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肝炎を整理する

 肝臓は、臓器の中で最も大きく(成人では1200g〜1500g)、ほかの臓器との大きな違いは、切り取られても再生する能力があることです。また、ダメージを受けても、残った正常細胞がその分も働いて、機能を維持することができる強い臓器です。「沈黙の臓器」と言われるのもこの所以です。何らかの原因で炎症が起こり、発熱、黄疸、全身倦怠感などの症状を来す疾患が肝炎です。効果的な薬剤の開発によって肝炎の治療が大きく変わってきました。肝炎の現状について解説していただきます。

肝炎を整理する

肝臓のしくみ、働き、炎症
 一般に、臓器は動脈から運ばれてくる、豊富な酸素を含んだ血液によって養われ、臓器の老廃物は静脈から運ばれていきます。肝臓にはさらに門脈という、ほかの臓器にはない血管(静脈系)が流入路として関わっています。肝臓は、「人体の化学工場」とたとえられますが、主な機能は3つ、@物質の代謝、A解毒作用、B胆汁の生成で、門脈はこれらの機能に深く関与しています。肝臓は胃、十二指腸、小腸、大腸、膵臓などの消化器と門脈でつながっており、食事によって体内に取り込まれた栄養素は、腸管から吸収され、門脈から肝臓に入って、糖質、たんぱく質、脂質などの合成に利用されます。この働きが一つ目の「物質の代謝」です。2つ目の解毒作用とは、たんぱく質が分解されるときに、発生するアンモニアを無害な尿素に変換したり、アルコールや薬、細菌など、生体に有害な機能です。また、肝臓には脂肪の消化に重要な役割を果たしている胆汁を産生する機能があります。産生された胆汁はいったん堪能に蓄えられ、必要に応じて十二指腸に放出されます。
 肝臓には心臓から送り出される血液を運ぶ冠動脈もあり、門脈から流れ込んでくる分も併せると毎分1.5Lの血液が肝臓に入ってきます。門脈と肝動脈の血液は混じりあって、肝静脈から下大静脈へと流れ、心臓に戻っていきます。肝臓で作られた胆汁を十二指腸まで運ぶ胆管です。
 ところで、肝臓では動脈系と静脈系が毛細血管でつながることはありません。肝細胞と肝細胞の間にある類洞と呼ばれる血液の通り道が網の目のようにあり、毛細血管のような役割を担っています。肝臓はさまざまな細胞で構成されていますが、類洞を構成する細胞の1つに肝星細胞があります。肝星細胞は類洞内皮細胞を長い突起で取り巻いています。慢性肝炎や肝硬変などでは、肝細胞の壊死や炎症に伴って活性化した肝星細胞は貯蔵していたビタミンAを放出し、過剰のコラーゲン線維を産生するようになります。
 肝臓に炎症が起こると、リンパ球をはじめとする炎症細胞が浸潤し、肝細胞に障害が起こります。これが肝炎で、、発熱、黄疸、全身倦怠感などの症状がみられますが、まったく自覚症状を認めないこともあります。肝炎はその病型によって、急性肝炎、慢性肝炎、劇症肝炎などに分けられます。また、アルコール性肝炎、薬剤性肝炎、自己免疫性肝炎、脂肪性肝炎などがありますが、日本ではウイルス性肝炎が80%を占めます。

病態別にみる肝炎

急性肝炎
 急性肝炎はウイルス感染や薬剤のアレルギーなどが原因で起こります。一般的に予後は良好です。急性肝炎を引き起こす肝炎ウイルスとしてA型、B型、C型、D型、E型が知られていますが、日本ではその比率はA型3割、B型3割、C型1割、その他(薬剤性など)3割とされています。
 急性肝炎になると、風邪に似た症状がみられ、全身の倦怠感、食欲不振、嘔気・嘔吐、横断が現れます。ただ、初期の段階で急性肝炎を診断するのは困難で、血液検査が必要になります。肝細胞の生涯の程度はAST,ALT,ビリルビンなどの数値から把握することができます。それと併せてプロトロンビン時間を調べることが重要です。プロトロンビンは肝細胞だけで作られる血液凝固因子で、肝細胞障害の状態が鋭敏に反映されるため、急性肝炎から劇症肝炎に移行するときの指標に用いられています。

慢性肝炎
 慢性肝炎は、6カ月以上にわたって肝機能異常が持続する状態です。B型肝炎の10%、C型肝炎の70%が慢性肝炎に移行すると言われています。慢性肝炎の症状として、身体のだるさ、食欲不振、嘔気などがみられることがありますが、自覚症状がほとんどなく、健康診断や検査で偶然見つかるケースが少なくありません。慢性肝炎といえば、通常はウイルス性肝炎を指しますが、アルコール性肝炎、脂肪肝、自己免疫性肝炎なども慢性化する可能性があります。
 C型肝炎ウイルス(HCV)に感染して、急性肝炎が治りきらずに慢性肝炎に移行しても、特に自覚症状のないまま経過していきます。もちろんその間もウイルスは肝臓に棲み続け、感染後20〜30年で肝硬変、肝がんの発症につながっていくことになります。

肝硬変
 肝炎の状態は炎症の強さと線維化の進行度で評価されます。肝硬変になると、肝臓全体に線維化が起こります。この段階に達すると、肝実質細胞の壊死・脱落が起こり、肝臓は本例の弾力性を失って硬化します。正常な肝臓の表面はなめらかですが、肝硬変を起こした肝臓は表面が凸凹しており、その様子は肉眼で確認できます。また、血小板の数は、肝臓の線維化の進行度と相関することが知られており、肝炎の程度を推測するのに有用な指標となっています。
 肝硬変になっても残った肝細胞や再生した肝細胞が十分あり、肝臓がまだ機能を果たしえる状態を代償性肝硬変といいます。これに対して障害が高度で十分に機能を果たせなくなった状態を非代償性肝硬変といいます。

劇症肝炎
 急性肝炎の約1%が劇症肝炎を発症し、その半数は死に至るといわれます。急激に肝細胞の壊死・脱落が起こり、肝細胞の再生ができなかったり、不十分だったりするとげk偽証肝炎を引き起こします。日本では劇症肝炎の原因は肝炎ウイルスの感染が48%で最も多く、以下、原因不明(32%)、薬物アレルギー(10%)、自己免疫性肝炎(7%)と続きます。肝炎ウイルス感染ではB型肝炎ウイルス(HBV)がほぼ半数を占めています。
 劇症肝炎になると、肝機能が働かなくなり、プロトロンビンなど凝固因子タンパクが合成されないため出血傾向を来します。また、代謝機能が低下し、ビリルビン、アンモニアなどの老廃物が処理されず、肝性脳症を起こしやすくなります。さらに、糖代謝がうまく行われず低血糖を起こす可能性もあります。こうした状態になると集中治療室での管理が必要になります。


原因別にみる肝炎
ウイルス性肝炎
 A型、B型、C型、D型、E型の肝炎ウイルスのうち、A型とE型は主に水や食べ物を介して感染し、B型、C型、D型は主に血液・体液をを介して感染します。これらのウイルスは主に肝臓に感染し、炎症を引き起こします。とくに、B型肝炎、C型肝炎は慢性化して肝硬変から肝がんい進行することがあります。

A型肝炎
 A型肝炎はA型肝炎ウイルス(HAV)によって引き起こされる感染症です。糞便から排泄されたウイルスが人の手を介して、水や氷、野菜や果物、魚介類などを経て口に入ることで感染します。性交渉時に感染することもあります。潜伏期間は約4週間で、初期症状は全身の倦怠感、食欲不振のほか、風邪のような症状に加えて発熱することが多いのが特徴です。
 診断に際しては、A型肝炎多発地域への渡航、生の魚介類の摂食などについて詳細な聞き取りが重要です。おもな治療法は対症療法で、劇症肝炎にさえ注意すれば、まず慢性化することなく治癒します。

B型肝炎
 B型肝炎はHBVの感染によって起こります。感染者には血液のほか、精液、体液、分泌物にもHBVが存在する可能性があり、これらを介して感染します。かつて国民病といわれたB型肝炎はC型肝炎が登場するまでは、肝がんの原因疾患としても重要な位置を占めていました。 
 日本のHBV感染者の多くは母子感染(垂直感染)などですが、国の「B型肝炎母子感染防止事業」(1985年)が実施されるようになってから母子感染はほとんどなくなりました。また、1972年に献血のHBs抗原検査が導入され、HBVの遺伝子検査mの行われるようになったため、輸血による感染例も稀になっています。このように感染対策や、検査法、治療法の進歩によって、現在、日本の人口の1〜2%がHBVに感染していると推測されていますが、減少傾向にあります。一方で、若い世代を中心に性交渉を介してHBVの感染が増加傾向にあることが注目されています。
 体内にHBVを持っている人をHBVキャリアといいます。B型肝炎の病態を知るためにはHBVウイルスマーカー(HBs抗原・抗体、HBc抗体、HBe抗体・抗原、HBV-DNA)を測定する必要があります。
 HBVキャリアでも肝機能が正常な無症候性キャリアや非活動性キャリアは既往感染者と同様、健康な状態で経過しているのであれば治療の必要はありません。しかし、無症候性キャリアががんになったり、がんが再発したりして抗がん剤や免疫抑制剤などを投与されると、ウイルスが再活発化して肝炎を発症する可能性があります。その他、現在、B型肝炎ウイルス再燃が、注意喚起されている薬剤には、副腎皮質ホルモン剤や抗リウマチ剤、抗ウイルス剤などがあります。
 そのため、HBVキャリアが抗がん剤や免疫抑制剤などによる治療を受けるさいは、一般的にはHBVの増殖を抑える核酸アナログ製剤(エンテカビル)の予防的投与が検討されます。このように、原疾患(がん)の治療にも影響を及ぼすため、HBVの再活性化を防ぐことが極めて重要になります。免疫抑制や化学療法を施行する際は、肝機能異常の有無にかかわらずHBV感染のスクリーニングが求められ、全例に対してHBs抗原の測定を行う必要があります。
 現在、世界の人口は72億人で、その27%がHBVに感染しているといわれています。HBV感染者は特にアジア、アフリカに多く、日本ではHBVキャリアの数は110万〜140万人と推定されています。ガン患者のなかにはHBVの既往感染者やキャリアも少なくありません。公益財団法人ウイルス肝炎研究財団は、次の項目が該当する場合は、主治医に相談のうえ、HBVの検査をうけることを勧めています。
・不特定多数と性的な関係がある
・家族にB型肝炎、またはB型肝炎ウイルス持続感染者(HBVキャリア)がいる
・長期に血液透析を受けている
・妊娠している(第一子の妊娠時)
・不特定の人の血液、体液に触れる機会がある
・過去に肝機能検査の異常を指摘されていたにもかかわらず、肝炎ウイルスの検査を受けたことがない
 B型肝炎の治療では、現在主にインターフェロン、ラミブジン、アデホビルピボキシル、エンテカビルの4種類の薬剤が使われています。ラミブジン、アデホビルピボキシル、エンテカビルは経口の抗ウイルス薬で、ほとんど副作用がみられず、患者にとっては治療を継続しやすい薬剤といえるでしょう。その反面、これらの薬剤を服用し始めると肝機能が改善して、患者は安心して服薬を自己判断で中止してしまうことがあります。抗ウイルス薬の服用を突然中止することによって、肝炎の再燃を招き、重症例では劇症肝炎を起こす可能性があります。

C型肝炎
 現在、国内のHCVの感染者数は190万〜230万人と推定されています。C型肝炎は進行すると肝硬変を経て高率に肝がんを発症する疾患です。DNAを持つHBVと違って、HCVはRNA遺伝子を持ち、ジェノタイプ1型から6型の遺伝子型に分類されています。日本人の場合はジェノタイプ1型と2型がほとんどで、特に1型の中の1bと呼ばれるタイプが全体の7割を占めています。
 C型肝炎の治療は1992年にインターフェロンが登場したことで大きく進展しました。しかし、ジェノタイプ1b型では約10%しか効果がみられず、2004年にペグインターフェロンとリバビリンの併用療法が可能になり、1b型高ウイルス量の難治患者の半数が治癒するようになりました。
 さらに、2011年に登場した直接作用型ウイルス薬(Direct Acting Antivirals DAAs)は、それまで20年間にわたって続けられてきたインターフェロンによるC型肝炎治療を大きく転換させました。DAAしゃHCVが肝臓の中で増殖するために必要な酵素を直接攻撃して抗ウイルス作用を発揮する薬剤です。現在標的になっているのは、HCV遺伝子のNS3,NS4A,NS5A,NS5B領域です。
 DAAsの先陣を切って2011年に発売されたテラプレビルは単独ではなく、ペグインターフェロンとリバビリンに加えて3剤療法として使われます。それまで標準治療とされてきたペグインターフェロンとリバビリンの半分の投与期間でC型肝炎患者の6〜7割に効果をもたらすことが知られています。2013年に発売されがシメプレビルはテラプレビルと同等の効果を発揮しながら、副作用がより少ない点が注目されました。
 その後2014年には、ジェノタイプ1型に対するNS5A阻害薬のダクラタスビルとNS3・4A阻害薬のアスナプレビルが登場し、国内初のインターフェロンフリーの治療が可能になりました。さらに2015年5月にフェノタイプ2型向けのソホスブビルが発売され、リバビリンとの併用によって高い著効率が得られるようになりました。また、ジェノタイプ1型に対するソホスブビル・レジバスビル配合剤が2015年8月に発売されました。治験の成績では95%以上の著効率が示されています。この2つの新薬の登場により、国内のほとんどのC型肝炎患者(1型、2型)を内服薬だけで治療することが可能になったといっても過言ではないでしょう。
 続いて、2015年11月にはパリタブレビル・オムビタスビル・リトナビル配合剤は発売されました。著効率は95〜100%で、ソホスブビル・レジパスビル配合剤にほぼ匹敵します。
 このように、C型肝炎のジェノタイプ1型・2型の治療では、薬剤の選択の幅が広がっています。日本肝臓学会のC型肝炎治療ガイドライン(2016年)では、「慢性肝炎/フェノタイプ1型(DAA治療なし)」「慢性肝炎/ジェノタイプ1型・2型(プロテアーゼ阻害剤、ペグインターフェロン、リバビリンによる前治療の非著効例)」「慢性肝炎/ジェノタイプ1型(ダクラタスビルとアスナプレビル併用による前治療の非著効例)」「慢性肝炎/ジェノタイプ2型」「代償性肝硬変(初回治療、再治療)」に分けて薬物治療が解説されています。

D型肝炎、E型肝炎
 D型肝炎とウイルス(HDV)はHBV保有者に感染し、細胞がHBVと同宿していないと生きていけないという特殊なウイルスです。D型肝炎がB型肝炎と同時に発症すると重症化する可能性があります。日本では稀ですが、B型慢性肝炎の急性増悪例では常に念頭に置くべき感染症です。B型肝炎の治療によってHBVが消失すれば、HDVは増殖できなくなり、やがて消失します。
 一方、E型肝炎は、以前は日本では稀とされていましたが、最近国内でのE型肝炎ウイルス(HEV)の感染が報告されています。がん院の多くは豚や鹿の生肉の摂食によるといわれ、劇症肝炎例も報告されています。

アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪肝炎
 アルコール性肝炎は、常習的に飲酒する人が大量に飲酒することによって発症します。多くの場合、腹痛、発熱、黄疸、高度の肝機能異常、白血球増多などが出現します。
 小腸で吸収されたアルコールは門脈を通って肝臓に入り、肝細胞に吸収され、アセトアルデヒドに分解されます。アセトアルデヒドは有害な物質で、アセトアルデヒド脱水素酵素によって分解されて毒性のない酢酸に変化し、筋肉などで炭酸ガスと水に分解されます。肝細胞はアルコールやアセトアルデヒドにさらされる時間が長くなるほど遺伝子の異常が起こりやすくなり、がんの発生へと辿っていくことになります。
 近年、DAAsが開発され、C型肝炎は治癒する疾患になりつつあります。その一方で、特に先進国で注目されているのが肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病を基礎疾患とした肝疾患である、非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver:NAFL)が80%程度を占め、残りの20%程度は炎症や線維化を伴って肝硬変、肝がんに進展する可能性のある非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)です。肝がんの原因は、ウイルス性が70〜80%を占め、アルコール性が10〜20%、NASH関連が5%と考えられていますが、今後、ウイルス性は減少してアルコール性、NASHが原因の肝がんが増えてくることが予想されます。
 NASHを診断するには、アルコールを男性は1日30g(日本酒1合、ビール中瓶1本程度)、女性は20g以上飲んでいないことが条件となっています。確定診断には肝生検で肝細胞の脂肪沈着、風船様肥大、線維化などを確認する必要があります。ただし、患者への侵襲、手間、医療費などを考えると、脂肪肝の患者全員の肝臓組織を採取して病理診断をするのは現実的ではありません日常臨床では、脂肪肝もNASHも含めたNAFLDからNASHをスクリーニングする方法がとられています。NASHの可能性が高い患者でAST,ALTが高値を示すほか、線維化マーカー(P-V-P、4型コラーゲン、ヒアルロン酸)や鉄の代謝を表す指標であるフェリチンが異常値を占める場合、肝生検をして確定診断することが勧められます。
 NASHの治療については今のところ確立した特効薬はありません。NASHの病態はメタボリック症候群が背景にある場合が多く、食事療法と運動療法による減量が基本となります。併せて脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、降圧薬、肝庇護薬などによる基礎疾患の治療も検討されます。

 薬剤性肝炎
薬の服用によって薬剤性肝障害が引き起こされる場合があります。処方される頻度が高い抗菌薬(抗生物質)、鎮痛解熱剤、精神科・神経科用薬剤などが肝障害を起こす薬剤として知られていますが、すべての医薬品、OTC、漢方薬、ビタミン剤、サプリメント、健康食品などが原因となる可能性があります。薬剤性肝障害は、@薬剤などの中毒によって起こる障害、A特異体質によって起こる障害に大きく分けられます。
 アセトアミノフェンを例にとってみましょう。規定量を超えるアセトアミノフェンを一度に服用すればだれでも中毒性肝障害を起こします。また、中毒性肝障害は用量依存性に起こりやすくなります。アセトアミノフェンを服用するとCYP450代謝経路で毒性のあるN-アセチル-p−ベンゾキノンイミンが生成されます。常用量のアセトアミノフェンであればN-アセチル-p−ベンゾキノンイミンは肝臓のグルタチオンによって抱合され無毒化されますが、大量になると、グルタチオンの生成が追い付かず、結果として肝障害を引き起こすことが知られています。
 一方、特異体質によって起こる肝障害は、主にアレルギーが原因で、特定の人に起こるため予測することが困難です。
 薬剤性肝障害の症状は、倦怠感、黄疸、食欲不振、発熱、皮疹、痒みなどですが、これらは急性肝炎、慢性肝炎にもみられます。そのため、薬剤性肝障害の診断ではウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、自己免疫性肝炎などを否定する必要があります。また、肝障害の原因と考えられる薬剤の使用を中止して症状や検査結果が改善した場合は、重要な所見となります。特に医薬品を服用してこれらの症状が急に現れたり、持続したりする場合は、薬剤性肝障害の可能性があります。早急の対策としてはその医薬品の服用を中止することですが、それによって危険な状態を招く場合もあるので、まず医師に相談することが重要です。

自己免疫性肝炎
 自己免疫性肝炎は、中年の女性に多くみられる肝炎で、その原因については不明です。肝細胞に存在する何らかの自己抗原に対する免疫反応が原因と考えられています。自己免疫性肝炎では、血中ガンマグロブリンやlgG値の上昇、抗核抗体や抗平滑筋抗体などの自己抗体の出現がみられます。自己免疫性肝炎を放置すると、慢性の経過を辿り、ウイルス性肝炎と同様、肝硬変に進展するため、早期診断・治療が重要になります。
 自己免疫性肝炎の治療では、ほかの自己免疫疾患と同様、副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤が用いられます。副腎皮質ステロイドには、消化性潰瘍、糖尿病、骨粗鬆症などの副作用があるため、その対策が必要になります。

国民への普及啓発
 国は現在、肝炎(B型肝炎、C型肝炎)対策としてさまざまな取り組みを行っています。肝炎ウイルスの感染経路はさまざまで、早期発見・治療を目的として肝炎ウイルス検査の促進を図っています。特に肝がんの原因の70〜80%が肝炎ウイルスといわれるものの、ウイルスに感染しても自覚症状がないまま疾患が進行するおそれがあることから、すべての国民が少なくとも1回は検査を受ける必要があるとしています。 
厚生労働省の調査によると、国民の57.4%がB型肝炎の検査を、48.0%がC型肝炎の検査を受けています。検査を受けていない理由は「きっかけがなかった」(39.1%)「検診項目になかった」(37.3%)などであり、70%が「機会があれば受けてみたい」と考えています。
 国民一人一人がウイルス感染によるリスクを自覚し、肝炎について正しい知識を持つために、薬剤師をはじめとする医療従事者がさらに普及啓発に取り組むことが重要です。

慢性肝疾患の血小板減少の改善薬
 肝炎、肝硬変、肝がんなどの慢性肝疾患では、長期間にわたり段階的に疾患が進行し、さまざまな要因によって末梢血中の血小板数の減少が生じます。患者は定期的に各種の検査や治療を受けることになりますが、血小板が5万/μL未満まで減少している場合は、出血リスクが高くなることから、血小板を増やす必要があります。血小板減少に伴う全身性の出血傾向が見られる場合、出血の可能性がある検査や治療を実施する前に血小板輸血が行われることがあります。血小板輸血には血液製剤のリスクを孕んでいることから、その対策が課題となっていました。
 そうしたなか、2015年12月にルストロンボパグが発売されました。「待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品です。同罪は、経口投与可能な低分子のトロンボポエチン受容体作動薬。同受容体に作用し、造血幹細胞・巨核球系前駆細胞から血小板を産生する巨核球への増殖・分化を促進させることで血小板数を増加させます。慢性肝疾患における血小板減少症治療薬として世界で初めて承認されました。








思い当たる症状はありますか?
更年期チェック
更年期を迎えると体にさまざまな変化が現れます。思い当たる症状があるかチェックしてみましょう。

1 最近、月経周期が早くなったり遅くなったりして乱れがちである。
 日本女性の平均的な閉経年齢は約50歳です。この前後10年くらいの期間を更年期と呼びます。
 更年期には、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が不規則になったり、減少したりします。そのため月経周期の乱れや、月経血量の増減、月経の期間が長くなったり短くなるなど、身体にいろいろな変化が起きています。
 月経周期が不規則になるため、子宮筋腫や子宮がんなどの病気による出血があったときにも紛らわしく気づかない場合があります。子宮がん検診は必ず受けましょう。
 また、月経が不安定で排卵の時期も特定できません。思わぬ妊娠をしたり、月経の遅れだと思い込んでいたら、妊娠だったということもあります。正しい避妊を忘れずに。

2 気温に関係なく顔がほてったり、のぼせや大量の発汗がある
 暑くもないのに突然顔や胸のあたりがカッとほてったり、大汗をかいたりすることはありませんか?
 これをホットフラッシュといい、エストロゲン減少に伴って起こる代表的な症状です。更年期の比較的早い時期にみられます。
 人によって症状の出方も違い、1日に何度も繰り返し起こる人、何日か間をおいて起こる人もいます。
 数カ月で治まる場合がおおいのですが、中には何年も続く人もいます。このような症状は、ある時期を過ぎれば必ず治まるので心配ありません。
 ほてりやのぼせがひどく、外出がおっくうになる、人に会うことさえ気後れするなど、婦人科を受診して相談してみましょう。

3 心臓がドキドキしたり、息苦しくなるなど、動悸や息切れがよく起こる
 まず気になるのが心臓病です。また、貧血や甲状腺機能亢進症などの場合にも、動悸や息切れが起こるし、寝不足や過労が過労が重なったり、不安や心配が高じたときにも起こります。
 また、肥満が原因で起こることも。肥満は糖尿病や、動脈硬化など、さまざまな生活習慣病の引き金になるので、中高年以降は注意が必要です。
 一方、更年期症状としてみられる動悸や息切れは、自律神経の失調が原因です。エストロゲンの急激な減少や、不規則分泌が、心臓の拍動や血管の収縮などをコントロールしている自律神経の働きを乱すといわれています。
 症状が軽く、日常生活に支障がなければ治療の必要はありませんが、念のために心臓病のチェックや血圧検査を。

4 手足がひんやり冷たくなったり、腰から下が冷えやすくなった
 これまで冷えなど経験なかった人でも、更年期を迎えると手足の冷えが起こることがあります。
 これもエストロゲン減少による自律神経の失調が原因です。血管の拡張や収縮をコントロールしている自律神経の働きが乱れ、血液の循環が悪くなるために冷えが起きます。
 ほてりやのぼせをともなう”冷えのぼせ”の状態になる人も多いようです。貧血や低血圧が原因で、冷えの症状がひどくなっている場合もあるので、これらのチェックも必要です。
 毎日の生活では、冷たいものをあまりとらない、適度な運動、足温浴をする、手軽に羽織れるものを用意しておくことが大切です。なかなか症状が改善されず、つらいときは婦人科に。

5 首筋のこりや肩こり、背中の痛みが最近ひどくなった気がする
 筋肉の量が男性に比べて少ない女性は、少ない筋肉で重い頭を支えるので肩や首筋がこりやすいのです。
 若い時は肩こりがなかった人でも、中年と呼ばれるころから肩こりや首筋の凝りがひどくなることも。
 これは筋力の衰えが原因で、運動不足の人ほどつけがまわってきます。
 これを機会に体にいいことをひとつ始めてみませんか?水泳、社交ダンス、ウォーキング、ヨガなど楽しめるものでいいのです。
 適度な運動は全身の循環を良くし気分転換にも役立ちます。
 視力が低下していたり、血圧が高い場合も肩がこることがあります。視力検査で現在使っている眼鏡の度のチェックや血圧測定もしておきましょう。

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