小松先生

漢方よもやま話B 
  小松 靖弘

健康食品や西洋薬と漢方薬の併用は大丈夫?

【はじめに】
 今日、漢方薬、西洋薬の区別なく医薬品の併用は日常的に行われている。多剤併用の障害は種々指摘されているが、現状では多種類の併用によりいかなる問題が生じるか、すべてはわかっていない。したがって、医薬品の併用は経験的にそれぞれの薬剤の治療効果が上がり、問題を生じていない組み合わせで治療に応用されている状況である。

【漢方薬と西洋薬の併用】
 まず、漢方薬と西洋薬の併用について考えてみると、併用が「禁忌」となっているのは小柴胡湯とインターフェロンであり、また併用に注意が必要とされるのは麻黄を含む漢方薬とエフェドリン含有製剤、カテコールアミン類などを含有する製剤があげられていることは周知の事実である。また、多くの漢方処方に用いられている甘草の主成分であるグリチルリチンと副腎皮質ホルモンとの関係、低カリウム血症の関係についてもよく知られている。ほかにも附子、大黄などで活性成分の知られている生薬が配合されている漢方薬と西洋薬の併用については副作用の発現を推測することも可能であろう。
 一方、まったく試したことのない組み合わせでは漢方薬の一般薬理作用に関する情報不足もあり、副作用発現を推測することは困難であると考える。そこで、西洋薬との併用による副作用発現を知る一つの方法として漢方薬エキス、生薬エキスのP450(CYP3A4,CYP2C9)など薬物代謝酵素系への影響が調べられ、薬物代謝酵素に対する作用が報告されている。例えば、肝ミクロソームを用いたin vitroの試験系で小柴胡湯、大柴胡湯、補中益気湯、葛根湯、小清竜湯などについて調べたところ大柴胡湯にCYP3A4,CYP2C9を阻害する作用を認めている。しかし、大柴胡湯と何らかの西洋薬を併用して、障害を認めたという報告はみあたらない。漢方薬は通常経口投与されることと、また作用物質と考えられる化合物が配糖体となって存在し、腸内細菌によって分解された後生体内に吸収されることが多いと考えられており、in vitroでの実験で作用が認められた薬剤(物質)とその濃度が実際の生体内で確保できるのか不明で、大きくかけ離れていることが予想される。したがって、in vitroの試験の結果がin vitroでの結果には結びついていないようで、薬物代謝酵素に対する阻害、あるいは賦活作用より漢方薬の効果に変化が生じたという報告は知られていない。さらに、漢方薬の薬効発現機構の解明不足は副作用発現の予測をさらに困難な状況にしている。実験動物を用いた漢方薬と西洋薬併用に関する研究はほとんど行われていないことが大きな問題で、このことに関する研究の発展が望まれるところである。
 ラットを用いて漢方薬、葛根湯、小柴胡湯、補中益気湯がワルファリンとの併用で血液凝固作用に与える影響を調べた。その結果これらの漢方薬はワルファリンの血液凝固作用に影響しなかったと報告されている。さらに、このような作用については実際の臨床でのモニタリングから判断していかなければならない。
 漢方薬と西洋薬との併用を考えるとき、好ましくない反応の発現ばかりではなく、好ましい反応がみられることがあることも周知の事実である。著者らはとくに十全大補湯、補中益気湯などの補剤と化学療法制がん剤との併用が、制がん剤のもつ好ましくない反応(副作用)の発現を抑制することを報告してきた。ほかにも動物試験により柴胡加竜骨牡蠣湯がテオフィリン製剤の中枢に与える副作用の発現を抑制し、安心して使用できる可能性を示した。漢方薬の併用による西洋薬の副作用の軽減という治療上好ましい結果が得られる場合が多いのではないかと考えているが、好ましくない反応であろうとそうでなかろうと、それにはしっかりとした動物試験による研究結果の集積が求められている。西洋薬の副作用軽減を目的とする実験において忘れてはならないことは西洋薬の主作用が減弱していないこと、あるいは西洋薬の血中濃度に影響を与えていないことなどを必ず検討することである。今後の研究の発展に期待したい。

【漢方薬と健康食品の併用】
 さて、漢方薬と「いわゆる健康食品」の併用の問題であるが、一口で健康食品といっても千差万別で、漢方薬と健康食品の併用が「大丈夫か」との問いには実際の所答えは「わからない」である。西洋薬と「いわゆる健康食品」との併用についてよく知られるグレーブフルーツジュースとカルシウム拮抗薬、またセント・ジョーンズ・ワートとワルファリン、中枢神経系薬剤との併用は避けるなど西洋薬との組み合わせで副作用のあることが報告されている。この作用は、それぞれの物質がもつ薬物代謝酵素に対する作用が関与していることが明らかにされている。これらが漢方薬と併用されたとき、いかなる相互作用が発現するかは知られていない。漢方薬を白湯ではなくグレープフルーツジュースで服用したとき、漢方薬の作用が強化されるのだろうか、わからないが、何か影響はありそうである。
 漢方薬と健康食品との併用による主作用発現への影響、副作用の発現など確定された報告はないと思われる。現在、われわれが目にする健康食品の素材は比較的植物、生薬由来のものが多く漢方薬と共通している。すなわち、両者の併用は植物由来製品の複合となり、漢方薬どうしの併用に似るところがあるのではなかろうか、緑茶、銀杏葉、大豆などの健康食品ではカテキン、フラボノイド類を多く含み、漢方薬と併用するとそれらの主作用成文の摂取量が多くなり、作用にも変化が出てくることが予想される。大豆エキスのフラポノイド類が女性ホルモン様作用を示すといわれており、同じマメ科に属する甘草を含む漢方薬との併用によっては作用発現が増強されることになる可能性が考えられる。朝鮮人参を含む健康食品を摂っている人が朝鮮人参含有の漢方薬を服用すると朝鮮人参の過剰摂取が考えられ、それらによる副作用の発現が懸念される。また、健康食品の副作用についての報告は多く、死亡例も報告されている。副作用のなかでは、アレルギー反応が多く、皮膚炎から、肝炎、腎炎などで重篤な例もあるが、内容が不明瞭で原因物質が特定できないこともある。
 免疫機能を賦活するエキナセア、キノコ類(冬虫夏草、霊柴、舞茸、メシマコブ)などはがん患者に多く摂取されている。しかし免疫機能を賦活する効果があるということはアレルギーを起こす可能性のある抗原物質の存在は否定できず、併用するとアレルゲンが加算されて、単独での使用よりアレルギーを起こす機会が増えることも考えられる。その他プロポリス、ローヤル・ゼリーなども多く食べられているが同様のことが考えられる。
 漢方薬に使われている生薬の薬物代謝酵素に対する影響を調べた研究があり、70数種の生薬エキスのなかで桂皮、大黄、五味子に薬物代謝酵素の阻害効果を認めている。桂皮は健康食品でも使われているが大量の摂取は避けた方がよいかもしれない。健康食品としては使われない黄苓のフラボノイド類に薬物代謝酵素阻害作用があり、植物エキス中のフラボノイド類にも同様の作用があるとすろと併用には注意が必要となる。健康食品は健康な人が利用し疾病予防を期待するものであるが、実際にはほとんどの場合、ガンやがんや、糖尿病などなんらかの病気に罹っている人が利用している。これらの健康食品について病気の人が摂取したときの安全性についてはきわめて情報が少ないので、副作用の発現は予測できない。まずは、日本人が口にしていないような、作用がよくわからない健康食品の摂取は避けた方が安心である。漢方薬、西洋薬を服用している患者は第一に薬を医師の指示通りに服用することが重要で、健康食品はあくまでも補助手段であるため
医薬品との同時摂取を避け、食事と同様に摂取するか、医薬品服用と時間的に重ならないように工夫することが重要であると考える。




アルツハイマー型老年期認知症に対する「ヤマブシタケ子実体」食品、「山伏乃賜玉」の臨床効果
 大友英一 清水通隆 小松靖弘

=はじめに=
 高齢化とともにアルツハイマー型老年期認知症の増加は確実であり、本症への対応が21世紀の最大の医学的、社会的課題の一つである。アルツハイマー型老年期認知症の原因は不明であるが、抗認知症の医薬品開発が各国で進められている。現在、わが国で唯一認可されている抗認知症医薬品はアリセプトである。一方では、少しでもアルツハイマー型老年期認知症に効果を示すものについて、可能な限り臨床で試してみることが望まれている。
 アルツハイマー型老年期認知症については、種々のコホート研究が行われており、魚を多く食べる食生活はアルツハイマー型老年期認知症の発症が少ないことが認められ、アルツハイマー型老年期認知症と生活習慣が関連する可能性が報告されている。したがって、アルツハイマー型老年期認知症は生活習慣の改善により予防可能な疾患である可能性が考えられることから、有効な予防手段となる食品の検索も精力的に進められている。
 このような観点から、本調査で取り扱った「山伏乃賜玉」(サン・バイオケミカル株式会社製造販売)は食用キノコであるヤマブシタケから作られた栄養食品(健康補助食品)である。ヤマブシタケは中国では宮廷の薬膳料理に使われた食材として知られている。科学的には河岸らがヤマブシタケから神経成長因子(NGF)の産生を促進させる効果を持つ化合物ヘリセノン(hericenone)類、エリナシン(erinacine)類の存在を明らかにし、さらに動物試験においてエリナシンAの経口摂取試験で脳組織の一部でNGFが顕著に増加することを観察している。また、藤原らは詳細にその生物学的作用報告しており、興味あるキノコである。
 筆者は少数のアルツハイマー型老年期認知症に対する「山伏乃賜玉」の効果を認め、さらに、ほかの医療施設との共同調査において同様の結果を観察している。また、笠原らは高齢障害者(脳血管障害、パーキンソン病、脊髄小農変性症など)に対し、対照に比較して有意な改善効果も報告している。
 今回、「山伏乃賜玉」のアルツハイマー型老年期認知症に対する効果について、初期的臨床試験を実施し、その有効性、有用性を明確にするために本研究を企画し、検討したので報告する。

=対象と方法=
1.初期的臨床試験
 対象は社会福祉法人浴風会浴風病院の外来に通院しているアルツハイマー型老年期認知症患者7例(男性5例、女性2例)であり、年齢は74〜89歳(平均82歳)であった。これらの患者は一般的には軽症例と診断され、機能的自律度評価(Functional Independence Mcasure:FIM)はコミュニケーションおよび社会的認知の項にのみ問題があるレベル4〜6の段階で、ほかのFIMの項目にはほとんど問題がない例であった。

2.本臨床試験
 対象は社会福祉法人浴風会浴風会病院の外来に家族が付き添って通院しているアルツハイマー型老年期認知症患者で本調査への参加について家族が同意している方である。アルツハイマー型老年期認知症の診断は、DSM-W-TRの基準に従って行った。症例の総数は18例で、男性が10例、女性は8例であった。年齢は66〜86歳で、平均は77.4±6.9歳であり、臨床症状の変化が認められなくなった18例である。

3.摂取方法
 「山伏乃賜玉」1.5gを朝、夕2回(1日3g)を3ヵ月間摂取した。

=効果判定=
 患者がアルツハイマー型老年期認知症の中核症状といっている記銘力、記憶力、判断力、見当識障害、計算力障害などの評価はMini Mental State Examination(MMSE)により行った。また、周辺症状の評価は同居する家族、ショートステイなどに際し、接する機会がある介護士などが本食品摂取後に観察した患者の言動を聞き取り調査および来診時の医師への対応の変化などにより行った。
 摂取前後のMMSE点数の変化については、1〜5点の上昇は有効、変動のない場合は不変、1〜5点低下した場合を悪化と判定した。なお1点の上昇例については家族からの気取り調査を行い、最終判定を行った。
 また、本食品摂取前後で各種臨床検査(血液生化学的検査、尿、糞便検査、心電図検査など)を行った。

=統計処理=
 統計処理は関連のある2群の順位尺度差の検定をWilcoxon 符号付順位検定法(Wilcoxon signed ranks test)を用いたノンパラメトリック検定で行い、危険率5%以下(p≦0.05)をもって“有意差あり”とした。なお、この治療研究は社会福祉法人浴風会浴風会病院の治験委員会の承認を受けている。

=結果=
1. ヤマブシタケの有効性に関する初期的試験
 筆者が認知症の中核症状と命名している狭義の知的状態のMMSEでは、7例中1例において15点から22点に上昇した著効を示した例を除き、明確なMMSEの全般的な変化は認められなかった。しかし、表1に示したように筆者が周辺症状と命名している意欲低下・無関心・自発性・うつ状態・幻覚・妄想・異常行動・徘徊などにはほとんどの例で何らかの好ましい改善が認められた。

表1 初期的臨床試験7例にみられたヤマブシタケ摂取後の周辺症状の改善例

  痴呆の進行が遅くなった  2例
  徘徊が消失した       1例
  外出先から迷うことなく帰宅できるようになった 1例
  性格が穏やかになった  1例
  怒りっぽさが軽減した   1例
  整理整頓など几帳面な性格に戻った  1例

2.本臨床試験
 この初期的臨床試験研究において「山伏乃賜玉」はアルツハイマー型老年期認知症患者に周辺症状の改善が確実にみられたので症例数を増やし、本臨床試験を試みた。
 臨床症状の改善は、周辺症状を中心に認められた。MMSEの値について「山伏乃賜玉」摂取前後の変化を表2に示した。表2からわかるように改善を示した患者は18例中11例(61.1%)、不変は5例(27.8%)および悪化は2例(11.1%)という結果であった。しかし、特定のドメインに反応が大きいということはなかった。表2に示したように、MMSE値の変化はわずかでも点数(1〜5点)の上昇した症例は14例(77.8%)、不変は1例(5.8%)、低下(1〜5点)は3例(16.7%)であった。MMSEが1点改善した患者は5例(27.8%)であった。MMSEが1点改善した患者5例のなかの2例についたは家族から症状の聞き取り調査を行った結果、改善が認められたことから、有効症例とし、ほか3例は不変省令とした。また、1点下降した患者は1例であったが、同様に聞き取り調査により1例を不変症例とした。
 有効と判断された11例、悪化、不変と判断された7例に関するMMSEの「山伏乃賜玉」摂取前後の変化を図1に示した。図1からわかるように改善を示した症例のMMSEの変化は明確であった。一方、症状改善が認められなかった症例では図1からもわかるように、MMSEの悪化が3例、不変が1例であり、またMMSEが1点上昇した3例および1点下降した1例については家族・介護者からの聞き取り調査の結果、症状の改善悪化があったとは判断できないため、これらは不変症例とした。
 改善を示した臨床周辺症状は初期的試験でもみられたように@判断力、理解力がやや普通に近づいたと考えられる。A性格が穏やかになった、B明るく積極的となった、C表情が明るくなった、D積極的に外に出かけるようになったE買い物がまともになった、F動作が少し早くなった、G他の人との対話が多くなった、H昔の几帳面さがやや戻った、I幻覚・妄想が少なくなった、などであった。これらの変化はいずれも同居している家族、あるいは介護士が観察した結果である。さらに、外来における医師への対応が明るくなり、また対応が早くなった症例も経験した。
 一方、悪化したといえるのは、@記憶力の低下が少し進んだ、Aいろいろなことに積極性が少なくなった、などであったが、なお、表2には示してはいないが、同時に実施した一般血液生化学的臨床検査、尿検査、心電図検査結果から摂取前後で異常検査血は認められず、また心電図パターンに特別な変化は認められず「山伏乃賜玉」が安全性の高い栄養食品であることが確かめられた。
 患者18例のMMSE値の結果について統計処理をしたところ、同順位補正後のp値が0.0208であることから、「山伏乃賜玉」摂取前後では有意(p≦0.05)に差があった。


表2 「山伏之賜玉」摂取前後のMMSE値の変化

  患者          MMSE                    判定
        年齢   摂取前   摂取後    前後の差
1  A(F)  66     22     24        2       有効
2  B(F)  69     18     23         5       有効
3  C(M)  86     21     25        4       有効
4  D(M)  87     20     20        0       不変
5  E(M)  80     18     22        4       有効
6  F(M)  79     11     12        1       不変
7  G(F)   72        20     24       4        有効
8  H(F)  80     18     19        1        不変
9  I(M)  64     26     25       -1        不変
10 J(F)  81     18     16       -2        悪化
11 K(M)  81     23     26       3        有効
12 L(M)  73     19     14       -5        悪化
13 M(F)  80     18     21       3        有効
14 N(F)  69      21     25       4         有効
15 O(M) 84      18     19       1         不変
16 P(M) 80      21     22       1         有効
17 Q(M) 79     20      21       1         有効
18 R(F)  84     17     19        2         有効


=考察=
 アルツハイマー型老年期認知症の原因は原因は未だ不明な点が多く、その原因究明が世界的に進められている。治療薬の開発も活発に進められているが、この疾患を完治させる薬剤は未だ開発されていないのが現状である。有効な薬剤が開発されていないことと、アルツハイマー型老年期認知症は食生活を中心とする生活習慣との関連から予防可能な疾患の可能性が考えられることから、有効な予防集団となる食品の検索も精力的に進められている。このような状況にあって、古く中国で宮廷の薬膳料理に使われていたヤマブシタケが注目されている。本キノコについて河岸らは神経成長因子の産生を促進させる効果をもつ化合物ヘリセノン類、エリナシン類の存在を明らかにした。さらに川岸らはラットを用いた試験でエリナシンAの経口投与により海馬、青斑組織のNGF量が顕著に上昇することを報告した。また、藤原らは脳梗塞モデル動物を用いて、その薬理学的作用について詳細に報告しており、ヤマブシタケは臨床医学的にも興味のある食用キノコと考えられる。
 このような事実から筆者は栄養補助食品として市販されているヤマブシタケ子実体粉末食品(「山伏乃賜玉」)の臨床研究で本製品は軽度のアルツハイマー型老年期認知症患者の周辺症状に対して有意差を以て改善することが明らかになり、アルツハイマー型老年期認知症患者の治療、予防に有効であると考えられた。
 ところで、筆者は今回の臨床研究のほかに本結果を基に、症例数を増やし、ほかの施設においても同様の結果が得られるか、否かについて確認する臨床試験研究を試みた。その試験においても同様に試験参加者は1日3g(朝、夕食後それぞれ1.5gずつ)を摂取して、3ヵ月後の認知症の重症度、その他の症状について摂取前後で比較した。
 すなわち、認知症薬剤治療が継続されているアルツハイマー型老年期認知症患者で社会福祉法人浴風会浴風会病院およびほかに医療施設の入院患者、特別養護老人ホーム入所のアルツハイマー型老年期認知症例で検証した。対象症例は21例(男性7例、女性14例、平均年齢85.5±6.6歳、71〜98歳)であった。認知症の診断、重症度判定にはMMSE,改訂長谷川式簡易知的機能検査スケール(HDS-R)、臨床的認知度評価尺度(Clinical Dementing Rating:CDR)などを使用した。重症は15例、中等症は4例、軽症は2例であった。また、この臨床治験参加の患者は認知症の薬物療法を行っていたが、症状の変化が3ヵ月以上にわたってみられなかった症例である。この予備的臨床試験結果では、中核症状である記銘力・記憶力障害などの明らかな改善は認められなかった。しかし、摂取前後でMMSEの施行可能であった10例では点数の増加は1〜2点に終わったが、点数の減少した例はなかった。周辺症状の改善は14例(66.7%)に認められ、不変4例(19.0%)、悪化3例(14.2%)であった。重症度別の改善度は重症例71.4%、中等症例75.0%、軽症例50.0%であった。改善した症状は意欲低下、無関心、自発性、うつ状態、幻覚、妄想、異常行動、徘徊などであった。なお、1例の異常性の強い例ではこれが消失し、摂取後は性格が変わったように穏やかになった。この試験でも特筆すべき副作用は認められず、臨床検査上も特に問題となる変化はなかった。
 今回の臨床研究と予備的臨床研究で明らかなように、本栄養食品にはアルツハイマー型老年期認知症の症状改善に一定の有用な効果を示す作用があると判断さた。しかし、その詳細な作用機序は不明であり、今後の研究によって明らかにされなければならない。これまでに作用機序の1つとしてヤマブシタケ子実体には抗酸化作用、血小板凝集抑制作用のあることも報告されており、「山伏乃賜玉」についても抗酸化活性について検討したところ、明確な抗酸化活性を認めており(データ未発表)、これらの作用も脳保護作用に寄与してアルツハイマー型老年期認知症の症状改善の作用に関わっているものと考えられた。また、神経細胞は周知のように刺激や情報を身体全体に伝達している細胞である。このため、神経細胞は長い神経突起を有して、ほかの細胞と連絡し、その役割を果たしている。このような特殊な機能を支えているのが神経栄養因子(Neurotrophic Factor:NTF)と呼ばれるものである。このNTFの詳細な機能については不明のところが多いが、このNTFのなかで最も特性が解明されている物質として、神経成長因子(Nerve Growth Factor:NGF)と呼ばれるものがある。NGFは末梢交感神経細胞、知覚神経細胞、記憶や学習に関係する前脳基底核コリン作動性神経細胞、コリン作動性神経細胞などの分化促進、生存、機能維持作用を有するとされている。この神経路はアルツハイマー型老年期認知症で障害されている神経路と よく似ている。このようなことからNGFがアルツハイマー型老年期認知症と関連が深く、原因としてNGFの欠乏を考える説も出現している。このNGFに関してヤマブシタケが含有しているヘリセノン、エリナシンにはNGFの合成を促進させる効果が報告されている。また、これらの化合物はラットの試験では経口摂取により脳関門を通過して、海馬、青斑組織でNGFの産生を促進することが認められている。このようなことから、「山伏乃賜玉」はNGFを会してアルツハイマー型老年期認知症の病変を予防あるいは発現抑制に働き、臨床症状の改善に関与している可能性が強いと考えられる。
 ヤマブシタケには長い食経験があり、副作用は特に認められず、安心・安全な食品であることが確認され、今回の介入試験で、アルツハイマー型老年期認知症に統計学的に有意差をもって「山伏乃賜玉」に有効性を認めたことは今後さらなる基礎、臨床研究を行い、有効性について詳細に検証していく価値のある食品といえる。
  なお、今回は敢えて非摂取群の対照群を設けていねい。それは、筆者らの経験から、アリセプトと投与して3カ月間が経過して、その症状に全く改善を認めていない認知症患者にそれ以上の期間、同様の薬剤を継続投与して症状が改善した症例は観察されていないことと、食品であるヤマブシタケに相当する対照食品が存在しないことから、対照群を設定することができなかったからである。


=結論=
 アルツハイマー型老年期認知症に対し、ヤマブシタケ粉末食品である「山伏乃賜玉」を3ヵ月摂取し、摂取前後で比較した。その結果、中核症状では知的機能の評価方法といい得るMMSEでわずかではあるが、上昇を認めた。また、周辺症状であるうつ病、幻覚、妄想、徘徊など症状の改善を認めた。副作用はなく、本食品はアルツハイマー型老年期認知症に積極的な摂取を試みてよいものと結論される。



謝辞
本試験の統計学的処理につきましてご協力頂き、また貴重なご助言を賜りました秋田大学名誉教授、吉崎克明先生に深謝致します。









誰もが予備軍!アルツハイマーになりやすい人となりにくい人の違いと予防の最先端秘策発見

難治のアルツハイマーが10年で倍増し、危険な予備軍はメタボ・高血圧・糖尿病の人
 65歳以上の8人に1人が発病の恐れ

 厚生労働省の調査によれば、2002年の認知症(ボケ)の患者数は約150万人でしたが2005年には約205万人へと激増しています。
 さらに、今後の患者数の予測として、2035年までには少なくとも445万人に達し、65歳以上の8人に1人が認知症になるという見通しです。
 認知症は、主に脳血管性とアルツハイマー型に分けられますが、脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血などによって脳の組織が損傷し、それが原因で発病するタイプです。
 一方のアルツハイマー型認知症(以下、アルツハイマー病と呼ぶ)では、βアミロイドと呼ばれるタンパク質が脳の神経細胞に蓄積して老人斑というシミを作ります。そして、その部位の神経細胞が死滅し、脳全体が萎縮して機能も失われていくタイプです。
 最近は、認知症の中でもアルツハイマー病の割合が増えており、私の病院では約8割をアルツハイマー病が占め、この10年間でほぼ倍増しています。
 さらに、見逃せないのが、40代や50代という比較的若い世代にアルツハイマー病が増えていることで、社会問題の一つになっています。

 メタボの人はボケの危険が3倍増
 では、なぜ若年層も含めてアルツハイマー病が急増しているのでしょうか。
 2007年、神経内科の分野で最も有名な米国の専門誌に、衝撃的な記事が発表されました。これはメタボリックシンドロームとアルツハイマー病との関係を調べた研究報告で、アルツハイマー病の発病にメタボリックシンドロームが深く関係しているという内容でした。 
 メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に加えて、脂質異常(高脂血)・高血圧・高血糖の二つ以上を併発した状態をいいます。厚生労働省の調査によると、40〜74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームおよびその予備軍であることがわかっています。
 メタボリックシンドロームとアルツハイマー病が密接な関係にあることは、国内外の多くの研究者が報告しています。
 例えばオーストラリアのレイゼー博士らの研究によれば、メタボリックシンドロームの人は、そうでない人に比べて3倍以上アルツハイマー病になりやすいことが示されました。
 そのほか個別の調査でも、内臓脂肪型肥満・脂質異常・高血圧・高血糖がある人は、いずれもアルツハイマー病になりやすいことが実証されています。 その一例として、九州大学の清原裕教授らが行った調査では、糖尿病とその予備軍の人は血糖値が正常な人に比べてアルツハイマー病の危険が3.1倍も高まることがわかりました。
 また、フィンランドのキビペルト博士らの研究グループは、中年期に高血圧を患っている人は、正常血圧の人よりアルツハイマー病の発病率が2.3倍も高いと結論づけています。

予防の第一は内臓脂肪型肥満の解消
 メタボリックシンドロームの要因となる脂質異常・高血圧・高血糖に陥ると、脳の血管に動脈硬化が起こります。すると血流が悪くなり、脳に新鮮な酸素や栄養が供給されなくなります。その結果、大脳白質という線維連絡網(ネットワーク)が損傷し、アルツハイマー病の危険も高まると見られています。
 また、内臓脂肪型肥満や高血糖になると、血糖の調節をするインスリンというホルモンが過剰に分泌されます。その結果、血液中のインスリンの濃度が異常に高くなり、脳の血管を傷つけてアルツハイマー病を引き起こすと考えられています。
 さらに、アルツハイマー病は、脳に老人斑と呼ばれるシミのできることが発病のきっかけになりますが、この老人斑の発生にはコレステロールの過剰摂取が深く関係していることも突き止められました。
 こうして見ると、アルツハイマー病の予防には、メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病を防ぎ改善することが不可欠です。
 さらに突きつめれば、これらの病気を引き起こす内臓脂肪型肥満を防げるかどうかが、アルツハイマー病の発病を左右する重要なカギといえるのです。



第二は、重症のアルツハイマーでも進行が止まり、七割以上が改善したと試験で実証の[ヤマブシタケ] 大友英一

脳血管性認知症の改善にも有効
 認知症(ボケ)は主に、脳梗塞や脳出血が原因なる脳血管性認知症と、神経細胞が急速に死滅して脳が委縮するアルツハイマー型認知症(以下、アルツハイマー病)の二種類に分けられます。
 特に、アルツハイマー病は根本的な原因が確定していないこともあり、決め手となる治療法もないのが実情です。そうした中、さまざまな臨床試験によって、脳血管性認知症にも改善効果が期待できると話題になっているのが「ヤマブシタケ」です。
 ヤマブシタケは、広葉樹の樹幹や切り株に生え、全体が白っぽい色をしているサンゴハリタケ科のキノコです。外見は、山伏が着ている衣装の丸い房の形に似ているいるのでヤマブシタケと呼ばれています。
 認知症に対するヤマブシタケの働きを最初に発表したのは、静岡大学の河岸洋和教授と岐阜薬科大学の古川昭栄教授です。その共同研究による報告は、ヤマブシタケに含まれる特有の成分(ヘリセノンとエリナシン)が脳の神経細胞を活性化し、認知症  も改善に導く可能性があるというものでした。

神経細胞を増やす有効成分が豊富
 脳は一千億個以上の神経細胞からできていますが、かつて、神経細胞は20〜30歳を境に減りつづけ、増えることはないと考えられていました。しかし、近年の研究によって、脳の海馬(記憶を司る部位)では、年を取っても新しい神経細胞が増えるわけで  はありません。海馬から分泌されるNGF(神経成長因子)という物質が少ないと神経細胞は増えないのです。
 アルツハイマー病の人も、このNGFが十分に分泌されていないため、神経細胞が減少して記憶力や判断力などの知的能力が衰えてしまいます。
 つまり、NGFを増やせば神経細胞が増えて脳の委縮も抑えられることになります。先ほども述べたように、河岸教授らがヤマブシタケに発見したヘリセノンとエリナシンこそ、NGFを増やす成分だったのです。

判断力や理解力が改善し徘徊も止まった
 こうした研究報告を受けて、最近ではヤマブシタケの粉末食品を使った認知症の患者さんに対する臨床試験が積極的に行われています。
 私の病院でも、ほかの医療機関と共同で試験を行っています。試験では、アルツハイマー病の患者さん21人(男性7人、女性14人。平均年齢85・5歳)に、ヤマブシタケの粉末食品を1日2回、合計3gを3カ月間とってもらいました。
 21人の対象者のうち、重症の患者さんは15人、中等症の患者さんは4人、軽症の患者さんは2人。全員が認知症の治療薬を服用していましたが、症状の改善はほとんど見られませんでした。
 試験では、ヤマブシタケを摂取する前後で症状の改善度を比較しました。なお、認知症のレベルを調べる評価方法として、MMSEという検査を採用しています。MMSEとは、見当識(時や場所、周囲の人を正しく判断する力)、記憶(覚える、思い出す)、
 計算など記憶・認知機能を調べる検査です。
 この試験の結果、ヤマブシタケをとることでアルツハイマー病の周辺症状(意欲低下・無関心・自発性低下・ウツ状態・幻覚・妄想・異常行動・徘徊など)が改善したのは21人中14人(66・7%)でした。
 例えば、「性格が穏やかになった」「判断力や理解力が改善した」「表情が明るくなった」「徘徊が止まった」など変化のようす報告されています。
 また、重症度別の改善度を見てみると、重症例で71・4%、中等症例で75%、軽症例では50%と、重い人ほど改善している傾向している傾向が見られました。
 なお、これまでの試験の結果、ヤマブシタケをとっても副作用は認められず、認知症のほかに便秘など消化機能不全の改善効果も報告されています。ヤマブシタケの利用は、認知症の患者さんはもちろん、介護をする家族にとっても負担を減らすものといえ るでしょう。
 現在、ヤマブシタケは粉末食品のほか、栽培されたものが一部の青果売り場で出回っています。味が淡泊なので、汁ものの具にしたりするとおいしく食べられます。
 みなさんもヤマブシタケを毎日の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。


ヤマブシタケの改善効果

○=改善  ◎=顕著に改善  −=不変  ↓=悪化  平均年齢:85.5歳

  年齢     性別    重症度    効果
  85歳    女性    中等症    ○
  87歳    女性    重症      ○
  71歳    男性    重症      ○
  90歳    女性    重症      −
  92歳    女性    重症      ○
  83歳    女性    軽症      ○
  87歳    男性    重症      ○
  88歳    女性    重症      ○
  90歳    女性    重症      ◎
  84歳    女性    重症      ↓
  79歳    女性    軽症      ↓
  78歳    男性    中等症    ○
  81歳    女性    中等症    −
  77歳    男性    中等症    ○
  84歳    男性    重症      −
  85歳    女性    重症      ○
  88歳    男性    重症      ○
  80歳    男性    重症      ○
  98歳    女性    重症      −
  98歳    女性    重症      ↓
  91歳    女性    重症      ○








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