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清熱化湿・活血・升提
乙字湯(方函口訣)
当帰 甘・辛、温(補血、行血、潤腸、調訣)
柴胡 苦、微寒(解表、解熱、疏肝解鬱、升挙陽気)
升麻 甘、辛、微寒(発表透疹、清熱解毒、昇挙陽)
黄ごん 苦、寒(清熱燥湿、瀉火解毒、安胎)
大黄 苦、寒(瀉熱通腸、清熱瀉火、行お破積)
甘草 甘、平(補脾益気、清熱解毒、潤肺止咳)

脱肛・痔核脱出に用いる処方です。
脱肛や痔核の脱出で、疼痛・出血などを伴う時に。また、外陰部のかゆみ・湿疹にも用いる。舌苔は黄賦、脈は弦滑。

清熱解毒・消散疔瘡
五味消毒飲(医宗金鑑)
金銀花 甘、寒(清熱解毒、涼血止痢、疏散風熱)
野菊花 苦,辛、微寒(清熱解毒・消腫)
蒲公英 苦・甘、寒(清熱解毒、消腫散結、利水通淋)
紫花地丁 甘・苦、寒・小毒(清熱解毒、消腫散結、利尿)
疔瘡腫毒に用いる処方です。
疔瘡腫毒:発赤・腫脹・熱感・疼痛、肌は隆起し患部が堅硬。舌苔は紅、舌苔は黄、脈は数。

清熱解毒・消散疔瘡
三金湯
金銀花 甘、寒(清熱解毒・涼血止痢、疏散風熱)
野菊花 苦・辛、微寒(清熱解毒・消腫)
蒲公英 苦・甘、寒(清熱解毒・消腫散結、利水通淋)
五味消毒飲から、清熱解毒薬3種を抜粋した処方です。発赤・腫痛など、熱性皮膚疾患に用います。

清熱解毒・活血
五物解毒湯(方輿げい)
川きゅう 辛、温(活血行気、きょ風止痛)
荊芥 辛、微温(きょ風解表、止血)
金銀花 甘、寒(清熱解毒、涼血止痢、疏散風熱)
十薬 辛、微寒(清湿熱、消溜腫)
大黄 苦、寒(瀉熱通腸、清熱瀉火、行お破積)
化膿性や掻痒性の皮膚疾患に用いる処方です。
小発疹を繰り返す場合に。

滋陰清熱
三物黄ごん湯(金匱要略)
地黄 苦、寒(清熱涼血、生津)
黄ごん 苦、寒(清熱燥湿、瀉火解毒、安胎)
苦参 苦、寒(清熱燥湿、疏風殺虫)
元来、「婦人草蓐(産褥)で、煩熱する者」に用いる処方ですが、陰虚火旺に対する基本処方と考えて良いものです。
治婦人在草蓐、能発路得風、四肢苦煩熱、頭痛者、興小柴胡湯。
頭不通痛但煩者、此湯(三物黄ごん湯)主之。《金匱要略》

疏風・清熱化湿・養血潤燥
消風散(外科正宗)
荊芥 辛、微温(きょ風解表、止血)
防風 辛・甘、微温(きょ風解表、止血)
当帰 甘・辛、温(補血、行血、潤腸、腸経)
地黄 苦、寒(清熱涼血、生津)
苦参 苦、寒(清熱燥湿、きょ風殺虫)
蒼朮 苦・辛、温(燥湿健脾、きょ風湿)
蝉退 鹹・甘、寒(疏散風熱、利咽喉、定驚癇)
胡麻仁 甘、平(潤燥滑腸、滋養肝腎)
牛蒡子 辛・苦、寒(疏散風熱、去痰止咳、清熱解毒)
知母 苦、寒(清熱瀉火、滋腎潤燥)
石膏 辛・甘、大寒(清熱瀉火、解渇、除煩)
甘草 甘、平(補脾益気、清熱解毒、潤肺止咳)
木通 苦、寒(降火利水、通乳)

炎症性で、痒みを伴う皮疹に用いる代表処方です。
風湿熱の皮疹:強い痒み(夜間増悪)、局所の発赤と熱感滲湿液が多いまたは水泡形成、身体の火照・熱感、口渇などが見られる。舌質は紅、舌苔は微黄。

発赤・熱感強い +黄連解毒湯・五物解毒湯等
水泡・浮腫・滲湿液多い  +越婢加朮湯
乾燥傾向   +温清飲

きょ風・清熱解毒・活血化湿
治頭瘡一方(香川修庵)
連翹 苦、微寒(清熱解毒)
蒼朮 苦、辛、温(乾湿健脾、きょ風湿)
川きゅう 辛、温(活血行気、きょ風止痛)
防風 辛、甘、微温(きょ風解表、きょ湿解痙、止瀉止血)
忍冬藤 甘、寒(清熱解毒、疏散風熱、清経絡風熱)
荊芥 辛、微温(きょ風解表、止血)
甘草 甘、平(補脾益気、清熱解毒、潤肺止咳)
紅花 辛、温(活血通経、きょお止痛)
大黄 苦、寒(瀉熱通陽、清熱瀉火、行お破積)
炎症・化膿傾向の皮疹に用いる処方です。
風湿熱の皮疹:かゆみ・発赤・熱感・化膿傾向・水泡や滲出物がみられる。舌質は紅、舌苔は黄、脈は数。

きょ風化湿・清熱解毒
十味敗毒湯(華岡青洲)
荊芥 辛、微温(きょ風解表、止血)
防風 辛・甘、微温(きょ風解表、きょ湿解痙、止瀉止血)
独活 辛・苦、微温(きょ風湿、通経絡)
柴胡 苦、微寒(解表、解熱、そ肝解鬱、升挙陽気)
桜皮 (和漢生薬、排膿解毒)
桔梗 苦・辛、平(清肺提気、きょ痰排膿)
川きゅう 辛、温(活血行気、きょ風止痛)
茯苓 甘、平(利水滲湿、健脾和中、寧心安神)
生姜 辛、微温(発汗解表、温中止嘔、解毒)
甘草 甘、平(補脾益気、清熱解毒、潤肺止咳)
炎症や化膿傾向のある皮疹の、初期に用いる処方です。
皮膚化膿症・湿疹・蕁麻疹などで、風湿熱を呈するものに。
江戸時代の外科医・華岡青洲の創作した処方です。


何とかしたい・してあげたい
かゆみ・皮膚病の漢方薬

アドピー性皮膚炎など、肌のかゆみに悩む方は多いもの。患者数は年々増え続けています。困った皮膚病、かゆみ、発赤などへの、漢方対応を考えます。

かゆみ、発赤、発疹
【血虚血熱】
血熱:皮膚炎・かゆみ・灼熱感のある暗紅色の発疹・口内炎・のぼせ
血虚:皮膚につやがない・頭がふらつく・目がかすむ・手足のしびれやひきつり

かゆみ、肌をかくと白い筋
【血虚生風】
皮膚は乾燥しつやがない・かゆみ(遊走性)・肌をかいた跡に白筋(少量出血、かさぶた)・発赤や滲出物はない・粃糖疹
※老人性掻痒症と表されますが、若年層にも多いもの。

痒みを防ぐ生活習慣
 肌トラブルは、血虚から起こります。血虚にならない生活習慣「夜更かしをしない」「目を酷使しない」「散歩をする」を守りながら、皮膚病薬を服用してください。上述の皮膚病薬(温清飲・消風散・当帰飲子)には、血虚治療のための補血生薬が配合されています。
 かゆみを抑えるため、「黄連解毒湯を単独で用いる」の話を耳にしますが、黄連解毒湯の薬効は清熱乾湿です。清熱の働きでかゆみ、発赤に効きますが、乾湿の働きで血虚を悪化させ、かゆみに長期苦しむ状況を作ってしまいます。

かゆみ・皮膚発赤の基本薬、再発防止・根治に!
マツウラ温清飲
かゆみ治療の基本薬です。
本剤を、1日3包・食間(空腹時)に、温湯服用します。その際必ず、かゆみ・発赤を抑えるための清熱剤(黄連解毒湯や消風散、便秘時は五物解毒湯)を併用します。清熱剤の服用量はかゆみの強さにより1〜3包間で調節します。(軽ければ1包、強ければ3包)。
 300包(100日分/30包が10袋入) 希望小売価格:オープン価格 JAN:4987457 075934
※マツウラ温清飲にはこの他、500g(83.3日分)の製剤があります。
〔効能・効果〕湿疹・皮膚炎、月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症
〔成分・分量〕3包中(大人1日量6.0g)、当帰・地黄が各20g、芍薬・川きゅう・黄ゴンが各1.5g、山梔子1.0g、黄連・黄柏が各0.75g
※「かゆみ・発赤を抑える黄連解毒湯(地熱)」と「皮膚乾燥・皮膚病根本対応の四物湯(血虚)」を併せた薬が、温清飲です。
※皮膚病再発に悩む方は、かゆみ治癒後も温清飲を継続服用ください。(1〜3包/日)。再発防止に働きます。
(女児は7歳・14歳、男児は8歳・16歳になる前年・前々年から、年単位での継続服用をします。その後の人生で再発せず、根治する可能性があります。

かゆみ・皮膚発赤の治療薬
マツウラ消風散
 肌トラブルの原因は「血虚」、温清飲(上述薬)には4種の血虚対応薬(当帰・川きゅう・芍薬・地黄)が含まれます。血虚対応薬を半分残し、(当帰・地黄)、かゆみ抑えの生薬(清熱剤)を加えたのが、消風散です。単独で用いますが、かゆみ・発赤が強い場合、清熱剤(黄連解毒湯・便秘時は五物解毒湯)を併用します。
 48包(16日分) 希望小売価格 4,300円(税別) JAN:4987457 033927
※マツウラ消風散にはこの他300包(100日分)・500g(83.3日分)の製剤があります。
〔効能・効果〕湿疹・皮膚炎、じんましん、水虫、あせも
〔成分・分量〕3包中(大人1日量6.0g)、当帰・地黄・石膏が各1.5g、防風・蒼朮・木通・牛蒡子が各1.0g、知母・胡麻が各0.75g、蝉退・苦参・荊芥・甘草が各0.5g
※利湿への配慮は少ないため、浸出液が多い・水泡状態なら越婢加朮湯を併用します。

皮膚に潤いが戻る、痒みを防ぐ
マツウラ当帰飲子
皮膚の乾燥度が強く、皮膚をかけば白い筋が残ります。
補血剤・四物湯(当帰・川きゅう・芍薬・地黄)に、かゆみ止め生薬(きょ風薬)を配合した漢方薬です。
 48包(16日分) 希望小売価格4.600円(税別) JAN:4687457 046927
 ※マツウラ当帰飲子にはこの他、300包(100日分)・500g(83.3日分)の製剤があります。
〔効能・効果〕湿疹・皮膚炎(分泌物の少ないもの)、かゆみ
〔成分・分量〕3包中(大人1日量6.0)、当帰が2.5g、地黄が2.0g、川きゅう・芍薬・防風・疾痢子が各1.5g、何首烏・1.0g、荊芥・黄耆が各0.75g、甘草0.5g
※かゆみが引いても、しばらくは服用を続けます。(再発防止のため)。

【その他皮疹に持ちる漢方薬】
@十味敗毒湯:炎症や化膿傾向を持つ皮疹の初期に用います。
A五物解毒湯:可能性の皮膚浮疾患や掻痒性皮膚疾患の、小発疹を繰り返すときに用います。(十薬・大黄を配合)。
B清上防風湯:身体上部の炎症、特に化膿性炎症に用います。(ニキビにも)



基礎がわかればおもしろい中医学(第3回)

中垣亜希子先生
国際中医師 国際中医薬膳師
東京都文京区 漢方専門 すがも薬膳薬局 店主 管理薬剤師

 前回は、中医学(中国伝統医学)と漢方医学の違いについてお話ししました。今回は、中医学の特徴についてお話しします。
 中医学は数千年の長い歴史の中で、生きた人間相手の膨大な臨床経験から得た生理学・病理学・薬学のほか、陰陽五行説などの中国古代哲学を基礎理論としてもつ、現代もなお発展し続けている中国伝統医学です。中医学は、「湯液(漢方薬)」「鍼灸」「推拿」「気功」「中医栄養学(薬膳)」と大まかに5つに分類され、すべて陰陽学説・五行学説などの中医基礎理論に基づいた医学体系となっています。
 ところで、「東洋医学」という言葉は、中医学のほか、韓医学、漢方医学、アーユルヴェーダ(インド伝統医学)、ユナニ医学(ギリシャアラビア医学)などを含むため、中医学は東洋医学のひとつになります。これに対し、西洋医学とは、現代医学(近代医学)を指します。

中医学の特徴は、@予防医学、Aバランス医学、Bオーダーメイド医学、の主に3つ
 中医学の特徴として、@予防医学(未病先防)、Aバランス医学(整体観)Bオーダーメイド医学(弁証論治)の主に3つが挙げられます。この3つの特徴は、現代医学の不足や苦手部分(領域)をカバーしています。それゆえ、中医学は現代社会において、その必要性が非常に高まっています。また、この3つの特徴は、『中医学は「病気」と「人」をみる医学である』と言われる所以でもあります。

特徴@「未病先防」〜中医学は予防医学である〜
「百の治療より一の予防」
 この言葉は、私が大学を出て働き始めて間もない頃、筆で書かれたその字を目にして、こころに沁みた思い出のある言葉です。何故、こんな当たり前のことがなかなか当たり前にならないのだろうと思った覚えがあります。
 病気の治療以上に、そもそも病気にならない=予防することこそが大切です。
 西洋医学は血液検査・画像診断・診断基準などにより、病気か否かを白黒ハッキリ分けて考えます。
それに対して、中医学では、病気と健康の間にある「半病気」「半健康」の状態、つまり、病気の一歩手前のグレーゾーンの手当てに重きをおいています。

まだ病気ではないけれども、兆候がみられ、放っておくと病気になってしまう状態を「未病」といいます。
 検査数値や画像にはあらわれず病名はつかないけれど、自覚症状に悩む方の声に耳を傾け、「未病」に気づき手当てをすることを「未病先防」といいます。
 あるいは、本人に自覚症状がなく、検査数値や画像にあらわれなくても、四診をもとに弁証すると、将来なんらかの病気の予測ができる場合があります。その場合も、体質に合った養生法、(食事や生活習慣など)を実践しながら、漢方薬で早めに体質改善するなど、適切な処置をして「未病先防」していきます。
 中国の古典医学書に、「上工は未病を治し中工は巳病を治す」という有名な言葉があります。
 これは、優れた医者は今ある病気の治療だけでなく、それによって将来起きそうな病気も予測して予防するが、平凡な医者は今ある病気のみを治す、という意味です。
 中医学では身体が発する些細なサインを拾い、病気の発症を予測して予防します。発病した場合にも早期に気づいてほかの臓腑への影響や悪循環を予防し、体質から根本的に治します。この予防医学こそが中医学の最大の特徴であり、強みと言えるでしょう。
 
 すこしでも多くの方が中医学に触れて、「未病先防」の知恵を次世代に?げていけたらと思います。
特徴A「整体観」〜中医学はバランス医学である〜
 整体観には2つ意味があり、1つは「人体の中のこと」、もう1つは「人体と自然界のこと」を表します。
 整体観 人体の中(内環境:内部の関係)
      人体と自然界(外環境:外部との関係)

(1)人体の中(内環境)における整体観
 西洋医学では病気そのものや、病気が起きている臓器・部位などに対して点的な見方をします。一方、中医学では人体を構成する各部分はつながり、生理的にも病理的にも、すべてが相互に影響し合って統一体をなしていると考えます。また、中医学では病気そのものだけでなく、心を含むからだ全体のバランスを診て調えることに重きをおきます。
 「心身一如」という有名な言葉があります。読んで字のごとく、「心と身体はひとつで、切っても切り離せない」という意味です。「病気」は「気を病む」と書くように、心の不調は身体におよび、身体の不調は精神におよびます。誰でも経験がありますよね。中医学は心と身体のバランスをとることも得意分野です。そのほか、ホルモンバランスや自律神経のバランスなども、中医学の得意分野と言えます。

(2)人体を自然界(外環境)における整体観
 人体と住環境・季節・気候といった自然界の変化は、相互に関連し合い、統一体をなしていると考えます。気圧の変化・寒暖の差で体調を崩す、夜になると症状が悪化するなど、自然界の陰陽のバランスに人体の陰陽のバランスが影響をうけるのは、人間が自然界の一部だからです。
 中医学では、(1)人体の中(内環境)、(2)人体を自然界(外環境)、この両方を良い方向に調和させることを基本としており、この考え方を「整体観」といいます。

特徴B 「弁証論治」〜中医学はオーダーメイド医学である〜
 中医学では、「弁証論治」という論理的方法を用い、患者さん一人ひとりの「証」を見極めて治療します。同じ病名・症状であっても、その人その人によって体質が異なるので、選ぶ漢方薬がまったく異なる、というのはよくあることです。[頭痛にはどの漢方がいいの?」と聞かれても即座に答えることができないのは、そのためです。

・弁証とは
 患者さんの症状・病名だけでなく、全身のさまざまな細かな情報を、そのときどきに必要な「ものさし(弁証方法)を組み合わせて分析し、「証」を確定します。
 「証」とは、病因(発病因子)や病機(発病機序)を含む、病気やからだ全体の総合分析のことをいいます。簡単にいえば、証は「もともとの体質・病の本質」とも言え、証を追究することで、病状や疾患が表れた根本原因を知ることができます。
 全身のさまざまな情報を収集するためには、「四診(望診・問診・聞診・切診の四つの診察法)」という中医学独特の診察法を用います。「四診」のよって得た患者さんの様々な情報を、弁証方法を用いて分析し「証」を定めます。
 弁証方法には「八網弁証」「気血津液弁証」「臓腑弁証」など、さまざまな方法があり、その時々に合わせて必要な弁証法を組み合わせて、弁証します。
 例えば、「爪がもろい・ドライアイ・疲れ目・夜盲症・手足のしびれ、ひきつれ(足のつりなど)・筋肉の痙攣・髪が乾燥してパサパサする・髪が細くなった・乾燥肌・立ちくらみ・めまい・唇、舌、爪が白っぽい・顔色蒼白あるいは萎黄(黄色っぽい)・女性なら、月経出血量が減る・月経周期が遅れる」などの症状を分析すると「肝血虚証」となります。
 中医学でいう「肝」は、「血(血液)」を貯蔵し、筋・爪・目と深いつながりがあり、自律神経系の調節や精神情緒系の安定をつかさどっています。
 したがって、肝に貯蔵されるはずの血液が減少すると、からだ全体に血液が行き届かず細胞に栄養が与えられないため、全身の乾燥感や月経のトラブル、筋肉の痙攣、肝と関わりのある爪や目のトラブルが同時に起きます。特に女性は、毎月の月経により大量の血液を失うため、男性に比べて血虚証になりやすい傾向にあります。

 次回は、弁証論治の流れ(論治について)お話しします。お楽しみに!




漢方医直伝!
症状別に漢方を学ぶ!


第5回
月経関連症状と更年期障害

月経が来ない、月経痛がつらい、イライラする…
月経に対する悩みは幅広く、時として生活や仕事に深刻な影響を与えることもあります。
 さらに閉経前後では更年期障害はと悩みはつながります。
体の「気」「血」「水」のバランスを整える漢方薬によるアプローチを見ていきましょう。

◎現代医学的な考察
女性の月経周期をつかさどるホルモン
女性ならではの症状といってもさまざまですが、ここでは月経関連の症状である月経不順、月経困難症、月経前症候群(PMS)と更年期症状について考えていきます。
 通常、第二次性徴を迎えた女性は一定の周期で月経を迎えます。視床下部-下垂体-卵巣が関連したホルモン周期により、子宮では内膜が刺激され
増殖することで厚くなり、卵巣では卵巣が成熟して排卵が起こり、黄体が形成されます。妊娠(受精・着床)に至らなければ、やがて厚くなった子宮内膜が剥落・排出されて、月経を迎え、新たな周期に入ります。この月経→排卵→月経という一連のリズムに伴う女性の心身の周期的な変化をつかさどるもの。それは、視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、GnRHにより下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH),黄体形成ホルモン(LH)、これらの指令を受けて主に卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)です。

女性ホルモンの働き
 エストロゲンは月経周期の前半、特に排卵前の時期に多く分泌され、女性らしさをつかさどる作用を持つホルモンです。月経周期では、成熟し始めた卵胞から分泌されて、子宮内膜を増殖させるなど受精・着床の準備を整える役割を果たします。プロゲステロンは主に排卵後、成熟卵胞が変化した黄体から分泌され、体温を上げ(基礎体温が上がるのはこの作用による)、子宮内膜を維持し妊娠を継続させる作用とともに乳腺を刺激して出産後に備える役割を持ちます。妊娠が成立しないと、両ホルモンの分泌は大きく減少し、内膜が剥がれ落ちて月経血とともに排出されます。

■月経周期
 月経不順は、月経周期のどこかに問題が生じてホルモン分泌や排卵のリズムが狂ったり、止まってしまったりすることで起こります。強度のストレスなどの精神的影響や過度のダイエット、過剰な運動といったさまざまな原因が考えられます。特に異常が見つからない場合には、治療としてホルモン薬の投与で排卵を誘発し、月経周期の回復を待つ方法が一般的でしょうか。ホルモン分泌の低下だけでなく、分泌過剰が原因と考えられる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)という病態も、月経不順の原因となります。

■月経痛、月経困難症
 月経痛は剥落した子宮内膜を排出するために生じる子宮収縮痛を主とした機能性のものと、子宮腺筋症などの内膜症、子宮筋腫などによる器質性のものがあります。また、月経時には腹痛たけでなく他の身体症状や精神症状が現れることがしばしばあります。いずれも症状が強い場合にはADL低下をもたらすため、痛みに対してはNSAIDsが用いられ、場合によってはホルモン薬を投与します。
 LEP(low dose estrogen-progestin)などのホルモン薬すなわち「低用量ピル」は排卵を止めてプロゲステロンの分泌を抑えることによりプロスタグランジンの産生を抑え、痛みを緩和します。医師の指導の下で適切に用いられれば十分に安全性も高い治療法ですが、抵抗を感じる患者さんもいらっしゃるようです。なお、月経痛が過度に出現して日常生活に支障を来し、治療が必要となる場合を月経困難症といいます。

■月経前症候群(PMS)
 月経前症候群は、月経前3〜10日の間続く頭痛、腰痛、むくみ、便秘、下痢などの身体症状や、イライラ、めまい、うつ、集中力の低下のような精神症状で、月経開始とともに消失するものをいいます。原因としては、黄体期の後半のプロゲステロンとエストロゲンの急激な低下が考えられていますが、はっきり分かっていません。他に、ビタミンや血糖の変動の関与も指摘されています。

■更年期症状
 更年期症状は卵巣から分泌されるホルモン、主にエストロゲンの低下によって起こると考えられています。女性なら誰にでも起こる生理的な現象です。のぼせ(ホットフラッシュ)や動悸などの自律神経症状や精神症状、関節痛や浮腫などの身体症状まで症状は幅広く、現れ方に個人差が大きく、その理由もなぜ起こるのかも明確には分かっていません。
 不快な症状がつよいときや、早期に起こり骨粗鬆症が懸念されるときなどは、ホルモン補充療法(HRT)が行われますが、精神症状への効果は十分ではないようです。

◎東洋医学的な考察
女性の月経と深く関わっている「肝」
 東洋医学的には、月経関連症状で見られるような症状はさまざまな要因が考えられるので、基本的には各人に合わせた隋証治療を行います。月経自体は五臓でいえば「肝」との関りが深いと考えられています。
 肝は「疏泄を主り」「血を蔵し」、「筋を主り」、「魂を蔵す」といわれ、「気血を巡らせ」「血の供給を調整し」「筋肉(腱、筋膜、靭帯も含める)の緊張を制御し」「安定した精神活動の基本」とされている機能単位です。

■月経不順
気虚・血虚の場合
当帰芍薬散 温経湯 当帰四逆加呉茱萸生姜湯 四物湯 人参湯類 補中益気湯
 もともと「冷え性」や「虚弱」などがある女性では、気虚、血虚がよく見られます。正常な排卵、月経周期を維持するエネルギーが十分でないために、不順や無月経になったりすると考えます。冷え(寒)を伴うことが多く、こららの女性では当期芍薬散、温経湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯などがよく使われます。血虚に四物湯を併用したり、人参湯類や補中益気湯などの補脾剤、八味地黄丸や六味丸などの補腎剤が必要なこともあります。

お血の場合
桂枝茯苓丸 桃核承気湯 通導散 大黄牡丹皮湯
 一方、虚弱ではないのに月経が不順な場合はお血が主に影響していることが多く、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、通導散、大黄牡丹皮湯などが用いられます。

お血と気逆・気鬱(気滞)の場合
 加味逍遥散 柴胡加竜骨牡蠣湯 加味帰脾湯 抑肝散 半夏厚朴湯 香蘇散 桂枝加竜骨牡蛎湯
 ストレスに関連して月経不順になると女性ではお血に加えて気逆、気鬱が関わってきます。加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蠣湯、加味帰脾湯、抑肝散などが適応になることがよくあります。半夏厚朴湯や香蘇散、桂枝加竜骨牡蛎湯といった気剤を用いることもあります。

■月経痛、月経困難症
芍薬甘草湯 桂枝茯苓丸 桃核承気湯 温経湯 当帰四逆加呉茱萸生姜湯 加味帰脾湯 抑肝散 竜胆瀉肝湯
 機能性の月経痛は子宮平滑筋の過剰な収縮が一因であり、筋緊張の調節作用がある芍薬甘草湯が適応となります。他方、子宮腺筋症などの内膜症、子宮筋腫などは、お血との関連が深いと考えられます。古典には「不通即痛(通じればすなわち痛む」とあり、血の滞り(お血)が痛みのもととなるのは東洋医学的には当然と考えられます。桂枝茯苓丸や桃核承気湯など先にも挙げた駆お血剤や温経湯も、月経痛の治療によく適応になります。当帰四逆加呉茱萸生姜湯もしばしば有用です。
 月経困難症では月経痛のみならず精神症状も現れますが、これも肝の失調のため「安定した精神活動」が営めなくなっていると考えれば道理です。加味逍遥散や抑肝散、時には竜胆瀉肝湯などが用いられることがあります。

■月経前症候群(PMS)
 PMSも月経周期前後の異常と考えれば、月経困難症と同様に考えられます。ただ、月経前の高温期はプロゲステロンの影響下にあるため、体温が高めであることに加えむくみやすく、水毒の影響が見られやすいよいです。桂枝茯苓丸や当期芍薬散、五積散の他、苓桂朮甘湯や連珠飲も用いられます。これらの治療は例えば不妊治療にも通じ、女性の婦人科領域の治療に共通したメカニズムです。

更年期症状は「腎」の働きの低下
 更年期は、基本的には男女を問わず五臓でいうと「腎」の衰えである「腎虚」になります。東洋医学の五臓における「腎」は「発育・生殖を主る」「骨を主る」と考えられており、実際にその衰えが老化現象、骨粗鬆症のもつながるわけです。

■更年期症状
加味逍遥散 柴胡加竜骨牡蠣湯 五積散 温経湯 桂枝加苓朮附湯
 毎月の複雑な変化がある女性では男性に比べ、ホルモン周期の消失の影響を受けやすく、腎虚症状にとどまらず、ホットフラッシュの他、心身に多彩な症状が現れます。





mk4shoho

清熱化湿・活血・升提
乙字湯(方函口訣)
当帰 甘・辛、温(補血、行血、潤腸、調訣)
柴胡 苦、微寒(解表、解熱、疏肝解鬱、升挙陽気)
升麻 甘、辛、微寒(発表透疹、清熱解毒、昇挙陽)
黄ごん 苦、寒(清熱燥湿、瀉火解毒、安胎)
大黄 苦、寒(瀉熱通腸、清熱瀉火、行お破積)
甘草 甘、平(補脾益気、清熱解毒、潤肺止咳)

脱肛・痔核脱出に用いる処方です。
脱肛や痔核の脱出で、疼痛・出血などを伴う時に。また、外陰部のかゆみ・湿疹にも用いる。舌苔は黄賦、脈は弦滑。

清熱解毒・消散疔瘡
五味消毒飲(医宗金鑑)
金銀花 甘、寒(清熱解毒、涼血止痢、疏散風熱)
野菊花 苦,辛、微寒(清熱解毒・消腫)
蒲公英 苦・甘、寒(清熱解毒、消腫散結、利水通淋)
紫花地丁 甘・苦、寒・小毒(清熱解毒、消腫散結、利尿)
疔瘡腫毒に用いる処方です。
疔瘡腫毒:発赤・腫脹・熱感・疼痛、肌は隆起し患部が堅硬。舌苔は紅、舌苔は黄、脈は数。

清熱解毒・消散疔瘡
三金湯
金銀花 甘、寒(清熱解毒・涼血止痢、疏散風熱)
野菊花 苦・辛、微寒(清熱解毒・消腫)
蒲公英 苦・甘、寒(清熱解毒・消腫散結、利水通淋)
五味消毒飲から、清熱解毒薬3種を抜粋した処方です。発赤・腫痛など、熱性皮膚疾患に用います。

清熱解毒・活血
五物解毒湯(方輿げい)
川きゅう 辛、温(活血行気、きょ風止痛)
荊芥 辛、微温(きょ風解表、止血)
金銀花 甘、寒(清熱解毒、涼血止痢、疏散風熱)
十薬 辛、微寒(清湿熱、消溜腫)
大黄 苦、寒(瀉熱通腸、清熱瀉火、行お破積)
化膿性や掻痒性の皮膚疾患に用いる処方です。
小発疹を繰り返す場合に。

滋陰清熱
三物黄ごん湯(金匱要略)
地黄 苦、寒(清熱涼血、生津)
黄ごん 苦、寒(清熱燥湿、瀉火解毒、安胎)
苦参 苦、寒(清熱燥湿、疏風殺虫)
元来、「婦人草蓐(産褥)で、煩熱する者」に用いる処方ですが、陰虚火旺に対する基本処方と考えて良いものです。
治婦人在草蓐、能発路得風、四肢苦煩熱、頭痛者、興小柴胡湯。
頭不通痛但煩者、此湯(三物黄ごん湯)主之。《金匱要略》

疏風・清熱化湿・養血潤燥
消風散(外科正宗)
荊芥 辛、微温(きょ風解表、止血)
防風 辛・甘、微温(きょ風解表、止血)
当帰 甘・辛、温(補血、行血、潤腸、腸経)
地黄 苦、寒(清熱涼血、生津)
苦参 苦、寒(清熱燥湿、きょ風殺虫)
蒼朮 苦・辛、温(燥湿健脾、きょ風湿)
蝉退 鹹・甘、寒(疏散風熱、利咽喉、定驚癇)
胡麻仁 甘、平(潤燥滑腸、滋養肝腎)
牛蒡子 辛・苦、寒(疏散風熱、去痰止咳、清熱解毒)
知母 苦、寒(清熱瀉火、滋腎潤燥)
石膏 辛・甘、大寒(清熱瀉火、解渇、除煩)
甘草 甘、平(補脾益気、清熱解毒、潤肺止咳)
木通 苦、寒(降火利水、通乳)

炎症性で、痒みを伴う皮疹に用いる代表処方です。
風湿熱の皮疹:強い痒み(夜間増悪)、局所の発赤と熱感滲湿液が多いまたは水泡形成、身体の火照・熱感、口渇などが見られる。舌質は紅、舌苔は微黄。

発赤・熱感強い +黄連解毒湯・五物解毒湯等
水泡・浮腫・滲湿液多い  +越婢加朮湯
乾燥傾向   +温清飲

きょ風・清熱解毒・活血化湿
治頭瘡一方(香川修庵)
連翹 苦、微寒(清熱解毒)
蒼朮 苦、辛、温(乾湿健脾、きょ風湿)
川きゅう 辛、温(活血行気、きょ風止痛)
防風 辛、甘、微温(きょ風解表、きょ湿解痙、止瀉止血)
忍冬藤 甘、寒(清熱解毒、疏散風熱、清経絡風熱)
荊芥 辛、微温(きょ風解表、止血)
甘草 甘、平(補脾益気、清熱解毒、潤肺止咳)
紅花 辛、温(活血通経、きょお止痛)
大黄 苦、寒(瀉熱通陽、清熱瀉火、行お破積)
炎症・化膿傾向の皮疹に用いる処方です。
風湿熱の皮疹:かゆみ・発赤・熱感・化膿傾向・水泡や滲出物がみられる。舌質は紅、舌苔は黄、脈は数。

きょ風化湿・清熱解毒
十味敗毒湯(華岡青洲)
荊芥 辛、微温(きょ風解表、止血)
防風 辛・甘、微温(きょ風解表、きょ湿解痙、止瀉止血)
独活 辛・苦、微温(きょ風湿、通経絡)
柴胡 苦、微寒(解表、解熱、そ肝解鬱、升挙陽気)
桜皮 (和漢生薬、排膿解毒)
桔梗 苦・辛、平(清肺提気、きょ痰排膿)
川きゅう 辛、温(活血行気、きょ風止痛)
茯苓 甘、平(利水滲湿、健脾和中、寧心安神)
生姜 辛、微温(発汗解表、温中止嘔、解毒)
甘草 甘、平(補脾益気、清熱解毒、潤肺止咳)
炎症や化膿傾向のある皮疹の、初期に用いる処方です。
皮膚化膿症・湿疹・蕁麻疹などで、風湿熱を呈するものに。
江戸時代の外科医・華岡青洲の創作した処方です。


何とかしたい・してあげたい
かゆみ・皮膚病の漢方薬

アドピー性皮膚炎など、肌のかゆみに悩む方は多いもの。患者数は年々増え続けています。困った皮膚病、かゆみ、発赤などへの、漢方対応を考えます。

かゆみ、発赤、発疹
【血虚血熱】
血熱:皮膚炎・かゆみ・灼熱感のある暗紅色の発疹・口内炎・のぼせ
血虚:皮膚につやがない・頭がふらつく・目がかすむ・手足のしびれやひきつり

かゆみ、肌をかくと白い筋
【血虚生風】
皮膚は乾燥しつやがない・かゆみ(遊走性)・肌をかいた跡に白筋(少量出血、かさぶた)・発赤や滲出物はない・粃糖疹
※老人性掻痒症と表されますが、若年層にも多いもの。

痒みを防ぐ生活習慣
 肌トラブルは、血虚から起こります。血虚にならない生活習慣「夜更かしをしない」「目を酷使しない」「散歩をする」を守りながら、皮膚病薬を服用してください。上述の皮膚病薬(温清飲・消風散・当帰飲子)には、血虚治療のための補血生薬が配合されています。
 かゆみを抑えるため、「黄連解毒湯を単独で用いる」の話を耳にしますが、黄連解毒湯の薬効は清熱乾湿です。清熱の働きでかゆみ、発赤に効きますが、乾湿の働きで血虚を悪化させ、かゆみに長期苦しむ状況を作ってしまいます。

かゆみ・皮膚発赤の基本薬、再発防止・根治に!
マツウラ温清飲
かゆみ治療の基本薬です。
本剤を、1日3包・食間(空腹時)に、温湯服用します。その際必ず、かゆみ・発赤を抑えるための清熱剤(黄連解毒湯や消風散、便秘時は五物解毒湯)を併用します。清熱剤の服用量はかゆみの強さにより1〜3包間で調節します。(軽ければ1包、強ければ3包)。
 300包(100日分/30包が10袋入) 希望小売価格:オープン価格 JAN:4987457 075934
※マツウラ温清飲にはこの他、500g(83.3日分)の製剤があります。
〔効能・効果〕湿疹・皮膚炎、月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症
〔成分・分量〕3包中(大人1日量6.0g)、当帰・地黄が各20g、芍薬・川きゅう・黄ゴンが各1.5g、山梔子1.0g、黄連・黄柏が各0.75g
※「かゆみ・発赤を抑える黄連解毒湯(地熱)」と「皮膚乾燥・皮膚病根本対応の四物湯(血虚)」を併せた薬が、温清飲です。
※皮膚病再発に悩む方は、かゆみ治癒後も温清飲を継続服用ください。(1〜3包/日)。再発防止に働きます。
(女児は7歳・14歳、男児は8歳・16歳になる前年・前々年から、年単位での継続服用をします。その後の人生で再発せず、根治する可能性があります。

かゆみ・皮膚発赤の治療薬
マツウラ消風散
 肌トラブルの原因は「血虚」、温清飲(上述薬)には4種の血虚対応薬(当帰・川きゅう・芍薬・地黄)が含まれます。血虚対応薬を半分残し、(当帰・地黄)、かゆみ抑えの生薬(清熱剤)を加えたのが、消風散です。単独で用いますが、かゆみ・発赤が強い場合、清熱剤(黄連解毒湯・便秘時は五物解毒湯)を併用します。
 48包(16日分) 希望小売価格 4,300円(税別) JAN:4987457 033927
※マツウラ消風散にはこの他300包(100日分)・500g(83.3日分)の製剤があります。
〔効能・効果〕湿疹・皮膚炎、じんましん、水虫、あせも
〔成分・分量〕3包中(大人1日量6.0g)、当帰・地黄・石膏が各1.5g、防風・蒼朮・木通・牛蒡子が各1.0g、知母・胡麻が各0.75g、蝉退・苦参・荊芥・甘草が各0.5g
※利湿への配慮は少ないため、浸出液が多い・水泡状態なら越婢加朮湯を併用します。

皮膚に潤いが戻る、痒みを防ぐ
マツウラ当帰飲子
皮膚の乾燥度が強く、皮膚をかけば白い筋が残ります。
補血剤・四物湯(当帰・川きゅう・芍薬・地黄)に、かゆみ止め生薬(きょ風薬)を配合した漢方薬です。
 48包(16日分) 希望小売価格4.600円(税別) JAN:4687457 046927
 ※マツウラ当帰飲子にはこの他、300包(100日分)・500g(83.3日分)の製剤があります。
〔効能・効果〕湿疹・皮膚炎(分泌物の少ないもの)、かゆみ
〔成分・分量〕3包中(大人1日量6.0)、当帰が2.5g、地黄が2.0g、川きゅう・芍薬・防風・疾痢子が各1.5g、何首烏・1.0g、荊芥・黄耆が各0.75g、甘草0.5g
※かゆみが引いても、しばらくは服用を続けます。(再発防止のため)。

【その他皮疹に持ちる漢方薬】
@十味敗毒湯:炎症や化膿傾向を持つ皮疹の初期に用います。
A五物解毒湯:可能性の皮膚浮疾患や掻痒性皮膚疾患の、小発疹を繰り返すときに用います。(十薬・大黄を配合)。
B清上防風湯:身体上部の炎症、特に化膿性炎症に用います。(ニキビにも)






基礎がわかればおもしろい中医学(第3回)

 前回は、中医学(中国伝統医学)と漢方医学の違いについてお話ししました。今回は、中医学の特徴についてお話しします。
 中医学は数千年の長い歴史の中で、生きた人間相手の膨大な臨床経験から得た生理学・病理学・薬学のほか、陰陽五行説などの中国古代哲学を基礎理論としてもつ、現代もなお発展し続けている中国伝統医学です。中医学は、「湯液(漢方薬)」「鍼灸」「推拿」「気功」「中医栄養学(薬膳)」と大まかに5つに分類され、すべて陰陽学説・五行学説などの中医基礎理論に基づいた医学体系となっています。
 ところで、「東洋医学」という言葉は、中医学のほか、韓医学、漢方医学、アーユルヴェーダ(インド伝統医学)、ユナニ医学(ギリシャアラビア医学)などを含むため、中医学は東洋医学のひとつになります。これに対し、西洋医学とは、現代医学(近代医学)を指します。

中医学の特徴は、@予防医学、Aバランス医学、Bオーダーメイド医学、の主に3つ
 中医学の特徴として、@予防医学(未病先防)、Aバランス医学(整体観)Bオーダーメイド医学(弁証論治)の主に3つが挙げられます。この3つの特徴は、現代医学の不足や苦手部分(領域)をカバーしています。それゆえ、中医学は現代社会において、その必要性が非常に高まっています。また、この3つの特徴は、『中医学は「病気」と「人」をみる医学である』と言われる所以でもあります。

特徴@「未病先防」〜中医学は予防医学である〜
「百の治療より一の予防」
 この言葉は、私が大学を出て働き始めて間もない頃、筆で書かれたその字を目にして、こころに沁みた思い出のある言葉です。何故、こんな当たり前のことがなかなか当たり前にならないのだろうと思った覚えがあります。
 病気の治療以上に、そもそも病気にならない=予防することこそが大切です。
 西洋医学は血液検査・画像診断・診断基準などにより、病気か否かを白黒ハッキリ分けて考えます。
それに対して、中医学では、病気と健康の間にある「半病気」「半健康」の状態、つまり、病気の一歩手前のグレーゾーンの手当てに重きをおいています。

まだ病気ではないけれども、兆候がみられ、放っておくと病気になってしまう状態を「未病」といいます。
 検査数値や画像にはあらわれず病名はつかないけれど、自覚症状に悩む方の声に耳を傾け、「未病」に気づき手当てをすることを「未病先防」といいます。
 あるいは、本人に自覚症状がなく、検査数値や画像にあらわれなくても、四診をもとに弁証すると、将来なんらかの病気の予測ができる場合があります。その場合も、体質に合った養生法、(食事や生活習慣など)を実践しながら、漢方薬で早めに体質改善するなど、適切な処置をして「未病先防」していきます。
 中国の古典医学書に、「上工は未病を治し中工は巳病を治す」という有名な言葉があります。
 これは、優れた医者は今ある病気の治療だけでなく、それによって将来起きそうな病気も予測して予防するが、平凡な医者は今ある病気のみを治す、という意味です。
 中医学では身体が発する些細なサインを拾い、病気の発症を予測して予防します。発病した場合にも早期に気づいてほかの臓腑への影響や悪循環を予防し、体質から根本的に治します。この予防医学こそが中医学の最大の特徴であり、強みと言えるでしょう。
 
 すこしでも多くの方が中医学に触れて、「未病先防」の知恵を次世代に?げていけたらと思います。
特徴A「整体観」〜中医学はバランス医学である〜
 整体観には2つ意味があり、1つは「人体の中のこと」、もう1つは「人体と自然界のこと」を表します。
 整体観 人体の中(内環境:内部の関係)
      人体と自然界(外環境:外部との関係)

(1)人体の中(内環境)における整体観
 西洋医学では病気そのものや、病気が起きている臓器・部位などに対して点的な見方をします。一方、中医学では人体を構成する各部分はつながり、生理的にも病理的にも、すべてが相互に影響し合って統一体をなしていると考えます。また、中医学では病気そのものだけでなく、心を含むからだ全体のバランスを診て調えることに重きをおきます。
 「心身一如」という有名な言葉があります。読んで字のごとく、「心と身体はひとつで、切っても切り離せない」という意味です。「病気」は「気を病む」と書くように、心の不調は身体におよび、身体の不調は精神におよびます。誰でも経験がありますよね。中医学は心と身体のバランスをとることも得意分野です。そのほか、ホルモンバランスや自律神経のバランスなども、中医学の得意分野と言えます。

(2)人体を自然界(外環境)における整体観
 人体と住環境・季節・気候といった自然界の変化は、相互に関連し合い、統一体をなしていると考えます。気圧の変化・寒暖の差で体調を崩す、夜になると症状が悪化するなど、自然界の陰陽のバランスに人体の陰陽のバランスが影響をうけるのは、人間が自然界の一部だからです。
 中医学では、(1)人体の中(内環境)、(2)人体を自然界(外環境)、この両方を良い方向に調和させることを基本としており、この考え方を「整体観」といいます。

特徴B 「弁証論治」〜中医学はオーダーメイド医学である〜
 中医学では、「弁証論治」という論理的方法を用い、患者さん一人ひとりの「証」を見極めて治療します。同じ病名・症状であっても、その人その人によって体質が異なるので、選ぶ漢方薬がまったく異なる、というのはよくあることです。[頭痛にはどの漢方がいいの?」と聞かれても即座に答えることができないのは、そのためです。

・弁証とは
 患者さんの症状・病名だけでなく、全身のさまざまな細かな情報を、そのときどきに必要な「ものさし(弁証方法)を組み合わせて分析し、「証」を確定します。
 「証」とは、病因(発病因子)や病機(発病機序)を含む、病気やからだ全体の総合分析のことをいいます。簡単にいえば、証は「もともとの体質・病の本質」とも言え、証を追究することで、病状や疾患が表れた根本原因を知ることができます。
 全身のさまざまな情報を収集するためには、「四診(望診・問診・聞診・切診の四つの診察法)」という中医学独特の診察法を用います。「四診」のよって得た患者さんの様々な情報を、弁証方法を用いて分析し「証」を定めます。
 弁証方法には「八網弁証」「気血津液弁証」「臓腑弁証」など、さまざまな方法があり、その時々に合わせて必要な弁証法を組み合わせて、弁証します。
 例えば、「爪がもろい・ドライアイ・疲れ目・夜盲症・手足のしびれ、ひきつれ(足のつりなど)・筋肉の痙攣・髪が乾燥してパサパサする・髪が細くなった・乾燥肌・立ちくらみ・めまい・唇、舌、爪が白っぽい・顔色蒼白あるいは萎黄(黄色っぽい)・女性なら、月経出血量が減る・月経周期が遅れる」などの症状を分析すると「肝血虚証」となります。
 中医学でいう「肝」は、「血(血液)」を貯蔵し、筋・爪・目と深いつながりがあり、自律神経系の調節や精神情緒系の安定をつかさどっています。
 したがって、肝に貯蔵されるはずの血液が減少すると、からだ全体に血液が行き届かず細胞に栄養が与えられないため、全身の乾燥感や月経のトラブル、筋肉の痙攣、肝と関わりのある爪や目のトラブルが同時に起きます。特に女性は、毎月の月経により大量の血液を失うため、男性に比べて血虚証になりやすい傾向にあります。

 次回は、弁証論治の流れ(論治について)お話しします。お楽しみに!







漢方医直伝!
症状別に漢方を学ぶ!


第5回
月経関連症状と更年期障害

月経が来ない、月経痛がつらい、イライラする…
月経に対する悩みは幅広く、時として生活や仕事に深刻な影響を与えることもあります。
 さらに閉経前後では更年期障害はと悩みはつながります。
体の「気」「血」「水」のバランスを整える漢方薬によるアプローチを見ていきましょう。

◎現代医学的な考察
女性の月経周期をつかさどるホルモン
女性ならではの症状といってもさまざまですが、ここでは月経関連の症状である月経不順、月経困難症、月経前症候群(PMS)と更年期症状について考えていきます。
 通常、第二次性徴を迎えた女性は一定の周期で月経を迎えます。視床下部-下垂体-卵巣が関連したホルモン周期により、子宮では内膜が刺激され
増殖することで厚くなり、卵巣では卵巣が成熟して排卵が起こり、黄体が形成されます。妊娠(受精・着床)に至らなければ、やがて厚くなった子宮内膜が剥落・排出されて、月経を迎え、新たな周期に入ります。この月経→排卵→月経という一連のリズムに伴う女性の心身の周期的な変化をつかさどるもの。それは、視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、GnRHにより下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH),黄体形成ホルモン(LH)、これらの指令を受けて主に卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)です。

女性ホルモンの働き
 エストロゲンは月経周期の前半、特に排卵前の時期に多く分泌され、女性らしさをつかさどる作用を持つホルモンです。月経周期では、成熟し始めた卵胞から分泌されて、子宮内膜を増殖させるなど受精・着床の準備を整える役割を果たします。プロゲステロンは主に排卵後、成熟卵胞が変化した黄体から分泌され、体温を上げ(基礎体温が上がるのはこの作用による)、子宮内膜を維持し妊娠を継続させる作用とともに乳腺を刺激して出産後に備える役割を持ちます。妊娠が成立しないと、両ホルモンの分泌は大きく減少し、内膜が剥がれ落ちて月経血とともに排出されます。

■月経周期
 月経不順は、月経周期のどこかに問題が生じてホルモン分泌や排卵のリズムが狂ったり、止まってしまったりすることで起こります。強度のストレスなどの精神的影響や過度のダイエット、過剰な運動といったさまざまな原因が考えられます。特に異常が見つからない場合には、治療としてホルモン薬の投与で排卵を誘発し、月経周期の回復を待つ方法が一般的でしょうか。ホルモン分泌の低下だけでなく、分泌過剰が原因と考えられる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)という病態も、月経不順の原因となります。

■月経痛、月経困難症
 月経痛は剥落した子宮内膜を排出するために生じる子宮収縮痛を主とした機能性のものと、子宮腺筋症などの内膜症、子宮筋腫などによる器質性のものがあります。また、月経時には腹痛たけでなく他の身体症状や精神症状が現れることがしばしばあります。いずれも症状が強い場合にはADL低下をもたらすため、痛みに対してはNSAIDsが用いられ、場合によってはホルモン薬を投与します。
 LEP(low dose estrogen-progestin)などのホルモン薬すなわち「低用量ピル」は排卵を止めてプロゲステロンの分泌を抑えることによりプロスタグランジンの産生を抑え、痛みを緩和します。医師の指導の下で適切に用いられれば十分に安全性も高い治療法ですが、抵抗を感じる患者さんもいらっしゃるようです。なお、月経痛が過度に出現して日常生活に支障を来し、治療が必要となる場合を月経困難症といいます。

■月経前症候群(PMS)
 月経前症候群は、月経前3〜10日の間続く頭痛、腰痛、むくみ、便秘、下痢などの身体症状や、イライラ、めまい、うつ、集中力の低下のような精神症状で、月経開始とともに消失するものをいいます。原因としては、黄体期の後半のプロゲステロンとエストロゲンの急激な低下が考えられていますが、はっきり分かっていません。他に、ビタミンや血糖の変動の関与も指摘されています。

■更年期症状
 更年期症状は卵巣から分泌されるホルモン、主にエストロゲンの低下によって起こると考えられています。女性なら誰にでも起こる生理的な現象です。のぼせ(ホットフラッシュ)や動悸などの自律神経症状や精神症状、関節痛や浮腫などの身体症状まで症状は幅広く、現れ方に個人差が大きく、その理由もなぜ起こるのかも明確には分かっていません。
 不快な症状がつよいときや、早期に起こり骨粗鬆症が懸念されるときなどは、ホルモン補充療法(HRT)が行われますが、精神症状への効果は十分ではないようです。

◎東洋医学的な考察
女性の月経と深く関わっている「肝」
 東洋医学的には、月経関連症状で見られるような症状はさまざまな要因が考えられるので、基本的には各人に合わせた隋証治療を行います。月経自体は五臓でいえば「肝」との関りが深いと考えられています。
 肝は「疏泄を主り」「血を蔵し」、「筋を主り」、「魂を蔵す」といわれ、「気血を巡らせ」「血の供給を調整し」「筋肉(腱、筋膜、靭帯も含める)の緊張を制御し」「安定した精神活動の基本」とされている機能単位です。

■月経不順
気虚・血虚の場合
当帰芍薬散 温経湯 当帰四逆加呉茱萸生姜湯 四物湯 人参湯類 補中益気湯
 もともと「冷え性」や「虚弱」などがある女性では、気虚、血虚がよく見られます。正常な排卵、月経周期を維持するエネルギーが十分でないために、不順や無月経になったりすると考えます。冷え(寒)を伴うことが多く、こららの女性では当期芍薬散、温経湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯などがよく使われます。血虚に四物湯を併用したり、人参湯類や補中益気湯などの補脾剤、八味地黄丸や六味丸などの補腎剤が必要なこともあります。

お血の場合
桂枝茯苓丸 桃核承気湯 通導散 大黄牡丹皮湯
 一方、虚弱ではないのに月経が不順な場合はお血が主に影響していることが多く、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、通導散、大黄牡丹皮湯などが用いられます。

お血と気逆・気鬱(気滞)の場合
 加味逍遥散 柴胡加竜骨牡蠣湯 加味帰脾湯 抑肝散 半夏厚朴湯 香蘇散 桂枝加竜骨牡蛎湯
 ストレスに関連して月経不順になると女性ではお血に加えて気逆、気鬱が関わってきます。加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蠣湯、加味帰脾湯、抑肝散などが適応になることがよくあります。半夏厚朴湯や香蘇散、桂枝加竜骨牡蛎湯といった気剤を用いることもあります。

■月経痛、月経困難症
芍薬甘草湯 桂枝茯苓丸 桃核承気湯 温経湯 当帰四逆加呉茱萸生姜湯 加味帰脾湯 抑肝散 竜胆瀉肝湯
 機能性の月経痛は子宮平滑筋の過剰な収縮が一因であり、筋緊張の調節作用がある芍薬甘草湯が適応となります。他方、子宮腺筋症などの内膜症、子宮筋腫などは、お血との関連が深いと考えられます。古典には「不通即痛(通じればすなわち痛む」とあり、血の滞り(お血)が痛みのもととなるのは東洋医学的には当然と考えられます。桂枝茯苓丸や桃核承気湯など先にも挙げた駆お血剤や温経湯も、月経痛の治療によく適応になります。当帰四逆加呉茱萸生姜湯もしばしば有用です。
 月経困難症では月経痛のみならず精神症状も現れますが、これも肝の失調のため「安定した精神活動」が営めなくなっていると考えれば道理です。加味逍遥散や抑肝散、時には竜胆瀉肝湯などが用いられることがあります。

■月経前症候群(PMS)
 PMSも月経周期前後の異常と考えれば、月経困難症と同様に考えられます。ただ、月経前の高温期はプロゲステロンの影響下にあるため、体温が高めであることに加えむくみやすく、水毒の影響が見られやすいよいです。桂枝茯苓丸や当期芍薬散、五積散の他、苓桂朮甘湯や連珠飲も用いられます。これらの治療は例えば不妊治療にも通じ、女性の婦人科領域の治療に共通したメカニズムです。

更年期症状は「腎」の働きの低下
 更年期は、基本的には男女を問わず五臓でいうと「腎」の衰えである「腎虚」になります。東洋医学の五臓における「腎」は「発育・生殖を主る」「骨を主る」と考えられており、実際にその衰えが老化現象、骨粗鬆症のもつながるわけです。

■更年期症状
加味逍遥散 柴胡加竜骨牡蠣湯 五積散 温経湯 桂枝加苓朮附湯
 毎月の複雑な変化がある女性では男性に比べ、ホルモン周期の消失の影響を受けやすく、腎虚症状にとどまらず、ホットフラッシュの他、心身に多彩な症状が現れます。
 腎虚の症状として、抑うつ傾向や気力の低下が見られれば補腎剤が用いられます。むしろ問題になるのは自律神経症状や身体症状で、これらは気逆・気鬱や血虚、お血、水滞などが、しばしば非常に複雑に絡み合っています。加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蠣湯などの他、多彩な作用を持つ五積散や温経湯、ときには桂枝加朮附湯といった方剤も用いられます。

◎婦人科領域で活躍する漢方薬
 婦人科領域では漢方薬が使われる機会は多く、頻用される処方も多いのですが、特に処方番号の連続した「23.24.25」(当期芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸)の3処方は、漢方脾専門の医師でも頻繁に使用されます。他にも、漢方薬の書籍では温経湯、桃核承気湯、女神散などが記載されていることが多いようです。

東洋医学の考え方を知りたい!
「生理痛=芍薬甘草湯」は病名治療?
 女性の体はひと月の間で大きく変化し、更年期にはさらに大きく変化します。この変化は個人差が大きく、患者さんの時々の状態変化も考慮して治療を行いますが、激しい月経痛に対しては標治的に、たとえば芍薬甘草湯を用いたりします。
これは一見「生理痛=芍薬甘草湯」と病名治療的で安直にも見えますが、痛みだけでなく精神症状なども考えて「月経による肝の失調からきている」と考えて処方される場合は、立派な隋証治療といえます。

「本治」も「標治」も隋証治療
 一般に標治というのは病名治療と混同されがちですが、類義語は「対症療法」です。本治も標治も、東洋医学的な病態把握や考えに基づいてなされる場合は隋証治療です。病名治療というのは、隋証治療と対を成す言葉と考えればよいでしょう。東洋医学の概念でなく、現代医学的な「病名」から東洋医学の薬である漢方薬を用いるとうまくいかないことも起こりがちです。
 もっともこれは現代医学でも同じで、「胃痛ならH2ブロッカー」などと処方し、その「胃痛」が実は生理痛であったり、盲腸(虫垂炎)であれば、全く見当外れですね。現代医学でも東洋医学でも、病態をきちんと把握して治療を行うことが基本であるのは同じなのです。







































































































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