顔に症状の強いアトピー性皮膚炎の10%位に合併します。
 ステロイドとの関係はm、はっきりしません。一般に長期間ステロイド内服薬を使用すると白内障が生じやすいが、ステロイド外用薬の副作用として白内障が生じることは極めてまれであるといわれています。ステロイドが開発される前からアトピー性白内障は存在し、白内障の眼科的所見も、老化による白内障の所見とは異なるといわれています。また、ステロイドの副作用の一つに白内障があるといわれている一方、ステロイドの使用を中止した時、(脱ステロイドという)に白内障が発生しやすいともいわれています。

緑内障
 緑内障は一般的には眼圧が上がる眼の病気で、放置すると視野がせまくなります。進行すると失明する場合もあります。初期には自覚症状がありませんので定期的に眼科で診察を受けてください。ステロイドの副作用であるという考え方もあります。
網膜剥離
 網膜に小さな裂け目ができ、ひどいと網膜がはがれてしまう網膜剥離に進行することがあります。そうなると、失明することもあります。ただし、初期には自覚症状がありませんので定期的に眼科で診察を受けてください。眼のまわりの皮膚炎がひどく、まぶたを強くかいたり、こすったり、たたいたりすることと関係があるといわれております。

A細菌やウイルスの感染症
 細菌による病気で多いのが伝染性膿痂疹(とびひ)です。黄色ブドウ球菌によることが多いのですが、連鎖球菌による場合もあります。夏に多いのですが一年中見られます。顔、四肢などに水泡、びらん、カサブタができ、どんどん日ごとにその数がふえていきます。抗生物質(化膿止め)をのみ、シャワーを使用して石けんを用いて全身を洗い、化膿止めの軟膏などをぬりガーゼを当てます。普通は3〜7日間でなおります。
 伝染性膿痂疹(とびひ)とは別に、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌の出す”毒素”が皮膚炎を悪化させる場合が非常に多くみられます。カサカサしていた皮膚が急にかゆみが強くなり、赤みを帯び、少しはれたようになり、膿疱(ブツブツ)ができたり、黄色い汁やかわぶたがみられます。消毒療法または抗生物質の内服薬を使用すればたいてい1週間くらいでおさまります。症状がひどい場合は抗生物質の点滴が必要です。まれな合併症に壊死性筋膜炎があります。
 ウイルスによるj感染症には伝染性軟属腫(みずいぼ)や単純疱疹などがあります。
 伝染性軟属腫(みずいぼ)は小さな子供に多い病気ですが、はじめに小さい丘疹(ブツブツ)ができ、だんだん数が増えていきます。わきのあたりによくできますが、四肢、顔などほぼ全身にできますので、毎日皮膚の状態をみてください。主に夏のプールやスイミングスクールで感染します。保育園、幼稚園ではプールと関係なく、感染することもよくあります。とびひのように汁はでません。みずいぼの主意の皮膚はカサカサ、ザラザラすることが多く、これを「みずいぼ反応」と呼んでいます。逆に、このような皮膚の状態であれば、ピンセットでみずいぼを取ったとしても、みずいぼがまだ残っていると考えてください。ステロイド外用薬を使用すると、短期間のちだに小さいみずいぼの数が増えて、ピンセットで取りにくい状態になります。
 単純疱疹は単純ヘルペスウイスルというウイルスによる感染症です。ふつは”熱の吹き出し”とか、”風邪の吹き出し”ともいわれているように、体調が悪いときにくちびるや口の中や陰部や臀部のあたりに数個の水泡ができる病気です。
 ところが、アトピー性皮膚炎の人は同じウイルスであるにもかかわらず、顔、首、胸、背など広い範囲に小さい水疱ができ、リンパ腺がはれたり、熱も38℃以上の高熱が出ることが多く、ときには脳炎を起こすこともあり入院して治療する必要があることもあります。これを「カポジ水痘様発疹症」といいます。しかし、現在では早期に発見すれば、抗ウイルス薬の飲み薬と適切な外用薬の使用および安静のみで、ほとんどの場合なおります。ただし、脱ステロイドの際は、症状も重く入院が必要なこともあります。ステロイドの影響を敏感に受け易い病気ですので、単純ヘルペスウイルスを持っている人は、こういう理由からもステロイドを使用しないほうが良いと思います。
 また、母親が単純疱疹にかかっていると、まもなく子どもにカポジ水痘様発疹症が出ることがよくありますので、母親は軽症でも子供にうつす前に、なるべく早く抗ウイルス薬を飲んで治して下さい。
 大人では過労、風邪、ストレス、スキー、海水浴などをきっかけに単純疱疹やカポジ水痘様発疹が発症します。

(12)自律神経失調症を改善する工夫をしましょう。
 自律神経とは心臓や胃腸などのあらゆる臓器、血管、ホルモンを分泌する内分泌腺、汗腺、唾液腺などの機能を自分の意思とは関係なしに自動的に調節する神経です。
 自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」があり、この二種類がバランスをとりあっています。いろいろの原因でこの二種類の神経のバランスがくずれることがあります。これが自律神経失調症です。
 アトピー性皮膚炎の人の多くは自律神経失調症をともなっています。冷え、ほてり、発汗異常、便秘、下痢、立ちくらみ、頭痛、不眠、肩こり、疲れやすい、季節の変わり目に体調を崩す、温度感覚のズレなどいろいろな症状を訴えます。夏のエアコンが効いている部屋での診察の際に、普通の人は寒く感じないのに、自律神経失調症の人は異常に寒く感じてすぐ鳥肌になります。また、脱スロイドの際は、発熱(細菌やウイルスの感染による場合もあります)、悪寒戦慄、発汗異常、温度感覚のズレなどの症状となって現われます。
  自律神経失調症は飲み薬だけではなおりません。毎日の生活習慣、それも赤ちゃんの時からの生活習慣が関係しております。自律神経を安定させないとアトピー性皮膚炎はなおりません。
  自分でできる自律神経失調症を改善する方法を紹介します。

@規則正しい生活、早寝早起きをこころがけ、睡眠不足にならないようにしましょう。
 現在は大人も子供も夜更かしをして、朝おきづらく、その結果朝食を摂らない人が多くなっています。毎朝軽い体操や仕事をして少し体を動かすと朝食もおいしいのですが、実行している人は少ないようです。
 規則正しい生活、早寝早起きは、自然治癒力をたかめるためには絶対に必要な条件です。なぜなら自分の体で自然に生産される成長ホルモンや副腎皮質ホルモンの分泌のサイクルと深い関係があるからです。理想の睡眠時間は大人の場合午後10時から午前6時頃までです。
 夜は家で充分にリラックスして深い睡眠をとりましょう。寝室は一人の部屋をおすすめします。寝る前に毎日決まった静かな音楽を聴くのも良いでしょう。自分に合う方法で、一定の時間に寝るようにしてください。

A疲労は皮膚炎の悪化と関係が深いので疲れをためないようにしましょう。
 仕事の合間に休憩をしましょう。家に帰ったら充分リラックスしましょう。ぬるめのお湯にゆっくりつかるのも良いでしょう。しかし、寝る直前に入浴すると床についてからかゆくなることが多いので、外から帰った時に入浴することをおすすめします。また、疲労は風邪の誘因となりやすく、風邪をひくと皮膚炎が悪化しやすいので疲労をためないようにしましょう。

B胃腸の調子を整えることは大変重要です。
 暴飲暴食を避け、腹八分目をこころがけましょう。単に胃腸薬を飲むのではなく、食事の内容に配慮したり、自分に合う運動をしたり、食後横になったり、仕事の合間に短時間でも良いので休憩をとったり、疲れをためないようにし、ストレスの解消をするなど自分に合う方法で胃腸の調子を整えましょう。特に便秘は皮膚に悪い影響を与えるので、なおす必要があります。

C自分に合う自律神経を強化する体操を行うと良いでしょう。
 例えば、『鶴田光敏氏、藤本憲幸氏、アレルギーに勝つ人、負ける人、文化創作出版 1993年、初版』に紹介されている体操を参考にされるのもよいでしょう。
 現在は子供も大人もほとんどの人が運動不足の傾向にあります。手軽にできる運動としてだれでも知っている『NHKのラジオ体操』や、テレビで紹介される体操などを参考に自分に合うやり方で、無理なく長く続けることができる体操を行ってください。また難しく考えずにウオーキングやサイクリングでも良いし、楽しみながら体を動かすようにしましょう。子供のいる家庭では、親子でできるスポーツをやるのも良いでしょう。
 人目を気にして家の中にこもるのは良くないでしょう。特に、子供は元気に外で遊びましょう。ただし、皮膚炎がひどい時、感染症のある時、リバウンド現象の時は医師の診察を受けながら、外出して良いかどうか決めましょう。

D精神面の問題を解決しましょう。
 「治療のポイント(8)」にものべましたが、ストレスをためないように工夫しましょう。
  子供の過保護や過干渉は良くないです。良好な親子関係、すなわち愛情と信頼関係が大切です。特にかくことをしかってはいけません。一番つらいのは患児なのですから。思春期の患者さんの場合は精神的に自律する事が大変重要です。

E冷えを改善しましょう
冷えがある場合は、半身浴、適度の運動、温泉、温野菜、刺絡療法などが良いでしょう。


第5章
部位別にみたアトピー性皮膚炎悪化の原因
 からだの部位別にみた、アトピー性皮膚炎の悪化の原因をあげてみます。この中には単なる「かぶれ」の原因も含みますが、実際にはアトピー性皮膚炎の症状とかぶれの症状の区別がつきにくいことも多いのです。また、アトピー性皮膚炎の人の皮膚はさまざまな刺激に弱いため、かぶれを起こしそうなものは避けるようにしましょう。

(1)頭…シャンプー、リンス、コンディショナー、整髪料(特にムース)、ヘアスプレー、パーマ、毛染め、ヘアマニキュア、汗、フケ、タバコ、帽子、ヘルメット、ドライヤー、シャンプーをした時に髪の毛が充分乾かないまま寝ることなど。
(2)顔…化粧品、いろいろな外用薬(特にステロイド外用薬やプロトピック軟膏)、汗、日光、スキーに行くこと、シャンプー(特に朝シャン)など頭に使用するもの、髪の毛が触れること、顔を手でさわるくせ、枕および枕カバー、チャイルドシート、タバコ、大気汚染物質、お香、卵や牛乳などの食物アレルゲン(乳児の場合)、パン(パンダ斑)など。

目のまわり…涙、外用薬(特にステロイド外用薬)、化粧品、目薬、ゴーグル、視力矯正のためのパッチ、シャンプー、髪の毛、ハウスダストや花粉など。

口のまわり…汚れ(調味料やパイナップル、サトイモ、キウイフルーツ、トマトなどの食物や鼻水など)、舌でなめること(舌なめずり皮膚炎といいます)、歯磨き粉、リップクリーム、カミソリ(肌にやさしい電気シェーバーのほうが良い)、よだれ、拭くことによる摩擦など。

頬…お母さん(保護者)の衣類でこすれること、お母さんの化粧品や髪の毛が触れること、シーツなど(乳幼児の場合)。

あご…よだれ、離乳食の食べこぼし、拭くことによる摩擦、衣類でこすれることなど(ガーゼやメリヤスのよだれかけが良い)。

耳の周囲…汚れ(乳幼児の場合は涙、汗など)髪の毛が触れること、シャンプーなど頭に使用するもの、電話(主に左の耳の付近)、枕、ピアス、ピアスの消毒など。

耳切れ…細菌感染、衣服の着せ方、脱がせ方、髪の毛など。

(3)首…汗、衣類のえりでこすれること(特にウールやアクリルの衣類、ハイネックのセーター、のり付けをしたシャツ、制服など)、マフラー、ネクタイ、毛布に触れること、髪の毛先がふれること、いろいろな外用薬(特にステロイド外用薬やプロトピック軟膏)、日光、タバコ、シャンプーなど頭に使用するもの、石けん、ネックレス、香水、オーデコロン、吐いた乳(乳児)など。

(4)手…シャンプー、合成洗剤、石けん、水、お湯、学校給食の時に手洗いに使用する消毒液、ゴム手袋、皮の手袋、グローブ、ばんそうこう、かさかさを放置すること、野菜(ニンニク、トマト、たまねぎ、レタス、キウイフルーツ、セロリ、しそ、オクラなど)、植物(菊、サクラソウ、アロエなどのいろいろな観葉植物など)、塩分、魚介類(えび、いかなど)、砂遊び(砂かぶれという)、土、粘土、おもちゃ、車や自動車のハンドル、バット、ゴルフクラブのグリップ、職業の関係で触れるもの(洗剤、水、お湯、消毒液、パーマ液やその他の化学薬品、機械油、ガラス繊維、紙、 ダンボール、チョーク、コイン、紙幣、セメント、花、野菜、肉など)

 なお、アトピー性皮膚炎の人は職業を選ぶ際は慎重に選ばなければなりません。すなわち美容師、調理師、看護師、水や洗剤や化学薬品を頻繁に使用する職種などはできれば避けたほうが良いと思います。これらの職業に就いた人で一部の方は、転職をせざるを得ないことがあります。
 また、主婦手に皮膚炎がみられる場合(主婦湿疹という)は、アトピー性皮膚炎の症状の一つと考えられます。その予防には、台所仕事や洗濯やそうじやシャンプーなどの際、プラスチック手袋や使い捨てのポリエチレン製の手袋を使用してみてください。

(5)手首、足首…汗、衣類の摩擦(袖口にゴムが入った衣類、セーターなどの袖口など)

(6)ひじの内側…汗、ひっかくこと、衣類の摩擦など。

(7)ひざの裏側…汗、ジーンズなどゴワゴワした衣類の摩擦など。

(8)背…夜間にかく汗、ブラジャー、ボディスーツ、衣類の洗濯用洗剤の残り、入浴の際の洗い方(汚れが残る、ナイロンタオルやボディブラシの使用、石けんが残る)下着の素材と織り方(綿100%のメリヤスが良い)、シーツの素材と織り方(タオル地は良くない、綿で平織りが良い)触る癖(嗜癖的掻破)など。

(9)胸…ブラジャー、衣類の摩擦、シートベルトなど。

(10)わき…衣類の摩擦、汗、タンクトップ型の下着(わきの下の汗を吸い取らない、肌をおおう面積が少なくその上に着る衣類の刺激を受けることが多いため)、制汗剤、脱毛ワックスや除毛クリーム、カミソリで剃ることなど。

(11)腹…ベルトの金具やボタンの金属アレルギー、トランクスのゴム、腹巻、ボディスーツなどの衣類のしめつけなど。

(12)おしり…ブリーフの縫い目、ブルマーのゴム、ガードル、パンスト、汗、おねしょ、長い時間座っていることなど。

(13)陰部…尿、汚れ(男の子は排尿の前後に手を洗い、入浴の際奥まで洗うと良い)、生理用ナプキン、触るくせ、ブリーフなど。

(14)足…砂、土、スニーカー(以前はズック靴皮膚炎と呼んでいました)、靴、長靴、サンダル、ソックス(綿で模様のないものが良い)など。

(15)四肢…入浴の際ゴシゴシ洗うこと、カサカサを放置すること、草木との接触、虫さされ、外傷、日光、ソックタッチ、ばんそうこう、ムダ毛の処理(カミソリで剃る、毛抜きで毛を抜く、脱毛用ワックスや除毛用クリームなど)、スポーツの際のすね当て、ジャージ、剣道や柔道などいろいろなスポーツで着用する衣類、特にユニフォームなど。


第6章
良い診療ができるために患者様へのお願い

(1)診察の際、「自分が今一番困っていることは何か」を最初に教えてください。また、薬や病状について疑問に思っていることなど、何でも気軽に相談してください。

(2)全身の皮膚の病状をよく診せてください。「症状がどの別にあるか、また、どの部位にないか」は原因を知るうえで大変重要です。また、体の一部にでも、ヘルペス、おでき、とびひなどの感染症があるかどうかは、前進を診察しないとわかりません。これらの感染症は、アトピー性皮膚炎の場合、大変重要な意味を持っているので、普段と変わったことがあれば早めに診察を受けてください。

(3)使用している薬、市販の薬、化粧品、保湿剤、石けん、シャンプー、入浴剤、食事の内容などをなるべく詳しく医師に伝えてください。情報が多いほど原因が見つけやすくなります。特に初診の方は、生まれてから現在に至るまでの症状や治療の内容について、できるだけ詳しく紙に書いて持ってきてください。
(4)アトピー性皮膚炎を薬のみでなおすことは不可能であることを自覚してください。ステロイド以外の薬はかぶれる可能性があります。内服薬も抗生物質や抗ウィルス薬以外はほんの補助です。本来アトピー性皮膚炎は自然治癒する疾患です。ステロイドやプロトピックなどの自然治癒を促進する方法を一緒に考えましょう。

(5)アトピー性皮膚炎ほど個人差の大きい病気は他にあまりありません。他人が良かったからといっても、自分に合うとは限りません。新しい治療を始まる時は医師と相談してください。

(6)ひどくなったときは通院の数を増やしてください。特に脱ステロイドの際は個人差が大きく、外用薬も大変かぶれやすい状態になっていますので、頻繁に診察を受けてください。また、抗生物質や抗ウィルス薬を使用する時は、医師の指示に従ってください。
 ひどくなった時に自分の判断で転医せず、必ず相談してください。ステロイドを使用しない方針の信頼できる医師を紹介します。私も含めアトピーにステロイドを使用しない方針の医師のネットワークがありますから、例え受診の時点で良い薬がなくても、明日には見つかる可能性がありますので、あきらめずに受診してください。また、どんなに皮膚炎がひどくても入院して治療すれば、たいていの場合ステロイドを使用しなくても皮膚炎は改善します。
 しかし、アトピー性皮膚炎は「自分自身でなおす」という強い意志がないとなかなか良くなりません。

(7)今まで使用していたステロイド外用薬の使用を中止しただけではなおりません。かえって、一時的に悪化すること(リバウンド現象という)が多いことを理解してください。勝手に薬を中止しないで、医師と相談して治療計画をたてる必要があります。

(8)”大きい病院、マスコミなどで有名な医師の治療”が必ずしも良いとは考えないでください。

(9)見ない、触らない、掻かない、塗らないが原則。
 第7章
ステロイドとは何?
 ステロイドはまたの名を「副腎皮質ホルモン」といいます。本来人間が自分のからだの中でつくり出す、生命の維持には絶対必要なホルモンです。腎臓のすぐ上にある副腎という小さな臓器から分泌されます。このホルモンを製造化したものが副腎皮質ホルモン剤(副腎皮質ステロイド剤:通称ステロイド)といいます。1949年にコルチゾンがリウマチ様関節炎に使用され、劇的効果が認められてから、ステロイドが抗炎症薬として発展してきました。
 ステロイドの薬には、内服薬、外用薬、注射薬、点眼薬、点耳薬、吸入薬、痔の薬などがあります。病院、医院、薬局などで炎症性疾患、アレルギー性疾患などに広く使用されています。外用薬は一般に湿疹、皮膚炎、虫さされや口内炎などの治療に使用されています。
 ステロイドをからだの外から”薬”として与えてしまうと、副腎は萎縮してステロイドを作らなくなります。これは、筋肉を使わないと筋力が衰えるのと同じ現象ですい。もちろん、ごく少量や短期間のステロイドの使用ではこのようなことは起こりません。
 しかし、年齢、薬の種類、薬の強さ、使用期間、使用範囲、使用部位、個人差などにより副腎への影響の大きさは変わってきます。残念ながら、ステロイドを薬として使用する際に、安全にしようできる指針(ガイドライン)は今のところありません。
 ステロイドは即効性がありますが、副作用も強く、よく”両刃の剣”にたとえられます。しかも副作用は一般の薬とは異なり、かなり後から出ることが多いので、副作用と気づかないうちに病気が複雑化(病気が化ける)します。
 ステロイドは外用薬はふしぎな薬で、湿疹、皮膚炎、虫さされや口内炎などに効果があるとされていますが、実際にはこれらの疾患に対しても、ステロイドを使用しないほうが早く完治します。うっかりステロイドを使用してしまうと、ステロイド以外の薬がすべて効かなくなったり、かぶれをおこしたりするようになります。また、ステロイドを減量したり、中止した際使用前より症状が悪化したり、今までになかったような症状がでる場合がよくあります。アトピー性皮膚炎はその典型です。また、例えそのときは早くなおったように見えても、日時が経ってから再発して難治性になったり、ウィルス感染症や菌感染症を、招いたりすることが多いのです。
 私は現在、全くといってよいほどあらゆる皮膚疾患にステロイドを使用していません。細菌は、大気汚染やストレスの増加など何らかの理由で、ステロイドの副作用が生じやすい環境になってきているのかも知れません。私は30年間皮膚科の臨床医をやってきて、ステロイドに対する考え方が大きく変わってしまいました。
 なお安保 徹先生の理論はこのような臨床的事実に一致するものです。すなわち、外用したステロイドホルモンは皮下組織に沈着し、自然酸化を受けて変形コレステロールとなり、その刺激に局所炎症が引き起こされるほか、交感神経過緊張によって、全身性の血流障害と顆球増多を招き、新しい病態を形成していたのです。
(絵でわかる免疫;2001年初版、新潟大学教授 安保 徹氏著、講談社)

第8章
ステロイド外用薬の種類
 ステロイド外用薬にはいろいろな種類があります。現在保険診療で使用される主なステロイド外用薬(皮膚および眼軟膏、点眼・点耳及び点鼻、喘息の吸入、痔疾患用、口腔用など)を強さや種類で分けると表3のようになります。
薬の強さ      商品名
@最も強い     デルモベート、ソルベガ、マイアロン、マハディなど。
Aきわめて強い  ジフラール、デイアコート、フルメタ、マイザー、リンデロンDP、メサデルム、スチブロン、デルモゾールDP、アナミドール、ジフアコート、フルナート、ヒフメタ、メインベートなど。
Bかなり強い    アンテベート、ビスダーム、ネリゾナ、テクスメテン、ブデソン、トピシム(E)、シマロン、アドコルチン、アフゾナ、ルーフル、ビスコザール、フルオシノニドなど。
C強い       リンデロンX(G)、ベトネベート(N)、デルモゾール(G)、ムヒベタX、ボアラ、プロパデルム、エクラー、フルコート(F)、パンデル、イトロン、ドレニゾンテープ、トクダーム、アスデロゾン、インファナル、ベストフラン、プロピオン酸ベクロメタゾン、           フルゾン、コリフェート、フルベアンコーワテープなど。
D普通       ロコイド、プランコート、アルメタ、ゲリメサゾン、レダコート、ケナコルト(A),ケナコルトAG、リドネックス、スピラゾン、ビーモン、アボコート、デカドロンエアロゾルーN、デキサA、デキサチョーセイ、デキサン、コルデス、オイラゾンD、デタメタゾン、           トリシノロン、ノギロンX、トリアムシノロンアセトニド軟膏、サンテゾーン眼軟膏、D−E−X0.1%眼軟膏、デキサメゾン眼軟膏など。
E弱い       キンダメート、パルデス、ピータゾン、ミルドベート、キンダロン、ロコルテン、テラ・コートリル、オイラックスH、強力レスタミンコーチゾン軟膏、エキザルベ、ベトノバールG、エアゾリンD、オイリッチ、グラマイコーチゾン、クロマイーP,テトラ・コー           チゾン、テラコースプレー、プレドニン眼軟膏、プレドニゾロン眼軟膏、ネオメドロールEE軟膏、酢酸プレドニゾロン0.25%眼軟膏など。


アトピー性皮膚炎

第8章
ステロイド外用薬の種類
 ステロイド外用薬にはいろいろな種類があります。現在保険診療で使用される主なステロイド外用薬(皮膚および眼軟膏、点眼・点耳及び点鼻、喘息の吸入、痔疾患用、口腔用など)を強さや種類で分けると表3のようになります。
薬の強さ      商品名
@最も強い     デルモベート、ソルベガ、マイアロン、マハディなど。
Aきわめて強い  ジフラール、デイアコート、フルメタ、マイザー、リンデロンDP、メサデルム、スチブロン、デルモゾールDP、アナミドール、ジフアコート、フルナート、ヒフメタ、メインベートなど。
Bかなり強い    アンテベート、ビスダーム、ネリゾナ、テクスメテン、ブデソン、トピシム(E)、シマロン、アドコルチン、アフゾナ、ルーフル、ビスコザール、フルオシノニドなど。
C強い       リンデロンX(G)、ベトネベート(N)、デルモゾール(G)、ムヒベタX、ボアラ、プロパデルム、エクラー、フルコート(F)、パンデル、イトロン、ドレニゾンテープ、トクダーム、アスデロゾン、インファナル、ベストフラン、プロピオン酸ベクロメタゾン、           フルゾン、コリフェート、フルベアンコーワテープなど。
D普通       ロコイド、プランコート、アルメタ、ゲリメサゾン、レダコート、ケナコルト(A),ケナコルトAG、リドネックス、スピラゾン、ビーモン、アボコート、デカドロンエアロゾルーN、デキサA、デキサチョーセイ、デキサン、コルデス、オイラゾンD、デタメタゾン、           トリシノロン、ノギロンX、トリアムシノロンアセトニド軟膏、サンテゾーン眼軟膏、D−E−X0.1%眼軟膏、デキサメゾン眼軟膏など。
E弱い       キンダメート、パルデス、ピータゾン、ミルドベート、キンダロン、ロコルテン、テラ・コートリル、オイラックスH、強力レスタミンコーチゾン軟膏、エキザルベ、ベトノバールG、エアゾリンD、オイリッチ、グラマイコーチゾン、クロマイーP,テトラ・コー           チゾン、テラコースプレー、プレドニン眼軟膏、プレドニゾロン眼軟膏、ネオメドロールEE軟膏、酢酸プレドニゾロン0.25%眼軟膏など。
Fその他      全く説明がないもの、病院や医院での約束処方(WO,RH,ネリプトなど意味不明の暗号で内容不明)など。
眼科・耳鼻科用  アルデシンAQネーザル(耳鼻科用)、リノロサール(眼科・耳鼻科)、フルナーゼ(点鼻液)、ベコナーゼ(点鼻薬)、コールタイジン(耳鼻科用)サンテゾーン(点眼液)、リノコート(耳鼻科用)、リデロン液(眼科・耳鼻科)、日点・SPゾロン点眼             液、オルガドロン(点眼・点鼻)、日点・HCゾロン点眼液、フルメトロン点眼液、デカドロン液(点眼・点耳液)など。
喘息の吸入用   アルデシン、ベコタイド、フルタイド、タウナス、ストメリンD、パルミコートなど。
痔疾患用      ネリプロクト(坐薬、軟膏)、ポステリザンF坐薬、強力ポステリザン軟膏、プロクトセディル(坐薬、軟膏)、ヘモレックス軟膏、リンデロン座剤、ポステリザン(坐薬、軟膏)など。
口腔用       ケナログ、デスパ、アフタシールS、アフタッチ、アフラゾロン、デキサルチン軟膏、サルコート、デルゾンなど。

 参考までに最も多く使用されるCの「強いステロイド外用薬」のリンデロンV(G)軟膏、クリーム(一般名吉草酸ベタメタゾン)の能書(病院、医院、調剤薬局向けに書かれた薬の説明書)を原文のまま紹介します。

【禁忌(次の場合には使用しないこと)】
1.細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)[これらの疾患が悪化するおそれがある。]
2.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
3.鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒の遅延及び感染のおそれがある。
4.潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱症・凍傷[皮膚の再生が抑制され、治癒が遅延するおそれがある。]

【適応(軟膏、クリーム)】
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角化症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、皮膚そうよう症、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)、虫さされ、乾癬、掌蹠膿疱症、扁平苔癬、光沢苔癬、毛孔性紅色紕糠疹、ジベルバラ色粃糠疹、紅斑症、(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑)、紅皮症(悪性リンパ腫による紅皮症を含む)、慢性円板状エリトマトーデス、薬疹・中毒疹、円形脱毛症(悪性を含む)、熱傷(瘢痕、ケロイドを含む)、凍瘡、天疱瘡群、ジューリング疱疹状皮膚炎(類天疱瘡を含む)、痔核、鼓室形成手術、内耳開窓術、中耳根手術の術創。
【用法・用量】通常1日1〜数回、適量を患部に塗布する。なお、症状により適宜増減する。

【使用上の注意】
1.重要な基本的注意
(1)皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する必要がある場合には、あらかじめ適切な抗菌剤(全身適用)、抗真菌剤による治療を行うか、又はこれらとの併用を考慮すること。
(2)大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用により、副腎皮質ホルモン剤を全身投与した場合と同様な症状があらわれることがある。
(3)本剤の使用により症状の改善がみられない場合又は症状の悪化をみる場合は、使用を中止すること。
2.副作用
再評価結果における安全性評価対象例4875例(ローションを含む)中、副作用は166例(3.41%)に認められた。主なものは、毛嚢炎・せつ41例、皮膚刺激感38件等であった。
発生頻度(まれに:0.1%未満、ときに:0.1〜5%未満、副詞なし:5%以上又は頻度不明)
(1)重大な副作用
眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障:眼瞼皮膚への使用に際しては眼圧亢進、緑内障をおこすことがあるので注意すること。大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により緑内障、後嚢白内障などがあらわれることがある
(2)その他の副作用
1)過敏症:皮膚の刺激感、発疹等があらわれることがあるので、このような場合には使用を中止すること。
2)皮膚の感染症:細菌感染症(伝染性膿痂疹、毛嚢炎、せつ等)皮膚の真菌症(カンジタ症、白癬等)、及びウイルス感染症があらわれることがある。[密封法(ODT)の場合おこりやすい。]このような症状があらわれた場合には、適切な抗菌剤、抗真菌剤等を併用し、症状が速やかに改善しない場合は本剤の使用を中止すること。
3)その他の皮膚症状:長期連用により、ステロイドざ瘡(尋常性ざ創に似るが、白色の面靤が多発する傾向にある)、ステロイド酒さ・口囲、時に顔面全体に紅斑、丘疹、毛細血管拡張、痂皮、鱗屑を生じる)、ストレイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張)、またときに魚鱗癬様皮膚変化、紫斑、多毛及び色素脱失等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には徐々にその使用を差し控え、副腎皮質ホルモンを含有しない薬剤に切り替えること。
4)下垂体、副腎皮質系機能:大量または長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、下垂体・副腎皮質系機能の抑制を来すことがあるので注意すうること。

3.高齢者への使用
一般に高齢者では副作用があらわれやすいので、大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用に際しては特に注意すること。

4.妊婦、・産婦、授乳婦などへの使用
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対しては大量または長期にわたる広範囲の使用を避けること。[妊娠中の使用に関する安全性は確率していない]

5.小児などへの使用
未熟児、新生児、乳児、幼児又は小児では、長期・大量使用又は密封法(ODT)により発育障害を来すとの報告がある。また、おむつは密封法(ODT)と同様の作用があるので注意すること。

6.適用上の注意
使用部位:眼科用として使用しないこと。
使用時:化粧下、ひげそり後等に使用することのないよう注意すること。


紫斑のストロイド外用薬について
 しっしん、かぶれ(皮膚炎)、虫さされ、かゆみ止め、あせも、ただれと書いてある外用薬に中には、ステロイド(副腎皮質ホルモン)が含まれているものがたくさなります。薬の箱に「ステロイド」と書いてないことも多く、たとえ書いてあっても読まない人がほとんどです。
箱の中の説明書には「ステロイド(副腎皮質ホルモン)」と書いてあっても読まない人が多く、また読んでもわからないことが多いようです。小さな字で、しかも専門用語で書いてあるため理解することはほとんど不可解です。最近では皮炎霜のように海外から輸入されたステロイドもあり、また、インターネットを利用して自由に購入することもできるので、薬の成分をよく調べる必要があります。有効成分として表4のように書いてあるものは「ステロイド」です。実際にはこれ以外にもあるので医師と相談してください。
 
 デキサメタゾン、酢酸デキサメゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、吉草酸酢酸プロイドニゾロン、ヒドロコルチゾン、酢酸(または酪酸)ヒドロコルチゾン、酪酸クロベタゾン

 商品名にはいろいろあって、全部紹介できませんが下のような薬が多く販売されています。

 アピアセクト、アレルギールクリーム(ジェル)、ウナコーワA、液体ムヒS,エスアランD軟膏(クリーム)、エスアランHクリーム、エスジールAE軟膏、エマゼン軟膏(クリーム、ローション)、オイチミン、オイチミンクリーム(ローション)、オイチミンD、オイラックスH、オイラックスG,オイラクッスPZクリーム、オイラックスデキサゲル、オイラックスデキサ軟膏、カユミックS軟膏、強力トリコミイシンG,コーチゾン、サンメディックローションS,シオノギD軟膏、新サニアゾルD、新デキサGゲル、新テシトン軟膏、セロナ軟膏(クリーム、ローション)、セロソフト、ダイヤコーチノンG,タクトクリーム、デキサ・チョウーセイ軟膏、デミスロン軟膏、テラ・コートリル軟膏、テレス軟膏(クリーム)、ナガラベース、ペルデス軟膏(クリーム)、皮炎霜、ピータゾン軟膏、ピロット軟膏(クリーム)、フジアローH、フルコートF軟膏、プレバリンクリーム、プロタッチ、ベトネベートN軟膏(クリーム)、ベリベアー軟膏(クリーム)、マキロン軟膏、ミルドベート軟膏、ムヒアルファーS,雪の元、ラナケインコーチ軟膏、ラリーエイ軟膏(クリーム)、リビメックスコーワ軟膏(クリームローション)、レスタゾン軟膏、リチゾンコート、ロコイダン軟膏(クリーム)、ローヤルエンチクリーム、ワーボンE軟膏、ワーボンプラス軟膏など。

ステロイド外用薬は正しく使用しましょう。
 ステロイド外用薬は、湿疹、皮膚炎、虫さされなどの炎症(かゆみ、赤み、ブツブツなど)をすばやくおさめる作用がありますが、同時に副作用が多い薬なので正しく使用しましょう。たとえ医師が誤診して、本来ステロイド外用薬を使用すべきでない皮膚病に使用すべきでない皮膚病に使用しても、単純疱疹(ヘルペス)以外は急に悪化することは少なく、むしろ一見改善したようにみえるので注意が必要です。つまり、かぶれるのではなく、副作用はかなり後から、しかも徐々に出現してくるために気がつかないのです。また、依存症になりやすいので気をつけましょう。極端ないい方をすれば、「ほとんどの皮膚疾患に使用した際、一時的にせよ症状が改善したように感じられること」が副作用発生の最大の理由なのです。

(1)ステロイド外用薬は正しい診断のもとに使用しましょう(ただし、現在私の医院では全くといってよいほど使用していません)。
(2)薬の種類、使用する部位、一日の湿布回数、使用期間、使用方法を決めて使用しましょう。
(3)特に乳幼児、小児、顔、アトピー性皮膚炎、妊娠の際などに使用すると副作用が出やすいと考えます。
(4)ステロイド外用薬はあくまでも「対症療法」です。病気の原因をみつけ、それを除去することが重要です。特に顔は、原因不明、または、原因がわかっていても除去できない時には使用しないでください。
(5)指先に付着したステロイド外用薬は、すぐに石けんを用いて洗い流しておいてください。

ステロイドの副作用
リンデロンV(G)軟膏(クリーム)の能書きのところに「副作用」という項目がありますが、これを読んだだけでは現実に起こっている副作用を理解することは不可能です。そこで能書からは見えてこないステロイド外用薬の副作用について説明します。
(1)顔に使用した場合
 診断の誤りで、特に単純ヘルペスの場合はすぐに皮疹が悪化しますので、だれでも気がつきます。すぐに使用を中止して、ヘルペスの治療を行えばさほど問題はありません。ニキビや白癬などに誤って使用すると徐々に悪化してきますが、使用を中止してそれぞれの疾患に対する治療を行えばやや日時はかかりますが、まもなくなおります。問題になるのは、顔に湿疹に使用した場合です。ステロイドを使用すると、いったんは紅斑、ブツブツ、かゆみなどの湿疹の症状がおさまります。しかし、まもなく再発し、同じ薬を塗布しても今度は最初に塗布した時ほど効きません。再発、改善を繰り返し、そこではじめて「おかしい」ときづいてステロイドを止めると、カサカサ(鱗屑、かさぶた)や持続性の赤み(紅斑、毛細血管拡張)や強いかゆみが出てきます。体質によってはニキビの丘疹(ブツブツ)やほてりも出てきます。これを「酒さ様皮膚炎」といいます。この治療は大変日数がかかります。ニキビ様のブツブツは普通のニキビと同じような治療をすれば2〜3ヵ月で消失することが多いのですが、赤み、ほてり(暖房の効いた部屋や熱い風呂、日光に当ったときなどに著明)やカサカサは長年続きます。顔はステロイドの副作用ではありますが、誤診の場合と異なって、ステロイドを中止すると一時的に悪化し、逆にステロイドを塗布すると一時的にはかえって楽になりますが、長い目でみればだんだん悪化して行きます。また、この副作用について、いくら説明しても理解できない患者さんが大勢います。その場合はどうしようもありません。
 顔へのステロイド外用薬は、基本的にどんな疾患であっても使用しないほうが良いと思います。原因がはっきりしているかぶれであっても、原因を除去すれば間もなくなおりますし、薬を使用するなら亜鉛華軟膏などで充分です。原因がわからない時や、原因を除去できない時にステロイドを使用するのは大変危険です。

(2)アトピー性皮膚炎の場合
 ステロイドは、最初は皮膚炎に効果があるようにみえても、だんだん効きが悪くなって行きます。これをステロイドの効果の減弱(タキフィラキシス)といいます。一時的に皮膚炎に効果があるようにみえても、長い経過をみれば結果として皮膚炎の範囲が広がり、持続性の赤みが出現し、かゆみが強くなり、細菌やウィルスの感染が起こりやすくなります。
 また、薬を含めいろいろなものにかぶれやすくなります。「眼科用ワセリン(プロペト)という、」という、一般的には非常に刺激の少ない保護剤がありますが、普通は顔のカサカサにぬっても赤くなりません。ただし、眼科用ワセリンをぬって直後からしばらくのあいだは赤くなる人もあります。しかし、翌日も赤みが続く人は私の経験では、現在または過去にステロイドを使用したことのある人のみです。亜鉛華軟膏(通称ボチ)やアンダーム軟膏などの非ステロイド剤を使用した際も、ステロイドを使用したことがある人はかぶれることが多いでのです。
 さらに、ステロイドの使用によって、皮膚はとても敏感になり、ささいな刺激、例えば、異物(ダニ、ホコリ、花粉、大気汚染物質、アクセサリー、さまざまな化学物質など)との接触、衣類の摩擦、発汗、運動、睡眠不足や過労、ストレス、季節の変化、食事(特に甘いもの、アルコール」、刺激物、油っこいもの、アレルゲン、仮性アレルゲン)などにより、かゆみを強く感じ、皮膚炎も悪化しやすくなります。
 私の経験からいえば、特に顔や首にステロイドを使用した人は後になって長時間本当に苦労していますから、これらの部位には絶対にステロイドを使用しないでください。
 顔に首以外でも、ステロイドを使用するのは大変危険です。ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎にとって一種の”麻薬”のようなものです。ステロイドの影響がいつまで続くのかは、よくわかっていません。
 また、乳幼児、小児といった年齢が低いほど、強いステロイドほど、広い範囲に使用するほど、長く使用するほど「本来のアトピー性皮膚炎の症状」と「ステロイドの副作用」が混在して複雑になり、難治性になると考えます。これが”ステロイド皮膚炎”です。

”ステロイド皮膚炎”
 ステロイド皮膚炎症のはっきりした定義はありませんが、一般には、ステロイド(外用薬」や内服薬)を使用したため生じた難治性のアトピー皮膚炎のことを、本来のアトピー性皮膚炎と区別してこのように呼んでいます。つまり、「本来のアトピー性皮膚炎の症状」と「ステロイドの副作用」が混在している状態です。いわゆる”重症成人型アトピー性皮膚炎”といわれているものも、ステロイド皮膚症です。最近では小児にもみられます。
 ステロイドの副作用でもっとも恐ろしいのが、ステロイドの使用を止めた後にしばしば起こる”リバウンド現象”です。離脱症状ともいいます。
"リバウンド現象”
 ステロイドの使用を中止した際、一時的に症状がひどく悪化することです。ステロイド外用薬を使用したことがない部位にまでも、今までに見られなかった皮疹(紅斑、浮腫、ブツブツ、貨幣状湿疹様の丸い皮疹など)がどんどん広がっていきます。ステロイドを使用していた部位は、強烈なかゆみや痛み、紅斑、浮腫、滲出液、亀裂、かさぶた、落屑(皮が剥げ落ちること)といった症状がかなり長い期間続きます。発熱、悪寒戦慄」、倦怠感、発汗」異常、乏尿、生理不順などの全身症状がでる場合もあります。
 なお、保護剤(特にワセリン)・保護剤などのステロイド以外の外用薬でも同様の症状(リバウンド現象)が起こることもあるといわれております。
 リバウンド現象が起こるはっきりしたメカニズムは不明ですが、安保 徹先生は、リバウンド現象について次のように述べておられます。「多くのアトピー性皮膚炎の子供たちは、ステロイド外用剤が真の治癒をもたらす薬でないことに気づき、独力でステロイド離脱を行うことが多いようです。しかし、(酸化コレステロールを中和するためのステロイドが途絶えると(過去に外用して変性した)酸化コレステロール沈着のためにさらに激しい交感神経刺激症状が現われます。リバウンド現象とか禁断症状ともいわれるものです。
(3)診断の誤りによる場合
 ステロイド外用薬を股部白癬(いんきんたむし)、足白癬(水虫)、体部白癬(ぜにたむし)、カンジダ症などの真菌性疾患、伝染性軟属腫(みずいぼ)、普通のいぼ、単純ヘルペス(熱の吹き出し)、帯状疱疹(おびくさ)などのウィルス性疾患、とびひ、せつ(おでき)など細菌性疾患、尋常性ざ瘡(ニキビ)、疥癬(ヒトダニ)、しらみ症」などに誤って使用すると悪化します。
 ただし、かぶれとは違い、たむしや水虫に使用しても急に症状が悪化するのではなく、かゆみなどはかえって改善しますが、徐々に患部が広がっていきます。診断の誤りが多いのは、疥癬(ヒトダニ)、尋常性ざ瘡(ニキビ)、白癬(たむし)、単純ヘルペス(熱の吹き出し、特に口内炎の場合)などです。
 このように誤診されることは日常茶飯事ですので、外用薬を使用する場合はどんな薬であっても慎重に判断する必要があります。特にみずいぼなどは、誤って使用すると大変難治性になります。
(4)その他の副作用
 ステロイド外用薬のその他の副作用として、多毛(毛深くなること)、ニキビ、色素の異常(赤黒くなったり、白くなったりする)、皮膚萎縮(皮膚がうすくなる、高齢者の皮膚のようになる)、びらん(ただれ、赤ちゃんのおしりに多い)、紫斑(血管が弱くなり、皮下出血がおこり、紫の斑点ができる)、赤み(ステロイド潮紅といい、皮膚がうすくなり、皮下の血管がすけて赤くみえる)、皮膚のきじゃく化(皮膚が弱くなりすぐに傷ができる、その傷がなおりなくくなる)、ヒリヒリ感(特に陰部、くちびる、口の中など)、皮膚のカサカサやゴワゴワ、かぶれやすくなる、化膿しやすくなる、いぼができやすくなる、緑内障、白内障、効果の減弱(タキフィラキシス)、依存症、リバウンド現象(乾癬などアトピー性皮膚炎以外の疾患でも起こる)、感染症の誘発(細菌、ウィルス、真菌などの感染症)などがあります。
 これらの副作用は、徐々に現われてくるため気がつかない場合が多いのですが、少し考えれば、ステロイドを使用する前にはなかった症状が現われてきていることがわかるはずです。
 どんなステロイド外用薬でも年齢、部位、範囲、期間によっては、ステロイド内服薬や注射薬と同じような副作用が現われます。特に最も強いステロイド外用薬のデルモベートは、外用薬であっても内服薬と同じ程度の副作用があります。
 次にステロイド内服薬(セレスタミン、ベタセレミン、セレスターナ、ヒスタブロック、エンペラシン、プレドニン、リンデロン、リネステロン、メドロールなど)や注射薬の副作用についてですが、重大な副作用として、続発性副腎皮質機能不全、眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障、感染症の誘発および増悪、消化性潰瘍、糖尿病、精神変調(うつ状態、多幸症、不眠、頭痛、めまい、痙攣など)、血栓症、ミオパチー、その他の副作用として、脂質・たん白質異常(満月様顔貌、野牛肩、窒素負平衡、脂肪肝等)、体液・電解質異常(高血圧症、浮腫、低力リウム性アルカローシス等による網膜障害、眼球突出、筋・骨格異常(骨粗鬆症、自然骨折、大腿骨および上腕骨等の骨頭無、菌性壊死、筋肉痛、関節痛など)、白血球増多、月経異常、膵炎、下痢、悪心、嘔吐、胃痛、胸やけ、腹部膨満感、口渇、食欲不振、食欲亢進、皮膚の異常(ざ瘡、多毛、脱毛、色素異常、皮下溢血、紫斑、線条、掻痒、発汗異常、顔面紅斑、創傷治癒障害、皮膚ひ薄化・き弱化、脂肪織炎)、発疹、発熱、疲労感、ステロイド腎症、体重増加、精子数及びその運動性の増減、頭蓋内圧亢進症状などがあります。
また、連用後、使用を中止すると、発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、乏尿、ショック等の離脱症状があらわれることがあるので、使用を中止する場合には、医師の診断を受けながら、徐々に減らす必要があります。
 安保 保先生によると、その他の副作用として、全身性の血流障害(冷え)、生活のリズムが狂う、次第に大量が体調がすぐれない、疲れやすい、動脈硬化を引き起こし老化を促進する、ステロイド精神症(不安感、絶望感)、胸腺の萎縮や末梢のT細胞の死(免疫抑制作用)、顆粒球増多による炎症の悪化や炎症を新しくつくり出す、多臓器不全などがあります。
 私の医院の患者さんですが、今まで全く皮膚に異常がなかったにもかかわらず、突発性難聴の治療のために大量のステロイドを内服した後に、典型的なアトピー性皮膚炎が発病しました。また、別の患者さんですが、長年続いていた結節性痒疹の治療(公立病院の皮膚科)のため、大量のステロイドを内服し、途中で内服を中止した直後に、全身、特に両手、両足、四肢に今までの皮疹とは全く異なる無数の小水泡が発生しました。このようにステロイド内服薬は、ステロイド外用薬の場合と同じで、能書に記載がない副作用もあります。

第11章ステロイドの副作用の出る本当の理由
(1)ステロイド外用薬はたいていの皮膚疾患に使用してもすぐに症状が悪化することはありません。むしろ、かゆみなどの自覚症状は、一時的にせよ改善したように感じられることが多いのです。つまり、かぶれを起こすことはまれです。普通外用薬の副作用として、かぶれが代表的ですがステロイド外用薬は例外です。ステロイド外用薬は、本来かぶれをなおす薬だからです。副作用は、かなり後から、それも徐々に現われてくるために、最初は気がつかないのです。
 患者さんは薬を塗布してするに悪化した場合(かぶれた場合)は「この薬は自分に合わない」といいます。またステロイドを塗布して一時的に良くなった場合は「この薬は自分に合う」といいます。こういういい方をすれば短期的には「ステロイドはだれにも合う薬」ということになります。困ったことにこのことを何度説明しても理解できない人がいます。
(2)ステロイドの副作用はしばしば”依存症”の性格があります。
 特にアトピー性皮膚炎の場合が問題になります。普通、薬の副作用は内服薬であれ、外用薬であれ、薬の使用を止めれば回復に向かいます。ところがステロイドの場合は、使用を中止すると一時的にかえって症状が悪化することが多いので、「副作用」と気づきにくいのです。「アルコール依存症」の時もアルコールを止めると禁断症状が出て、かえって悪化したようにみえますが、アルコールを飲むと一時的に元にもどるのと似ています。ステロイドもアルコールと同じなのですが、正しく理解できる患者」さんは少ないのです。
(3)病院や医院で治療を受けたとき、一般的に、非常に大量のステロイドが処方されることが多く、また一部の医療機関では、ステロイドが処方されても、薬の説明がありません。たとえ説明書をもらっても「炎症を止める薬」としか記載されていないことが多いので、一般の人にはステロイドであるかどうか判断できません。もっとひどい場合はステロイドであるにもかかわらず、「大丈夫だから」といってこっそり処方されている場合があります。この場合の大丈夫という意味は、副作用がないという意味ではなく、「学会で認められている、または多くの医師が処方している」という意味なのです。診察の際いきなりステロイドを塗布されたり、点眼、点鼻、点耳などの処置を受けてしまうことも多いので気をつけましょう。
 また、市販(薬局)で販売されているステロイド外用薬は箱に「ステロイド(副腎皮質ホルモン)」と書いてないものがたくさんあります。箱の中に説明書が入っていても読まない人が多く、また読んでも一般の人にはよくわかりません。つまり、ステロイドと知らずに使用したり、何に使用してよいか、いつまでなら使用しても大丈夫なのかわからないまま使用していることが多いのです。
(4)アトピー性皮膚炎の際は、ステロイド皮膚症や激しいリバウンド現象など他の疾患ではみられないような現象が起こります。副腎皮質の機能不全などが関係すると考えられますが詳しいことはわかっていません。
(5)保険診療で最も多く使用されるステロイド外用薬の一例として、リンデロンV(G)軟膏・クリームの能書(説明書)を記載しましたが、私の個人的な意見ですが、このような副作用に対する注意を払わずに診療を行えば、副作用が出るのは当然といわざるを得ません。実際に皮膚科だけでなく、内科、外科、小児科、産婦人科、耳鼻科、眼科などほとんどの診療科で、このような強いステロイド外用薬だけでなく、あらゆる強さのステロイド外用薬を安易に処方しているために、副作用が発生するのだと思います。
 また、ステロイド含有の内服薬、注射薬(特に蕁麻疹や花粉症の時)、点眼薬、点鼻薬、点耳薬。吸入薬、痔の薬なども安易に処方される傾向があるので、外用薬以外の薬にも気をつける必要があります。自分の身は自分で守るしかありません。

第12章”あやまった”ステロイド外用薬のゆくえ
 病院や医院で治療を受けた時、一般的にあまり多くの量のステドロイド外用薬が処方されます。また、薬局で薬を買った場合も、5〜30gの包装になっています。
 もし、これらの薬を全部使用したら、ほとんどの場合何らかの副作用が発生します。実に恐ろしいことです。
 保険診療で認可されているステロイド外用薬の包装は、普通5gが最小(眼軟膏は3gもある)になっております。私も病院勤務医の時はこの包装単位で処方しております。開業すると、きめこまかな診療ができますので、今日診療した病気の治療に必要で、全部使用しても安全な量のみを処方するようにしていました(ただし、現在は全くといってよいほど使用していません)。勤務医の時はいかに危険なことをしていたか反省しています。もちろん、処方する時は「この薬をどこに、何の目的で、一日何回、何日間使用してください」と説明するのですが、”あやまった薬のゆくえ”まで考えたことはありませんでした。
 患者さんのほとんどの方は、再び同じような症状が出た時に”あやまっていた薬”を使用されます。家族のだれかが病院や医院で診察を受け、その時に処方してもらい、”あやまった薬”を家族の他の方が勝手に使用した知人、友人、近所の人などから「自分が効いたから使ってみたら」と勧められることがあります。これは大変危険なことです。
 「高血圧や糖尿病の薬」ならそのようなことをする人はまずないでしょう。外用薬だから「悪くなれば目に見えるから、他人のを使用してもあまり問題はないだろう」と考えるでしょうか。
 使用して急に悪化すれば、「良くない」と気がつきますが、ステロイド外用薬の副作用はかなり後から出てきます。
 私の開業当時の失敗ですが、顔に5g処方した薬を少しずつ数年間も使用され、酒さ様皮膚炎になって来院された時は本当にぶっくりしました。しかし、その患者さんは「薬をぬるとかゆみが止まるから同じ薬を欲しい」といわれ、副作用の説明に苦労しました。
 ”あやまったステロイド外用薬”がどの家庭にも多く依存することに対して認識を新たにしてもらい、ステロイド外用薬を使用する際はその都度診察を受けられることをぜひおすすめします。患者さんの中には、「たくさんのステロイド外用薬をほしい」と望まれる人がおられますが、副作用の治療には現在の病気をなおすよりも、はるかに長い年月、高い費用、100倍返しともいわれる苦労を要すると説明しています。

第13章 ステロイドの被害は自分自身で防ぎましょう
…実際によくある例
(1)産婦人科で出産すると「赤ちゃんのおむつかぶれに効く」といってステロイド外用薬、それもリンデロんVG軟膏などの強いステロイドが処方」されている場合がしばしばみられます。極端な場合”退院のお祝い”のようにわたされ、この薬は「何にでも効くから」と説明されて、赤ちゃんのおしりや顔にぬって、おしりにカビ(カンジダ)を生やしたり、びらんを生じて皮膚科を受診されます。ただでさえ赤ちゃんの顔は赤いのに、さらに顔が赤くなったり、ニキビ様の発疹を作って来院されます。おしりは治療薬がありますが、顔は何ともなりません。自然にまかせる他ありません。どうか赤ちゃんには極力ステロを使用しないでください。また、乳幼児検診を受けた際、「湿疹」があると、ステロイドが処方される場合が多いので気をつけましょう。
子供の時に軽い皮膚炎があり、思春期にひどく悪化する人は、たいていステロイドの使用歴があります。自分の子供を守るのは親しかできません。決して医者まかせにしてしないで子供が使用する薬は何か関心を未持ってください。
(2)病名がはっきりしないにもかかわらず、医師から「ステロイド外用薬を使って様子をみよう」といわれ、実際に使用したところ、さらに悪化してしまい、しかたなく私の医院に来る患者さんが多いのですが、患者さんへの説明に困ってしまいMす。やはり、現在のところは、患者さん自身の自己責任で医師を選ぶのですから、よく調べてから受診する医師を決めましょう。
(3)多くの皮膚科医院、および多くの外科、内科、産婦人科、小児科などと併記して皮膚科の標榜もしてある医院では、「皮膚病=ステロイド外用薬」と考えて、皮膚炎に炎症(かゆみ、赤み、ブツブツなど)があればみんなステロイド外用薬を処方して、なおられば水虫の薬(抗真菌剤といいます)を処方するという、一定のパターンで診察(?)を行っています。また、皮膚病でも、真菌検査をして菌が証明されないと、実際は白癬でも、真菌検査をして菌が証明されないと、実際は白癬であるにかかわらず、ステロイドが処方されている場合がしばしばあります。
 これはとんでもないことです。なぜなら、病院や医院で使用する薬は市販されている薬より強い薬が多く、さらに悪いことに患者さんは医師を信頼しているからです。
 日本では「医師免許証」さえあれば、「皮膚病」という看板を自由にかかげられるところに問題があります。
 しかも、皮膚病専門医のあいだでもアトピー性皮膚炎などにステロイドを使用するかどうかは、いろいろな考え方があって現在のところ統一されていません。現時点ではステロイドを使用しないというのは極めて少数派です。
(4)”初診の時に処方してもらった薬”の名前を知って、同じ薬を薬局で買って、自分の判断で勝手に使用することは大変です。なぜなら、ステロイド外用薬というのは、使用するとしてもたいていの場合、診察を受けた日からほんの数日間のみしか使用してはいけないからです。医薬分業(院外処方せん)や最近の薬剤情報提供(薬の名前や副作用を患者さんに知らせること)の悪い面ともいえます。
(5)市販薬(薬局で販売されている薬)の中にはステロイド(副腎皮質ホルモン)が入っているにもかかわらず、薬の箱には「ステロイド(副腎皮質ホルモン)外用薬」と書いてない薬がたくさんあります。箱の中の説明書を読めば書いてあると思いますが、小さい字でしかも専門用語で書かれているので、ほとんどの人は読みません。あるいは、読んでもわからないといわれます。

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