漢方マメ知識

   漢方薬と民間薬って、どう違うの?


可愛い坊やね。どこが悪いの?

夜泣きがひどくて困っているんです。

私の子供もそうでしたよ。母に聞くとユキノシタを塩で揉んで絞り汁を寝る前に飲ませるといいと言うんで、よく飲ませたもんです。

私はそういうことを知らないものですから、病院で診てもらおうと思って。

かあさん、それは民間療法というもんでしょう。私も子供の頃、風邪をひくとおばあちゃんに梅干の黒焼きをつくってもらったよ。

それじゃユキノシタも梅干の黒焼きも民間薬ですね。まさに生活の知恵ですね。


 漢方薬と民間薬の違い
 人類が誕生した約4百万年前から人間は身近にある薬草を病気の治療や予防に用いてきました。
 薬草の根や茎、葉、花などの有用部分を乾燥させたものを生薬といい、数種類以上の生薬を組み合わせて一つのチームにしたものが「漢方薬」です。チームにはそれぞれに「葛根湯」などの名前がついていて、これを薬方(処方)といいます。例えば、葛根湯は七つの生薬、@葛根A大棗B麻黄C甘草D桂皮E芍薬F生姜から成り立っています。
 ●使われ方も大きく違います
 おできには“どくだみ”、下痢には“ゲンノショウコ”というように、一つの病気や一つの症状に一種類(単味)だけで用いる薬草を民間薬といいます。病気に対する体の抵抗力とか人それぞれの体質を考えないで、昔からの言い伝えによる素人判断で使われてきました。
 一方、漢方薬は生薬の組み合わせの種類と配合の割合、そして使い方にも決まりがあり、病状や症状に合わせた漢方医学的な診断で投薬されます。

 ●ハーブとは?
 ヨーロッパで古くから薬用、香辛料などの目的で使われてきた薬草をハーブといいます。身近な植物の中から経験によって効用を知り、病気の治療や予防にも用いられてきましたので、日本の民間薬に通じるところがあります。ペパーミント、カミツレ、セージなどが日本でもポピュラーなものになっています。

漢方薬を素人判断で用いてはいけないよ。


 独特です。漢方の“診断”と“治療”の方法

病院にはいつもご夫婦でいらっしゃるんですか?

年のせいでしょうか体のあちこち調子が悪くてね。ふたりとも特に不眠でこまっているんですよ。

夫婦の仲と同じでして、病気の悩みまで仲良くいつも一緒なんですわ。ワッハハハ・・・。

でもね、処方していただく漢方薬はいつも違うんですよ。

同じ病気や症状なのにお薬が違うんですか?

(漢方って、どういうふうにして薬が決められているのかしら?


 漢方医学の特徴
 漢方医学では、鼻や皮膚の病気であっても、病気になっている部分だけを診るということはありません。体質とか個人差を重要視して、体全体を総合的に診て『証』を決めるという漢方独特の診断方法があります。
 同じ病気でも、人それぞれの『証』によって、投薬される漢方薬の種類が違ってきます。

 ◆特別注文の漢方治療
 『証』とは、「冷えがある」「ほてる」などの患者さんが感じている自覚症状と、医師の診察結果を合わせ、「虚」「実」「寒」「熱」などを判断して決める漢方独特の診断結果のことです。
 医師は患者さんの様子を観察したり、質問したりしながら、病気に対する抵抗力なども診て、抵抗力の弱そうな体力のない人を“虚証の人”、力強い体力の充実している人を“実証の人”、その中間を“中間証の人”と判断します。
 そして更に細かく患者さんを診て、冷え、寒さなどを感じている人は“寒”、ほてりがあって暑がり、冷たいものを欲しがるほうな人は“熱”という見分け方もします。
 他にも漢方独特の診断方法をフル活用して、総合的に診断した『証』に合わせて漢方薬を投薬し、治療をします。このように漢方医学は、病気だけに合わせた治療をするのではなく、「ひとりひとりの病気と証に合った治療ができる」ということが最大の特徴です。

 眼や鼻、皮膚の病気でもお腹を診る(腹診)こともあるんだよ。



漢方医学と西洋医学には、どんな特徴があるの?

『病気の原因がわからなくても患者さんの体質や症状に合わせて患者さん別の治療ができる』これが漢方医学の特徴なんですね

『病気の原因をとことん調べて原因別の治療ができる』これが西洋医学の得意とするところなんですね

手術が必要な場合や救急疾患、重症の感染症などには西洋医学がすぐれているんですよ

身体全体の抵抗力を高めたり身体の機能を調節するような場合は漢方がいいんですね。


 漢方薬と西洋薬
 漢方薬は天然物の生薬を使っています。一つの漢方(処方)は数種類の生薬で構成されていますから、多くの成分を含んでいて、さまざまな効果が期待できます。そのため、一つの薬方で色々な病状に対応できます。
 西洋薬は、作用の強い成分を見つけ、その中から一つの活性成分を抽出して、さらに化学構造を決めて合成するというように、化学的な手法で薬が開発されています。その成分は一つで、一つの疾患や一つの症状に強力な働きをします。

 ●薬に対する考え方
 西洋医学では、病気に対する作用が強いほど良い薬だと考えられています。
 漢方医学では、作用の強いものが良い薬という考え方ではなく、漢方独自の基準で生薬を三つに分けています。病気に対する作用が弱くても養生的な作用も持つものが『上品』で、これを最も良い薬であるとしています。たくさん服用すれば健康を害することもあるが、少なく服用して短期間なら作用があって健康を害さないものを『中品』、時には不快な症状が出る心配もあるが、病気を治す作用が強いものを『下品』と分類しています。
 そしてこの三つの生薬の組み合わせで一つの薬方(処方)がつくられています。

 ●漢方薬・すぐれたバランス効果
 その人に合った薬の使い分けをして治療ができる漢方薬には、その他にも、「やじろべえ」のような作用があります。一つの薬方が正常レベルを支点にして、プラスにもマイナスにも働くのです。
 例えば「むくみ」のある人に、ある薬方を投薬すると利尿作用で尿量が増え、「むくみ」が取れます。そして正常なレベルになると、それ以上、体の水分を出すような作用をしません。また、反対に水分の足りない人に同じ薬方を投薬しても、尿量を増やすようなことはなく、逆に体内に水分を保つように働きます。プラスに進み過ぎればマイナス方向に作用し、マイナスが強ければプラス方向にと、漢方薬は生体に応じた作用をします。

 漢方薬にも西洋薬にもそれぞれの特徴があるんだよ。そして両医学の良さと持ち味を生かしている医師がたくさんいるよ。


 一般用漢方製剤と医療用漢方製剤
 薬局や薬店などで売られている市販の漢方薬を「一般用漢方製剤」といいます。市販薬ですから、健康保険はききません。一般用は医療用に比べて適用となる病気の種類が限られています。
 一方、医師が治療に使う漢方薬は「医療用漢方製剤」といい、健康保険が使えます。医師の診察によって病院や医院、診療所などの医療機関で投薬されます。または、医師の処方箋によって市中の保険調剤薬局で入手できます。大部分はエキス製剤で、品質が均一であるという特徴をもっています。煎じる手間が省けて、携帯にとても便利ですから、オフィスや旅行先でも服用を続けることができます。

 ●正しく服用して、きちんと保管していますか?
 漢方薬は食前や食間の空腹時の方が効き目が良いとされていますが、服用方法については、お医者さまや薬剤師さんの指示にしたがいましょう。
 食前とは食事をする30分位前。食間は一回目が朝食と昼食の間、二回目は昼食と夕食の間、三回目が夕食と翌日の朝食の間の食事を終えた数時間後のことです。空腹時に服用すると胃がもたれるという人は、食事を終えてから30分以内の食後に服用するとよいでしょう。
 漢方エキス製剤は水や白湯でそのまま飲むことができますし、水やお湯に溶かすこともできます。溶かした時、薬の比重の関係で濃い部分が下に淀むことがありますが、一回分の分量として、その部分も全部飲むようにします。飲みにくかったり、わからないことは、なんでも気軽に、お医者さま、薬剤師さんに聞くようにしましょう。次に保管ですが、漢方薬は生モノと考えて極端に熱いところや湿気の多いところを避け、冷暗所に保管します。

 漢方なんでもQ&A
Q、乳幼児に上手に飲ませるには、どうすればよいのでしょうか?
A,お子さんによっては漢方薬の味を嫌がることがあります。そんな時は、お湯に溶かしてから少量の砂糖を加えたり、逆に酸味のあるパインジュースがよいこともあります。また赤ちゃんには少量の湯や水でよく練って、ほっぺの内側やあごの奥にぬりつけるという方法もあります。薬剤師さんに相談して、工夫してみてはいかがでしょうか。

Q、漢方のエキス製剤は必ずお湯で、というような決まった飲み方があるのでしょうか?
A,お湯で飲むと決まっているわけではありません。通常はそのまま服用しますが、ぬるま湯での服用がよいとされています。ただし吐き気や嘔吐、吐血などの出血がある時は冷服の方がよい場合もあります。

Q,漢方薬はどれくらいで効き目があらわれるのでしょうか?
A,病気の程度や個人差がありますので、はっきりと言うことはできませんが、風邪の初期の場合などは一回の服用だけで効果があらわれることもあります。反対に慢性疾患などでは、すぐには効果があらわれにくいようです。
目安としては、自覚症状の改善では二週間から四週間ぐらいで効果の判定ができるでしょう。

 漢方薬の他にも今飲んでいる薬は全部医師や薬剤師に見せて相談してから服用しましょう。

Q,漢方治療が適応しやすいのは、どんな病気でしょうか?
A,漢方治療は患者さんが感じている自覚症状と医師が患者さんに手で触れて感じとる他覚症状をミックスして漢方的に診断し、体質に合った薬を見つけて治療することを得意としています。
 虚弱体質とか更年期障害など、身体全体のバランスがくずれているような機能的な疾患に効力を発揮します。また、検査では異常がないのに、肩こり、頭痛、不眠などの不快な自覚症状(不定愁訴という)にも適しています。

Q,漢方治療が高齢者に向いているといわれるのは、どうしてなのでしょうか?
A,高齢になると体のいろいろな機能が低下してきますので、若い人と比べていろいろな特徴があります。
 まず第一に、高齢者は個人個人の差が大きいために、その人に応じたケース・バイ・ケースの治療が必要です。その点、漢方は、その人の体質や症状に合った漢方薬で治療をしますので、個人に合った対応ができます。
 第二には一人の人がいくつもの疾患をかかえているということがあります。一つ一つの疾患に対応すれば数種類の薬が必要になってきますから、副作用の点が心配です。漢方薬は一薬方が複数の生薬で構成されていますので、複合的な効果が期待できます。
 第三に、高齢者は体が持っている抵抗力、つまり“免疫機能”が低下しているため、病気にかかりやすくなっています。漢方薬には身体が本来持っている回復力とか抵抗力、免疫機能を高める働きを持ったものがありますので、生体の防御力を高めるという点でも効果が期待できます。
 第四として、高齢者には慢性疾患が多いということです。薬効がおだやかで、副作用が少ないという利点がある漢方薬は、長期に用いる慢性疾患にも適しています。

Q,漢方薬にも副作用があるんでしょうか?
A,漢方薬は、二千年近くも前から使われている薬用植物を主体とした生薬を材料として作られていますが、天然物だから安全とは言えません。たとえば、そばアレルギーの人がいるように、一種のアレルギー反応で副作用が起こる場合もあります。『薬』である限り、どのような薬にも副作用はあるのです。大切なことは、このことを医師も患者さんも知り、その上で漢方薬が持っている独自の性質や特徴を理解して(本分参照)、正しく付き合うということです。薬を飲んだ後、病状が悪化したり、自分自身が「どうもいつもと違うかな?」と感じたりするようであれば、すぐに医師に報告をして指示を受けることが大切です。

Q,漢方薬は、どんなところでよく使われているのでしょうか?
A,全国の大学病院や総合病院に漢方外来を設けているところもあり、現在では内科をはじめ各科で使われています。意外に、外科でも漢方治療が取り入れられています。ガンや消化器の腫瘍などの術後の体力回復を目的として、また術後の放射線治療や抗ガン剤の副作用を軽減したり、防止にも漢方薬が用いられています。

いろいろな病気に西洋医学と併用して取り入れられているんだよ。

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