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はじめに
「生理が、もう3カ月もない」「おりものが急に多くなって、においもきつい」「生理でもないのに、出血があった」「あの部分が、とてもかゆい」「歩くとき、すれた感じがして、あそこが痛い」「下腹部に、いつも鈍痛がある」…。
 女どうしだからって気楽に相談できるとはかぎらない、女性のからだの悩み。あなたはひとりで抱えていませんか?
 カゼをにいたら病院へは気楽に行けるのに、気になる症状があっても「婦人科」へはなかなか足が向かない。なぜなのでしょうか。「このくらいなんでもないはず…」といった過信があるかもしれません。ほかにも「はずかしいからイヤ!」「どんなろころか、わからない…」「すぐに手術なんていわれたらどうしよう」などと思っている人もいるかもしれませんね。
 大丈夫。そんなみなさんのために、婦人科の病気に関する悩みをまとめ、なるべくわかりやすく解説しました。まず、あなたが感じている症状のページを開いてください。「主な症状はどんなもの?その症状はこんな状態では?」と、より具体的な症状を”問診”していきます。
 自分のからだに、もっともっと関心をもって大切にしてほしい。大きな病気になる前に未然に予防してほしい-そんな願いをこめて、この本を書きました。不安なことがあっても、あわてないで。この本をひらいてみてください。あなたはひとりではありません。ゆっくり、確実に解決していきましょう。



こんな症状があるんだけど、病気かな?
[生理不順]
Q1生理の周期が一定していません
Q2生理の量が多くて痛みがひどい
Q3生理でもないのに出血があります
Q4生理がないのですが…

[おりもの]
Q1おりものの量が多いのです
Q2おりもののにおいがきついのですが

[かゆみ・痛み]
Q1あそこがかゆい…
Q2あそこが痛いです

[おっぱい]
Q1乳房にしこりがあるようです
Q2乳首に異常があります

[セックス]
Q1セックスのあと出血がある…
Q2セックスのとき痛みがあります

PART1
 子宮の病気 ちょっとの不安や悩みも、放っておかないで!
〈子宮筋腫〉
良性のこぶだから、あわてないできちんと対処しましょう
〈子宮膣部びらん〉
心配がいらない仮性びらんであることがほとんどです
〈子宮頸管炎〉
放置しておくと、不妊の原因になってしまいます
〈子宮頸管ポリープ・子宮内膜ポリープ〉
子宮内膜の過剰反応が原因
〈子宮内膜炎〉
おりものが変だなと思ったらすぐ病院へ
〈子宮内膜症〉
生理がある女性の1割は、もっているといわれています
〈子宮ガン〉
最良の方法を、先生とじっくり話し合いましょう

PART2
卵巣の病気 沈黙の臓器といわれています、チェックを忘れずに
〈卵巣のう腫〉
ほとんどが良性ですが、適切な治療が大切
〈卵巣チョコレートのう腫〉
子宮内膜症の一種です
〈卵巣腫瘍〉
繊細な臓器だから、病状もさまざま
〈卵管炎・卵巣炎〉
発熱をともなう下腹部の痛みには注意
〈卵管水腫〉
卵管炎を患った結果、起こる病気
〈卵巣出血〉
排卵がある女性にはだれにでも起こる可能性が
〈卵巣がん〉
ひそかに進行する病気です、定期健診を欠かさないで

PART3
おっぱいの病気
からだのシグナル「しこり」を見逃さない
〈乳腺症・のう胞〉
心配はありませんが、一度診断を受けましょう
〈乳腺炎〉
授乳中に、乳腺が炎症をおこしている病気
〈乳腺線維腺腫〉
おっぱいいできるしこりの95%は良性です。
〈乳管内乳頭腫〉
乳管に良性のポリープができています
〈乳がん〉
毎日のセルフチェックで”しこり”を確認

PART4
感染症 他人事ではありません、いま、増えています!
〈クラミジア感染症〉自覚症状が少ないので、要注意
〈トリコモナス膣炎〉恥ずかしがらずに、すぐ病院へ
〈カンジダ膣炎〉湿ったところが好きなカビの一種!
〈尖圭コンジローム〉”見た目”でわかる感染症のひとつ
〈性器ヘルペス〉放っておくと、かゆみはしだいに強くなっていきます
〈淋病〉最近おりものが増えたと感じませんか?
〈非特異性膣炎〉きつい下着やGパンも誘因とされています
〈バルトリン腺炎・のう胞〉抗生物質の服用でほとんどが治ります
〈外陰炎〉清潔にすることがいちばんの予防法

まだまだある悩み別INDEX
 あんまり大きな声で相談できないQ&A


婦人科を受診しよう&どんなお医者さんがいい?
婦人科へ行こう!
お医者さん選びのコツ
診察ってどんな感じ?
いちばんの難関「内診」ってどう診るの?
症状によってはこんな検査もあります
婦人科検診を受けよう
ガン検診はこう行われます
セカンドオピニンってなに?

PART5
不妊症 ひとりで悩まないでください、医師に相談してみましょう
「不妊症」について正しい知識をもちましょう
さまざまな不妊症の治療方法
基礎体温をつけることが大切です
異常を感じたら、すぐ婦人科へ
ブライダルチェックを受けてみよう
子宮・卵管・頸管のチェック
排卵機能もチェックしてみます
パートナーのチェック

こんな症状があるんだけど、病気かな?

[生理不順]こんな症状があるんだけど、病気かな?
 女性は卵巣の中に100万〜200万個の原始卵胞を持って生まれてきます。思春期になると毎月、その中のたったひとつの原始卵胞が成熟して排卵され、受精を待ちます。子宮内ではそのための準備をはじめてホルモンを分泌するようになり、着床しやすい状態をつくります。ここで受精が成立すれば妊娠。受精しなければ、受精するために整った子宮内膜ははがれて出血します。これが思春期から閉経期から閉経期まで毎日くり返されていく整理の仕組みです。ホルモンが大きく関与しているため、生理の状態はその分泌によって左右され、ホルモン分泌はさまざまな要因によって変化します。基本的なメカニズムを理解して、さまざまな”状態”を判断していきましょう。

主症状Q1生理の周期が一定していません。
 それは状態ですか?
平均的な月経周期は28日。25〜38日でめぐってくるなら正常な範囲です。月によって4〜5日遅れたり早まったりするのはよくあることで、それが6日程度であれば特に心配ありません。
 生理の周期はホルモンによって左右されます。ホルモンはストレスや生活環境の変化、無理なダイエットなどの要因に影響を受けやすく、バランスがくずれて周期が乱れることがあります。ホルモン分泌の環境が整えば生理の周期も安定してくることが多く、一時的な生理不順ならば問題はありません。ただし、頻繁に乱れるようなら、他の症状も観察しましょう。

生理は遅れがちですか?
 生理と生理の間隔が39日以上あくものを「稀発月経」といます。生理がきてから排卵するまでの間が長いために、生理と生理の間隔があいてしまうのです。少なくとも50日に一度は定期的に生理があるというのであれば、いますぐに婦人科を受診しなくても問題はありません。
 ただし、正常な範囲で生理がこないケースでは、排卵しているかしていないかをきちんと見極めておく必要があります。その方法としてもっとも簡単なのが基礎体温をつけることです。
 基礎体温をつけてみて、低温期と高温期が2相にわかれているか、高温期が2週間程度つづいているかを見てください。体温表がこのように推移していれば、排卵がある証拠。逆に、高温期がはっきりせず、期間も短いといったケースでは無排卵月経、つまり、生理があっても排卵をしていないことを示しています。ただ、無排卵であっても2ヶ月に1度程度定期的に生理があるようなら、自然に排卵が起こってくるケースも少なくありません。いますぐ妊娠を望まないのであれば、しばらく経過を見ていいでしょう。
 しかし、3カ月以上生理がこないことが頻繁である場合は不妊症に結びつく可能性がたかくなります。年に2〜3回しか生理がこないという人も珍しくありません。このケースではすぐに婦人科で診てもらいましょう。

生理が月に何度もあることは…?
 稀発月経とは反対に、月に何度か生理がある場合は「頻発月経」といい、24日以内にやってくる間隔が短い生理のことをいいます。生理の周期はストレスなどの影響を受けやすいので、一度二度、あるいはたまに生理の間隔が短いことがあっても心配はいりません。
 ただし、慢性的に頻発月経が起こる場合は別です。頻繁に生理がやてくるときは、稀発月経同様、排卵のあるものと無排卵のものとがあり、不妊症につながるケースもありますから、基礎体温を計って排卵の有無を確認しておきましょう。
 また、頻繁に生理があるケースでは、出血が生理によるものでないことも考えられます。子宮頸管ポリープ、子宮内膜症、子宮筋腫、などによる不正出血、あるいは非特異性膣炎などがある場合にも出血することがありますから、その他の症状も観察し、婦人科を受診しましょう。

生理の期間、量に乱れはありますか?
 生理が2日以内と極端に短いものを「過短月経」といい、8日以上生理がつづくものを『過長月経』といいます。また、生理期間は通常でも出血量が極端に少ないといった「過少月経」のケースもあります。
 生理はふつう、4〜7日が正常な生理期間とされていますが、1〜2日と少ない場合は無排卵月経である可能性が否定できません。生理が8日以上つづき量が少ないといった場合も、不妊症につながる無排卵月経であることは考えられます。ただし、どのケースでも、一度そういうことがあったからといってすぐに異常を心配することはありません。慢性的に生理の周期が不順である場合に要注意ということです。このときは婦人科を受診しましょう。
 生理周期が順調でも「最近、出血量が少なくなったかしら…」といったケースは病気のサインであることが少なくありません。子宮筋腫、子宮内膜症の病状がすすんでくると出血量が減ってくることがあります。出血量が多くなってこの病気と気づくことが多いものですが、反対の場合も婦人科で診てもらいましょう。
 また、以前は正常だったのに、ある時期から生理期間が長くなったといったときも、これらの病気が疑われます。また、子宮頸管ポリープ、子宮体ガンなどの病気が隠れていることもありますから、一度受診しておくといいでしょう。

主症状Q2 生理の量が多くて、痛みがひどい
 タンポンとナプキンを使ってももれますか?
 量の多さには個人差がありますが、通常の出血量は180ml前後だといわれています。
生理期間が正常で、出血量の増える2〜3日目に多いと感じる程度なら、まず問題はありません。特に20代は出血の量は多いのがふつうですが、貧血を起こすほどの「過多月経」の場合は子宮筋腫、子宮内膜症などが疑われますから、婦人科で診てもらいましょう。
 また、まれにですが、ジャーッと大量に出血するケースがあります。20歳未満、あるいは更年期ころに起こることが多く、原因はホルモンの分泌異常によるものです。輸血が必要になるほどなら、きちんとホルモン治療を受ける必要があります。

 レバーのようなかたまりはありますか?
 出血の量の多さよりはむしろ、生理血中にレバーのようなかたまりがある場合に病気のサインと判断します。疑われるのは子宮内膜症、子宮筋腫です。
 子宮内膜症は、子宮の内側を覆っている膜が子宮内腔以外に飛び火して増殖する病気です。レバー状のかたまりが見られ、生理痛がだんだんひどくなっていくときは、子宮内膜症が疑われます。
 子宮筋腫はまったく無症状で進行するケースも少なくありませんが、レバー状のかたまりが見られたり、出血が多くなったり、筋腫が大きくなると臓器を圧迫して頻尿、便秘、腰痛などの症状が出てくることがあります。おりものに異常が見られるなど、筋腫ができる場所のよってもあらわれる症状が違うことが多いので、総合的に症状を見ながら判断しましょう。

痛みは寝込んでしまうほどのものですか?
 生理中は多かれ少なかれ、生理痛とは無縁ではありません。この痛みの正体は2つ。「機能性生理痛」と「器質性生理痛」がそれです。
 「機能性生理痛」は、10代〜20代前半では子宮口が未成熟で狭いため、子宮内から出てくる血液が押し出されるときに痛みを感じます。さらに年代がすすむと、子宮を伸縮させる物質であるプロスダグランディンの分泌が多くなり、そのために痛みが強く出るようになります。プロスタグランディンの分泌が多い人がより痛みを強く感じるという仕組みです。痛みは下腹部から腰にかけて感じることが多いものですが、放散痛といって、足の付け根やおなかまわり全体に広がることもあります。
 こうした痛みにとどまらず、日常生活にまで影響をおよぼす場合を「月経困難症」といい、ホルモンバランスの乱れやストレスなどが影響しているといわれています。症状として出てくるのは下腹部痛、腰痛以外に、腹部膨満感、吐き気、頭痛、疲労感、下痢…など、さまざまです。
「器質性生理痛」は病気が原因で起こるものです。考えられる病気は子宮筋腫、子宮内膜症などの子宮の病気、卵巣腫瘍などの卵巣の病気です。市販の鎮痛剤を飲んでも効かない、生理痛がひどくなる、お腹周辺以外にも痛みがあるといった症状がある場合は、これらの病気はないか、婦人科の診断が必要です。

生理日以外にも痛みはありますか?
 まれに『生理が終わって2週間ほどしたころに痛みを感じる」という人がいます。”2週間”はちょうど排卵日。左右の下腹部にチクリとした痛みを感じる場合は「排卵痛」が考えられます。これは排卵を促す卵巣ホルモンのバランスの変化によるもので、少量の出血をみることがあります。
 生理予定日の前に感じる下腹部痛は生理の前触れと考えてかまいません。ただし、生理痛のような痛みが、生理以外にも下腹部に感じる場合は病気のサイン。「痛み」の項とあわせて観察し、適切な処置をとりましょう。
 ちなみに、最近になって知られるようになった症状に「月経前緊張症」があります。これは生理がやってくる1週間ほど前から下腹部痛があらわれたり、むくみ、頭痛、だるさ、イライラ…などといった、いわゆる自律神経失調症があらわれるもの。症状の程度は人それぞれですが、心と体に不快を訴え、受診してはじめて月経前緊張症であるとわかる人は多いものです。このような症状があるときは婦人科で相談するのがいいでしょう。

主症状Q3 生理でもないのに出血があります
 生理と生理の間に出血しますか?
 生理が終わって排卵日を迎えるころ、少量出血する事があります。これは排卵期出血(中間期出血)と呼ばれるもの。卵巣ホルモン分泌が一時的に低下するために起こるもので心配のいらないものです。軽い下腹部痛はあるものの2〜3日程度でおさまるのが通常です。出血は鮮血ではなく、おりものに混じって”茶色”で確認する場合もあります。
 ただし、生理の周期が一定しなかったり、出血量や時期が乱れるなどの月経不順がある場合で、1週間以上少量の出血がつづくときは、排卵期出血ではないことも考えられます。ホルモンの乱れによる排卵異常、子宮筋腫、子宮ガンの可能性もありますから、診察を受けてください。

生理の数日前に出血しますか?
 次の生理がはじまるころに、あるいは生理スタート日より遅れて少量出血するのは妊娠のサイン。受精卵が子宮内膜に着床するときに自然に起こる反応で、妊娠を希望しているのであれば、まったく問題はありません。
 妊娠していない場合で生理前に少量の出血がみられるときは、黄体ホルモンの乱れが考えられますが、生理の一種ととらえても大丈夫。ただし、大量に出血して痛みをともなうケースでは子宮筋腫が疑われます。

不規則に出血していますか?
 出血が不規則に続いている場合は、なんらかの異常が発生していると考えなくてはなりません。出血の量の多少ではどんな病気が潜んでいるいかを判断することはできないのですが、子宮の病気、卵巣の病気、膣に起こる炎症性疾患(感染の病気)とあらゆることが原因となります。正しく判断するにはやはり、婦人科の診断を受ける必要があります。「痛み」の項「セックス」の項とあわせて観察し、適切な処置をとりましょう。

主症状Q4 生理がないのですが…
 まだ初経がないのですが
 平均的な初経年齢は10〜16歳といわれています。17歳で初経がまだないというケースではさまざまな原因を探らなければなりませんが、比較的多いのが処女膜が閉鎖されていることによるものです。子宮や卵巣は正常にはたらいて月経血も排出されているのに、処女膜が閉鎖されていることによって膣内に月経血がたまっている状態です。外科的治療で容易に治癒します。
 精神的、肉体的なストレスが原因となっているケースもあります。人間関係、受験によって受けるストレスや、小さなこから運動を継続しているために受ける肉体的なストレスの場合もあります。また、ダイエットも影響します。最近では小学生がダイエットという言葉を口にする時代。無理なダイエットで体重が減少して初経が遅れるといったケースもあります。
 ホルモンのメカニズムに障害がある、あるいは染色体に異常があって初経を迎えないケースもあります。基礎体温をつけたうえで、婦人科で相談するのがいいでしょう。

生理が止まってしまったのですが?
 妊娠以外で生理が止まってしまう原因として考えられるのは、ストレス、無理なダイエット、激しいスポーツ、そしてなんらかの病気が隠れている場合です。
 原因として一番多いのはストレス。脳の視床下部がストレスの影響を受けて狂いが生じ、視床下部から命令系統が発している月経の起こりに影響がおよび、ホルモンのバランスが乱れて生理がストップしてしまうのです。激しいスポーツも、極度の疲労からホルモンバランスを乱してしまいます。また最近では、食事をとらないなどの無理なダイエットをしたことによって生理が止まってしまう若い女性も増えています。栄養の行き渡らない子宮や卵巣は機能を低下させていき、生理が止まってしまうのです。
 無月経の状態が長くつづくと、子宮が萎縮したり、卵巣の機能が衰えて不妊症の原因となることもあります。膣の上皮がもろくなるために、セックスとしたときに出血したり、痛みが起こったりもします。3カ月以上生理が止まってしまったときは、放置しておかず、婦人科を受診しましょう。

[おりもの]こんな症状があるんだけど、病気かな?
 おりものは、子宮頸管粘液や膣の粘膜からの分泌物、子宮の入り口や膣の上皮が新陳代謝によってはがれ落ちたもの、外陰部の分泌物などが混じり合ったものです。膣をうるおして、外部からの雑菌の侵入を防いだり、排卵期には精子を子宮に入りやすくして受精を助けるはたらきをしていますが、通常と違う状態は、必ずといっていいほど病気のサインであることが多いので、観察が必要です。

主症状Q1 おりものの量が多いのです
生理と生理の間に量がふえますか?
 おりものは女性ホルモンの分泌と密接な関係があります。個人差はありますが、ホルモン分泌のさかんな成熟期には量が多いのがふつう。卵巣の働きが衰えてくる40歳を過ぎるころから少なくなり、ホルモンの分泌がとまる閉経後は、おりものの量は極端に少なくなります。
 おりものの量は、生理の周期によても変化します。排卵の前期(卵胞期)から徐々に量は多くなり、排卵期をピークにそれ以降(黄体期)は減少して、生理直前には少なくなります。おりものの量が多くなったと感じるのが排卵期であれば、それは子宮頸管粘液の分泌が増して、精子と卵子が受精しやすいようにとからだが起こす生理的なものですから、心配はありません。おりものの”周期”は基礎体温で判断できますから、ぜひ、計ることをおすすめします。
 ただし、おりものの量が極端に増えたといった場合は、ほかの”状態”もチェックしましょう。

おりものはどんな色をしていますか?
 生理の周期によって、おりものには「色」「状態」「におい」に微妙な変化があらわれます。排卵の前期は半透明か、薄いクリーム色で粘り気のないおりものが通常。排卵日が近づくにつれて粘り気が出てきて生卵の白身のようにドロッとした感じになります。この時も透明に近い白色です。排卵日以降は、透明度は少なくなり白濁した感じに。粘度も強くなります。生理直前になると、粘度に加えてにおいも強くなります。
 おりものがこのような経過で変化しているなら、多少量が多くても問題はありませんが、子宮膣部びらんに起因していることも考えられます。透明に近い白または薄いクリーム色だったおりものが黄色に濃く変化しているようなら、大腸菌やブドウ球菌などの一般的な細菌によって起こる非特異性膣炎が考えられ、においが強くなるのが特徴です。雑菌が膣部より奥に入り込んで炎症を起こす子宮頸管炎である可能性もあります。タンポンやコンドームを置き忘れて起こる場合もあり、どのケースでもおりもののにおいは強くなります。
 ちなみに、「粘り気がない」と「ドロッとした感じ」を比較するには、指にとって確認するのがわかりやすいでしょう。糸を引くように伸びるのが「ドロッとした感じ」です。また、おりものは酸性ですから空気にふれるとにおいが強くなったり、黄色に変化します。下着についた色やにおいで判断するのではなく、直接おりものにふれて判断するようにしましょう。

水っぽくてサラサラしていますか?
 立ち上がった瞬間に水っぽいおりものが出るという女性は多くいます。「尿が漏れたのかと…」と表現する人もいますが、排卵期が近づくにつれて水っぽいおりものが増えるのは心配のいらないものです。
 ただ、1日に何度も下着を取り替えなければならないほどおりものの量が増え、排卵日以外にも多く出るといったケースでは、子宮筋腫、子宮内膜症が潜んでいる可能性が否定できません。婦人科へ行って検査を受けましょう。
 水っぽくてサラサラしたおりものはトリコモナス膣炎の初期症状であることも考えられますが、その場合はかゆみを伴うのがふつうですから、それがないのであればまず安心。ただし、水っぽいおりものが色、においともに強くなることはないか、経過を観察しましょう。
 クラミジアに感染した場合も、最初水っぽいおりものが出ることがあります。症状の出にくい病気ですが、高じると下腹部に痛みがあらわれ、発熱することもあります。若い世代に増えている性感染症のひとつです。

かゆみを伴いますか?
 分泌物があり、いつも湿った状態にあるわけですから、女性にとって”かゆみ”は比較的多くの人が感じている不快感かもしれません。ただ、下着をこまめに取り替える、おりもの用の生理用品を利用する、こまめに入浴するなど、かゆみから開放される方法はいろいろ考えられます。まず、かゆみを起こさないように基本的な清潔を保ったうえで状態を判断しましょう。清潔にしていても、なおかゆみをともなうときは、病気のサインでもあることが多いので、あなどってはいけません。おりものの”他の状態”を同時に観察しましょう。
 かゆみがあり、豆腐カスのようにボロボロしたおりものの場合は、カンジダ膣炎、色が黄色みを増して膿のような状態で悪臭もあるようなら非特異性膣炎、トリコモナス膣炎、淋病に感染している疑いがあります。

主症状Q2 おりもののにおいがきついのですが…
甘酸っぱいにおいがしますか?
 おりものはほとんどの場合無臭ですが、膣の中は“酸性”という特性を持っているため、多少甘酸っぱいにおいがすることがあります。おりもののにおいは生理前に強くなるのが特徴。この時期ににおいが強くなったと感じても、まったく問題はありません。
 おりものの「におい」には病気のサインが隠されていることが多いので、自分のおりものが通常どんな状態なのか、生理の周期にともなってどう変化するのかを知っておくことはとても大切。基礎体温を計るとその変化がわかります。ちなみに、おりものが下着について時間が経った場合は、においは強くなるものだということもおぼえておきましょう。

ツーンと鼻につくにおいですか?
 においに関する感じ方は人それぞれ。どんな臭いがあるかを表現する言葉もさまざまです。ふだんはほとんど無臭が常識のおりものである人は「甘酸っぱい」という表現も、においが強いと感じることがあるかもしれませんから、基本は「いつもより」ということになります。
 にいが強くなる場合は、その他の症状も同時に起こっていることがほとんどです。黄色っぽい膿のようなりものがあって「ツーンと鼻につくにおい」あるいは「チーズを焼いたときのようなにおい」があるときはトリコモナス膣炎が疑われます。おりものにはこまかい泡が混じっていいることもあります。外陰部にはげしいかゆみがともなっているなら、まずトリコモナス膣炎に間違いないでしょう。性感染症の一種で、セックスの数日後に出るのが通常です。

おりものは茶褐色をしていませんか?
 生理前に臭いが強くなり、おりものが薄茶色がかった色に変化することがあります。これは月経血が少しずつ出てきたことによるもので、病的なものではありません。ただし、生理前ではないのににおいが増し、茶褐色のおりものがあるケースでは非特異性膣炎の可能性があるほか、茶褐色に少量の出血(不正出血)がみられるようなら別の病気も考えられます。必ず婦人科を受診してください。

おりものの「状態」は豆腐カスのような感じ?
 おりもののにおいが強く、生理の周期に準じた変化から逸脱した状態はなんらかの病気のサインです。においが強くて「豆腐カスのような…」状態のおりものがあるときは、カンジダ膣炎が疑われます。膣内や外陰部に強いかゆみをともなうのがふつうですが、そうした症状がなくても受診しましょう。
「かゆみ・痛み」こんな症状があるんだけど、病気かな?
 性感染症はセックスによって感染する病気の総称。カンジダ、トリコモナス、クラミジアなど主なものだけでも18〜20種類あります。性器周辺に「かゆみ」や「痛み」がある場合の多くは、なんらかの性感染症にかかっている疑いがあります。また、性器周辺はいつも湿った状態ですから、雑菌に感染したことによって起こるものもあります。不快な状態を取り除くのはまず清潔から。その上で、さまざまな「状態」を観察しましょう。




主症状Q1 あそこがかゆい…
症状はかゆみだけですか?
 性器周辺には腋の下と同じように、タンパク質や脂肪分を分泌するアポクリン腺が存在しているため、汗をかいたり、ムレた状態が長くつづくとにおいやかゆみが発生します。また、尿道や肛門が近くにありますから、おりものや尿、便などで不潔になりがちなもの。かゆみが発生しやすいエリアといえます。
 症状がかゆみだけといったケースでまず考えられるのは、外陰炎です。湿ってふやけた皮膚がすれて炎症を起こしたり、傷ができてしまい、ヒリヒリとして痛みを感じることもあります。
 外陰炎には傷から細菌が感染して起こる感染性外陰炎と、下着による摩擦やかぶれ、股ずれやアレルギーなどによって起こる非感染性外陰炎があります。
 また、尖圭コンジロームである可能性もあります。これは性感染症の一種で、外陰部や肛門のあたり、膣口、小陰唇の内側などに先端のとがったイボのような米粒〜大豆大の腫瘍ができるもの。
 腫瘍が小さいうちは無症状であることが多く、イボができたことで自覚しますが、大きくなるとかゆみが出てきます。

おりものはいつもと違いますか?
 かゆみがあり、おりものの状態が通常とは違う様子が見られるケースでは、何らかの異常が起こっている可能性が高くなります。
 黄色あるいはクリーム色でにおいのあるおりものが増えてきたときは非特異性膣炎、外陰部、膣内に「痛痒い」かゆみがあって、おりものに豆腐カスのようなかたまりがみられたらカンジダ膣炎が疑われます。かゆみの感じ方は、さまざまで「ピリピリするような」あるいは「しみるような」かゆみと表現する人もいます。
 かゆみがあって、黄色あるいは緑がかった色をして膿のようなものが混じっている場合はトリコモナス膣炎。「膣の中が熱い」感じのかゆみがあります。おりものの量が増えて外陰部にかゆみがあるときは淋病の可能性も捨てきれません。

主症状Q2 あそこが痛いです。
痛みは外陰部にありますか?
 外陰部に痛みを覚えるものには性器ヘルペスがあります。性感染症の一種で、クラミジアに次いで多い感染症です。
 最初は外陰部に軽いかゆみを覚え、しだいに強い痛みとなってあらわれます。外陰部がはれ、米粒大くらいの水泡ができ、それが破れると下着がふれただけでも飛び上がるほどの痛みとなります。
 膣の入り口の左右両側の小陰唇の皮下にあるバルトリン腺が炎症を起こして痛みが出るといったケースもあります。これをバルトリン腺炎といい、大腸菌(淋病の場合もある)などの細菌がバルトリン腺に侵入して起こります。このバルトリン腺の開口部がふさがっていて分泌物が出なくなって起こるのがバルトリン腺のう胞です。しだいに大きくなり、歩くのも困難なほどの痛みがあります。膣の入り口あたりがヒリヒリと痛む場合はバルトリン腺の異常が疑われます。
 また、カンジダ膣炎は、かゆみとともに痛みで自覚することもあります。痛みは膣内、外陰部におよびます。

痛みは下腹部にありますか?
 下腹部に起こる痛みは、さまざまな状況が考えられますが、痛みが起こる前に水っぽいおりものがあった、外陰部に軽いかゆみがあったといった前兆症状があればクラミジアが考えられます。
 ただ、クラミジアは感染しても症状が全く出ないケースも多く、発見しづらい病気のひとつ。下腹部痛も軽いものであることが珍しくないため、さらに発見を遅らせてしまう性感染症です。
 下腹部に起こる痛みは、感染症によるものより子宮や卵巣などに異変が起こっているケースが多いといえます。とはいっても、下腹部には他の臓器もあるため、子宮や卵巣に起こった痛みかどうかを判断するのはむずかしいもの。一応の目安としては、おなかの奥のほうに痛みを感じるときは子宮や卵巣の病気。
 中央部位は子宮系の病気、下腹部の左右に広がっているような痛みは卵巣系の病気であることが多いといえます。
 まれに子宮外妊娠で急激な痛みに襲われることもあります。
 卵巣に起こる病気は症状としては出にくいもの。定期健診で見つかるケースがほとんどの卵巣膿腫、卵巣チョコレート膿腫では、下腹部にしこりを感じ、痛みが起こる場合もあります。人によっては「チクチクする痛み」と表現します。腰痛を感じる人もいますが、不正出血やおりものが水っぽくなったなどの症状が出る人もいます。ただ、この卵巣膿腫、卵巣チョコレート膿腫が、急な激しい痛みによって見つかるケースもあります。それが「茎捻転」と呼ばれる状態です。卵巣が腫れてくるとなにかの拍子でくるりと一回転して靭帯や卵管がねじれ、激しい痛みが起こります。緊急手術が必要です。
 卵巣出血も強い下腹部痛を起こす病気です。排卵のとき、卵が卵巣を飛び出すときにできる傷からの出血で、多少のものであれば問題はないのですが、出血が腹膜を刺激して痛みが起こることがあります。生理のたびに痛みがあるというケースは少ないのですが、ショック症状を起こすほどひどい痛みに見舞われる場合もあります。
 下腹部痛に悩まされるケースで多いのは子宮内膜症ですが、最近では、先ほどお話ししたクラミジアが卵管に入り込んで起こる卵管炎も増えています。感染を知らずに放置していると、子宮や卵巣の病気へと発展し、不妊症につながりやすくなりますから、少しでも異常を感じたら、早めに婦人科を受診しましょう。
 痛みから病気が見つかるケースでは、セックスのときの痛みがサインとなることが多いので、「セックス」項もあわせて観察しましょう。

おしっこをするときに痛みますか?
 尿道と膣は非常に近い位置にあります。感染症を放っておくと菌が尿路に入り込んで炎症を起こすことがあります。
 排尿するときに痛みを感じる。頻尿になったなどの症状が出るようになったら、尿道炎や膀胱炎である可能性もありますが、トリコモナス膣炎やクラミジア、淋病、カンジダ膣炎などの性感染症を疑う必要もあります。排尿痛となって症状があらわれる以前に、すでに、おりものの異常、かゆみ、痛みなど、ふだんと違う症状が現れている場合は、泌尿器科より婦人科を受診するのが治療の近道といえます。

Q&A「おっぱい」こんな症状があるんだけど、病気かな?
 生理不順やおりものなどの異常に比べると、おっぱいにはふだん、あまり関心が向きません。それはきっと「乳がんはもっと年齢がすすんでからのもの…」という思い込みがあるからでしょう。ところが、乳がんにかかる年齢はしだいに若い世代へと移行する傾向にあります。とはいっても、おっぱいに感じる異常で大きな病気につながるケースはそれほど多くはなく、ほとんどの場合は心配のいらないもの。ただし、妊娠・出産を控えているなら特に”いまのうち”におっぱいの変化には関心をもっておきたいものです。

主症状Q1 乳房にしこりがあるようです
 腫れや痛みはありますか?
 生理が近くなるとおっぱいは通常、張って痛いと感じることが多いもの。これはおっぱいが女性ホルモンの分泌に影響されやすい場所だからです。ホルモンのバランスが変動する生理前は乳房全体にはれや痛みを感じたり、なかにはコリコリとしたしこりを感じる人もいます。乳首が」かたくなり、さわると痛いという人もいます。
 これらの痛みは生理がはじまるとスーッと消えていき、乳房全体もやわらかくなるのがふつうですから、まったく問題はありません。ただし、生理前にはじまって生理と同時に消えていくのと同じ経路をたどっていくものに乳腺症があります。
 乳腺症は、乳房に粒状の大小さまざまなしこりができる病気です。指でふれると、弾力があって、しこりの”形”はあまりはっきりしたものではありません。全体がポコポコした感じです。生理の前にしこりは大きくなり、生理がはじまると小さくなり、ほとんど感じない程度に小さくなる人もいます。はりと痛みがあり、肩こりや頭痛などの症状を伴うケースもあり、なかには乳首からおっぱいのような、あるいは血の混じった分泌物がでてくることもあります。

はれや痛みのほかに症状はありますか?
 しこりはないもののその他の症状が顕著なのは乳腺炎です。乳腺炎は授乳中に起こる場合がほとんど。乳房がかたくはれてさわると痛むほか、発熱をともなうのが通常です。また、母乳ではない分泌物が出て、血が混じっている場合は乳腺炎の症状がすすんだ状態。この症状が見られるようになると、痛みはひどくなっています。
 乳腺炎は、赤ちゃんが乳首を噛んでしまって傷つき、その乳頭部にできた傷から細菌が入り込んで乳腺炎を起こす場合もありますが、そうした”原因”が見当たらないのに赤くはれて痛み、発熱もあるといったときは乳がんが進行して起こる炎症性乳がんの疑いが拭えません。このケースではきちんと受診する必要があります。

しこりは痛みますか?
おっぱいにしこりがあって痛みを感じるのは乳腺症。それ以外のしこりは、あまり痛みを感じません。しこり=乳がんとも考えがちですが、じつは、おっぱいに触って感じるしこりの95%は痛みを感じない良性のもの。のう胞、乳腺繊維腺腫、乳管内乳頭腫がそれです。
 しこりの”形””触熱”で病気を区別するのはむずかしいのですが、特徴をあげると、のう胞はしこりの中に液体が溜まったもの。さわったときにツルツルした感触があれば、のう胞と考えられます。また、乳腺繊維腺腫は、大豆からうずらの卵程度の大きさのしこりで、さわると逃げるように動くのが特徴。複数みつかることもあります。コリコリとした感触です。乳管内乳腺腫は、母乳が出る乳管に両性のポリープができるもの。乳首から血の混じった分泌液が出てくるのが特徴で、乳首のまわりにしこりができることがあります。
 乳がんのしこりも、あまり痛みを感じません。なかにはチリチリとし痛みを感じるという人もいます。さわるとコリコリした感じで、小さな石が入っているような感じでかたくてデコボコしています。乳腺症や乳腺繊維腺腫の触感とよく似ているため、、早期では区別がつきにくいのですが、症状がすすむと周囲の組織との癒着が起こってひきつれたり、へこみが目立つようになります。さらに、痛みをともないはじめるようになり、乳首がへこんだり、乳首から血の混じった分泌物が出てくることもあります。
 乳がんは1センチ以内のときに発見できればほぼ治すことのできる病気です。諸症状にかかわらず、しこりを感じたら受診することをおすすめします。

主症状Q” 乳首に異常があります
 乳首にかゆみはありますか?
 乳首の周囲にある乳輪には、モントゴメリーという汗腺があります。汗腺ですから当然、分泌物を出し、これが皮膚を刺激します。乳首がかゆいといった症状はほとんどの場合、その分泌物から起こるかゆみ。特に汗ばむ季節などに多く、対処の方法は清潔です。あせをかいたらシャワーを浴びたり、ぬれたタオルで拭くなどをこまめにしましょう。日々の清潔を心がけてもかゆみが止まらないばかりか、乳首がただれたような症状になる場合は、乳がんが原因のパジェット病である可能性があります。この病気は、しこりを感じる以前にあらわれてくるもので、極めてまれなもの。かさぶたができたり、出血するようならパジェット病が考えられます。

 乳首からへんな分泌物が出ますか?
 乳首から母乳のような乳白色、あるいは透明な分泌物が出てくる場合は、高プロラクチン血症が疑われます。ホルモンの分泌が異常になったために起こると考えられている症状ですが、これは妊娠をした経験がある(出産しなくても)人に起こる生理現象の一種。しこりがないのが特徴ですから、他の病気とは容易に区別ができます。
 おっぱいのような分泌物が出るのは乳腺症に見られますが、血液が混じった分泌物が出てくる場合は、乳管内乳頭腫、乳腺症、乳腺炎、乳がんが考えられます。特に血性の分泌物はあきらかに異常を示すサイン。受診する必要があります。

乳首がへこんでいるのですか?
 乳首の形は人それぞれ。十人十色です。その中で”病気”を発見することは極めてまれなことですが、乳頭が亀裂している「乳頭亀裂」の場合は細菌が感染して炎症を起こすことは考えられます。また、乳首がへこんでいる「乳頭陥没」では、左右の乳房が不揃いで、しかも乳輪から陥没しているといった場合は、一応乳がんの検査をしておくことをおすすめします。

 「セックス」こんな症状があるんだけど、病気かな?
 セックスのときに痛みを感じる、セックスのあとに出血がある…など、セックスのときにあらわれる症状は病気のサインである場合が多いといえます。なかには心配のいらないものもありますが、「だから、大丈夫!」と考えるのではなく、異常ととらえて婦人科の診察を受けることが大切です。痛みや出血を抱えている場合は、そのことをパートナーにもしっかり理解してもらいましょう。

主症状Q1 セックスのあと出血がある…
 セックスのたびに出血しますか?
 セックスのあとの出血で、病気とは関係のないケースは3つ。子宮内に生理のときの月経血が残っていて、セックスしたことによって刺激されて出血する場合、生理日が近い時にセックスをして出血した場合、セックスによる刺激や接触によって、膣や子宮頚部ば擦れて傷つき出血する場合がそれです。こうしたケースでの出血はほとんどの場合一時的なもので出血はすぐに止まりますから、心配しなくても大丈夫です。
 ただ、セックスのあとに出血するものも「不正出血」の一種と考えますから、心配のいらない出血であっても、たびたびくり返されることによって問題が生じないとはかぎりません。

最近、おりものは増えていませんか?
 出血が長引いたり、セックスのたびに出血するようなら、なんらかの原因を考えなくてはなりません。そのさいの判断基準として観察したいのがおりものです。
 セックスのたびに出血があり、おりものが増えたといった場合は、子宮膣部びらんがかんがえられます。「びらん」というのは赤くただれた状態を指す言葉で、膣の突き当りの子宮頚部がただれていること。セックスの刺激によってその部位から出血が起こります。出血がたびたびくり返されると子宮頚ガンに発展する可能性も否定できないので、あなどってはいけません。おりものの量が多くなり、悪臭がでてくるようならこの子宮頚がんのほか、子宮体ガンも考えられるからです。
 おりものの量が増えて、せっくすのあとの出血以外にもおりものに血が混じるようであれば、子宮頚管ポリープが疑われます。

主症状Q2 セックスのときに痛みがあります。
痛みがあるのは入り口付近ですか?
 外陰部にはセックスがスムーズに行えるように、バルトリン腺が配置されています。膣入り口の左右両側の小陰唇の下の方にあり、性的に興奮すると、粘液の分泌量が増えて、いわゆる”潤う”状態になります。この分泌液が潤滑油となってスムーズなセックスが可能となるのですが、この外陰部に炎症がある場合は、バルトリン腺からの潤滑液が分泌されなくなり、痛みを感じます。バルトリン腺炎、バルトリン腺のう胞があるケースではしばしば、セックスが痛みで困難になったり、あるいはそのあと出血したり、排尿時にしみて痛いといった症状があらわれることがあります。
 また、そもそも膣入り口が狭く、膣入り口に痛みを感じる人もいます。処女膜が強靭で弾力性に欠けるため、「セックスが痛くてたまらない」と訴える人も少なくありません。こういったケースでは、セックスに緊張感や恥じらいを感じて体が委縮してしまっていることも考えられるので、ムードづくりが痛み解消に役立つこともあります。
 膣に炎症が起こっているケースでも痛みを感じます。膣炎の代表的なものである非特異性膣炎や、そのほか性感染症に感染しているケースでも痛みを感じます。こうした原因をまず、取り除くことが先決です。

痛みはおなかの奥のほうですか?
 セックスのときにおなかの奥の方が痛むのは、子宮筋腫や子宮内膜症の典型的な症状です。
 また、クラミジアなどの性感染症がある場合も、病原体が子宮や卵巣器官に入り込んで卵管炎、子宮頚管炎などを引き起こし、さまざまな痛みとなってあらわれます。
 それぞれは痛みに出血をともなうことが多いもの。女性の体にとっては過酷な状況です。痛みと出血がある場合のセックスは控え、婦人科の診察を受けるべきでしょう。


子宮の病気
ちょっとの不安や悩みも、放っておかないで!
子宮筋腫 良性のこぶだから、あわてないできちんと対処しましょう
 生理の量が多く、出血とともにレバーのようなかたまりが出るようなら「子宮筋腫」が考えられます。まず、ほかに次のような症状がないかチェックしてみましょう。
●めまいや立ちくらみがしたり、疲れやすくなったということはありませんか?
●不正出血はありませんか?
●排尿時に痛みがあったり、尿が出にくいということは?
●おしっこをしても、すぐにまた行きたくなる状態では?
●下腹部にはりがあったり、しこりを感じたりしていませんか?
これらは子宮筋腫の主な症状。まったく症状が出ない場合もありますが、複合的にある場合は、早めに婦人科の診断を受けましょう。

病気の特徴
 子宮は暑さ1〜2センチの平滑筋と呼ばれる筋肉でできている組織ですが、その筋肉の層にこぶのような腫瘍ができるのが子宮筋腫です。こぶの大きさはさまざまで、大豆くらいの大きさのものから、大人の頭くらいのものまであります。1つではなく複数できることも多く、10個以上ということもあります。
 ただし、腫瘍としては良性なので大きくなっても、数がたくさんできても命に関わることはありません。
 子宮筋腫は30代以降の女性に多くみられる病気です。しかし、最近は初経の年齢が早くなったこともあって、20代の未婚の女性でもかかるケースが増えています。いまは食生活の欧米化が定着し、仕事や人間関係が大きなストレスをもたらす時代。それらお影響でからだに備わっている免疫力が低下し、子宮筋腫にかかる年齢が早まっているともいわれています。
 なぜ、子宮筋腫になるのか、その原因ははっきりとはわかっていません。女性は生まれつき誰でも筋腫の芽のようなものを持っていて、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが、その芽を大きくするというふうに考えられています。エストロゲンは成熟期に盛んに分泌されるため、子宮筋腫もその年代の女性に多いのです。思春期や閉経後にはほとんどみられません。
 子宮筋腫には3つのタイプがあります。子宮筋のなかに腫瘍ができる「筋層内筋腫」子宮の外側に向かって筋腫が突き出す「漿膜下筋腫」、子宮の内側に向かって突き出す「粘膜下筋腫」です。これらの筋腫が1〜2個できているものを「単発性筋腫」、いろいろな種類の筋腫が多数できるものを多発性筋腫」と呼びます。
 このなかでももっともポピュラーなのが筋層内筋腫で、筋腫が大きくなると、「生理の量が多くなる」「生理の期間が長くなる」「生理痛がひどい」「おしっこが近くなる」「貧血を起こす」などの症状があらわれます。不妊や流産の原因になることもありますから、早めの治療が必要です。
 漿膜下筋腫は初期の段階では自覚症状がなく、おなかに触れてしこりを感じたり、下腹部にはりが出てくるのはかなり大きくなってから(10センチ以上)です。「トイレが近くなる」「おしっこが出にくい」「便秘がちになる」「腰痛がある」などが症状。3タイプのなかでもっとも気づきにくいといえます。
 筋腫が小さいうちから筋層内筋腫と同じような症状が激しく出るのが粘膜下筋腫。「黄色くて水っぽいおりものが増える」「不正出血がある」などの症状も加わります。これも不妊症の原因になることがありますから、症状を感じたら婦人科の診断を受けましょう。

検査の方法
 大きなしこりがある場合は触診、内診でわかりますが、超音波検査やMRI検査によってさらに詳しい筋腫の状態を調べます。超音波検査は、プローブのいう検査器を使って腹腔内をモニターに映し出して診る検査。おなかの上からあてる方法と、膣の中に入れて診る2つの方法がありますが、子宮や卵巣の状態をより精密に観察できるのは膣の中に入れる方法です。
 治療方法
 筋腫が小さく、ふうつに日常生活を送れる状態ならとくに治療はせず、3か月に一度は健診を受けながら経過を見守ります。治療が必要になるのはつらい症状のため日常生活に支障があるという場合です。
 治療方法には薬を使うものと手術があり、まず、エストロゲンの分泌を抑える薬などを投与して症状を軽くしたり、筋腫を小さくする方法がとられます。それでも症状がよくならない場合は手術を考えます。
 手術は子宮を全部摘出する「全摘術」と、将来の妊娠・出産のために筋腫だけを取り除き、子宮を残す「核出術」とに分かれます。全摘術は開腹手術のみ。核出術は開腹手術のみ。核出術は下腹部に数か所、小さな穴を開けて行う腹腔鏡下手術、おなかを傷つけることなく、膣から内視鏡(子宮スコープ)で処置する膣式内視鏡下手術があります。
 どの手術を選択するかは、筋腫の数や大きさ、筋腫がある位置などを総合的にみて判断されます。
医師に聞いておくこと
 妊娠・出産を望む場合は、子宮を残しておける可能性があるかどうかを必ず尋ね、詳しい説明を受けましょう。
 手術法にも一長一短がありますから、どのようなメリットがあり、また、デメリットが考えられるのかを確認すること。
 納得して手術に臨むことが大切です。

入院日数と費用
 子宮筋腫核出術(開腹)…入院14日+自宅療養14日、約15万円
 子宮筋腫核出術(腹腔鏡下)…入院5日+自宅療養5日、約15万円
 子宮筋腫核出術(内視鏡下)…入院3日+自宅療養3日、約10万円
 子宮全摘術(開腹)…入院14日+自宅療養14日、約20万円
(入院の日数と自宅療養はおおよその期間、料金は個室を除く、医療費3割負担の値段です。)

子宮膣部びらん 心配がいらない仮性びらんであることがほとんどです。
 おりものの量の増加が気になったら、色にも注目しましょう。これまでと目立った変化はあったでしょうか。
●おりものが黄色味を帯びていませんか?
●白っぽいおりものがみられますか?
●セックスのあと出血することは?
 子宮頚部びらんがあると、白や黄色のおりものが出たり、セックスのあとに出血があったりします。
病気の特徴
 びらんというのは”赤くただれた”状態のこと。膣の突き当りの部分があかくただれているのがこの病気です。子宮膣部びらんは、成熟期の女性のほとんどにみられるきわめてポピュラーなもので、仮性びらんと真性びらんの2種類があります。
 成熟期になると、女性ホルモンのひとつである卵胞ホルモンの分泌が盛んになります。
そのためにふくらんだ頸部の上皮組織が子宮口から膣のほうにはみ出し、赤くただれているようにみえますl。これが仮性びらん。
 これに対して真性びらんは、子宮膣部をおおっている上皮が剥けてなかのやわらかい組織がむき出しになっているものをいいます。数の上では圧倒的に仮性びらんが多く、真性びらんは滅多にないといっていいでしょう。
 症状としてはおりものの変化やセックス時の出血ですが、仮性びらんの場合にはまったくないことも多いのです。
 おりものの変化が著しかったり、セックスのたびに出血がみられるようなら、真性びらんが疑われますから、産婦人科の診断を受けましょう。
治療方法
 びらんがあっても仮性びらんでとくに症状もないときは治療は行わないのが一般的です。経過を見ていても閉経後には症状が消えてしまうことが多く、なんら問題はありません。真性びらんでは、膣を洗浄したり、炎症を抑えるために抗生物質(飲み薬)を投与したり、膣の座薬を使った治療を行います。
 子宮膣部びらんで注意しなければならないのは、子宮頸ガンとの識別です。
 びらんの赤くただれた状態は子宮頸がんの初期症状ととてもよく似ているため、検査でガンでないことを確認しておく必要があります。検査はびらんの組織を綿棒でこすりとって行います。
医師に聞いておくこと
 子宮膣部びらんは、ほとんどの場合心配のいらないものです。びらんから子宮頸ガンに移行するということもなく、ていていはびらんがあってもそのまま経過するのがふつうですが、びらんの状態を軽度にとどめておく注意は必要です。セックスを控えた方がいいのか、その他の注意点はないか、医師にきちんと聞いておきましょう。
 治療期間と費用
 子宮膣部びらんはガン健診で見つかることが多いもの。抗生物質を処方されるときも、びらんの状態に応じて「○日分」がまず処方されたらそれを飲みます。(保険適応)。その後は、びらんががん細胞になる可能性は低いとはいえ、健診は年に1回必ず受けるようにしましょう。

 子宮頸管炎 放置しておくと、不妊の原因になってしまいます。
おりものの状態がいつもとは違うときは、次の項目をチェックしてみましょう。
●量は増えましたか?
●色は黄色っぽいですか?
●悪臭がありませんか?
 ふだんよりおりものが増え、悪臭のある黄色っぽい膿のようなものが出ている場合は、子宮頸管炎が疑われます。
 病気の特徴
 子宮頸管炎はクラミジアや大腸菌、淋菌などが膣から子宮頸管部の分泌腺に入り込み、炎症を引き起こす病気です。子宮頸管は外部から細菌が比較的入りやすい部分ですから、感染の可能性も決して少なくありません。とくに次のようなケースでは感染しやすいといえますから注意が必要です。
 セックスした男性が淋菌に感染していたり、恥垢がたまっていてペニスが炎症を起こしているようなケース。
 ペニスが包茎に場合は恥垢がたまりやすいので、ふだんから、”清潔”をこころがけるようリクエストしておくのがいいでしょう。
 生理中にタンポンを使用している女性では、タンポンの挿入によって膣が炎症をおこしているケースもあります。
 これも感染の危険が大です。
 流産や人口妊娠中絶、分娩のあと。
 子宮がまだ回復していない状態ですから、この時期にセックスをしたりすると感染することがあります。
 典型的な症状はおりものの変化ですが、原因になっている細菌によっておりものの状態も違ってきます。
 クラミジアに感染した場合は、黄色い膿のようなおりものが出ることは少なく、白く水っぽい、サラッとした感じのおりものであることが多いといえます。一方、淋菌感染では先にあげたような黄色い膿のような状態になります。
 また、下腹部の痛みや不正出血がみられることもあり、ひどくなるとセックスのときに痛みを感じたり、出血したりすることもあります。
 放っておくと感染部分は子宮の上のほうに広がり、子宮内膜炎、子宮付属器炎、骨盤腹膜炎、肝周囲炎などの病気に発展することもありますから、早めに医師の診断を受け、治療にとりかかることが大切です。オーラスセックスによって咽頭に感染するケースもあるので、これも注意。
 骨盤腹膜炎になると、下腹部に強い痛みを感じるようになり、肝周囲炎では上腹部に激痛が起こります。実際、肝周囲炎で救急病院に運ばれる人もいるほどです。子宮頸管部の炎症が子宮の内部に拡大すれば、不妊ということも起こってきますから、ぜひ早期治療で臨みましょう。
治療方法
 子宮頸管部から分泌物をとって培養し、感染を引き起こしている細菌を特定してから、それにふさわしい抗生物質を投与します。慢性化すると治療にも時間がかかりますから、完全に治るまで治療をつづけること。自覚症状がなくなったからと勝手に治療をやめてしまうと慢性化しかねません。
卵管炎に症状が移行し、不妊の原因ともなるので、きちんとした治療が望まれます。
 ちなみに、この病気を予防するのは”コンドームの着用”が最大の方法です。
医師に聞いておくこと
 治療中は原則、セックス禁止です。若い世代にとっては、”しんどい”期間かもしれませんが、解禁日については必ず、医師の判断をあおぎ、指示に従ってください。また、夫や恋人など定期的にセックスする相手がいる場合は、その旨医師に告げ、いっしょに治療を受けてください。

通院期間と費用
 子宮頸管炎を起こしている”菌”によって、処方される抗生物質は異なりますが、ほとんどは入院するほどのケースではありません。膣剤や経口服用の抗生物質が、一般的には2週間ほど処方されます。(保険適応)。処方された期間分を使用(服用)した段階で、再度、通院して菌による炎症が治っているかどうかを確認する検査を行います。

子宮頸管ポリープ・子宮内膜ポリープ 子宮内膜の過剰反応が原因
 生理中でもないのに出血があるというケースは、いくつかの病気が疑われます。その出血はどんな状態でしょう。
●予定日の前から生理がつづき、なかなかおわらないということは?
●おりものに血液が混じっていませんか?
●セックスしたあとに出血がありませんか?
子宮頸管ポリープではおもに以上のような症状がみられます。
病気の特徴
 子宮頸管は子宮内から膣につづく細い管のような器官です。ここは腺細胞でおおわれ、何か所かに頸管腺があります。頸管腺からは頸管粘液が分泌されますが、この腺組織は過剰にできやすく、頸管内に飛び出してくることがあります。キノコが生えたような形の突起になるのですが、これが子宮頸管ポリープ。ポリープの茎の部分は長く伸び、キノコにあたる部分が膣内に下がってくると、膣内の細菌に感染して炎症を起こしたり、セックスによってペニスがふれることで出血する、つまり、不正出血を起こすようになるのです。
 ポリープができる原因ははっきりしませんが、ホルモンの影響ともいわれています。ポリープの大きさはさまざまで、ちいさいものは米粒くらい、大きくなるとそらまめ大程度になります。ポリープは良性でガン化することはほとんどないため、そのまま放っておいても健康上問題が生じることはありませんが、前述したようにセックスのときに出血したり、生理中でもないのにだらだらと出血が続いたりするため、多くは摘出する方法がとられます。放置しておいて自然にポリープがなくなることはありません。
 この種のポリープは子宮頸管だけではなく、子宮内にもできることがあります。子宮内膜ポリープと呼ばれるものですが、これは子宮内膜が過剰に増殖することが原因。ホルモンの影響によるものであることがほぼわかっています。そのホルモンとはエストロゲン。エストロゲンが過剰にあったり、子宮内膜のエストロゲンに対する感受性が高かったりすることで、子宮内膜が過剰に増殖し、ポリープになるとされています。
 子宮内膜ポリープの場合は、子宮頸管ポリープにくらべて不正出血がみられる頻度は低く、生理の量が多いくらいでほとんど症状がないケースもあります。ただし、子宮体ガンと似た




子宮頸管ポリープ・子宮内膜ポリープ 子宮内膜の過剰反応が原因
 生理中でもないのに出血があるというケースは、いくつかの病気が疑われます。その出血はどんな状態でしょう。
●予定日の前から生理がつづき、なかなかおわらないということは?
●おりものに血液が混じっていませんか?
●セックスしたあとに出血がありませんか?
子宮頸管ポリープではおもに以上のような症状がみられます。
病気の特徴
 子宮頸管は子宮内から膣につづく細い管のような器官です。ここは腺細胞でおおわれ、何か所かに頸管腺があります。頸管腺からは頸管粘液が分泌されますが、この腺組織は過剰にできやすく、頸管内に飛び出してくることがあります。キノコが生えたような形の突起になるのですが、これが子宮頸管ポリープ。ポリープの茎の部分は長く伸び、キノコにあたる部分が膣内に下がってくると、膣内の細菌に感染して炎症を起こしたり、セックスによってペニスがふれることで出血する、つまり、不正出血を起こすようになるのです。
 ポリープができる原因ははっきりしませんが、ホルモンの影響ともいわれています。ポリープの大きさはさまざまで、ちいさいものは米粒くらい、大きくなるとそらまめ大程度になります。ポリープは良性でガン化することはほとんどないため、そのまま放っておいても健康上問題が生じることはありませんが、前述したようにセックスのときに出血したり、生理中でもないのにだらだらと出血が続いたりするため、多くは摘出する方法がとられます。放置しておいて自然にポリープがなくなることはありません。
 この種のポリープは子宮頸管だけではなく、子宮内にもできることがあります。子宮内膜ポリープと呼ばれるものですが、これは子宮内膜が過剰に増殖することが原因。ホルモンの影響によるものであることがほぼわかっています。そのホルモンとはエストロゲン。エストロゲンが過剰にあったり、子宮内膜のエストロゲンに対する感受性が高かったりすることで、子宮内膜が過剰に増殖し、ポリープになるとされています。
 子宮内膜ポリープの場合は、子宮頸管ポリープにくらべて不正出血がみられる頻度は低く、生理の量が多いくらいでほとんど症状がないケースもあります。ただし、子宮体ガンと似たような形状ですから、両者の識別はしっかりしておく必要があります。

治療方法
 手術でポリープを切除します。手術といってもポリープを根元から切り落とすだけですから1〜2分で終了です。痛みもありません。ただし、根元が太いポリープの場合はまれに入院が必要となることもあります。切除したポリープは病理組織検査で良性かどうかが確かめられますが、まず悪性ということはないので心配はいりません。
 子宮内膜ポリープは、通常、子宮鏡による摘出手術が行われます。麻酔なしか、ごく軽い麻酔で摘出します。出血量が多いということがないかぎり、入院の必要はありません。
 医師に聞いておくこと
 手術後はふつうの生活ができますが、再発することもままあるので、術後の注意点について説明を受けるといいでしょう。

手術時間と費用
 子宮頸管ポリープ…1〜2分、約3000円
 子宮内膜ポリープ(子宮鏡手術)…30分、約2万円(これは外来手術の場合。1日入院の場合はプラス約3万円)

子宮内膜炎 おりものが変だなと思ったらすぐ病院へ
 おりものはその量や色、においで病気を知らせてくれる貴重なシグナル。量が増えたということのほかにどんな変化があったでしょう。また、おりもの以外のからだの変化は?
 ●色が膿のように黄色っぽくはないですか?
 ●血液が混じっていませんか?
 ●発熱はありませんか?
 ●下腹部に痛みはありませんか?
子宮内膜炎ではこれらの症状がみられます。放っておくと膣や子宮頸管、子宮内膜、卵管、骨盤膜炎…と炎症を起こす部分は広がっていきますから、早期治療が肝心です。
 病気の特徴
 子宮内膜が炎症を起こすのが子宮内膜炎です。膣から侵入した大腸菌やブドウ球菌非特異性膣炎、クラミジア、淋菌などに感染することで発症します。自然流産や人口妊娠中絶、分娩のあとなど子宮が十分に回復していないときにかかりやすく、セックスが原因になることも少なくありません。また、ダンポンやコンドームなどの異物をうっかり膣内に残してしまうといったことも原因のひとつ。膣内に細菌が入らないようにするのが最大の予防です。
 初期にはおりものの量が多くなる、下腹部が痛くなるなどの症状があらわれ、炎症がひどくなるとおりものに血液が混じったり、黄色の膿のようなおりものが出たりします。また、発熱や激しい下半身の痛み、不正出血、腰痛などをともなうこともあります。
 淋菌に感染した場合は、尿道炎を発症して排尿時に痛みがありますが、それを放置しておくと、炎症が子宮内膜までおよび、さらには卵管にも広がって「淋菌性卵管炎」を引き起こすこともあります。これは不妊症の原因にもなりますから、注意を要します。
 子宮内膜炎はふつう慢性化することは多くありませんが、結核菌の感染によるものは慢性化することがあります。慢性子宮内膜炎ではだるさや微熱がある程度ではっきりした症状は出ません。しかし、炎症がひどくなれば不正出血があったり、生理がなくなってしまったりすることもあり、不妊症にもつながりかねません。

治療方法
 おりものを培養して炎症を引き起こしている細菌が何なのかをつきとめるのが治療の第一段階。原因となっている細菌が判明したら、その細菌を退治する効果のある抗生物質を投与します。同時に炎症を鎮めるために消炎剤を使います。炎症がなくなるまではできるだけ安静にしていること。そのため入院するケースもあります。完治するまでの期間的な目安は一か月程度です。
 医師に聞いておくこと
 感染はどのような状況でおこりやすいのか、まら、セックスするさいの注意点なども聞いておくといいでしょう。

通院日数と費用
 治療法は抗生物質を飲むことと安静。原因となっている”菌”によっても期間は異なりますが、一般的に通院は1〜2週間。保険が適用されます。まれに入院になるケースも費用としてはさまざまなので一概にはいえませんが、1日のベット代+治療費と考えておきましょう。


子宮内膜症 生理がある女性の1割はもっているといわれています。
 生理のとき強い痛みがあるというあなた。生理痛以外にどのような症状がありますか?
●生理のとき以外も下腹部に痛みがありませんか?
●生理といっしょにレバー状のかたまりが出ることは?
●セックスのときに下腹部に痛みを感じることは?
●腰痛に悩ませれているということはありませんか?

生理痛のほかにこうした症状があるケースでは「子宮内膜症」が疑われます。

病気の特徴
 子宮のなかには子宮内膜という組織があります。子宮内膜は生理のときにはがれ落ち、月経血として排出されます。ところが、この子宮内膜が子宮の外側や臓器に飛び火して増殖し、生理のたびに出血をくり返すことがあります。これが子宮内膜症です。子宮には膣という出口がありますが、飛び火してできた子宮内膜ははがれ落ちても流れ出すところがありませんから、その場にとどまってかたまり、進行すると周辺組織が癒着を起こすようになります。
 子宮内膜症は10台の後半からみられ、とくに20代から30代前半の女性に増えています。推定では生理のある女性の約1割が子宮内膜症とされています。原因はわかっていませんが、食生活などの生活環境が現在のように変わってきたのにともなって増えているようです。また、初経年齢が低くなり、出産年齢は逆に高くなったことで、からだのなかで女性ホルモンが働く期間が長くなり、それが子宮内膜炎の発生と関わっているともいわれています。そのほか、子宮内膜の一部が骨盤内にくっつくのが原因だとする説(「子宮内膜移植説」)や未分化の細胞が刺激を受けることによって、子宮内膜に似た細胞に変化するのではないか、という説などもあります。子宮内膜症で最も多いのは、内膜が卵巣に飛び火してできる「卵巣チョコレートのう腫」です。子宮を含む子宮筋層に内膜ができて出血し、子宮全体が腫れるものは「子宮腺筋症」です。また、子宮内膜は腹膜外にも発生することがあり、これは「腹膜外子宮内膜」と呼ばれます。

検査の方法
 診断を受けるさいは、どのような痛みが、いつごろからあるのか、痛み以外にどのような症状があるのかなど、自覚している症状をできるだけ詳しく、正確に医師に伝えることが大切です。
 子宮内膜症が疑われる場合は、超音波検査、血液検査、腹腔鏡検査やCT、MRI検査などが行われますが、血液のなかの腫瘍に関係のある抗体を検査する腫瘍マーカーのチェックも診断の参考になる場合があります。超音波検査、MRI検査、腹腔鏡検査ならほぼ確実な診断が下せます。

治療方法
 治療方法は大きく分けて2つ。ホルモン薬の投与で生理のない状態にして、病気の進行を抑える薬物療法と、手術によって病巣を取り除く手術療法です。
 薬物療法には、子宮内膜の増殖を促すエストロゲンの分泌を抑えるホルモン薬を使って一時的に生理を止め、閉経状態にする「偽閉経療法」と、低用量ピルを使って一時的に妊娠状態にする「偽妊娠療法」があります。ただ、偽閉経療法では肩こり、脱力感、関節の痛み、しびれなどの副作用をともなうため、長期間つづけることはできません。半年続け、少し休んでまた半年続けることを繰り返して、様子を見守ります。
 手術には腹腔鏡手術と開腹手術があります。腹腔鏡手術は、おへその下に小さな穴を数か所開け、そこから内視鏡と手術器具を入れて、モニター画面をみながら病巣を取り除くというもの。全身麻酔で行いますが、おなかの傷はほとんど目立ちません。
 開腹手術は保存手術、準根治手術、根治手術の3つ考え方のもとに行われます。保存手術では、病巣だけを切除して、卵巣と子宮は残します。将来、妊娠・出産を希望する場合は、この手術法がとられます。準根治手術は子宮を摘出し、卵巣の一部を残すもの、子宮と卵巣を全て摘出するのが根治手術です。
 開腹手術の場合は、方法によって下半身だけの腰椎麻酔か全身麻酔で行われ、下腹部には10〜15センチの傷が残ります。子宮内膜症は再発がかなりみられる病気。再発を完全に防げるのは根治療法だけ。手術を受けても子宮、卵巣を残せば再発の可能性があります。
「子宮内膜症を診断されたら不妊症になるの?」
 その点がいちばん気になるところかもしれません。子宮内膜症と不妊症には確かに因果関係があります。子宮内膜症の女性の約半数は不妊を訴えているというデータもあり、不妊になりやすいのは事実です。その原因としては、子宮内膜症によって卵管が周りの臓器に癒着し、上手に卵子を捉えられなくなったり、卵管が閉じてしまったりすることが考えられます。また、排卵に障害が起こって不妊になるとも考えられています。もちろん、不妊症の可能性が高くはなっても妊娠の希望は残されています。医師と相談して一番良い方法を選択しましょう。

医師に聞いておくこと
 子宮内膜症は前述したように、子宮と卵巣を全摘出する以外に完治はない病気です。つまり、閉経まで長いお付き合いをしなければならないわけですから、それぞれの治療法について医師から詳しい説明を受け、将来の生活設計や出産計画などを十分に考え合わせたうえで、自分自身でどれを選ぶかを決めることが大切です。まず薬物療法で様子をみながら、ある段階で手術を受ける、薬物療法と手術を組み合わせるといったこともできますから、時間をかけて医師に相談するという姿勢で病気と向き合いましょう。

治療日数と費用
 ホルモン治療(点鼻薬)…1か月、約8000円
 ホルモン治療(注射)…月1回、約1万円〜1万5000円
(腹腔鏡手術は「卵巣チョコレート膿腫」参照、開腹手術(全摘)は「子宮筋腫」参照

子宮ガン 最良の方法を、先生とじっくり話し合いましょう。
 生理は終わったはずなのに出血する。そんなときはからだに重大な異変が起こっている可能性だってあります。ほかに何かいつもと違ったところはないか、必ずチェックしてみましょう。

●セックスのときに出血することはありませんか?
●生理、セックスのとき以外にも出血はありますか?
●おりものの量に変化はなかったですか?
●生理がいつもより多かったり、長引いたということは?
 これらが子宮ガンの兆候としてあらわれているケースもあります。安心のためにも、また早期発見、早期治療のためにもガン検診を受けましょう。
病気の特徴
 子宮ガンには2種類あります。ひとつは子宮頸ガン、もう一つは子宮体ガンです。
 子宮頸ガンは子宮と膣の境目(外子宮口)のあたりに発生するガンです。子宮ガンのほぼ90%はこのガンで、原因になっているのはほとんどがヒトパピローマウイルスとされています。このウイルスはペニスの恥垢や分泌液のなかにいてセックスによって感染します。また、出産回数が多い、子宮膣部びらんがある、子宮頸管炎を起こしている、といった場合もこのガンになりやすいともいわれています。セックスする相手が包茎ということなら、恥垢がたまりやすいため感染率も高まるでしょう。
 つまり、子宮頸ガンは性感染するウイルスが原因のひとつ。若いころからセックス経験が多い、という女性はかかるリスクは高くなりますが、すべてがそういったケースではありません。セックスの経験がある人なら、奔放であるなしにかかわらず、かかる可能性はあります。
 子宮頸ガンになっても初期には自覚症状はほとんどないのがふつうです。あるとすれば不正出血ですから、たとえばセックスのあとに出血がみられるとか、生理が終わったのにまた出血したなど、生理以外の出血があった場合は見逃さないことが大切です。血液の量はさまざま。多いことも少ないこともあり、色も鮮血だったり褐色だったりと個人差がありますが、いずれにしても「変だな!」と思ったらただちに診断を受けましょう。
 ガンが進行すると、悪臭のある茶褐色のおりものが増えたり、下腹部に痛みを感じたり、あるいは排尿が困難になったりすます。もちろん、自覚がないうちに発見して治療に取り組むのが最良の方法。30歳を過ぎたら年に1度はガン検診を受けるようにしましょう。既婚者の場合はもう少し早く、25歳くらいから受けるといいかもしれません。子宮頸ガンはどの年代の女性にもみられますが、30歳くらいから増えはじめ、40代、50代がピークです。なお、子宮頸ガンの前段階である「異形上皮」は10代、20代の女性からもみつかっていますから、万全を期すなら10代からの検診がよりベター。
 一方、子宮体ガンは子宮内膜ガンとも呼ばれ、子宮の内側にある子宮内膜にできるガンです。その原因については食生活の影響が指摘されています。データでもどうぶつせいの脂肪をたくさん食べる食傾向の地域に発生率が高いことが明らか。日本でも、食生活の欧米化が幅広く定着するのに比例するかのように、子宮体ガンも増えているようです。
 また、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンがガンの発生に関わっていることも知られています。最近の女性に顕著な晩婚傾向、少子化傾向を子宮体ガンの増加の原因のひとつにあげる考え方もあります。
 子宮体ガンの場合も生理以外の不正出血がもっともわかりやすい初期症状といえます。また、セックス時や排尿時の痛み、骨盤周辺の痛みなどもあらわれることがありますから、そうした症状が認められたら婦人科の診断を受けましょう。
 このガンにもっともかかりやすいのは50代から60代の閉経期を迎えたあたりの女性です。40代になったら前述の子宮頸ガンの検査とともに子宮体ガンの検査も受けるようにするのがいいでしょう。なお、子宮体ガンは肥満、高血圧、糖尿病がある女性に多いというデータもあります。
検査の方法
 子宮頸ガンの検査は、通常、膣のなかに綿棒やヘラのようなものを入れてこすり、細胞を採取して顕微鏡でガン細胞の有無を調べます。これは「細胞診」といいます。短時間ですみ、痛みもありませんが、検査前に膣をきれいに洗いすぎると分泌物がうまく採取できず、正確な判定ができないことがありますから、ごくふつうの状態で検査に臨むようにしてください。この検査で疑わしいという結果が出たときは、その部位の組織をとってさらに詳しい検査が行われます。(組織診)
 子宮体ガンの検査は専用の器具を子宮の奥に入れて子宮内膜の一部を採取して行われます。多少の痛みや検査後の出血がみられることがありますが、その程度にはやはり個人差があります。子宮頸ガン同様、細胞診で疑わしい結果が出たときは組織診が行われます。痛みを伴うため、麻酔をかけて組織を削り取ります。
 ちなみに、子宮頸ガンの検査で子宮体ガンが発見されるケースはほとんどありません。発症のルートが違うので、検査を受ける場合は別々に受ける必要があります。

治療方法
 子宮頸ガンの治療はガンの進行段階によって異なります。その進行段階、つまりステージ(病期)は次のように分けられます。
0期…早期のガン。子宮頸部の上皮内だけにガンが認められる。
1期…子宮頸部だけにガンがあり、ほかには広がっていない。
2期…子宮頸部以外にもガンが広がっているが、骨盤壁、膣壁の下3分の1には達していない。
3期…ガンが骨盤壁まで達し、ガンと骨盤壁の間にはガン以外の組織がない。あるいは膣壁浸潤が下方向に3分の1を超えている。
4期…ガンが小骨盤腔を超えて広がっている。あるいは膀胱、直腸の粘膜にも広がっている。

 治療方法には外科療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法の3つがあります。ステージに進むにしたがって当然、治療も困難になりますが、早期発見ができればレーザー光線で病巣だけを取り除く方法などで完全に治すことも可能。もちろん、妊娠、出産もできます。繰り返しになりますが、とにかくガン検診を受け早期に発見することが治癒の決め手なのです。
 ちなみに、国立がんセンターのデータでは、0期では治療後の再発の例はなく、5年生存率は1期が92.1%、2期73.1%、3期49.2%、4期20.4%となっています。
 子宮体ガンの治療もステージによって異なり、外科療法、放射線療法、化学療法のほか、ホルモン療法の4つを状態によって単独で、または組み合わせて行います。ステージは以下のとおり。
0期…子宮内膜に正常細胞とは異なった「異型細胞」が増えている。
1期…子宮体部分にだけガン細胞が認められる。
2期…ガンが子宮体部を超えて子宮頸部にまで広がっている。
3期…ガンは子宮外に広がっているが、骨盤を超えて外には広がっていない。あるいは骨盤内、大動脈周囲のリンパ節に転移が認められる。
4期…ガンが骨盤を超えて他の部分に広がっている。あるいは膀胱、腸の内腔に入り込んでいる。
 また、治療後の5年生存率は1期92.2%、2期88.5%、3期70.2%、4期16.7%となっており、0期では子宮を全摘した手術後の再発はありません。(国立がんセンター調べ)

医師に聞いておくこと
 子宮頸ガン、体ガンでは、進行段階によって治療方法も手術方法も異なります。手術前、あるいは手術後に放射線療法、抗がん剤による化学療法と組み合わせることが多く、それぞれの”ガン”の状態と照らし合わせながら、医師から説明を受け、選択していくことになります。当然、費用も人によってさまざまです。「自分にとっての最良の方法は?」を十分に医師と相談していきましょう。
 がん治療では、手術の痛みに加え、放射線療法や化学療法による副作用が避けられません。手術後の生活上の注意点などと併せ、副作用についてもしっかり説明を受けておきたいものです。

検査時間と費用
 子宮ガンの検査は、会社で行う「子宮ガン検診」なら無料ということもあります。それ以外の人は市町村単位で行うガン検診を受けることができます。ただし、自治体が行うものは年齢制限(子宮頸ガンは30歳以上、子宮体ガンは自治体によって異なる)がありますから、その範囲に入らない場合は、病院での検査になります。保険が適用されますから、検査費用は次の値段が相場です。
 子宮頸ガン検査…1分、約1000円
 子宮体ガン検査…1分、約1500円

検査について
 超音波検査
「エコー」と呼ばれる検査。プローブという検査器を用いて、おなかの上からあてる経腹エコーと、膣の中に入れてみる経腟エコーの2種類があります。筋腫の位置や大きさ、だいたいの数がわかるほか、子宮の大きさ、内膜症の位置や癒着の状態、卵巣や卵管の病巣、子宮ガンの識別もできます。

MRI検査
磁気を使って、縦横斜めから体の内部の断面像を写真撮影してみる検査。子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣の病巣などが、超音波検査やX線をあててみるCTよりは鮮明にわかるのが特徴です。内膜症が子宮の筋層にできる腺筋症の色別にすぐれています。

腹腔鏡検査
子宮内膜症は超音波検査やMRI検査でもある程度のことはわかりますが、確定診断するにはおなかを開腹して調べるか、腹腔鏡で病巣を採取して調べるかのどちらかの検査が必要です。不妊治療でもしばしばこの検査が行われます。
腹腔鏡検査は、全身麻酔でおなかに小さな穴を開け、腹腔鏡という先端にレンズのついた内視鏡(ファイバースコープ)を挿入し、カメラが映し出す内部をモニター画面をみながら病巣を調べます。腹腔鏡は直径5〜10ミリ。細いものでは2〜3ミリ程度のものがあります。腹腔鏡下手術も同じ方法で、手術に必要な器具を挿入して行われます。









卵巣のう腫 ほとんどが良性ですが、適切な治療が大切

 卵巣のう腫の場合、自覚症状がありません。次のような症状があるときはかなりのう腫が大きくなっているとかんがえられます。
●下腹部にふくれた感じがありませんか?
●腰痛はありませんか?
●下腹部に激しい痛みを感じることは?
 症状が進むまで(こぶし大くらいになるまで、)自覚症状がない卵巣のう腫は健康診断でみつかることがほとんどです。初期段階で治療するためにも、定期的な婦人科検診は不可欠です。
病気の特徴
 卵巣はアーモンド大から親指大くらいの臓器で、左右にひとつずつあります。卵巣のう腫はこの卵巣に液体状の成分がたまって風船のようにはれる病気です。代表的なものは3種類。「漿液性のう胞腺腫」「粘液性のう胞腺腫」「皮様のう腫」です。
 このうちもっとも多くみられるのは漿液性のう胞腺腫で、卵巣にできる膿瘍の約25%がこれだといわれています。
 のう腫は袋のような形のものがひとつひとつできる場合と、いくつもの袋がブドウの房のようにできる場合があります。袋のなかにたまるのは薄い黄色の透明な液で水のようにサラッとしています。
 どの年代の女性にもできる可能性はありますが、どちらかといえば、20代の女性に多くみられます。卵巣の両側に発生し、袋は楕円形や円形で大きなものでは成人の頭くらいにいまで発育します。
 自覚症状がないためかなり大きくなるまできづかないケースが多いのですが、膿腫の茎の部分がねじれると、下腹部に激しい痛みを感じます。
 粘液性のう胞腺腫は片側の卵巣だけにできることが多く、できやすいのは更年期以降の女性です。放っておくとどんどん大きくなり、腹腔全体にまで膨れ上がることもあります。袋の中身は白色や黄色、褐色の粘りのある液体。まれには袋が破れて粘液が腹腔内に飛び散り、腹腔内の臓器に癒着を起こしたりすることがあります。この状態を「腹膜儀粘液腫」と呼びます。
 皮様膿腫は成熟期の女性に多くみられ、片側にできることが多いのですが、両側にできることもあります。袋のなかには髪の毛や歯、骨、筋肉などが含まれています。妊娠にともなってできることもあり、妊娠中に見つかることも多いといえます。
 卵巣膿腫はほとんどが良性ですが、悪性に変化することもありますから、適切な治療を受けることが必要です。
 膿腫が大きくなってくると、ほかの臓器を圧迫するため、頻尿(膀胱や尿管の圧迫)や便秘(腸の圧迫)が起きたり、先にあげた症状が出てきます。また、不正出血があったり、おりものが水っぽくなったりすることもあるようです。茎捻転が起きた場合は緊急事態。下腹部の激しい痛みのほか、吐き気や出血があり、意識不明に陥ることもあります。この茎捻転が起きるのは膿腫が5〜7センチ程度に育ってからが多いようです。

治療の方法
 膿腫が小さい間は経過をみるのが一般的です。膿腫の種類によってはホルモン治療を受ける場合もあります。
 手術が行われるのは通常、5センチ以上の大きさになってから。手術には開腹手術と腹腔鏡を使った手術とがあり、病巣だけを摘出するのう腫核出術と、のう腫ができている卵巣を摘出する卵巣摘出術に分かれます。なお、卵巣は2つありますから、一方を摘出しても妊娠・出産に問題はありません。

医師に聞いておくこと
 卵巣膿腫の診断は内診やエコー検査などを行ってくだされます。のう腫ができていることを告げられたら、のう腫の大きさ、どの位置にできているのか、手術は必要なのか(また、将来、必要になる可能性はあるのか)、手術する場合には病巣以外にどの程度卵巣を摘出するのか、妊娠への影響はどうなのか…などを聞いておきましょう。

入院日数と費用
 腹腔鏡による膿腫切除…入院4日+自宅療養4日、約10万円
 腹腔鏡による卵巣摘出…入院4日+自宅療養4日、約10万円
 開腹による膿腫切除…入院10日+自宅療養14日、約20万円
 開腹による膿腫切除…入院10日+自宅療養14日、約20万円
ホルモン治療(点鼻薬)…1か月、約8000円
ホルモン治療(注射)…月1回、約1万円〜1万5000円
検査費用…約1万円(うちMRI検査は約8000円)

 卵巣チョコレート膿腫 子宮内膜症の一種です
 生理中の激しい痛みに悩まされているという女性は少なくありません。そのほかにどんな症状があるかが病気を知るヒントになります。
●生理中以外にも下腹部に強い痛みが続いていませんか?
●腰痛に悩まされているということは?
●セックスのときに下腹部に痛みはありませんか?
●不正出血はないですか?
●排便のとき痛みを感じることは?
卵巣チョコレート膿腫ではこれらの症状があらわれます。多いのは20代から30代です。
病気の特徴
 卵巣は盛んに女性ホルモンを分泌していて、激しく変化を繰り返している臓器です。そのため腫瘍もできやすく、病気の種類も多いのです。卵巣チョコレート膿腫は子宮内膜症の一種で、卵巣の中に子宮内膜ができるものをいいます。
 卵巣に子宮内膜ができると、その部分の袋の中に血液がたまり、どろどろの血液でいっぱいになります。その血液の状態がチョコレートに似ていることからこの名前があります。子宮内膜症の箇所でも述べましたが、子宮以外の部分に内膜ができる原因はわかっていません。ただし、卵巣チョコレート膿腫は食生活など生活環境が現代のように変わってきたのにともなって増えている傾向があり、環境変化がどこかで影響しているのは間違いないようです。また、初経年齢が低くなり、逆に出産年齢が高くなったことで、女性のからだのなかで女性ホルモンが長い期間働くようになったことも関係があるといわれています。
 卵巣チョコレート膿腫ができた卵巣は腫れあがり、周囲の臓器を圧迫したり、臓器に癒着をおこしたりします。冒頭にあげた症状がでるのはそのため、しかし、膿腫が小さいうちは自覚症状はなく、子宮ガン検診などを受けた際にたまたまみつかるというケースが多いようです。
 膿腫が大きくなると、茎の部分が捻じれる茎捻転が起こりやすくなります。吐き気とともに下腹部に激痛が梁氏、ショック状態になることも考えられます。膿腫が大きくなると破裂が起こることもあります。たまっていたチョコレート状の血液が腹腔内に飛び散り、この場合も激しい痛みに襲われます。これらのケースは緊急手術が必要になります。また、膿腫は卵巣を包み込む卵胞の成熟を妨げたり、卵管などに癒着して受精の様てげになることもあるので、不妊の原因にもなります。

治療の方法
 卵巣はからだの奥にあるため、子宮や膣などどのように簡単に組織を採取して病気の有無を調べるというわけにはいきません。診断には超音波検査(エコー)やMRI検査を使いますが、腫瘍マーカーの数値も参考になります。
 治療にはホルモン薬を投与して一時的に生理がない状態をつくり、のう腫が大きくなるのを抑える方法があります。偽閉経療法と呼ばれるものですが、閉経状態にすることで膿腫を委縮させる効果を狙ったものです。ただ、のう腫が小さくなり消滅するほどの効果は、残念ながらこの治療法には期待できないようです。また、ホルモン剤は点鼻薬か注射で投与されますが、副作用があるため長い期間は続けられません。通常、6か月間で終了し、少し休んでまた6カ月間続けることを繰り返します。膿腫が大きくなるようなら手術が行われます。
 手術もいまは体への負担ができるだけかからないような方向で考えられるようになっています。
 最近は腹腔鏡を使う腹腔鏡下手術が主流。小さな穴をいくつか開けて、そこから腹腔鏡を挿入し病巣を取り去るといものです。摘出するのも卵巣全体ではなく、膿腫だけですむケースもあり、将来の妊娠・出産への希望も持てます。
 もちろん、膿腫の大きさや位置、状態によっては開腹手術で卵巣を摘出するケースもあるのですが…。
 また、エコーをみながら膿腫に穴を開け、中身を抜いてそこにアルコールを注入するという方法もあります。アルコールで膿腫を作る細胞を働かなくしてしまうもので、これなら入院せずにできます。この方法の場合、膿腫の中身によって処置の時間が異なります。ドロドロの具体が強ければそれだけ時間がかかるというわけです。
医師に聞いておくこと
 当然ですが、妊娠・出産の可能性については必ず聞くようにしましょう。ホルモン薬による治療を受けるさいは、どのような副作用が考えられるのか説明を受けること。手術もどの方法が最適なのかじっくり相談することです。

入院日数と費用
 腹腔鏡によるのう腫切除…入院4日+自宅療養4日、約10万円
 腹腔鏡による卵巣摘出…入院4日+自宅療養4日、約10万円
 開腹による膿腫切除…入院10日+自宅療養14日、約20万円
 開腹による卵巣摘出…入院10日+自宅療養14日、約20万円
 ホルモン治療(点鼻薬)…1カ月、約8000円
 ホルモン治療(注射)…月1回、約1万円〜1万5000円
 検査費用…約1万円(うちMRI検査は約8000円)

卵巣腫瘍 繊細な臓器だから、病状もさまざま
 すでに説明した「卵巣のう腫」や「卵巣チョコレート膿腫」も卵巣腫瘍の一種。気になる症状のポイントも同じです。
 ●下腹部に膨れた感じがありませんか?
 ●腰痛はありませんか?
 ●下腹部に激しい痛みを感じることは?
 卵巣腫瘍には、卵巣のう腫のように袋の中に液体状のものがたまるものと、硬いこぶのようなものができるものとがあります。こちらは「充実性腫瘍」と呼ばれ、良性、中間型、悪性に分かれます。
病気の特徴
 充実性腫瘍は卵巣腫瘍のうち1割程度、残りは卵巣膿腫です。充実性腫瘍にはさまざまな種類があり、良性では繊維腫、莢膜細胞腫、類副腎腫、中間型では男化腫瘍、顆粒膜細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性では卵巣がん、肉腫、繊毛上皮腫などが代表的な病気です。
それぞれ簡単に説明しましょう。
 更年期以降の女性に比較的多くみられるのが卵巣繊維腫です。腫瘍はゆるやかに大きくなっていきますが、この病気の70%くらいで胸水が発生します。胸水がみられるものはとくにマイグス症候群と呼ばれますが、繊維腫を取り除けば胸水もなくなります。
 莢膜細胞腫は30代から更年期以降の女性に多くみられ、腫瘍からは卵胞ホルモンが分泌されます。そのため閉経後でも不正出血があったりします。また、この莢膜細胞腫でも胸水や腹水がみられることがあります。
 類副腎腫は30代の女性がかかることが多く、原因は副腎皮質の組織がなぜか卵巣のなかに入り込んでしまうことだといわれています。腫瘍からは男性ホルモン(アムドロジェン)が分泌されるため、からだに男性化現象が起こります。たとえば、生理が不順になったり、声が低くなったり、また、多毛、クリトリスの肥大、不妊といったことも起こります。女性の特徴が失われていくのですからやっかいですが、腫瘍を切除すれば男性化現象もなくなります。この3つの腫瘍は良性ですから、適切な治療を受ければ完治します。
 中間型の男化腫瘍は、文字通り、腫瘍から男性ホルモンが分泌され、男性的になっていく病気。かかるのは成熟期前半の女性が多く、2割くらいは悪性腫瘍の場合があります。
 顆粒膜細胞腫は幅広い年代の女性にみられ、腫瘍からは卵胞ホルモンが分泌されます。
低年齢でこの腫瘍ができると、初経の時期が早まったり、乳房が膨らんでくるなどの現象がおこります。ごくまれにですが、この腫瘍のために幼稚園児に生理がはじまったというケースも。成熟期の女性では不正出血があり、閉経後の女性も出血することがあります。
 未分化胚細胞腫は若い女性に多く、8割くらいは20代前半の女性に起こります。とくに卵巣の発育が悪い女性などに起こりやすく、腫瘍はどんどん大きくなっていきます。悪性化する可能性は中間型のなかでもっとも高いといえます。
 悪性卵巣腫瘍の代表はいうまでもなく、卵巣がん。
治療方法
 腫瘍の種類、進行状態(大きさ)、腫瘍の位置などによっていちばんふさわしい治療法が選択されます。病状が進み、腫瘍が大きくなっている場合は手術になりますが、その方法はさまざまです。
 卵巣腫瘍の場合は、良性腫瘍と悪性腫瘍に分けて考えられます。良性腫瘍の「卵巣膿腫」については、手術前にガンでないことを100%否定することはできません。そのため開腹手術になるケースが多いといえます。卵巣膿腫より充実性腫瘍のほうが悪性である可能性が高いからです。手術の方法として、選択されるのは、腹腔鏡下手術と卵巣の全摘出手術です。腹腔鏡下手術の場合は、おなかの中で主要部分をいくつかの断片に分けて取り出すことになります。良性の腫瘍であれば問題のない手術なのですが、悪性の場合は断片に分けることによってがん細胞が飛び散るリスクは高くなります。そのため、腫瘍摘出にはより確実な方法として開腹手術が選択されることが多いといえます。
医師に聞いておくこと
 充実性腫瘍の種類は多種多様です。できているのがどの腫瘍で、どんな症状を引き起こすのか、選択する手術の確実性と、術後に何か変化があるのか…など、病気を正確に知るための情報をたくさんもらいましょう。
入院日数と費用
 充実性腫瘍の手術(開腹)…入院10日+自宅療養14日、約20万円


卵管炎・卵巣炎 発熱をともなう下腹部の痛みには注意

 急に下腹部に激痛が起こるといったときには卵管炎であ可能性もあります。チェックポイントは次の点です。
●痛みに発熱が伴っていませんか?
卵管炎では40度近い高熱が出て下腹部が激しく痛むという症状がまず現れます。その時点で婦人科の診断をあおぎ、治療を受けることが肝要です。

病気の特徴
 卵管炎はクラミジアや淋菌、大腸菌などに感染して卵管が炎症を起こす病気です。原因はセックスや人口中絶、自然流産、出産などのさいに膣がそれらの菌に感染し、子宮から卵管へと侵入することだと考えられています。また、コンドームやタンポンの出し忘れが原因になるケースもあります。
 急性症状として下腹部の痛みと発熱がみられますから、すぐに診断を受けましょう。症状が進むと、おりものが増えたり、子宮からの出血がみられたり、おう吐や冷や汗があらわれます。慢性化することも多く、急性卵管炎の4分の1程度は慢性化するといわれています。セックスのとき痛みを感じる、下腹部が痛む、腰痛、生理痛などが慢性化したら、卵管炎の症状。急性にくらべて程度は軽くなりますが、卵管のなかの粘膜が肥厚したり、組織に癒着が起こるため、卵管が狭くなってしまいます。さらに進めば卵管水腫などにも発展しかねませんし、慢性化段階でも不妊症や子宮外妊娠の原因になります。
 炎症が進行して卵巣にまで広がったのが卵巣炎です。卵管が炎症を起こしやすいのに対して、卵巣は炎症には強く単独の卵巣炎はごくまれ。つまり、卵管炎に合併して起こることがおおいのです。両者が併発した状態は子宮付属器炎と呼ばれます。
 卵管は射精された精子をキャッチしてその内部で受精させ、受精卵を子宮内に運ぶ重要な役目を担っている器官。生命の誕生に関わるその機能を失わせるのが卵管炎ですから、初期症状を見逃すことなく、すばやく対応してください。
治療方法
 炎症を鎮めるために抗生物質が使われます。原因になっている菌を確かめ、それにあった抗生物質を投与することで効果が期待できるでしょう。効果が上がってりうかどうかは血液検査でわかります。重要なのは急性のうちにできるだけ早く治療を開始し、完全に治してしまうことです。治療が不完全で慢性化してしまうと、抗生物質の効き目も悪くなり、やがては卵管水腫となって手術以外に方法がなくなります。
 抗生物質の投与中は安静にしていることが大切です。ふつう、入院することになる場合もありますが、ごく早期に発見できれば、通院による治療も可能です。この場合も安静にしていることが必要です。

医師に聞いておくこと
 慢性化した卵管炎では症状は軽いものになりますが、なにかの要因で症状がぶり返すことがあります。激しい運動やセックスがその引き金になることもありますから、セックスライフをはじめ、日常生活の注意点について説明を受けておくとよいでしょう。

治療日数と費用
 抗生物質による治療…14日、約2000円

卵管水腫
卵管炎を患った結果、起こる病気
下腹部の痛みは卵管水腫にともなう症状ですが、それまでにも兆候はあったはずです。
●原因がわからない発熱はありませんでしたか?
●膿のようなおりものが出たことは?
●おりものに血液が混じっていたことは?
卵管水腫はそれ自体がいきなり発生しません。卵管炎を患った結果としてかかる病気です。
病気の特徴
 卵管炎はクラミジアや淋病などの感染によって起こりますが、その段階で適切な治療をせず、炎症が慢性化してしまうと、卵管内の粘液が癒着を起こし卵管の一部が閉塞してしまうことがあります。そんな状態になった卵管に水のような分泌物がたまるのが卵管水腫です。下腹部に差し込むような痛みがあるのが典型的な症状ですが、卵管が閉じ、水(のようなもの)がたまっているわけですから、卵管の働きは阻害され、不妊症になります。また、卵管に膿がたまるケースもあり、これは卵管膿腫といいます。

検査のほうほう
 卵管水腫の診断にはMRI検査のほか、腹腔鏡を使った検査が行われます。おへその下から直径5ミリ程度のスコープ(腹腔鏡)を入れて子宮や卵管の状態、癒着の状態などをみる検査ですが、水腫(膿腫)があれば確実にわかります。

治療方法
 腹腔鏡を使って閉じている卵管を通す処置が行われることもありますが、それでは改善が期待できないときは、水腫(膿腫)を切除する手術をしなければなりません。

医師に聞いておくこと
 卵管水腫は見つかってからすぐに手術を受けるべきなのか、ベストの方法をたずねましょう。

入院日数と費用
 腹腔鏡による水腫切除…入院4日+自宅療養4日、約10万円
 腹腔鏡による水腫摘出…入院4日+自宅療養4日、約10万円
 開腹による水腫切除…入院10日+自宅療養14日、約20万円
 開腹による水腫摘出…入院10日+自宅療養14日、約20万円
 検査費用…約1万円(うち腹腔鏡下検査は約8000円)

卵巣出血 排卵がある女性にはだれにでも起こる可能性が
 生理のとき以外に下腹部に強い痛みを感じるというケースでは卵巣出血も考えられます。どんなときに痛みが起こるのでしょう。
●痛みは排卵の時期に襲ってきていませんか?
 生理が順調な女性では、生理がはじまってから14日頃に排卵が起こります。下腹部の痛みがだいたいその時期と重なっているなら、卵巣出血の疑いがあります。
病気の特徴
 卵子が卵巣から膣腔内に飛び出すのが排卵です。一般的に生理が終わるころから、女性のからだには卵胞ホルモンであるエストロゲンの分泌量が増えます。
 その結果、子宮内膜の壁が厚くあります。排卵の直前にエストロゲンの分泌量はもっとも多くなって、それに合わせるように排卵に必要は黄体形成ホルモンが分泌され、排卵がおきます。
 その後、卵子には卵管にキャッチされるわけですが、卵子を膣腔内に送り出した卵巣には傷がつきます。
 ちょっとした傷で出血も少量ならなんら問題はありませんが、出血の量が多いとそれが腹膜を圧迫して下腹部痛を引き起こすことがあります。これが卵巣出血です。
 痛みは猛烈なもので出血量が多いケースではショック状態を起こすことさえあります。なぜ、卵巣出血が起こるのか、その原因はわかっていませんし、そう多い病気ではありませんが、排卵がある女性にはだれにでも起こる可能性はあります。

治療方法
 対症療法としては止血剤や鎮痛剤が処方されます。しかし、排卵は毎回あり、卵巣を傷つけることには変わりません。そこで排卵を抑えるためにピルが使われることもあります。
 ピルの服用で排卵がなくなれば、卵巣を傷つけることもなくなり、出血による下腹部の痛みからも解放されるからです。もちろん、妊娠を望んでいるケースではピルはつかえませんが、当面、妊娠の予定がないということならかなり有効。避妊と下腹部痛の解消が同時に行えるわけですから、一石二鳥ともいえます。
 ピルには排卵に関係してる卵胞ホルモンと黄体ホルモンが合成されています。ピルを服用すると、脳はこのふたつのホルモンが十分足りていると判断して、ホルモンを出すよう促す指令を出さなくなります。そこで卵巣は排卵に必要なホルモンを分泌せず、排卵が起こらなくなるのです。
「でも、ピルには副作用があるって聞いたけれど…」
 実際、副作用が気になる人も多いでしょう。ピルは含有する卵胞ホルモンの濃度によって高用量ピル、中用量ピル、低用量ピルに分類されます。現在、排卵抑制のために使われるのは低用量ピルで副作用の心配は少ないものです。医師の指示にしたがって使えば、問題はないでしょう。
 ちなみに、1日15本以上たばこを吸う習慣のある人や極度の肥満の人、乳がんや子宮がんのある人、高血圧や肝臓に病気のある人などには、ピルが処方されないことがあります。もちろん、ピルを処方するときにはガン検診や血液検査、血圧測定など必要な検査が行われます。
 ピルには毎日1錠ずつ、21錠服用して、その後、7日間は何も飲まないタイプと、21錠飲んだあと7日間は偽薬(プラセボ。何も成分が入っていないもの)を飲むタイプとがあります。
 出血量が多く、痛みに耐えられないといったケースでは手術が行われます。手術では状態によって血のかたまりを取り除いたり、卵巣の一部を切除したりします。
 医師に聞いておくこと
 下腹部の激しい痛みが起こるのは卵巣出血の場合だけではありません。卵巣膿腫、子宮内膜症、卵管炎、あるいは子宮外妊娠といった病気も下腹部痛をともないます。卵巣出血以外の病気の可能性についても聞いておいた方がいいかもしれません。卵巣出血の手術を受けたのに、痛みがぶり返し、今度は子宮内膜症と診断されたというケースもないではありませんから…
 また、ピルを使う場合は副作用について説明を受けましょう。

治療・入院日数と費用
 ピルによる治療…月約3000円
 手術…入院日数10日+自宅療養14日、約10万円

卵巣がん ひそかに進行する病気です。定期健診を欠かさないで

下腹部痛や不正出血などがあらわれる病気はたくさんありますが、卵巣がんでもこれらの症状がみられます。
 ほかに気になるのが次のような症状…。
●体重変化はないのにおなかがふくれていませんか?
●さわるとしこりを感じませんか?
●頻尿や便秘気味ではありませんか?
●下肢にむくみはありませんか?
 卵巣は腫瘍ができやすい臓器ですが、同時にからだの奥のほうにあるため自覚症状がでにくいといえます。
 ひそかに進行するため”サイレンドガン(沈黙のガン)”の名もあるほど。
 早期発見には定期検診が欠かせません。
病気の特徴
 卵巣にできる腫瘍は良性のものがほとんどだというお話はしましたね。パーセンテージにすれば85%程度は良性。つまり、悪性であるケースは15%ほどになりますが、この悪性腫瘍が卵巣がんです。卵巣がんのうちの90%は卵巣の表面をおおっている細胞ががん化する上皮性腫瘍、その次に多いのが卵子のもとである胚細胞ががんになる卵巣胚細胞腫瘍です。
 卵巣がんは40代以降の女性に多いといわれますが、20代でも安心というわけではありません。原因についてははっきりわかっていませんが、食生活が欧米化してきた過程と卵巣がんの増加傾向が一致していることから、動物性脂肪やたんぱく質の摂取が増えたこととの関連が指摘されています。
 また、出産の経験がない人、はじめての妊娠が35歳以降の人、未婚の女性などはリスクが高いといわれています。これらの女性は排卵の回数が多いためだと考えられます。
 逆にいえば、ピルを使用するなど排卵回数が少ない人は、リスクは低いということになります。
 遺伝との関係もいわら、卵巣がんの10%ほどは遺伝性だともいわれます。卵巣がんになった人が1〜2等身にいる人は、そうでない人にくらべて3〜4倍卵巣がんになりやすい、70歳までに卵巣がんになる確率は50%…といった報告もされています。
 初期の段階では自覚症状がないのが卵巣がんの特徴です。からだの異変を感じるのはかなりガンが進行してから。
 下腹部に圧迫感があったり、ふれるとしこりを感じたり。腫瘍で膀胱が圧迫されて頻尿になったり、胸水がたまって息切れをするようになったり、などの症状があらわれるようになります。
 卵巣はからだの奥にあるため、細胞や組織を摂取して検査することが難しく、確実に診断するためには手術して、直接、腫瘍を取り出して検査するほかはありません。通常、行われるのは超音波検査やMRI検査ですが、これらの検査ではあくまで推定診断しかできないのが実情です。腫瘍マーカーも判定の参考にはなりますが、これも早期発見は難しいといえます。
 卵巣がんであることが確定したら、摘出手術が行われます。
 どの程度摘出するかは進行状態や年齢、妊娠・出産の希望の有無などによって違ってきます。
 たとえば、20代、30代でこれから妊娠・出産を希望するというケースでは、腫瘍部分だけを切除して抗がん剤などの化学療法を併用するという方向で治療法が検討されることになるでしょう。
 また、ガンのある卵巣だけを摘出し、もうひとつを残すという方法もあります。
 閉経が近い女性の場合は、リスクをできるだけ回避するために両方の卵巣を摘出することが多いようです。場合によっては、子宮も同時に摘出することもあります。
 卵巣がんも次にようにステージに分類されています。
 1期…ガンが卵巣だけにとどまっている
 2期…卵巣の周囲の子宮や膀胱などの腹膜に転移がみられる。
 3期…上腹部にも転移している。
 4期…膣腔外に転移している、あるいは肝臓に転移している。
 ステージごとの5年生存率は、1期が90%、2期70%、3期30%、4期10%となっています。
 発見が難しいだけに定期検診は重要です。最低年に1回、できれば半年に1回、検診を受けましょう。
医師に聞いておくこと
 妊娠・出産と深く関わっている病気ですから、あなたのライフスタイルを医師に明確に告げ、それに沿うよう治療法を選択するようにしましょう。医師まかせではなく相談して治療法を決めていくという姿勢が望まれます。

入院日数と費用
 卵巣摘出のみ…入院14日+自宅療養14日、約20万円
 卵巣がん手術(子宮も含む)…入院にっす30日(手術のみの場合)、約30万円
※卵巣がんの手術では、摘出手術後に併用して抗がん剤による治療が行われるケースがほとんどです。その場合は病状の進行によっても違いますから、入院日数、費用はその治療を含まないものと考えてください。




おっぱいの病気
からだのシグナル、「しこり」を見逃さない
乳腺症・のう胞 心配はありませんが、一度診断を受けましょう
 生理前に起こり、生理がはじまると消えていくおっぱいのはりと痛みに似ていますが、それ以外に次のような症状はないでしょうか?
●しこりは粒状で、さわると弾力があって痛みますか?
●肩こりや頭痛といった症状がありますか?
●乳首からおっぱいのような分泌物が出ますか?
 乳腺症は30〜50歳代に多いものですが、年代にかかわらず、生理の周期が不規則であったり、出産経験のない人、授乳回数の少ない人、あるいは流産の経験を持つ人がかかりやすい傾向があるといわれています。

病気の特徴
 乳房の構造からお話ししましょう。乳頭には乳管という管が集まっています。乳管は乳房全体に張り巡らされていて、乳管の先には乳腺葉があります。この先端を乳腺小葉といいます。それら全体を包んでいるのが脂肪組織です。おおまかにいえば、乳管や乳腺葉を含んだ組織を「乳腺」と呼びます。
 この乳腺にしこりを感じるのが乳腺症です。良性のしこりで、片側、あるいは両側の乳房にボコボコとした粒状の大小のしこりがふれ、弾力性があります。生理によるおっぱいのはりや痛みと同じように、生理の前になると大きくなって痛み、生理が終わると小さくなり、痛みも薄らぐといった経過をたどるのがふつうですが、なかに肩こりや頭痛をともなう場合や、乳首からおっぱいのような分泌物が出てくるといったケースも見られます。
 乳腺症が起こる原因は、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌のバランスがくずれて起こると考えられています。ストレスなどが原因になることもありますが、簡単に説明できるほどはっきりとした原因はまだわかっていません。
 胸にしこりを感じる乳腺症では、乳がんとの識別がむずかしいところですが、乳腺症はガンに変化するものではありません。とはいえ、しこりのなかに乳がんが隠れているケースもありますから、しこりがふれたら自己判断せず、受診するようにしてください。乳腺症にかかった人将来乳がんになるリスクが高いというデータもあります。
 乳腺症といっしょに見つかることが多いのが「のう胞」です。乳管の一部がふくらんで袋ができ、なかに液体がたまるもの。エストロゲン(女性ホルモン)の影響でできるといわれ、乳腺症の一種と考えられています。のう胞が大きくなるとふれてわかるようになります。さわるとツルツルした感じがあり、痛みはありません。

治療の方法
 のう胞は良性のしこりなので、特に悪さをすることもなく、乳がんに変化するものではありません。通常はそのまま経過を見ていきます。大きくならないか、数は増えていないかを定期的に検査していきましょう。のう胞が大きくなると注射器でたまった液体を抜くことも考えられるようになります。
 乳腺症の診断は、視診、触診、超音波による検査、マンモグラフィなどを行って下されます。乳腺症があるとわかっても、ホルモンの分泌異常が改善されると自然に治っていくことが多いため、よほど悪化しないかぎり、通常はそのまま経過を見ていきます。ホルモンバランスを崩す可能性のある”ストレス”環境を見直して、改善を待ちましょう。
 治療が必要となるのは、改善が見られない、痛みが増す、しこりが大きくなるといったケースです。この場合はピルによる治療を行うことになります。
 なお、婦人科健診でしこりが見つかったら、専門分野である「乳腺外来」を受診しましょう。おっぱいに関する病気は婦人科ではなく、外科の領域になります。
医師に聞いておくこと
 月経異常がある場合はそのことも医師に告げて、ホルモンの分泌異常を改善するためにどんなことに気を付けたらいいのか、きちんと聞いておきましょう。また、ピルによる治療を受けることになったら、どのくらいの期間受けなければならないのか説明を受けることです。
検査時間と費用
 検査費用 134ページ参照

治療日数と費用
 のう胞穿刺…15分、約3000円
 ピルによる治療…月約1000〜2000円

乳腺炎 授乳中に乳腺が炎症をおこしている病気
 乳腺症と乳腺炎はその名称から混同されることが多いのですが、この2種は全く違う病状です。乳腺症はホルモンの分泌異常に由来する(と考えられる)もの。乳腺炎はその名のとおり、乳腺が炎症を起こしている病気です。
●乳房がかたくはれて痛みますか?
●熱を持っていますか?
●血液の混じった分泌物がでますか?
 乳腺炎は授乳中に起こるのがほとんどですが、それ以外の原因で起こる場合もあります。前者は急性のもの、後者は慢性のものに分かれます。
病気の特徴
 授乳中に起こる乳腺炎には2つのタイプがあります。ひとつは、おっぱいがきちんと排出されずに乳腺内にたまって起こす炎症です。おっぱいはつくられているのに乳管が充分に開通していないためだったり、赤ちゃんが上手におっぱいを吸えないためにたまってしまうものです。はれて熱を持ち、さわると痛みます。
 もうひとつは、乳首や乳輪に傷ができてその傷口からブドウ球菌や連鎖球菌などの細菌が侵入して起こるものです。赤ちゃんがおっぱいを吸うときに傷つけてしまうことがほとんど。おっぱいがうまく出ない痛みより激しく、おっぱいが赤くはれるほか、熱を出すこともあります。高じると、乳首から血の混じったおっぱいを出すこともあります。
 授乳中でもないのにおっぱいにはれや痛みが出てくるのが慢性乳腺炎。原因は細菌感染によるものです。赤くはれて、痛みをともないます。

治療の方法
 おっぱいが出ないことで炎症を起こしている場合は、なによりおっぱいを出すことを考えます。温湿布で温めたり、乳房マッサージをします。搾乳器を使っておっぱいをためないようにすることも大切です。
 細菌感染しているケースでは、冷やすこと。熱をともなう場合は抗生物質を1〜2週間飲んで治します。これらの治療は産科で相談しましょう。
 慢性乳腺炎の治療は、痛みやはれの程度にもよりますが、塗り薬や抗生物質を服用するのが治療となります。婦人科で相談してください。
医師に聞いておくこと
 
授乳中の乳腺炎では、おっぱいが陥没していることによって赤ちゃんがうまく吸いつけないといったケースもあります。マッサージ器具などを使って引き出すなど、妊娠中から医師に相談しておきたいものです。
 また、授乳中の感染による治療で抗生物質を飲む場合は、赤ちゃんへの影響について説明を受けておきましょう。

治療日数と費用
 おっぱいが出なくて乳腺炎を起こしている場合のマッサージは産科で相談しましょう。ほとんどは産科で指導されるはずです。また、慢性乳腺炎で抗生物質を処方してもらう場合の費用は以下のようになります。
抗生物質による治療…7〜14日、3000円

乳腺繊維腺腫
おっぱいにできるしおりの95%は良性です。
 入選繊維腺腫は、痛みを感じないしこりが主な症状です。しこりができる”場所”と”状態”はどのようなものでしょうか。
●しこりは乳房にできますか?
●しこりの大きさは大豆大以上ですか?
●しこりをさわると動きますか?
 おっぱいにできるしこりの95%は良性のもの。ほとんどは心配のいらない場合が多いのですが、しこりが乳がんによるものなのか、そうでないのかを見極める必要があります。いちばんの早道は乳がん検査を受けることです。

病気の特徴
 乳腺繊維腺腫は、乳腺小葉をつくっている腺組織と脂肪組織にある繊維性の結合組織が増殖してできます。しこりはかたく、コリコリとした触感。大豆からうずらの卵大まで大きさはさまざまです。さわると”逃げる”ように動くのが特徴です。
 10代から30歳くらいの若い女性に多く見られるのも特徴といえます。乳腺繊維腺腫は良性の腫瘍ですからしこりが乳がんに変化することはありません。できても心配のいらないものですが、しこりだけでは乳がんとの区別が非常に難しいため、きちんとした検査を受けるようにしてください。
 しこりが小さなうちはそのまま経過を見ます。大きくならなければ自然にしこりが消えていく場合もあり、手術の必要はありませんが、しこりが大きくなってくると”見た目”が気になり始めます。年齢が高くなると乳がんの可能性も出てくるため、その場合は手術で腫瘍を摘出します。

治療の方法
 検査は、視診、触診、超音波による検査、マンノグラフィなど、一連の乳がん検査を行います。通常はこの段階で判断がつきますが、不明確な場合は細胞診で診断の確度を高めます。細胞診はしこりのある部分に注射針を刺し、細胞を採取して調べます。マンモグラフィの検査で乳腺繊維腺腫と診断されても心配な場合は、希望して細胞診を受けることができます。
 摘出手術は、しこりが3〜4センチ程度の大きさなら、局部麻酔で行えます。皮膚を2〜3センチほど切開して腫瘍を取り出すという簡単なもの。朝手術を受けて、問題がなければ夜には退院できます。

医師に聞いておくこと
 細胞診で良性の乳腺繊維腺腫と診断されても、その確度に不安が残るといった場合は、希望によって摘出手術を行うことがあります。その必要があるかどうかは、医師から詳しい説明を受けながら判断しましょう。
 手術となれば傷は残りますから、若い世代でその必要があるのかどうか。摘出しても再発することはあるのかどうか。良性の腫瘍ですから、摘出手術を受ける場合も医師とその”時期”を相談するのがいいでしょう。

検査時間と費用

治療日数と費用
 摘出手術…約1万円(外来、局所麻酔の場合)

乳管内乳頭腫 乳管に良性のポリープができています。
 極めて発症率の少ない病気ですが、以下の症状があれば、この病気である可能性があります。
 ●血液の混じった分泌物が出てきますか?
 ●乳首の周りにしこりを感じますか?
 乳頭から血の混じった分泌物が出るものには乳腺炎、乳がんと乳管内乳頭腫がありますが、乳首にしこりを感じる場合は、この病気か乳がんが考えられます。
 
病気の特徴
 乳房の中に張り巡らされている乳管はおっぱいの通り道。太い乳管、細い乳管などさまざまな乳管が乳首に集まって、妊娠・出産するとここから赤ちゃんの”食事”のおっぱいが出てきます。この乳管の中に良性のポリープができるのが、乳管内乳頭腫です。
 乳首から血液の混じった分泌物が出てくることによってそれとわかります。比較的に太い乳管にポリープができ、大きくなると乳首のまわりにふれて丸いと感じるしこりができます。しこりは小さくて痛みもなく、やわらかくてはれるようなこともありませんから、しこりがあっても気づかないことが多いようです。ふれてしこりとわかることはまれで、むしろ血液の混じった分泌物によってそれとわかるほうが多いといえます。

治療の方法 
 おっぱいにあらわれる異常は、乳がんでないことを判断するためにさまざまな検査が行われます。超音波による検査、マンモグラフィなどのほか、乳管内乳頭腫の場合は、乳頭から出てきた分泌粒(乳汁)を採取してがん細胞がないかを調べる乳汁細胞診や、分泌液中の腫瘍マーカーを調べる検査、乳首から乳管内に内視鏡を差し込んで行う乳管内内視鏡検査などが行われます。この段階でも乳がんとの識別がつかない場合は、しこりを摘出する乳管腺葉区分切除術(マイクロデケクトミー)を行って、組織の検査をすることになります。
 これらの検査の結果、良性の乳腺内乳頭腫と診断されると、定期検診をつづけながら、その後の経過を見ることになりますが、発症例がすくないことと、乳がんに移行したケースも極めてまれであることから、心配のいらないものと考えていいと思います。ポリープがある場合は乳がん検査で発見されます。

医師に聞いておきたいこと
 ポリープが発見されても、ほとんどは心配のいらないものですが、検査を希望することはできます。段階を経てより精密な検査へと移行していきますから、まず最初にどんな検査を受けるべきかを訪ねましょう。また、良性と診断された場合にもその後の経過の見方を聞いておきましょう。
 検査時間と費用
検査費用…超音波、マンモグラフィ


乳がん 毎日のセルフチェックで”しこり”を確認
 乳がんは40歳代で発症のピークをむかえますが、最近の傾向は20代後半からの発症が見られること。「心配はまただ先のこと…」を考えず、自分のおっぱいにはさわって、見て異常がないかを日々、確認しましょう。
 ●しこりは片側の乳房だけにありますか?
 ●チリチリした痛みを感じますか?
 ●両方の乳房の大きさが極端に変わってきましたか?
 ●乳首から血液の混じった分泌は出ていますか?
 乳房に感じるしこりは進行段階によって変化します。しこりを感じたらすぐ、りょうせいのものか乳がんによる悪性のものなのか診断するため、必ず診察を受けるべきです。

病気の特徴
 乳がんは、乳腺にできる悪性の腫瘍です。最大の特徴はしこり。乳がんがみつかるきっかけの80〜90%はしこりを感じて受診したケースです。
 なぜ乳がんが発生するのかは、まだ解明されていません。一般的なガンの発生と同様、ストレスや食生活の欧米化が関与しているといわれます。
 また、遺伝的な要素も関係しているとされますが、これは体質や食生活などの生活環境が似ていることから、がんの発生条件が一致しやすくなるからだとの見方が主流。
 いくつかの原因説の中では、直接関与し、乳がん発生の”主役”とかんがえられているのが、エストロゲンです。
 エストロゲンは女性ホルモンのひとつ。発がん性物質ではありませんが、細胞分裂を促す作用があるため、結果的にがん細胞の発生と増殖に手助けしてしまうのです。初経の低年齢化、閉経の高齢化、出産や授乳経験がない、高齢で初産を迎えた…など、エストロゲンの影響を受ける期間が長い人に乳がん発生率が高い傾向がみられるところから、そう考えられています。
 乳がんは、ほとんどが乳管に発生します。乳腺葉の先端にある小葉にも発生しますが、約90%は乳管にできるガン。ごくまれに、乳管内のがんが乳管開口部から乳頭、乳輪へ広がり、その部分がただれる、かさぶたができる、出血があることなどによって見つかるパジェット病があります。
 乳がんは乳腺の上皮組織(乳管上皮、小葉上皮)から発生します。ガンの進行段階は、しこりのおおきさやリンパ節に転移しているかどうかで0〜4期に分けられます。
0期…がん細胞が乳腺内(乳管、小葉)に認められる。非浸潤がんと呼ばれ、早期のガン。この段階でしこりがふれることはあまりない。パジェット病も早期のガン。
1期…しこりが2センチ以下で、リンパ節への転移はない。さわってしこりがふれる。
2期…しこりが2センチ以下でリンパ節への転移が認められる、あるいはしこりが2センチ以上で、リンパ節への転移が認められないもの。また、しこりが2センチ以上でリンパ節への転移が認めららないあるいはしこりが5センチ以上でリンパ節への転移が認められないなどの進行段階の判断がある。
3期…しこりが5センチ以上で、リンパ節への転移がすすむ。しこりと皮膚が癒着して乳房にへこみやひきつれがみられるようになる。乳首がへこむケースもあり、血の混じった分泌物が出てくる場合もある。乳腺炎のように乳房が赤くはれて痛む炎症性乳がんが認められることもある。
4期…他の臓器への転移がすすんでいる可能性が高い。進行性の乳がん。
 早期がんと呼ばれるのは、0期から1期の間のもの。
 この段階で乳がんが見つかり、治療できればほぼ完治することができるといわれています。早期発見がいかに大切か。そのためにはしこりを感じて受診するのではなく、定期的に乳がん検診を受けるのがベストです。
 また、パジェット病は乳首がかゆく、ただれることで発見される乳がんの一種。しこりがふれることはなく、かゆみが主な症状です。早期に見つかるガンなので、「しこりはないから大丈夫」と考えずに受診しましょう。
 乳がんの検査は、これまえでにもお話ししてきた通り、視触診、超音波、マンモグラフィ、細胞診で確認するようにしてください。

治療の方法
 乳がんと診断されると、ほとんどの場合しこりの摘出手術をすることになります。手術の方法は3種類。以前は、乳房とその下にある筋肉(大胸筋など)やリンパ節まで切り取る「定型的切除手術(ハルステッド手術)」が主流で行われていました。すべて切り取れば再発のい可能性が低くなるといった考え方でしたが、術後腕が動かなくなったり、むくんだりといった機能的な問題が出ることが多く、また、”見た目”にも女性にとってはつらさが残ります。そうした経緯から、最近では、胸筋は残して乳房だけをとる「否定形切除手術」、乳房を残してしこりだけを取り除く「乳房温存手術」のどちらかが選択されるようになりました。
 否定形的手術は、胸筋を残すことによってすべてを摘出してしまった場合より機能的な問題は少ないといえますが、まったく痛みやひきつれを感じないわけではありません。また、切除した部分にガンが再発する可能性も否定できません。その上、「乳房がなくなった…」をいった喪失感はひじょうにおおきなものといえますが、がんの進行段階によってはこの手術方法を選択せざるをえないこともあります。
 乳房温存手術には、乳房を残すためのいくつかの切除の方法があります。ひとつはしこりだけを取り除く方法(乳房円状部分切除術)。
 この手術はしこりが小さな場合に適用される手術で、手術の跡はほとんど目立たないのが通例です。しこりのある周辺の乳房(乳腺組織)を乳首を頂点にほぼ4分の1を切り取る(乳房扇状部分切除)のがもうひとつの方法。しこりの大きさによっては4分の1以下であることも、それ以上であることもありますから、乳房の”形”を維持することはむずかしいでしょう。
 いずれの手術法も、再発の可能性が否定できません。抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン療法を合わせて行うことになります。
 手術の前、術後に行われるほか、前後にそれらの治療法を組み合わせて行われるケースもあります。

医師に聞いておきたいこと
 乳房を喪失するということは、女性にとってはつらいことです。最近では、手術後に乳腺の移植手術、乳房の再建手術などが可能になり、希望する人も増えているようです。また、乳房を温存する方法にもさらに選択肢が増える研究がなされはじめています。最良の選択ができるよう、医師とは十分なコミュニケーションをとりましょう。

検査時間と費用

入院日数と費用
 手術はそれぞれの方法で、入院日数も治療期間も費用も違います。一概にはいえませんが、だいたい2〜3週間に入院と14日程度の自宅療養、20〜30万円の手術費用がかかるというのが大きな目安と考えられます。

乳がんの検査時間と費用
 超音波検査
皮膚にゼリーをぬり、プローブと呼ばれる検査器をあててしこりを見つける検査です。胎児の様子を見る調音場検査と同じものと考えてください。しこりの中までを詳しく見ることができるのが特徴です。
 検査時間…15分
 検査費用…2000円

マンモグラフィ検査
乳腺専用のX線撮影装置を使って行うレントゲン検査です。乳房をなるべく薄く平らにして撮影しますから、引っ張られるような痛みはありますが、しこりのふれない早期のがんも発見されやすいので、早期発見には欠かせない検査です。
 検査時間…30分
 検査費用…3000円

細胞診
 文字通り、細胞を採取して検査します。注射器をしこりのあるところに刺して細胞を取り出しますが、痛みはチクリとする程度。顕微鏡で見て、良性か悪性かを判断します。
 検査時間…15分
 検査費用…3000円

組織診
 しこり部分の組織を切り取って検査する方法。局部麻酔で行われます。細胞診同様、顕微鏡で確認します。
 検査時間…30分
 検査費用…5000円




PART4
感染症
他人事ではありません、いま、増えています!
クラミジア感染症 自覚症状が少ないので、要注意
 性感染症の代表的なものがこのクラミジアです。無症状であるケースがほとんどですが、以下のような症状があるかどうか、チェックしましょう。
 ●みずっぽいおりものがありますか?
 ●下腹部痛があり、それは軽いものですか?
 ●不正出血はありましたか?
 ●セックスをするときに痛みはありますか?
 クラミジアによる感染は、女性に起こりうる病気と大きく関連しています。なんらかの症状としてあらわれることが少ないだけに、注意したい性感染症です。

病気の特徴
 性感染症の中でもクラミジアは、10代半ばから20代までの若い女性に圧倒的に多く、最近急増している性感染症です。奔放なセックスがその背景にあることは指摘されるところですが、自覚症状があまりでない感染症であるという点も、増え続けている一因といえます。自覚症状を感じてもそれは、おりものが増えたり、軽い下腹部痛があったりといった程度。不正出血がみられることもありますが、それらの症状によってクラミジア感染を特定することはできず、気づかないことが多いものです。
 クラミジアの原因菌はクラミジアトラコマチスと呼ばれる微生物。人(動物)にきせいしてのみ生息する菌で、感染後およぼ1〜3週間の潜伏期間を経て発症します。クラミジアが最初に感染する部位は子宮頸管。クラミジアに感染した男性の精液とともに排出され、それによって膣と子宮の境にある警官が感染するのです。
 感染はまず、子宮頸管炎となってあらわれますが、しだいに感染はすすみ、子宮内膜炎、卵管炎、とその被害を広げていきます。セックスするときに痛みを感じて受診し、クラミジア感染が見つかるケースも少なくありません。
 クラミジア感染が卵管におよぶと、卵管が閉鎖してしまったり、卵管水腫を引き起こすことがあります。卵管がつまるということは不妊症につながる可能性があるということ。早産や流産、子宮外妊娠の原因になっていることも最近では指摘されるようになっています。
 出産にも影響をおよぼすのがクラミジアです。産道(頸管)で胎児が感染し、生まれてから結膜炎や肺炎を起こすケースがあるのです。妊娠したときはクラミジア検査をするのが通例ですから、ぜひ受けておくようにしたいものです。
 また、性器外のセックスで移る場合もあります。口からの感染では咽頭炎や扁桃腺炎があります。さらにこんな指摘もあります。クラミジアに感染しているとエイズに感染する可能性が3〜4倍も高くなる、というのがそれです。クラミジア感染はコンドームをつけることである程度予防できます。このことはよく覚えておいてください。

治療の方法
 感染しているかどうかを、まず検査しなくてはなりません。検査方法には、クラミジアそのものを見つけ出す抗原検出方法(おりもの検査)と、感染が進行していると考えられる場合に行われる抗体検出法(血液検査)があります。抗原検出法は頸管上皮組織を採取して検査されます。抗体検出法は血液によって感染を見るもの。最近では、遺伝子診断法が開発され、かなり高い確率でクラミジアを特定できるようになってきました。
 クラミジアに感染しているとわかれば、抗生物質が治療薬となります。比較的よく効き、2週間ほど飲み続けることになります。感染による病気では、きちんと決められた量を、指示された期間飲み続けることがとても大切。勝手にやめてしまったり、決められた量を飲まなかったりといったことのないようにしましょう。特定のパートナーがいる場合は、2人一緒に治療を受けるのが絶対条件です。治療は婦人科で受けます。男性の治療は泌尿器科で受けることになります。

医師に聞いておくこと
 症状の出にくい感染症ですから、抗生物質を服用している期間についての日常的な注意点、その後の経過の見方などもきちんと聞いておくようにしましょう。

検査時間と費用
 抗原検出法(おりもの検査)…約1500円(保険適応)
 抗体検出法(血液検査)…約1500円(保険適応)
※なお、クラミジア感染が心配で診察を受けるときは、保険が適応されないケースもあります。その場合の費用は約5000円。検査の方法もケースバイケースです。

治療日数と費用
 抗生物質による治療…14日、約2000円

トリコモナス膣炎 はずかしがらずに、すぐに病院へ

「おりものがヘン…!」と思ったら、次の状態もチェックしましょう。
●おりものの中に膿のような感じのものは混じっていませんか?
●泡のようなものは混じっていませんか?
●膣が熱くて痛いという感じはないですか?
●においが急激にきつくなりませんでしたか?
●外陰部にも痛みがあり、排尿痛もありますか?

トリコモナス膣炎は検査も簡単に行われますので、恥ずかしがらずに婦人科を受診しましょう。

病気の特徴
 トリコモナスは、ゾウリムシやミドリムシなどと同じ原虫の仲間です。絶滅したと思われていましたが、膣内(子宮頸管)や膀胱などに残存し、それがなんらかの拍子で”復活”して自己再感染したものという見解が一般的です。男性の尿道にもトリコモナスが潜み、互いにセックスによってやりとりして発症するのではないかと考えられ、感染経路は主にセックスによるものですが、お風呂屋やトイレの便座からの感染もあります。
 症状はおもに膣内から外陰部に起こります。感染後1〜2週間ほどしたころから、おりものに異常がみられるようになります。黄色やクリーム色のおりものや黄緑がかったおりものの中に膿のようなものが混じり、ツーンと鼻につくにおい、チーズを焼いた軒のようなにおいが感じられて、おりものに泡が混じるようなことがあれば、まずトリコモナス膣炎と考えられます。
 子宮や卵管への影響は認められていませんが、尿路に感染することがあり、排尿のときに痛んだり、頻尿という症状があらわれることもあります。
 痛みやかゆみを感じるのは性感染症の主症状。トリコモナス膣炎の場合は、膣の中が「熱い」と感じるかゆみ。外陰部にもかゆみを感じるようになり、赤くただれてヒリヒリと痛み、排尿時にしみて痛むこともあります。
 トリコモナスに感染しているかどうかは、おりものを採取して顕微鏡検査、あるいは培養試験を行って確認しますから、検査への抵抗感は少ないもの。躊躇せず、異常を感じたら検査を受けましょう。

治療の方法
 薬の服用と、服用するのと同じ薬を膣錠にしたものを膣内に挿入して治療します。外陰部にかゆみがある場合も軟膏が処方されます。期間は7〜10日程度。終了後は完治しているかどうかを確認するためにもう一度検査を受けてください。トリコモナス膣炎はこの治療法でほぼ治りますが、原虫がしつこく残存して再発する可能性がないとはいえません。治療の注意点は必ず守りましょう。もちろん特定のパートナーがいる場合は一緒に検査、治療を受けましょう。

医師に聞いておくこと
 治療期間の禁止事項について確認しておきましょう。また、治療後にはどんなことにきをつけて再発を防ぐかについても、きっちり説明を受けておくことを忘れずに。

治療日数と費用
 服用治療薬による期間…10日、約2000円


カンジダ膣炎 しめったところが好きなカビの一種!

おりものが異常で、外陰部にかゆみが強い時のチェックポイントはこれ。
●おりものに”カス”のようなかたまりがありますか?
●においはつよいですか?
●外陰部のかゆみはひどいもの?
●生理前にかゆみが増しますか?
 比較的、はっきりとした症状を持つのがカンジダ膣炎です。さまざまな病気とも関連を持つケースがありますから、「そのうち治る」などどたかをくくらず受診しましょう。

病気の特徴
 カンジダは真菌というカビの一種です。珍しいもとではなく、至る所にカンジダ菌は存在しています。ジメジメしたところが好きで、酸性の状態を好みます。尿が混じりあう赤ちゃんのおむつのなかでもよく繁殖します。膣の中の酸性の状態、湿度はカンジダ菌にとっては生息しやすい場所。正常な状態でも約10%程度は膣の中にカンジダ菌は存在しているといわれています。
 このカンジダ菌が異常に繁殖して起こるのがカンジダ膣炎です。症状として最初に感じるのは外陰部のかゆみ。カンジダ膣外陰炎という病名がその状態を示しています。
 なぜ急激に繁殖するのか。それについては免疫力の低下が言われています。かぜを引いたり、疲れがたまっていたり、精神的なストレスを受けることによっても”体の抵抗力”は衰え、そもそも膣が持つ自浄作用がうまくはたらかなくなって菌が繁殖しはじめるのです。また、抗生物質を服用したあとにも発生しやすい傾向があります。かぜやケガをしたときなど、抗生物質を処方されることがあると思いますが、それが耐性菌を生んで、自浄作用を低下させているとされます。
 そのほか、カンジダ菌が繁殖する”環境”には、膣内が酸性に傾きやすい生理前、妊娠中、糖尿病のほか、ピルを服用している、膠原病や花粉症、ぜんそくなどの治療を行っているといった場合にも発生しやすいといえます。免疫系の病気では抑制を目的に薬が処方されるため、その関係でカンジダ菌が発生しやすいといえます。カンジダ膣炎の症状はおりものにあらわれ、極めて特徴的な形状を持っています。酒粕のよう、豆腐カスのよう、カッテージチーズのようなどと表現されるように、おりものに白い、あるいは黄色いかたまりが混じり、強いにおいを発します。湿り気の多い外陰部にもカンジダ菌は繁殖し、痛痒い、ピリピリする、しみるようなと表現されるかゆみがあります。

治療の方法
 治療は抗真菌性の薬が用いられます。膣に挿入するものと、外陰部のかゆみを止めるために軟膏剤を併用します。膣の洗浄も併行して、治療項目に加わります。これは1週間か10日に一度通院して膣洗浄をするものですが、これらの治療でほぼ完治します。なお、市販のかゆみ止め軟膏でカンジダ膣炎は治りません。婦人科受診が早道でしょう。

医師に聞いておくこと
 病気治療のために飲んでいる薬は、簡単にストップするわけにはいきません。その場合の注意点など、病状ごとに詳しく聞いておきましょう。ピルを服用している場合も同じです。また、ビデなどの自分で行える膣洗浄はどの程度行えばいいのかも確認。ビデは使いすぎると膣が自ら持つ自浄作用を損なうことがあるからです。

治療日数と費用
 膣洗浄通院…5分、2〜7回、1回約5000円


尖圭コンジローム ”見た目”でわかる感染症のひとつ
 外陰部にイボができていたら、尖圭コンジロームが疑われます。その他の症状や、かたちをチェックしてください。
●イボに痒みや痛みはありますか?
●イボはたくさんありますか?
●イボはだんだん大きくなり、先端がとがってきましたか?
 かゆみや痛みがないからと、そのままにしないこと。市販薬を塗る前に、婦人科を受診してください。

病気の特徴
 尖圭コンジロームは”見た目”で診断できる性感染症のひとつ。小さくできたイボが、しだいに鶏のとさか状、あるいは乳頭のかたちに大きくなり、イボはポツポツとたくさんできるため、大きくなるとそれが集合して”カリフラワー”のようなと表現されるかたまりになります。
 セックスによって感染し、病原たいはヒトパピローマウイルスです。潜伏期間が数週間から数カ月と、感染してから発症するまでの期間が長いのも特徴。イボがちいさなうちはかゆみもなく、痛みもありませんが、大きくなって肛門付近、尿道にまで広がるとかゆみが出てきて、排尿時やセックスのときに痛むようになります。
 ヒトパピローマウイルスには60種類以上の”型”があります。尖圭コンジロームは良性の腫瘍ですから、悪化する心配はありませんが、ウイルスの型の中には子宮頸ガン、外陰がんなどを発症させるものもあります。再発しやすいので、一度かかったら定期的に検査を受けるようにしてください。

 初期の段階ではボドフィリンという薬が使われています。3〜4時間湿布したら患部を洗い、これを週に1〜2回くり返します。
 腫瘍の大きさが5ミリ以上、あるいは多発している場合は、外科治療が行われます。液体窒素で凍結させて取り除く方法、レーザーで切り取る方法などがあり、腫瘍の状態によって選択されます。なかには抗がん剤が使われる場合もあります。
医師に聞いておくこと
 ポドフィリンは毒性のある薬ですから、妊婦には使用されません。今後妊娠する予定がある場合でも使用して大丈夫なのか確認しましょう。外科手術についての説明も受け、自分に合った方法であることを確かめること。抗がん剤を使用する場合は、副作用についても聞いておきましょう。

治療日数と費用
 薬による治療…2週間、約2000円
 外科手術・凍結法…5分、約2000円
 レーザー治療…30分、約5000円(入院を必要としない場合)

 性器ヘルペス 放っておくと、かゆみはしだいに強くなっていきます。
 外陰部に軽いかゆみを感じることからはじまる性器ヘルペス。症状はしだいに強くなっていきます。
 ●外陰部にかゆみはありますか?
 ●かゆみが増し、はれてきていますか?
 これは性器ヘルペスの初期段階の症状です。かゆみ、はれがある場合はためらわず、婦人科を受診しましょう。
病気の特徴
 性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって感染します。単純ヘルペスウイルスはT型とU型に分かれます。T型は口の中、唇、目などにすでに住みついているウイルス。U型は性器にしか感染しないとされるウイルス。T型は乳幼児期に人と接触した段階で感染し、すでに抗体が出来上がっているのがふつう。T型の抗体を持っているとU型のウイルスにも感染しにくいといわれていますが、最近の清潔志向や人との接触機会の減少によって抗体を持たない人も増える傾向にあります。そのせいなのか、性感染症の中ではクラミジアに次いで多いのがこの性器ヘルペスなのです。
 性器ヘルペスにかかるとウイルスは体内に潜伏して、治ったかに見えても再び症状をあらわしてそれを繰り返します。2回目以降の発症はセックスとは無関係に起こります。生理のときに再発したり、体力が落ちた時などに症状が出て、これをくり返すのです。
 性器ヘルペスの特徴的な症状は、2〜5ミリ程度のポツポツとした潰瘍ができることです。最初外陰部にかゆみを感じ、はれて痛みだします。赤い水泡ができて破れ、潰瘍になるという段階を踏んでいきます。
 潰瘍はかなり痛みます。歩くのがつらいほど痛み、下着がふれたただけでも痛くなることがありますが、再発では、多少痛みは和らぐようです。
 性器ヘルペスは感染力が強いため、かかったらセックスはダメ。口からの考えられるのでキスも控えるべき。
 ウイルスに触れた手も感染源となりますから、手をよく洗うことでさらなる感染を予防しましょう。
 妊娠中に性器ヘルペスに感染したり再発した場合は、問題は深刻です。産道でウイするに感染した赤ちゃんの死亡率が80〜90%もあるため、帝王切開で赤ちゃんを産むことになります。

治療の方法
 血液検査、細胞診で感染しているかどうかを確認します。感染が認められると、抗ウイルス剤が使われます。軟膏、内服薬、点滴によるものなど、症状によって抗ウイルス剤の用い方は違いますが、抗生物質や鎮痛剤などが合わせて処方されます。
医師に聞いておくこと
 抗ウイルス剤には吐き気やめまいなどの副作用があります。どの程度のものなのか、その対処の仕方などについても聞いておきましょう。また、性器ヘルペスは感染力の強い感染症です。
 治療中の禁止事項、治ってからの生活の注意点など、詳しく聞いておきましょう。

治療日数と費用
 抗ウイルス剤による治療…2週間、約2000円

林病 最近おりものが増えたと感じませんか?
 淋病は感染しても自覚症状がでにくいものですが、最近おりものが増えたと感じていませんか?
●おりものは黄色いですか?
●膣の中、外陰部にかゆみはありますか?
●尿の回数が増えたり、残尿感はありませんか?
 パートナーが淋病に感染している場合は、症状がなくても感染している可能性は高くなります。パートナーの異常にも注意しましょう。
病気の特徴
 古くから知られる淋菌による性感染症で、感染経路はほとんどの場合セックスによるものです。症状は男性に顕著で尿道から膿が出たり、赤くはれたりしますが、女性は感染しても症状が軽いので気づかないことが多いものです。
 感染して発症まではほぼ1週間ほど。黄色いおりものが増えたと感じたら淋病が疑われます。淋病に最初に感染するのは子宮頸管。これはクラミジアと同じで、その後の感染の進み方もクラミジアと似たような経過をたどります。子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎、卵巣水腫とすすみ、不妊症のもとになったり、子宮外妊娠の可能性も出てきます。この段階まですすむと熱を出したり、下腹部痛を感じることも多くなります。
 黄色いおりものは津城の生理周期の中にも見られるため、自覚されないことが多く、膣に炎症を起こしたり、外陰部がかゆくなったりすることで異常を感じることも少なくありませんが、気づかずにいるとそのうち、感染が膀胱におよんで頻尿、排尿痛、残尿感などの症状が出てきます。膀胱炎の症状そのままで、泌尿器科を受診して淋病が発見されることもあります。
 また、最近のセックスの傾向なのか、オーラルセックスによって口腔、咽頭に感染してのどの痛みや咳が出るといった症状がでる場合もありますし、アナルセックスによって肛門や直腸に感染が認められることもあります。
 クラミジア同様、産道で胎児が感染すると結膜炎を起こす可能性も出てきます。
治療の方法
 治療には抗生物質が用いられます。ペニシリンやテトラサイクリンなどの抗生物質を服用しますが、耐性を持っている場合は効果のでないことも考えられます。適切な抗生物質を探すため感受性の検査が必要になることもあります。適切な抗生物質が特定されれば、1週間ほどで症状は消えていきます。ただし、慢性化しやすいので、完治するまでは医師の指示にしたがって治療をつづけなければなりません。治療は必ず、パートナーと一緒に受けること。これは原則です。
医師に聞いておくこと
 淋病にかぎらず、感染症の場合は日常の注意点はたくさんあります。下着は別に洗う、タオルは共有しない、など、細かに聞いておきましょう。治療中はセックスはもちろ禁止ですが、今後の注意点もしっかり説明を受けておくことです。

治療日数と費用
抗生物質による治療…2〜3週間、約3000円


非特異性膣炎 きつい下着やGパンも誘因とされています。
膣に起こる炎症はおりもので判断されます。
●おりものが黄色味を増していませんか?
●茶色のおりものがありますか?
●においは強いですか?
●膣の中がはれているような感じはありますか?
 きつい下着、締め付けるGパン…なども膣炎を発症させる誘因になります。
膣はつねに湿っていて炎症の温床であることを忘れず、その変化に敏感でいましょう。
病気の特徴
 トリコモナスや淋菌、カンジダ、クラミジアなどの特定の病原菌以外の、ごく一般的な雑菌によって起こるものを非特異性膣炎(膣炎)といいます。一般的な雑菌には大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌などがあります。これはからだのあちらこちらに付着している菌で通常は何の悪さもせずに存在していますが、なんらかのきっかけで膣内に侵入したり、繁殖すると膣炎になります。
 膣は対外と体内を隔てる重要な器官。通所はそうした状況を防ぐために自浄作用を備えています。その方法は膣内を酸性にすること。酸性の状態が保たれていること、最近が侵入してきても”迎え撃つ”体制は十分に整っているのです。ところが、その膣環境に変化をもたらすものがあります。それが女性ホルモンであるエストロゲンです。このホルモンは膣の守りの”影”の主役といっていい存在ですが、乱れが生じやすく、生理不順などが常態であるといったケースでは守り役としての機能が十分に果たせないことがあります。そんな”スキ”を狙って、通常はあまり悪さをしない菌が膣内で活動を始めるようになります。
 こうした条件のもとに、さらにさまざまな誘因がからんで膣炎を発症させます。ひとつには、尿道や肛門に近いということもあって、いつもなんらかの細菌感染にさらされていること。また、不衛生な手でさわってできたかき傷やセックスによる刺激、ビデによる洗浄や避妊具などがあげられます。生理中は特に守り役の力は衰える期間。湿度も十分、細菌の栄養となる血液も充分という条件が重なり、雑菌の繁殖が活発になります。こんな条件のもと、タンポンや避妊具の置忘れで膣炎を起こすことが実に多いのです。 
 膣炎の症状はかゆみと痛みとはれ。黄色味をおびたり、出血を象徴する茶褐色のおりものが増えて、においが強くなります。性感染症にも同様の症状を示すものがありますから、膣炎か性感染症によるものかは検査によって判断してみないと、容易には判断がつかないのです。また、膣炎をほっておくと、潰瘍からガンへの進行も否定できません。
 細菌性の膣炎に対しても、きちんとした治療が望まれます。
治療の方法
 治療方法の主役はまず、膣内の洗浄です。タンポンが置忘れられていたらそれを取り除き、炎症を抑えるための抗生物質が処方され、服用します。膣剤(座薬のようなもので、膣に挿入)や軟膏を合わせて用いる場合もあります。

治療日数と費用
カンジダ膣炎の頁参照


バルトリン腺炎・のう胞 抗生物質の服用でほとんどが治ります。
外陰部のはれや痛みにはさまざまな症状が隠れています。
●腫れや痛み、かゆみのほかに症状はありませんか?
●膣の下側、片方にしこりを感じますか?
病気の特徴
 膣の入り口の左右下側に1こずつ、粘液を分泌する期間があります。それがバルトリン腺です。
粘液はふだんにも多少は出ていますが、性的な興奮を覚えると分泌量が増えてセックスをスムーズに行えるはたらきをしています。このバルトリン腺に細菌が入って起こるのがバルトリン腺炎です。炎症を起こす細菌は一般的な大腸菌、ブドウ球菌などのほか、淋菌の場合もあります。肛門や尿道近くにあるため、不潔になりがちなところ。おりものなどの影響を受けて炎症を起こします。腫れて痛み、かゆみを感じます。
 バルトリン腺炎がおわ待って排出口がつまると、腺から分泌される粘液が外に排出されずにたまってきます。この状態で再び最近に感染すると膿がたまってふくらんできます。これがバルトリン腺のう胞です。はれて痛むようになり、痛みが激しくなると、発熱することもあります。のう胞は腫れや痛みがない段階ではそのまま様子をみますが、痛みやはれが強くなると、のう胞を切開して膿を出す手術が必要になります。

治療の方法 
 バルトリン腺炎、バルトリン腺のう胞のいずれも、治療は抗生物質の服用です。バルトリン腺炎では抗生物質だけで治ることが多いものですが、バルトリン腺のう胞で痛みが激しい、熱が出るといった場合は、のう胞を切開する手術が行われます。局部麻酔で切開しますが、膿を出してしまえば痛みは急激に軽くなっていきます。通常尾は入院を必要としないケースが多いものですが、のう胞を繰り返したり、大きなものになるた摘出手術も考えます。

医師にきいておくこと
 治療も清潔が第一。のう胞の切開手術を受けたあとの注意点を聞いておきましょう。

治療日数と費用
 抗生物質による治療…7〜14日、約2000円
 切開手術…30分、約5000円(入院を必要としない場合)


外陰炎 清潔にすることがいちばんの予防法
 外陰部にかゆみや痛みを感じたら、次のチェック項目を確認しましょう。
●アレルギー症状を持っていますか?
●性感染症の疑いはありませんか?
 外陰部に感じる症状の原因は多岐にわたります。「ちょっとかゆい」だけから「すごく痛い」など、感じる不快感の原因は、早い段階で確かめておく必要があります。
病気の特徴
 外陰部に起こる炎症を総称して「外陰炎」といいます。原因にはさまざまなものが考えられ、なかには性感染症に感染して起こる外陰炎もありますが、一般に「外陰炎」というときはその他の原因から発症したものをさしています。
 その外陰炎の原因として考えられるものには、慢性の皮膚炎、脂漏性の皮膚炎と湿疹、アレルギーなどがあり、カンジダ菌やケジラミによる感染もこの中に含まれます。外陰部は汗腺からでる分泌物やおりものなどによってつねに湿っているため、皮膚の状態はちょっとした刺激にも敏感なもの。セックスによる刺激が影響することもあり、かゆみや痛みは比較的起こりやすい箇所といえます。
 清潔にすることが一番の予防策であり、治療法です。アレルギーは石鹸や化学繊維の下着などで起こることが多いので、低刺激性の石鹸に変えたり、綿素材の下着に変えるなどの方法が考えられます。入浴剤でもアレルギーを起こすことがあり、もともとアレルギー性皮膚炎などの症状を持っている場合は、特に考えてみたい予防策です。
 そのほか、おりものが比較的多いといった人では、下着はこまめに取り換えたり、市販のおりものシートを利用することでも改善はみられるものです。生理のときは特に湿った状態に拍車がかかりますから、こちらも”こまめ”がキーワードです。
 かゆみが強い場合は特に、かきこわしてその部分にびらんや潰瘍ができてしまうといったケースも考えられます。それががん化しないという絶対的な保証はないので、かゆみや痛みがひといときは、性感染症の疑いも考慮に入れながら、婦人科を受診するようにしましょう。
治療の方法
 外陰炎の炎症が最近か真菌かによるものかで治療薬は違ってきます。その判断なしにステロイド剤が混入した市販薬を使うと、かえって治療が困難になるケースがあります。保険も適用されますから、婦人科で治療するのがいいでしょう。
医師に聞いておくこと
 炎症を起こしている原因を特定してもらうことが先決。それに応じた治療が行われるはずですから、処方される薬の内容物を確認し、あわせて日々の注意点も聞きましょう。

治療日数と費用
カンジダ膣炎の頁参照

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