koko2ro

心の病気の種類
うつ病(単極性気分障害)
「落ち込み」「憂うつ」といった感情低下に苦しみ、睡眠障害、食欲不振、集中力の低下などの精神・身体症状が現れる。

どんな病気?
ひとことに「うつ病」といっても原因や病態はさまざま
 ふつうは健康な心の状態でも、何かショックなことが起きると、落ち込み、悲嘆、自信喪失といった、憂うつな気分が優勢になりますが、時間の経過や楽しい出来事などがきっかけになり、再び元気な心に戻ります。ところがうつ病になると、心理的な原因の有無にかかわらず、落ち込み、憂うつ、何をするのもおっくう、イライラといった気分や感情の低下が続きます。人によっては、一度治癒しても、一生に数回起こることもあります。((反復性、または周期性うつ病)
 また、うつ病にはかかりやすいたいぷがあるといわれ、生真面目、几帳面、バカ正直、仕事人間、優等生、人からの借りが気になる人などの性格傾向を持つ人に多いようです。
 また、ひとことにうつ病といっても病態、原因もさまざまです。

主なうつ病のタイプ
内因性うつ病
心因性、または反応性うつ病
身体性うつ病

うつ病になりやすいタイプ
メランコリー親和性タイプ
執着気質タイプ
循環気質タイプ

症状
憂うつ気分を基礎にした心と体の症状が現れる 

うつ病になると、次のような症状が現れます。


気分や意欲の低下
 たいていは、中〜長期にわたる睡眠障害ののちに、憂うつで重苦しい気分と、不安感や焦燥感が現れます。自分が価値のない人間のように思えたり、過去を悔いたり将来を悲観的に考えたりといった症状が続きます。突然理由もなく涙が止まらなくなったり、自分が劣等感の固まりのように感じることもあります。
 そのため、外出や人との接触を避け、人と話すのもつらく苦しいような感じがします。一日のうちでは、朝のうちにこうしたうつ状態が強く現れ、時間とともに少しずつ軽くなり、夕方には軽くなるパターンをたどることがあります。
考えがまとまらない
 テレビを見たり新聞や本を読んでも集中できず、会社員の場合は、会議の内容についていけなくなる、主婦の場合は、買い物が決まらない、料理の手順がわからなくなったりすることがあります。
 考えがまとまらないことが続くと、自分の能力のなさは自分のせいだと思い、自分を責めるようになり「こんな自分は生きている価値がない」などと思い詰め、自殺したくなることもあります。
物忘れが多くなる
 目的の場所を通り過ぎたり、待ち合わせ時間を忘れる、電車やバスを乗り過ごすなど、ちょっとした度忘れが目立つようになります。
睡眠・食欲の障害
 仕事も家事も、何をするのもおっくうになり、朝起きられない、おなかが空いているような気がするのに食事をとる気が起きない、眠りたいのに眠れないなどの症状が現れます。
 うつ病による睡眠障害は、夜中や明け方に目が覚めて、そのまま朝まで寝られない、というタイプが多いようです。
身体の症状
 人によっては、のどがやたらと渇く、頭痛、頭重感、手足の震え、動機や息切れ、頑固な便秘、インポテンツ、女性の場合は、立ちくらみ、生理不順、無月経、体の冷感などを訴えることもあります。
 うつ病の症状は、このようにありふれた症状であるため、多くの人は体の不調が原因と思い、内科や婦人科を受診し、いつまでも治らないことからまわりまわって精神科受診になります。

受診のめやす
早期受診が早期回復のカギ。体の症状にも注意を

周囲の人の反応
「自殺の防止」を念頭に。励ましや叱咤激励は禁物

その他のうつ病
季節性うつ病
引っ越しうつ病
荷下ろしうつ病
仮面うつ病
軽症うつ病
産後うつ病
疲憊うつ病
退行期うつ病

うつ病類縁疾患
燃え尽き症候群
アパシー・シンドローム
退職症候群

躁うつ病(双極性気分障害)
落ち込み、憂うつといったうつ状態と、気分がハイになる躁状態とが交互に現れる。社会生活での困難を招くことが多い。
どんな病気?
躁うつ病は、大きく3つのタイプに分けられる

喜怒哀楽という感情の変化はだれにでもあることですが、悲嘆や落ち込み、気分の高まりが、普通に体験する出来事にしては強く現れすぎたり、出来事とは無関係に感情の変化が現れ、自分でコントロールできなくなります。これが躁うつ病の特徴です。
 躁うつ病は3つに分けられ、躁とうつ状態の両方が相互に現れるもの(循環型)と、うつ症状が主体のもの(うつ病型)、躁状態だけが現れるもの(単極型躁病)があります。
 躁うつ病になると対人関係や仕事の遂行能力が損なわれ、家族もいろいろなトラブルに巻き込まれることがあり、。みずからも苦しむことになります。
 発症頻度は、うつ病相を主体とする躁うつ病、躁病相とうつ病相が交代する循環型、単極型躁病の順に多く、病因はセロトニンやノルアドレナリンなど、脳内の神経伝達物質の量の病的な変化や、これあrに反応する部位の異常、遺伝、ホルモン代謝異常、それに心理・社会的諸要因などが複雑にからみあって発症するといわれています。しかし、本当のところはまだ解明されていません。
 また、まれに躁病相とうつ病相が短時間で激しく交代するタイプ(ラピッド・サイクラー)があります。

症状
 双極型では極端に爽快な気分と、憂うつな気分を相互に体験する
 躁状態とうつ状態が交互に現れる躁うつ病では、うつ状態と躁状態が同じくらいの間隔でやってくるもの、うつ状態が長くて、躁状態が短いものやその逆のケースなど、いろいろなパターンがあります。
 躁状態になると、すべてが楽観的になり、気分は爽快で気力が充実し、睡眠時間が少なくても元気に過ごせます。口数が増え、しゃべり方も流れるようにスムーズになり、あらゆるものに興味を示します。表情もいきいきとし、自分が偉くなったような、何でもできそうだという誇大妄想に陥ります。
 自分が大金持ちになったような気持ちになり、非常識的な浪費(乱買)、ギャンブルなどに走り、問題を起こすこともあります。思考、行動面でも抑制が利かなくなり、考えが次から次へと湧き出し、朝から晩まで友人を訪ね歩いたり、深夜でもおかまいなく電話をかけて話をします。こうしたことを非難されるとささいなことでも興奮し、攻撃的になります。
 さらに症状が進むと、落ち着いていられず、大声で歌を歌ったり、踊りまくったりするという行動もみられます。
 こうしたことを周囲から非難されたり、無理やり抑えつけようとすると激しい興奮状態になり、乱暴することもあります。
 躁からうつに移行する境目や躁とうつの混じった状態(混合状態)では感情、思考、意欲などがバラバラになり、不機嫌で怒りっぽくなることが多くなります。また、うつ状態になると、うつ病の症状が現れます。

受診のめやす
受診をおくるほど、回復のチャンスを逃す

周囲の人の対応
自己・他者判断で薬を中止しない

躁うつ病によく似た病気
反応性躁状態
慢性気分変調症


精神分裂病
幻覚、幻聴、妄想、奇異な行動などが現れ、自分が病気だという認識がない。

どんな病気?
人口の0.5〜1%が発病するという説もある、珍しくない病気
 精神分裂病は、人口の約0.5〜1%が発病するといわれ、心の病気の中でもよく知られている疾患です。原因は、今のところよくわかっていませんが、最近の研究では、主として脳内のドーパミンという神経伝達物質が過剰に分泌されすぎ、情報処理がうまくいかなくなる、という説が挙げあれアています。
 こうした内的な因子に、精神的ストレスなどの外的因子が複雑に絡まって発病するといわれます。
 精神分裂病のタイプ
 精神分裂病は症状の現れ方によって「破瓜型」「緊張型」「妄想型」「残遺型」の4つに分類されます。
 日本では、「破瓜型」に分類される患者が多いといわれます。

■破瓜型
 思春期頃の発病が多く、初期は幻覚、妄想といわれる体験は少なく、喜怒哀楽に乏しい、物事に対する意欲や関心がなくなる、周囲の状況にも無関心になるといった症状が現れます。たとえば「学校に行きたがらない」「入浴したがらなくなった」など、日常的にしていたことをしなくなります。周囲には「元気がない」「疲れているようだ」と映ることが多く、病気の発見に結び付きにくいため、知らぬ間に進行してしまいます。進行すると、急に妄想が現れたり興奮したり、会話にまとまりがなくなるなどの症状が出て、はじめて病気とわかることが多いようです。
■緊張型
 特別に興奮する理由もないのに、突然興奮したり、落ち着きなく動き回ったり、大声を出したり、しゃべり続けたりします。その一方で、動きが鈍くなることもあります。
 他人の勧めや言葉を拒絶する態度をとることもあり、食事や着替え、入浴を進めても頑として行おうとしません。
 また、奇妙な姿勢をとる、一定のポーズをとり続ける(カタレプシー)、同じ動作をくり返す(常同行為)、他人の言葉や動作を真似る(反響症状)などの異常も現れます。一日中横になっていることもあり、声をかけても反応しません。(緊張病性昏迷)
 一見意識がないように見えることもありますが、記憶ははっきりしています。
■妄想型
 破瓜型やl緊張型に比べると、比較的、発病時期が遅い傾向があり、30歳〜中年以降の発病が多いといわれます。文字通り、妄想・幻覚が症状の中心で、妄想や幻覚に関連しないことでは、相手に合わせた会話ができます。
 初期は「なんとなく周囲の人が自分を嫌っているようだ「」自分の噂をしている」「妻(夫)が自分の友人と浮気をしている」といった被害妄想から始まります。
 近くにいる人のあくびや咳、物の渡し方など、ちょっとした出来事を被害妄想に結び付けて考え、周囲の人に苦情を言うこともあります。進行すると妄想は広がり、「自分が次に総理大臣になるから、周囲がねたんでいる」などといった誇大妄想が出たりします。
 軽症のときはただ「変わった人」と見過ごされることもありますが、「友人に狙われていて殺されかけた」と警察に飛び込む「盗聴器が仕掛けられている」と、ベランダの物置を壊すなどの行動があったときに病気が発見され、治療に結び付くことが多いようです。
■残遺型
 精神分裂病の治療を続け、回復してきた患者さんに多く見られるタイプです。幻覚や妄想はほとんど消えていますが、喜怒哀楽が乏しい、表情がない、会話の内容が乏しい、気力がない、周囲の出来事に関心を示さないなどの症状(陰性症状)が主体です。

 但し、以上の分類はあくまでも便宜的なものであり、実際には「破瓜・緊張型」など、いくつかの型が混合していたり、どれにもあてはまらない場合も少なくありません。
 また、このほかにも「単純型」という症状の少ないタイプや、顔面筋けいれん症状を伴うタイプがあり、これはジル・ド・ラ・トゥレット症候群と呼ばれています。

症状
幻覚・妄想などを訴え異常な行動をとる
 精神分裂病の患者さんが示す症状は、思考・知覚・知能・感情・意欲など多方向におよび、主に次のようなものがあげられます。
幻覚症状
実際にいない人や物が見えたり(幻視)、ヒソヒソ話など、その場にいない人の声が聞こえたりします。(幻聴)。幻聴の内容は物音というよりも自分の悪口を言っている声が聞こえたり、「そこから動くな」といった命令的な声や「なぜ、あんなことをした」など、自分の行動や考えを批判する声が聞こえてくることが多いようです。
 ときには、複数の人の声が頭の中で対話しているという幻聴(対話性幻聴)がみられます。そのほかに「食物の味がおかしい」(幻味)「誰かに触られている」(幻触)といった幻覚もあります。
妄想「人に追われている」(追跡妄想)、「周囲の人はみんな敵で、自分を殺そうとしている」(被害関係妄想)、「食事の味が変だったのは毒を盛られているからだ」(被毒妄想)「私の部屋にはのぞき穴があり、いつも部屋をじっとのぞかれている。(注察妄想)などがあります。
 これらのほとんどが自分が被害者であり、周囲の出来事や人の行動を被害的に自分に結び付ける(自己関係づけ)という内容のものです。
 また「何かが自分にとりついている」(憑依妄想)などもあります。初期には「なんとなく周囲の雰囲気がおかしい。大災害が起こりそうだ」という漠然とした恐怖や不安(妄想気分)を抱き、不安や恐怖を周囲の人に話すようになります。
 症状の進行とともに、具体的な妄想を訴えるようになりますが、周囲の人に否定されることにより、次第に妄想を話さなくなります。また、自分の医師や行動、言動は、他人やその他の特別なものに支配されていると思い、その通りに行動したり、話をすることもあります。(被影響)。
会話・行動の異常
会話が急に途切れたり、同じ言葉を繰りかえりたり、話しかけてもまったく別のことをしゃべりはじめたりします。意味不明の言葉を使う、話の筋道がまとまらない、支離滅裂な内容の話をすることもあります。声も極端に小声だったり、時には大声でわめくようにしゃべったりします。
 行動面では、理由もないのに笑う、ムッとしたような顔をする、ブツブツ独り言をいう、他人の姿勢や行動を真似する、同じ姿勢を取り続ける(カタレプシー)食事や着替え、入浴などの基本的なことをしなくなるなどが現れます。症状の進行とともに、やがては自分の部屋に閉じこもりがちになります。
感情の異常
不安、恐怖、緊張感が強く、表情も硬く、体をこわばらせたりします。ときには現実感の喪失を訴えることもあります。また突然、イライラしたり、感情を爆発させて暴力をふるったりします。悲しい状況なのに大声で笑うなど、状況にそぐわない感情がでてくることもあります。
その他
特殊な例として、脅迫症状の強い場合があり、物事をすべて左右対称にきっちり置き分ける、絵を描かせると奇妙にきっちり分かれた対照的図柄が現れることがあります。(病的幾何学主義)。

受診のめやす
周囲の人は異変を感じたらすぐに精神科に相談を
 
周囲の人の反応
病気を理解して偏見を捨てる


対人恐怖症(社会恐怖)
人前で極度に緊張し、赤面、手が震える、どもる、多量の発汗などの症状に悩む

どんな病気?
自分は他人にどう思われているのか、そのことばかりが気になる

「大勢の前で話をすると、恥ずかしくて顔が赤くなる」また「声がうわずったようになる」というひとはたくさんいます。しかし、対人恐怖症では、こうした症状がとても強く意識されたり、日常的な他人との会話のシーンで慢性的に現れるようになります。ひどくなると、職場や電車の中などでも、常に人の視線を気にするようになり、視線を感じただけで赤面する、手が震える、汗をかく、あるいは打ち解けた場面なのに言葉が出てこない、といった症状に悩まされます。
 とくに打ち解けた場面での人との会話やコミュニケーションに支障をきたします。場合によっては動機や息切れが現れ、その場で失神してしまうこともあります。きっかけは学校や職場でのささいな出来事が多く、患者さんはそうなってしまった自分が、人にどう思われているかと気に病み、症状が進んでしまう傾向があります。
 なお、対人恐怖症の中には「自分の体から、おならやわきが、排せつ物のにおいなどが出ている」と思い、人との接触を避けるようになる(自己臭恐怖症)、「自分の鼻が曲がっている」「口がゆがんでいる」などと思い込み、「自分の不格好な姿や容貌を他人が嘲笑している」あるいは「自分の姿が醜いため、周囲に迷惑をかけている」と思い、人前に出られなくなる(醜形恐怖症)「自分の視線が他人に不快感(危害)を与えたいる」と気になり、人と視線を合わせられなくなる(自己視線恐怖症)などもあります。こられは一般に重症対人恐怖といわれ、思春期に多く見られます。

症状
赤面、発汗、手の震え、めまい、失神など、症状はさまざま
 一般的に症状は、同年輩の3人以上のひととの会話場面で強く現れることが多く、ふたりだけの場面では軽くなります。そのため、自分の症状を過小評価する傾向もあります。
 対人恐怖症にはおもに次のような症状があります。
赤面恐怖
 職場や近所の人たちと会う、人前で話をすると、顔が赤面してしまいます。赤面した自分を見られることをきにするあまり、人と会うことを避ける、外出が苦痛、人ごみや職場に行けなくなる、電車などの乗り物に乗れなくなるなどの症状に進展することもあります。

対人緊張
 職場の会議、宴会、結婚式のスピーチなど大勢の人前で話をするときの緊張感が極度に強く、声がうわずる、手が震える、多量の汗が出るといった症状が現れます。
 こうなってしまうことをきにするあまり、人前に出るアメンが近づくと、しだいに不安や緊張が強くなり、眠れなくなるなど、日常生活に支障をきたします。
 また異性の前で特に症状が強くなるケース(異性恐怖)や、成功の失敗を極度に恐れるケース(性交恐怖)などもあります。
 以上のような症状のほかに、ひどい場合は、めまいや失神を起こすこともあります。

受診のめやす
外出困難やひきこもりなど、症状が進む前に早めに精神科受診を


周囲の人の対応
無理やり人前に出す行為は、回復を遅らせる


パニック障害
動悸、息苦しさ、「死ぬのでは…」「発狂してしまうのでは…」という恐怖に、突然襲われる
どんな病気?
死を感じるほどの恐怖に突然、襲われる
 たとえば、試験を目前にすると「合格するだろうか」という不安を感じたり、家族がでかけたあとに、事故のニュースを効くと「事故に遭わないだろうか」という不安を感じることはだれにでもあります。
 しかし、パニック障害は、なんの理由も前触れもなく、日常生活の中で、突然、激しい不安と恐怖に突然襲われ、動機や頻脈、呼吸が苦しいなどの症状とともに「このまま死んでしまうのではないか」「発狂してしまうのではないか」というような強い恐怖に襲われます(パニック発作)。一度発作を起こすと繰り返すことが多い病気です。
 パニック発作は場所に関係なく起こりますが、初めて発作を起こした場所がエレベーターや電車の中、狭い地下街などの一定時間閉鎖された場所、また、人ごみ、雑踏や繁華街など人の集まる場所で起きると「同じ場所で再び発作を起こすのではないか」という不安がひどくなり、そうした場所に行けなくなります。

症状
 身体・精神症状は約10分をピークに1時間以内に治まる
 パニック発作は、前触れなく起きるのが特徴です。おもな症状は次の通りです。
身体的症状
 動悸、頻脈、窒息感、胸痛、発汗、めまい、震え、しびれ感や全身の熱感や逆に冷たく感じることもあります。
精神的症状
 「このまま死んでしまうのではないか」「発狂してしまうかもしれない」という強い不安と恐怖に襲われます。
 こうした症状は約10分程度をピークに少しずつ軽くなり、多くは1時間以内に解消します。あまりの激しい症状に救急車を呼んで病院に運ばれることもありますが、時間とともに症状は解消し、心電図などの検査でも異常がないため入院になることはありません。
 一度発作を起こすと、その後の発作がないにもかかわらず「あの場所にいくとまた発作を起こすのではないか」(予期不安)と恐れるようになり、その場所へ行くことを想像したり、近くに行っただけで、発作が起きそうになることもあります。あるいは漠然として予期不安だけが強く出て、発作症状よりもその不安自体にくるしめられることがあります。

受診のめやす
一度発作が起きたらすみやかに受診する

周囲の人の対応
発作では死なない。深呼吸をして症状が治まるのを待つ
 

強迫性障害
頭の中では無意味、不合理だとわかっているのに、あることが気にかかり、同じ行為を繰り返さずにはいられない。

どんな病気?
一つの考えが頭から離れず、無意味と認識していても、同じ行為を繰り返す
 たとえばデパートの屋上にいたとして、「ここから落ちたら」という考えが頭に浮かんだとします。ふうつはすぐに消えてしまうようなこうした想念が繰り返し浮かんでは消えたり、頭の中を占領してしまい、他のことが考えられなくなる。これを強迫観念と呼びます。強迫観念は、自分では意味のないことだとわかっていても、浮かんでくる考えです。
 それに対して脅迫行為と呼ばれる症状もあります。外出後、鍵をかけたかどうか不安になり、何度も起きて確認する(確認強迫)。こうした行為は、自分では不合理だとわかっていてもやめることができません。
 強迫観念と強迫行為は、一緒におきることもあれば、バラバラにおこることもあります。一緒に起こる場合は、たてば「手にばい菌がついていて不潔だ」という強迫観念が浮かび、繰り返し手を洗うことでばい菌を消そうとする強迫行為(洗浄強迫)が一緒に現れます。
 強迫行為を伴わない場合であっても、強迫観念が繰り返し浮かぶことで苦痛を感じていれば、強迫性障害として治療が必要です。

症状
 強迫観念や行為に苦痛を感じ、生活に支障が出る
 強迫観念が繰り返し浮かぶことで苦痛を感じたり、また強迫行為を繰り返し行うことで、一日に何時間も無駄にする、勉強や仕事がスムーズにいかないなど、日常生活に支障が出てきます。また、強迫観念には、たとえば、レシートの金額を合計しなければ気がすまないなど、目に触れるものはすべて計算しなければ気のすまない計算強迫、「人はなぜこの世に存在するか」など、物事の原因や理由をどこまでも詮索しなければ気がすまない、詮索壁、はっきりしない事柄があると徹底的に質問して明らかにしないと治まらず相手を怒らせてしまう質問癖などもあります。

受診のめやす
異変を感じた周囲の人が受診をすすめる

周囲の人の対応
否定的な言葉は禁物


心気症
自分の健康状態の不調が異常に気にかかり、病気でもないのに重い病気にかかってると心配し続ける。
どんな病気?
理由もなく自分は病気だと疑う、あるいは思い込む
 頭痛や腰痛、胃の痛みなどを感じると「何か病気にかかっているのではないか」と思うことはだれでもあります。
 ふうつは、病院を受診して「心配ない」と診断されたり、自然にそうした症状が消えてしまえば、いつとはなしに忘れてしまいます。
 しかし、医師から何度も「心配ない」と言われても、検査結果が「異状なし」と出ても「重大な病気にかかっているのではないか」という不安が打ち消せず、体の不調を訴え続けるのが心気症です。
 こうした心気症状は、精神分裂病やうつ病の初期、または部分症状として現れることもあります(心気妄想)

症状
「異常なし」と診断されても症状を訴え、病院を転々とする。
 身体的な異変を自覚すると、しきりにその症状を周囲に訴えます。さらに「重大なびょうきかもしれない」と病院にかかり「異常ない」といわれても納得せず、繰り返し受診したり、次々と医師を変えて受診したりします。(ドクターショッピング)。一般的には、癌などの重病や不治の病を疑っていることが多くあります。
 痛みや不快感などの自覚症状が持続しているため、医師や家族から「気のせい」「病気ではない」などと批判されると、孤独感を募らせ、いらだったり、ますます訴えがひどくなることもあります。人によっては「現代医学では治らない」と思い込み、医学書を買い込んで読みあさり、次ついに民間療法をためしたり、だまされて被害に遭うこともあります

受診のめやす
他科で原因がわからなければ、精神科を受診

周囲の人の対応
精神科が受診できるように配慮をする


心身症
ストレスがかかることにより、身体のさまざまな部分に障害が現れる

どんな病気?
心理的原因で起こる身体の病気の総称
 仕事がうまくいかない、ハードな受験勉強、家庭生活で嫌なことが続く、大切な人と死別したなど、過剰なストレスが続くと、胃潰瘍や十二指腸潰瘍など、体の病気となって現れることがあります。これが「心身症」です。
 心身症は、心の病気そのものの名前ではなく、持続したストレスがかかっているために体に障害が起きていると認められるときのみ使われる病名です。
 一般に、心身症は自分の感情を言葉にできにくい子供や、感情を抑圧しやすい人(失感症)に多く見られます。
 そのため、治療には単なるストレス環境の除去のみならず、心理的にも長い時間がかかります。心理的な治療が不完全だと、最初の症状が治っても次に別の症状が現れたりします。(症状偏移)

症状
呼吸器、循環器、消化器系など、全身的に種々の病気として現れる
 心身症に関係する病気は実に多くあり、循環器系では本態性高血圧、呼吸器系では気管支ぜんそく、しゃっくり。消化器系では十二指腸潰瘍、慢性胃炎。皮膚科系ではアトピー性皮膚炎、円形脱毛症、などが代表です。
 これらは、ストレスを自覚していなくても起こることがあります。
 また、これらの病気だけでなく、すべての病気には何らかのストレスが関与しているといわれ、心身症でない病気の方がむしろ稀だと考えられます。

受診のめやす
ストレスのあとの体の変調に気づいたら受診を

周囲の人の対応
ストレスの自覚がない場合家族が気づいて受診を

摂食障害
極端に食べない、または極端に食べる行為を繰り返し、身体的にも障害が現れる。

どんな病気?
拒食と過食を繰り返し、体や心にさまざまな障害が現れる
 たとえば、友人に「最近太ったね」と言われたことがきっかけでダイエットを始めたとします。しかし、たいていの人はある程度のところまで続けると挫折したり、ダイエット方法を食事と運動と併用した方法に切り替えたりするものです。
 ところが、食事を制限するダイエットが極端に進みすぎ、食べ物をほとんど受け付けなくなってしまう場合があります。
 食べても、下剤や利尿剤を乱用したり、口の中に指を入れて無理やり吐いてしまいます。これが拒食症(神経性無食欲症=アノレキシア)です。外見では病的にやせているため、周囲の人に「やせている」といわれても「やせなければ」という強迫的な思いを振り払うことができないまま、拒食を続けます。
 一方で、異常に食欲が亢進し、一度に大量に食べ物を食べる。これが過食症(神経性大食症=ブリミア)です。拒食症と過食症を総称して摂食障害と呼び、10代後半〜20代後半までの比較的若い女性に多く見られますが、最近では男性や中高年の症例もときどき見られます。摂食障害は、まれに拒食症のみ、過食症のみのケースもありますが、ほとんどは拒食症が続いたあと過食症というようにセットで現れます。きっかけの多くはダイエットですが、発症の背景には、複雑な心理的問題がからんでいることも少なくありません。

症状
ほとんどが、拒食、過食のふたつがセットで現れる

拒食症状
 食事の量を極端に制限したり、限られた低カロリーの食べ物しかとらない、あるいはまったく食事をとらない、といった症状から始まります。
 こうした状況が続くと、普通は体力が低下するはずですが、拒食症では、逆に活動的になるのが特徴です。女性の場合は決まって無月経が現れ、貧血、低体温のほかに、内臓障害なども見られます。
過食症状
 過食症状は、拒食が続いたあとに現れます。「食べたい」という欲求が抑えられず、普通では考えられない量の食べ物を詰め込むように食べます。
 食べ続けている間は不安は軽くなりますが、食べ続けることにより、ある一定の体重のラインを越えたりすると、罪悪感にさいなまれ、次は食べた後に大量の水を飲んで吐く、口の中に指を入れて吐く、大量の下剤を飲み、食べたものを出してしまおうとします。
 嘔吐を繰り返すうちに、胃や食道の炎症、低血糖、歯の損傷、下剤などの薬物を乱用することによる低カリウム血症などの身体的な障害が現れます。

受診のめやす
症状を悪化させないため根気よく説得して治療を

周囲の人の反応
心理的背景にも目を向けて、回復を援助する

外傷後ストレス障害(PTSD)
犯罪、事故、テロ、災害など、苛酷な体験に続いて、すぐ、あるいは一定期間ののちに現れる精神的障害
どんな病気?
激しい恐怖体験のあと、精神的症状が現れ苦しむ
 たとえば、うっかり包丁で指を切ったとします。しばらくの間は、包丁を見ると、指を切った瞬間の情景や痛みを思い出すでしょうし、傷が深く、痛みが強いほど、包丁に対する嫌悪感は増し、中には、しばらく包丁が持てない人もいるでしょう。これは軽い「トラウマ」(心理的な外傷)現象で、いずれ消えてなくなり、また抵抗なく包丁が持てるようになります。
 しかし、生死にかかわるような災害、テロ、戦争、事故などに遭遇する、ひどいイジメや虐待、犯罪の被害者になる、自殺、殺人などの場面を目撃するといった衝撃的な体験のあとのトラウマは、このように簡単に消え去ることはありません。そうした体験のあと、悲惨な現場の生々しい情景が繰り返し浮かんでくる、悪夢を見る、というような反応が現れ、体験した出来事が悲惨なものであればあるほど、それは長く苦しいものになります。
 これを総称して「外傷後ストレス障害」(PTSD)と呼びます。また、生命の危険にさらされるような体験だけでなく、離婚、失職、親しい人の自殺などを体験したあとにうつ状態、焦燥感、喪失感、不安、イライラといったうつ症状が重なって現れるものもあります。(複合型PTSD)

症状
不眠、悪夢、フラッシュバック、記憶の欠陥と、症状はさまざま
 生死にかかわるような強い恐怖体験の直後から「自分が自分でないような感じ」「出来事がよく思い出せない」「ちょっとしたことにビクビクしたり心臓がドキドキする」「全身に力が入らない」などといった症状が現れることがあります。
 また逆に、傍から見ると、妙に元気で、高揚した精神状態になることもあります。これは「恐怖体験をなかったことにしようとする」小ことの防御反応で、急性ストレス反応といいます。この反応は数日間で焼失しますが、その後、PTSDの症状が現れることがあります。
 PTSDの症状には次のようなものがあります。
体験が繰り返し思い出される(フラッシュバック)
 思い出したくないのに、何度も出来事の情景が浮かんで来たり、音声となって聴こえてきたりします。これらが繰り返し起こるため、苦痛を覚えます。
不眠・繰り返し悪夢をみる
 出来事を思い出してしまい寝付けない、恐怖体験が夢に出て目が覚める、繰り返し同じ夢を見て、恐怖を感じる。また、犯罪やひどいイジメに遭遇した場合では、電気を消すと暗闇から加害者が現れるような気がして怖くて眠れないといった症状も現れます。
感情がないような気がする
 大変な出来事に遭遇したのに、妙に冷静で、涙も出ない。自分でも変だと思うのに、淡々としている。現実感がなくなり、目の前の情景が映画のスクリーンの中で展開されているような感覚になる。また、集中力が低下したり怒りっぽくなることもあり、人によっては、これらの症状だけが強く現れ、一種のうつ状態として、慢性的に経過することもあります。
出来事が思い出させない(解離)
 体験した出来事が強烈であればあるほど、その時の状況が思い出せないことがあります。こうした症状は、出来事のあと半年以内に起こることが多いといわれますが、人によっては何年も経過したあと(潜伏期)に現れることもあります。(遅発性PTSD)。
 また、子どもの場合、トラウマになった出来事を、誘拐ごっこや、小動物を虐待するなど、日常の遊びの中で表現することもあります。(再演)

受診のめやす
少しでも「つらい」と感じたら、早めの受診を

周囲の人の対応
心の痛みを理解し、無理に話を聞きださない


離人症
周りの景色がピンとこない、自分の体が浮いているなど、現実感がうすれたような不思議な感覚
どんな病気?
周囲の情景がピンとこない妙な感覚にとらわれる
 徹夜で仕事をしたあとや、夜行バスで夜通し車に揺られたあと、自分自身の体がフワッと浮いたような奇妙な感じに陥ることがあります。
 また、いつも目にする風景が現実的に映らず、映画のスクリーンを通して見ているようにピンとこなかったり、妙に白々しく感じるなど。このように現実感が薄れる感覚を離人感といい、一過性のものはだれでも経験することで、これだけで病気とはいえません。
 ところが、この奇妙な感覚が長く続いたり、繰り返し起こったり、苦痛を伴う場合を離人症といい、治療の対象になります。
 離人症の特徴は、患者さん自身がこうした奇妙な感覚が、自分の中だけでおこっているという自覚があり、外の世界に異常のないことを認識している点です。
 また、離人感は、PTSDうつ病や精神分裂病の部分症状として現れることもあります。

症状
周囲の情景に現実味がない、季節感がないなど
 症状は、次のように表現されることが多くあります。
●まわりの風景が、映画のスクリーンや、ベールやガラスを通して見えるようだ。
●ひまわりやスイカを見ても夏だという感じがしない。
●周囲の人や物が模型のような人工的なものに見える。
●歩いても小走りしても、自分が動いているような感じがせず、体が宙に浮いているように感じる。
●好きだった音楽を聞いても前のように感動しない。喜怒哀楽が感じられない。
●物事を考えても、自分が考えているような気がしない。
●自分が生きているという実感がわかない

受診のめやす
症状を繰り返す、持続するならいつでも精神科へ

周囲の人の対応
思い精神病にはつながらないので、心配しすぎない


解離性障害
苦境に置かれると、記憶をなくす、その場から逃げる、別の自分が現れる、などの症状が現れる。

どんな病気?
つらい出来事などをきっかけに、記憶、意識、行動がバラバラになって現れる
 子どもの頃、友達とケンカをしたとき「『正義の味方』に変身してやっつけてしまいたい」と別の自分に変身して、今の状況から逃げたいと思った経験は誰にでもあるのではないでしょうか。しかし「友達とケンカ」という出来事は、変わり身のはやい子どもにとって、深刻な体験ではありません。たいていすぐに仲直りし再びケンカしたりしながら、一貫した「自分」(同一性)というものを作り上げていくものです。
 ところが、子ども時代に直面した出来事が、ひどい虐待や陰湿ないじめ、また、親の自殺現場に直面したなど、耐え難い「トラウマ」を受けた場合では、この同一性が阻害されてしまいます。つまり、今苦痛を感じて苦しんでいる自分を別の人だとする解離機能を使って処理しようとします。
 これは、心と体が別々の行動をとったり、記憶をなくすことで、置かれている苦しい状況を回避しようとする働きです。「『正義の味方』に変身して…」に似ていますが、この場合、別の自分が消えるわけではありません。つねに別の自分は存在し、中には空想的な仲間をどんどん増やし、自分の中に何人もの別の人格が住みつく場合もあります。

症状
記憶をなくす、逃避、別の人格が住みつくなど
 解離性障害の症状は、心と体が別々の行動をとったり、記憶をなくすなど、多彩です。

解離性健忘
 本人にとってショックな出来事が起きたあと、数日間〜数週間の記憶が失われます。
生活史健忘
 自分がどこで生まれて、どんな育ち方をしたのかなど、自分の生活史に関する記憶のほとんど、あるいは一部を失うことがあります。
解離性遁走
 知らないうちに家庭や職場から突然失踪し、知らないうちに別の場所にいる。2〜3日さまよったり、まれに数週間もさまようことも。長期化するとまったく知らない土地で別の生活を始めようとすることもあり、家庭から捜索願が出されることもあります。
解離性運動障害
 手足が動かなくなり、人の介助なしでは立ったり座ったりできなくなります。
解離性昏迷
 座ったり、横になったままの状態が続き、話しかけても反応しない。音や刺激にも反応しないことがあります。
解離性知覚麻痺
 皮膚の感覚が鈍くなり、刺激を受けても感じません。
多重人格(解離性同一性障害)
 ふたり以上の別の人格(交替人格)が現れ、別の人として会話や行動をします。それぞれの人格はそのまま成長していくこともあり、たいていは、多重人格の中に子供の人格がひとり含まれています。

受診のめやす
症状に気づいて人が早めに受診させる

周囲の人の対応
行動や言動を受け入れ話を聞くことが大切


全般性不安障害(GAD)
とくに原因のない漠然とした不安感が続き、ふらつき、動悸などの身体症状も現れる
どんな病気?
漠然とした不安感に苦しみ次々と新しい不安が浮かぶ
 何が不安なのか、はっきりした対象や原因もなく、漠然とした不安感にさいなまれます。身の回りのいろいろなことが気になり、次々と不安材料が出てきたりします。 
 また、「将来、事故や犯罪にあい、不幸になるかもしれない」など、根拠もないことに大きな不安を感じ、ふらつきや動悸、呼吸困難といった身体症状が伴うこともあります。
 内科などで心電図などの詳しい検査を受けても異常はありません。原因ははっきりわかりませんが、ストレスの蓄積から、いつのまにか発症しているケースも少なくないようです。

症状
落ち着かない行動や、動悸など身体症状が現れる
 いろいろなことに対するありもしない不安や悲観的な予測が漠然と続き、なんとなく落ち着かずソワソワしたり、イライラしたりします。
 呼吸が苦しい感じや、動悸、頻脈、口渇、冷や汗、めまいや震えなどの症状が続きます。こうした症状が毎日続くため、ひとりになるのが怖くて、常に家族と一緒にいようとしたり、仕事も手につかなくなるなど、生活面にも支障が現れます。

受診のめやす
理由のない不安が続くなら早めに受診を

周囲の人の対応
できるだけ気持ちをなごませる工夫をすること


持続性疼痛障害
病院で診察や検査を受けても診断がつかない
原因不明の痛みが続き、不安、苦痛でならない

どんな病気?
日常生活に支障が出るほどの原因のわからない部分的な痛みが続く
体のどこかに痛みを感じたとき、普通は病院で診察や検査を受ければたいてい原因が解明され、それに対する治療を受けるというステップで回復していきます。
 しかし持続性疼痛障害という病気は、病院でいくら検査をしても痛みの原因がわかりません。
 原因がわからないのに痛みが持続するため、患者さんは不眠や歩行困難など、日常生活に支障をきたすことがほとんどです。
 痛みが起こる原因は、痛みの感覚をコントロールするエンドルフィンというホルモンの供給不足という説もありますが、病気の根本には、対人関係や家族関係などといった心理的な問題が隠れているといわれています。
 発症の傾向としては、中高年の女性に多く、過去に、家庭的に大きな負担を負わされたり、他人に自分を無理やり合わせて生きてきたようなタイプの人に多く見られます。

持続性疼痛障害の痛みの種類と治療法

痛みの種類 圧迫痛、熱感痛
メカニズム 末梢神経の過敏
治療法 局所神経ブロック 局所麻酔剤 抗うつ剤

痛みの種類 刺痛
メカニズム 中枢性の神経過敏
治療法 抗うつ剤 抗けいれん薬

痛みの種類 パレステジー
メカニズム 中枢性の神経過敏、およびその他の要因
治療法 抗うつ剤、抗けいれん薬、抗不安薬など

痛みの種類 持続性しゃく熱
メカニズム 外在的神経刺激
治療法 局所麻酔剤、抗けいれん薬など

症状
鎮痛剤も効かないしつこい痛みや異常感覚
 ある日、なんの前触れもなく痛みは現れます。痛みは、腰、肩、膝、胸、腕など人によっていろいろな部位に現れ、一度に数か所、同時に感じることもあります。痛みの種類や程度は人によりけりです。
 一般に最も多く現れる痛みは、圧迫痛と刺痛です。痛みのほかにしびれ、ピリピリ感、ジリジリ感などの異常感覚(パレステジー)を訴えることもあります。痛みの程度ははじめは軽くても徐々に強まることが多いようです。また、一日のうちで決まった時間帯に強まったりすることもあります。あまりの痛みに鎮痛剤を飲んでも、痛みがやわらぐことはありません。痛いところをかばうために不自然な姿勢で行動したりすることで、別の部位に障害が現れることがあります。

受診のめやす
他科で診断がつかなければ次は精神科を受診する
 
周囲の人の対応
訴えを聞いてあげながら精神科受診ができる配慮を


アルコール症
アルコールを飲まずにはいられなくなり、飲んだ時に問題行動が現れる。手の震えやうわごと(せん妄)などの症状が現れる。
どんな病気?
慢性的な飲酒から、精神的・身体的に障害が現れる
 かつて絶えず酒を飲み、種々の問題行動を起こすひとを「アルコール中毒」と呼んでいました。しかし現在では、一気飲みなどで急激な中毒症状が現れる。「急性アルコール中毒」の場合のみ、この言葉を用います。
 アルコールは、繰り返し、摂取していると、それなしではいられないとく欲求を生み、つねにアルコールのことばかり考え、追い求めるようになります。これが「アルコール症」です。アルコール症のタイプには、次のようなものがあります。

アルコール症のタイプ
■単純酪酊タイプ
 気分が高揚し、よくしゃべる、気が大きくなる、そのうちにろれつが回らない、ふらつく、急に泣いたり、大笑いするといった、いわゆる酔っぱらいの症状です。
 これがエスカレートすると、次の問題行動タイプに移行することがあります。

■問題行動タイプ(酒乱型)
 いわゆる酒乱タイプ。飲むと暴れたり、因縁をつける、からむなど、異常な行動をとります。本人は部分的に、あるいはまったく覚えていません。覚めたあとで周囲の人に酒席での行動や言動を教えられて、初めて自分の醜態を知ります。
 
■怠業タイプ
 飲酒時にはたいした問題行動はありませんが、二日酔いのため翌日の約束をキャンセルする、仕事に遅刻するなどを繰り返すタイプです。主婦のアルコール症を「キッチンドリンカー」と呼びますが、これは飲酒のために家事や仕事ができなくなるタイプです。

 アルコール症では、日常生活、社会生活、身体面の障害など、アルコールがもととなった障害が現れます。この病気は、単純に「飲みたい」という欲求だけではなく、アルコールを飲まなくなると手の震え、せん妄、けいれんなどの身体的な症状(離脱症状)が現れ、精神、身体面の両方で、アルコールとの依存関係が形成されていきます。
 しかし、すでにアルコール症に陥ったあとでも、習慣的な飲酒から依存症になった節目がわからないため、アルコール依存という認識がないまま、アルコール摂取を続けます。特殊なタイプとしては、ある一定期間、発作的に大量飲酒を続け、こうした飲酒発作を繰り返すものもあります。(渇酒症)。
 治療をしないままアルコール摂取を続けると、肝機能障害などの内臓疾患やアルコール性嫉妬妄想、アルコール性痴呆、コルサコフ症候群、ウェルニッケ脳症などのアルコール性精神病へと進行します。

症状
習慣飲酒と依存の節目がわかりにくいのがやっかい
 アルコール症は習慣的な飲酒と依存症との節目がわかりにくい病気です。
 ここでは、飲酒パターンの例から思い当たる症状を見てみましょう。
●週に一度は休肝日(酒を飲まない日)をもうけていたのに、ストレスがたまったり、気分がムシャクシャしたことなどをきっかけに、毎日飲むようになった。
●たとえば、日本酒2合、ウイスキーの水割り3杯程度飲むと酔っていたのに、今はそれでは酔わない。
●夕方になると、酒が飲みたくなりソワソワしてしまう。休日は朝から飲んでいる。
●飲んだ時の記憶が途切れるほど深酒することがあり、そのために朝起きられず、約束をキャンセルする、会社を休むこともある。
●酒がないと不安になり、イライラしたりするため、深夜でも酒を買いに出かける。

以上の症状がある場合は、アルコールに対して精神依存が形成されているといえまうす。
 また、続けてアルコールを摂ったあとに中断すると、手が震える、眠れない、発汗、動悸、不整脈、イライラ感、不安感、落ち着かない、強迫的な飲酒への渇望といった情緒障害などが現れるほか、けいれん発作にいたることもあります。こうした不快な症状は、再びアルコールを飲むことで軽くなるため、飲酒を繰り返します。
 さらに進行すると、せん妄状態に入り、壁や床に虫や動物が這っているように見えたり(幻視)、虫が体を這うような感覚(幻触)などの幻覚症状が現れます。
 また、アルコール症では、肝機能障害などの内臓疾患を伴うことが多いのですが、医師から禁酒を指示されているのに隠れて飲むケースも少なくありません。

受診のめやす
酒は簡単にはやめられない。周囲の働きかけが大事。
 
周囲の人の対応
かばう行為はやめて、周囲は毅然とした態度で接する


薬物依存症
特定の薬物・化学物質の使用を繰り返し、重篤な精神的・身体的障害に陥る。

どんな病気?
繰り返し薬物使用を続け、人格崩壊や死に至る

 アルコール症と同様に、違法薬物を使用することによっても深刻な依存症が引き起こされます。薬物依存は、特定の依存性薬物を、たった1回使用したことから始まります。
依存性薬物は、中枢神経に直接作用し、快感や陶酔感をもたらすもの、心の苦痛が軽くなるもの、幻覚体験を起こすものなどがあり、一度経験すると、再びその快感を味わいたいをいう欲求が起こります。
 続けて使用するうちに、その薬物がないといられなくなり、借金や犯罪など、どんなことをしてもその薬物を手に入れようとします。薬物依存症の顛末は、幻覚、妄想などを伴う中毒性精神病、内臓障害、死に至る昏迷や中毒死などから、有機溶剤を吸引中の引火による火傷までとさまざまです。幻覚を起こし人を傷つける、放火、殺人殺人といった犯罪もあとを絶たず、治療せずに薬物使用を続ければ、人格は完全に崩壊してしまいます。

症状
使用する薬物により多様な症状が現れる
 薬物依存症では、使用する薬物によって症状が異なります。ここでは、最も問題となる有機溶剤(シンナー・トルエン・ボンドなど)を覚せい剤(アンフェタミン)の症状をあげました。

■有機溶剤
精神的症状
 有機溶剤は、吸引で使用されます。吸引直後は頭がぼんやりし、幸福感や体が浮いているような浮遊感をもたらし、周囲の状況を誤認して暴力をふるうこともあり、犯罪につながることもあります。
身体的症状
 足がフラつき、ろれつが回らなくなります。脳の萎縮、手足の知覚障害、肝臓や腎臓などの内臓障害、視力の低下、体重減少などが現れます。また、吸引することで空腹感や口の渇きまで麻痺するため、急性の脱水症状や栄養失調になることもあります。

離脱症状
 覚せい剤よりも少ないとはいわれますが、手の震え、不眠、悪夢、吐き気、錯覚、幻覚、妄想などが現れます。
■覚せい剤
精神的症状
 吸引や注射、内服などで使うことにより、初期は幸福感や陶酔感、疲労感の軽減、食欲不振、刺激に過敏などの症状が現れます。続けるうちに、不安や恐怖感、同じ動作を繰り返す、意味不明の言葉を話す、突然、周囲の物を投げたり叩いたり、人に暴力をふるうようになります。睡眠時間が少なくても眠くなりませんが、薬が切れた時の疲労感はその分強く現れます。

身体的症状
 顔色が悪くなり、呼吸、脈拍が速くなり、血圧が上がります。寒気、吐き気、嘔吐、食欲不振などが現れます。大量を注射すると、急性中毒症状が現れ、呼吸抑制、全身のけいれん、昏睡状態から死に至ることもあります。
離脱症状
 有機溶剤中毒よりもはるかに強く、不眠、不安、無気力、脱力感、不眠、憂うつ、少しのことでカッとなる、発汗、悪寒、吐き気といった不快感が現れます。幻覚や妄想が強く出ることもあり、こうした不快感がつらいがために、再び薬物に手をだすという悪循環が続き、中毒性精神病へと移行していきます。

受診のめやす
すみやかに専門機関や精神科に相談を
 
周囲の人の反応
根気よく依存からの脱出を支援する


人格障害
物事の考え方や行動が極端にずれていて周囲を困らし、最終的には自分も苦しむ
どんな病気?
社会的に問題を引き起こす。おもなタイプは六つある。
 ひとことに「人格障害」といっても、いろいろなタイプがあり、この病気をひとくくりにすることは難しいといえます。ここでは、性格に極端な偏りがみられ、社会的に問題を引き起こす六つのタイプについて説明します。
 人格障害とは、一般に本人には自覚がなく、自分は悩まず周囲の人を悩まします(精神病質)。そのため、現実生活上、相当追い詰められて、はじめて問題に気づきます。これが神経症との大きな違いです。
@境界性人格障害
 感情が激しく不安定で、それまで普通にしていたのに、突然怒り出したりします。対人関係もうまくいかず、友達もできにくいといえます。その一方で、孤独に弱く、つねに誰かと一緒にいてもらいたがり、他人に見捨てられるのを極端に怖がります。
 「自分に好意的で、支えてくれそうだ」と思うと、相手の気持ちは考えず、積極的に近寄ります。相手が少しでも冷たい態度をとると執拗に執着し、完全に見捨てられたと思うと、手のひらを返したように批判しはじめます。
 また、気分や感情の波がとても激しく、気に入らないことがあると、壁に頭をぶるける、暴力をふるう、自殺未遂や自傷行為など、他人や自分を傷つける行為を繰り返すことも少なくありません。誘因は、幼児期、思春期の「親離れ、子離れ」がうまくいかなかったころが関係しているといわれます。
A妄想性人格障害
 極度に疑い深く、他人の言葉を全て自分への批判と捉えて解釈します。根拠もなく「盗聴されている」と訴えたり、他人と目が合っただけで、「にらまれた」をいうため、周囲は怖くて近づかなくなります。家族に対しても根拠のない恨みや疑い(妄想)を持ち続け激しく怒る、暴力をふるうといったトラブルを引き起こすこともあります。
B分離病質人格障害
 「変わり者」と表現されることが多く、よそよそしく感情がないかのように見え、他人にまったく興味がなく、たいていひとりで行動しています。感情や怒りを表すことはほとんどなく、叱れれてもほめられても、うれしいのか悲しいのかわかりません。人と親蜜な関係をもとうとせず、趣味や仕事に夢中になることもありません。
C自己愛性人格障害
 自分はたにんよりも優れている、人とは違うと思い込み、自分の能力を過大評価しています。ほめられたい、尊敬されたいという思いが強く、自分のやったことを「すごいことだ」などと強調して周囲に話します。自分の話に他人も同調してくれると思い込んでいるため、ちょっとした批判や非難にあっても自尊心が強く傷つけられます。その半面で、他人の才能や業績は「たいしたことない」と過小評価し、批判的です。
 一般に、他人に自分の話はよくしますが、人の話にはほとんど関心を示さない傾向があり、周囲からは「傲慢な人」をいう印象をもたれます。また、自分を無視されることに対して異常な怒りをもって反応することがあり(自己愛性憤怒)、この怒りの程度は強烈でときに殺人・傷害事件に至る例もあります(悪性自己愛)。
D強迫性人格障害
 物事すべてにおいてつねに完璧でなければ我慢できず、規則、順序などにこだわるすぎるあまり、物事がスムーズに進まなくなります。たとえば、本棚に並べる本の順番をきちんと決め、少しでも順序が違うと気に入らないなどです(病的完全主義)。
 また、こうした自分のやり方を家族や同僚部下に強要することもあります。度を越した完全癖が災いし、人との付き合いがうまくいかない、娯楽や趣味が持てないことも少なくありません。
E反社会性人格障害
 他人に迷惑をかけることに、何の良心の呵責も感じず、社会ルールを無視し、犯罪行動を繰り返します。ささなことにも怒りやすく、すぐに暴力行為に走る、物を破壊する、平気でうそをつくなどの行動が見られます。
 トラブルを起こした自分を常に正当化し、罪の意識はなく、無反省で刑罰を受けても改めません。15歳ごろから、学校や社会のルールを守れない行動が目立ち(行為障害)動物を虐待するなどの行為が見られることもあります。

以上の人格障害のうち、ABは精神病的特徴の強いタイプ、CDは神経症的傾向の強いタイプ、@Eは精神病と神経症の中間タイプに分類されます。

人格障害の分類
精神病型人格障害
A妄想性人格障害
B分裂病質人格障害

神経症型人格障害
C自己愛性人格障害
D強迫性人格障害

中間型人格障害
@境界性人格障害
E反社会性人格障害

受診のめやす
気づいた人が受診させ専門家と相談しながら対策

周囲の人の反応
家庭内だけで解決しようとせず、専門家のアドバイスを


チック症
自分の意思とは無関係に顔面の筋肉が動いたり、声が出たりする、原因不明の行動異常

どんな病気?
症状から一過性チックと慢性チックに分けられる

 チック症とは、自分の意志とは無関係に止めようとしても止められない動きや発声を繰り返す、原因不明の行動異常です。
 発症時期はおおよそ2〜11歳頃で、多くの場合、予後は良好です。
 顔をしかめる、まばたきをする、かたをすくめるなどの運動チックと奇声をあげる、クンクンにおいをかぐ、うなるなどの音声チックがあり、その持続期間から、一過性チック障害と慢性チック障害に分類されます。
 一過性チックとは、6〜7歳頃に最もよく見られ、短時間で消えてしまいます。慢性チックは、運動チック、または音声チックの症状が独立して1年以上持続して現れた場合をいいます。

症状
精神的に緊張しているときや、逆に緊張が緩むときに現れやすい
 運動チックは、単純運動チックと複雑運動チックでよくみられる症状は、頻繁なまばたき、首、肩をすくめる、顔をしかめる、など。複雑運動チックでは、表情を変える、跳ねる、触る、においをかぐなど、あらゆる部分が同時に動きます。
 音声チックも、単純音声チックと複雑音声チックがあり、単純音声チックは奇声、うなり声、せき払いなど。自分の意志とは関係なく、不随意的に現れるのが特徴です。症状は、精神的に緊張しているときや、逆に緊張が緩むときに強く現れる傾向があります。
 チック症は、軽症ですぐに治るものから重症になるものまであります。一般的に、症状は学童期に強く現れ、成人したのちに軽くなるか、消えていくことが多いのですが、成人後も残ることがあります。その場合、周囲の人からはわからないほどの、かすかな目のけいれんや、顔のひきつりが気になると訴えたりします。

受診のめやす
顔などの不自然な動きに気づいたら受診を

周囲の人の反応
症状を制止する言動はやめて


ナルコレプシー
日中繰り返し眠気が起こる。突然眠り込む「睡眠発作」を伴うことも。

どんな病気?
日に何度も眠気が起こり、社会生活に支障をきたす

日中、繰り返し眠くなったり、あるいは突然倒れこむ病気です。15〜20歳頃に発症するタイプ(本態性)と頭部外傷、脳炎の後遺症、脳挫傷などが原因となり起こるタイプ(症状性)があります。

症状
突然の睡魔、寝入りばなの悪夢、金縛りなど多様
 ほとんどの場合が、精神的に緊張していれば、なんとか乗り越えられるほどの眠気です。しかし、運転中や仕事中などにかまわず、一日に何度も起こるため、社会生活に支障が出ます。
 また、我慢できない眠気が起こり、突然10〜30分ぐらい眠り込んでしまう場合もあります(睡眠発作)。ときには寝入りばなに怖い夢を見たり、金縛り(睡眠麻痺)になることもあります。このよかにも笑ったり驚いたりすることにより誘発され、体の力が抜けて倒れてしまう(脱力発作)ことがあります。

受診のめやす
日に何度も眠くなるようなら受診を
 
周囲の人の反応
回復することを伝え、治療に協力すること



心の病気にも漢方薬が使われます
 漢方薬は、産婦人科、内科などでも使われていますが、薬の中には、心の病気の治療にも使用されるものがあります。本来、漢方薬は「証」(漢方医学でいう体質)によって使い分けられるものですが、心の病気に対して使われてきた歴史は意外に古く、いくつかの伝統的な処方が現在も使用されています。また、従来の薬物の副作用を軽くするためにも処方されることがあります。
 対象となる病気はうつ病、仮面うつ病、精神分裂病、心身症、不眠症、アルコール症などです。効き目は穏やかですが、長期に渡って服薬しても副作用が少なく安全な点から、使用する精神科医が少しずつ増えています。
 ただし、まったく副作用がないというわけではなく、種類や用法によっては肝機能障害、間質性肺炎、低カリウム血症などの副作用がでることがあります。


主な漢方薬
漢方薬名:柴胡加竜骨牡蠣湯
主な作用・適応:抑うつ症状、不眠症
証:実〜中

漢方薬名:当帰芍薬散
主な作用・適応:更年期障害、パニック障害、心身症(メニエール症候群など)
証:虚

漢方薬名:加味逍遥散
主な作用・適応:のぼせ、更年期障害、神経症一般
証:虚

漢方薬名:半夏厚朴湯
主な作用・適応:心身症、パニック障害
証:虚

漢方薬名:釣藤散
主な作用・適応:鎮静作用、不安、頭痛、高血圧症
証:注

漢方薬名:黄連解毒湯
主な作用・適応:不眠症
証:実

漢方薬名:加味帰脾湯
主な作用・適応:弱い抗不安作用、不眠症
証:虚

漢方薬名:酸棗仁湯
主な作用・適応:不眠症
証:虚

漢方薬名:柴朴湯
主な作用・適応:鎮痙作用、弱い抗不安作用、ぜんそく
証:実〜中

漢方薬名:大承気湯
主な作用・適応:便秘、高血圧症、躁状態に対して使用されることもある
証:実

漢方薬名:桃核承気湯
主な作用・適応:のぼせ、過食(肥満)便秘、高血圧症
証:実

漢方薬名:防風通聖散
主な作用・適応:過食(肥満)、高血圧症
証:実

漢方薬名:通導散
主な作用・適応:血の道症、更年期障害
証:実〜中

漢方薬名:五苓散
主な作用・適応:頭痛、むくみ

漢方薬名:半夏白朮天麻湯
主な作用・適応:めまい、頭痛
証:虚

漢方薬名:小青竜湯
主な作用・適応:ぜんそく(心身症)
証:実〜中

漢方薬名:越脾加朮湯
主な作用・適応:チック症
証:実〜中

漢方薬名:抑肝散
主な作用・適応:対人恐怖、チック症、向精神薬の副作用(錐体外路症状)
証:虚〜中

漢方薬名:小柴胡湯
主な作用・適応:向精神薬の副作用(肝機能障害)
証:実〜中

漢方薬名:大黄甘草湯
主な作用・適応:向精神薬の副作用(便秘)
証:実〜中

漢方薬名:安中散
主な作用・適応:向精神薬の副作用(胃腸障害)、心身症(胃潰瘍など)
証:虚〜中

漢方薬名:白虎加人参湯
主な作用・適応:向精神薬の副作用(口渇)
証:実〜中

漢方薬名:桂枝加芍薬湯
主な作用・適応:向精神薬の副作用(パーキンソン症状、便秘)
証:虚〜中

漢方薬名:柴胡桂枝湯
主な作用・適応:心身症(喘息、十二指腸潰瘍)
証:実

漢方薬名:真武湯
主な作用・適応:むくみ、尿量減少
証:虚


心に働きかける治療法
(精神療法、または心理療法)
 心の病気の治療には、薬物療法と並行して行われる精神療法が不可欠です。精神療法とは、おもに言葉による治療法であり、患者さんが治療者(精神科医やカウンセラー)の前でみずからの内面を語り、治療者がそれを受容し支持していくことによって、心の問題が徐々に軽減されていくような方法をいいます(支持的受容的精神療法)。
 精神療法には色々な種類があります。ただし、最初にあげる「カウンセリング」は、悩みや症状そのものを直接解決するというよりも、物の考え方や行動を変え、心の問題に対処できるよう、精神的な自立・成長を促す最も基本的な方法です。そのため、すべての精神療法にとって普遍性を持つものと言えます。

カウンセリング
 カウンセリングは、患者さんが精神科医やカウンセラーなどの治療者に悩みを話し、心理的な援助を受けるうちに、みずから物事の見方や考え方、行動を見直し改めることにより、問題を解決する能力を身に着けていくことを目的をしています。その際カウンセラーは、患者さんが直面している問題をどう解決するのか、また、解決のための具体的な方策を与えるといったアドバイスはしません。あくまでも患者さんみずからが自己洞察し、成長する手助けをしていきます。一般的に広く心の病気に用いられますが、治療の基礎作りとしての役割が大きいでしょう。
 きちんとしたカウンセリングは、1回1時間ぐらいの時間をかけて行います。短時間のカウンセリングでは十分な話はできません。そのために、カウンセリング専門の医療機関では、完全予約制のもとで行っています。一方で「カウンセリング」と看板を立てて「10分〜15分話をきくだけ」という「にわかカウンセリング」を行っているところもあります。専門的なカウンセリングを希望するときは、「誰が行い、どのくらい時間をかけているのか、料金はいくらか」を、事前に確認することです。

家族療法
 家族の中の一人に現れている精神症状や問題行動を、その人を取り巻く家族関係(人間関係)の中で起きてくる現象だと考え、治療者のアドバイスのもとで、「患者さんと家族が、ともに治療する」ための方法です。これは、家族が持っている力を引き出し、将来に向け「どのように力を結束させていけば問題が解決されるか」という点に力が注がれます。
 家族内の力関係、各家族成員の役割変化、家族成員ひとりひとりの内的変化がうまく起こることによって、いちばん問題になっていた患者さん本人の症状が改善されていきます。また、当の患者さん本人が受診を拒否している場合でも、家族だけが通院することによって、よい効果が生まれることもあります。
 広義の家族療法には、心の病気すべてが対象に含まれますが、家族療法を実施している専門機関はまだ少なく、保険の対象外のため、すべて予約制・自費診療になります。しかし患者さん個人のみに対する治療(個人精神療法)だけで問題解決すると考えるよりも、家族全体の問題としてとらえることが、心の病気では非常に大切なのです。

精神分析的精神療法
「人間の心には、自覚することのない無意識の部分があり、この働きが夢の内容や意識にも影響を及ぼし、症状も本音が無意識の中に抑圧されることによって現れる」。
 精神分析療法は、有名な精神科医フロイトの、この理論をもとに始められた治療法です。
 患者さんは長椅子(カウチ)に横になった状態で、心に浮かんでくることをすべて言葉にして、医師に伝えます。(自由連想法)。これを続けることで、患者さんの無意識の中に抑圧されたメッセージが意識に現れ、言葉として語られるといわれます。
 現在は、これをもとに、修正された精神分析的精神療法を行うことがほとんどです。ただし、精神分析にはいろいろな流派があり、治療者によって考え方に多少の差があることを知っておきましょう。
 精神分析療法は原則的に1回50分位、週4回以上と決められていましたが、現在では、1回30分〜60分、週に3回以下というところが多くなっています。対象となる病気には、解離性障害、持続性疼痛障害、恐怖症、強迫神経症、うつ病、一部の人格障害などが含まれます。

指示的精神療法
 精神分裂病など、妄想や幻覚を伴う精神病に用いられます。これは、病気が回復に向かい、実社会に復帰する過程で起きる現実的問題に適応していくための援助法です。
 患者腺が現実に直面したために起こる混乱や葛藤を、治療者が受け止めて、友好的な態度で緊張をほぐし、じっくり話を聞きながらひとつひとつの現実的問題に指示を与えていきます。

森田療法
 精神科医、森田馬博士により、大正期に創始されたため、この名がついています。特に対人恐怖症の患者さんに有効な場合があり、たとえば赤面恐怖に対しては「人前で赤面する」といった症状をなくすのではなく、心と症状のすべてを受け入れ、赤面してしまう心のからくり(精神相互作用)を打ち砕くという目的です。原則としては入院して受ける治療法ですが、外来でも実施しているところがあります。
※精神分析的精神療法、森田療法は保険の適用になりません。費用は治療者によって異なりますが、精神分析の場合、1回1万5000円〜2万5000円程度です。

認知療法
 うつ病の患者さんは、物事をすべて否定的に捉えます。「なぜ、こんなこともできないのだろう」と考え、次に「それは自分がダメな人間だからだ」と、はじめに浮かんだ考えを悪い方に悪い方に転がしていきます。
 認知療法は、気持ちが下向きになるたびに立ち止まり、心の軌道修正を行いながら、気持ちを上向きにするという治療法です。
 気持ちが動揺したら「なぜ、このように否定的に考えるのか。否定的に考えることのメリットはあるのか」と自分の考えたことを追及します。それでも、否定的な考え方がぬぐいきれないときは「だったら、どんなひどいことが起きるのか。別の行動をすれば、何か困難なことが起きるのだろうか」と自分自身を客観的に考えるようにします。最後は「別の考え方がないだろうか」と柔軟な考え方を見つけ出すようにします。

行動療法
 行動療法では、患者さんの問題をされる症状や行動が、これまでの生活体験の中で獲得したものだと考えます。そこで患者さんに、どのようなものが身についているのかを解明して、今後どんな体験を与えると望ましい考え方や行動を身につけて、症状や問題行動をなくすことができるかを考えます。おもに、薬物依存症、アルコール症、恐怖症などに用いられます。

認知行動療法
 苦手なことをしなければならないとき、ペースが落ちたり、はじめからあきらめたりすることがあると思います。認知行動療法は、こうした「苦手だ」という問題の起因になる考え方を修正することを基本に、問題解決能力をつけていく方法です。

集団精神療法
(グループ療法)
 同じ病気を持つ







































Ads by Sitemix