PART4
感染症
他人事ではありません、いま、増えています!
クラミジア感染症 自覚症状が少ないので、要注意
 性感染症の代表的なものがこのクラミジアです。無症状であるケースがほとんどですが、以下のような症状があるかどうか、チェックしましょう。
 ●みずっぽいおりものがありますか?
 ●下腹部痛があり、それは軽いものですか?
 ●不正出血はありましたか?
 ●セックスをするときに痛みはありますか?
 クラミジアによる感染は、女性に起こりうる病気と大きく関連しています。なんらかの症状としてあらわれることが少ないだけに、注意したい性感染症です。

病気の特徴
 性感染症の中でもクラミジアは、10代半ばから20代までの若い女性に圧倒的に多く、最近急増している性感染症です。奔放なセックスがその背景にあることは指摘されるところですが、自覚症状があまりでない感染症であるという点も、増え続けている一因といえます。自覚症状を感じてもそれは、おりものが増えたり、軽い下腹部痛があったりといった程度。不正出血がみられることもありますが、それらの症状によってクラミジア感染を特定することはできず、気づかないことが多いものです。
 クラミジアの原因菌はクラミジアトラコマチスと呼ばれる微生物。人(動物)にきせいしてのみ生息する菌で、感染後およぼ1〜3週間の潜伏期間を経て発症します。クラミジアが最初に感染する部位は子宮頸管。クラミジアに感染した男性の精液とともに排出され、それによって膣と子宮の境にある警官が感染するのです。
 感染はまず、子宮頸管炎となってあらわれますが、しだいに感染はすすみ、子宮内膜炎、卵管炎、とその被害を広げていきます。セックスするときに痛みを感じて受診し、クラミジア感染が見つかるケースも少なくありません。
 クラミジア感染が卵管におよぶと、卵管が閉鎖してしまったり、卵管水腫を引き起こすことがあります。卵管がつまるということは不妊症につながる可能性があるということ。早産や流産、子宮外妊娠の原因になっていることも最近では指摘されるようになっています。
 出産にも影響をおよぼすのがクラミジアです。産道(頸管)で胎児が感染し、生まれてから結膜炎や肺炎を起こすケースがあるのです。妊娠したときはクラミジア検査をするのが通例ですから、ぜひ受けておくようにしたいものです。
 また、性器外のセックスで移る場合もあります。口からの感染では咽頭炎や扁桃腺炎があります。さらにこんな指摘もあります。クラミジアに感染しているとエイズに感染する可能性が3〜4倍も高くなる、というのがそれです。クラミジア感染はコンドームをつけることである程度予防できます。このことはよく覚えておいてください。

治療の方法
 感染しているかどうかを、まず検査しなくてはなりません。検査方法には、クラミジアそのものを見つけ出す抗原検出方法(おりもの検査)と、感染が進行していると考えられる場合に行われる抗体検出法(血液検査)があります。抗原検出法は頸管上皮組織を採取して検査されます。抗体検出法は血液によって感染を見るもの。最近では、遺伝子診断法が開発され、かなり高い確率でクラミジアを特定できるようになってきました。
 クラミジアに感染しているとわかれば、抗生物質が治療薬となります。比較的よく効き、2週間ほど飲み続けることになります。感染による病気では、きちんと決められた量を、指示された期間飲み続けることがとても大切。勝手にやめてしまったり、決められた量を飲まなかったりといったことのないようにしましょう。特定のパートナーがいる場合は、2人一緒に治療を受けるのが絶対条件です。治療は婦人科で受けます。男性の治療は泌尿器科で受けることになります。

医師に聞いておくこと
 症状の出にくい感染症ですから、抗生物質を服用している期間についての日常的な注意点、その後の経過の見方などもきちんと聞いておくようにしましょう。

検査時間と費用
 抗原検出法(おりもの検査)…約1500円(保険適応)
 抗体検出法(血液検査)…約1500円(保険適応)
※なお、クラミジア感染が心配で診察を受けるときは、保険が適応されないケースもあります。その場合の費用は約5000円。検査の方法もケースバイケースです。

治療日数と費用
 抗生物質による治療…14日、約2000円

トリコモナス膣炎 はずかしがらずに、すぐに病院へ

「おりものがヘン…!」と思ったら、次の状態もチェックしましょう。
●おりものの中に膿のような感じのものは混じっていませんか?
●泡のようなものは混じっていませんか?
●膣が熱くて痛いという感じはないですか?
●においが急激にきつくなりませんでしたか?
●外陰部にも痛みがあり、排尿痛もありますか?

トリコモナス膣炎は検査も簡単に行われますので、恥ずかしがらずに婦人科を受診しましょう。

病気の特徴
 トリコモナスは、ゾウリムシやミドリムシなどと同じ原虫の仲間です。絶滅したと思われていましたが、膣内(子宮頸管)や膀胱などに残存し、それがなんらかの拍子で”復活”して自己再感染したものという見解が一般的です。男性の尿道にもトリコモナスが潜み、互いにセックスによってやりとりして発症するのではないかと考えられ、感染経路は主にセックスによるものですが、お風呂屋やトイレの便座からの感染もあります。
 症状はおもに膣内から外陰部に起こります。感染後1〜2週間ほどしたころから、おりものに異常がみられるようになります。黄色やクリーム色のおりものや黄緑がかったおりものの中に膿のようなものが混じり、ツーンと鼻につくにおい、チーズを焼いた軒のようなにおいが感じられて、おりものに泡が混じるようなことがあれば、まずトリコモナス膣炎と考えられます。
 子宮や卵管への影響は認められていませんが、尿路に感染することがあり、排尿のときに痛んだり、頻尿という症状があらわれることもあります。
 痛みやかゆみを感じるのは性感染症の主症状。トリコモナス膣炎の場合は、膣の中が「熱い」と感じるかゆみ。外陰部にもかゆみを感じるようになり、赤くただれてヒリヒリと痛み、排尿時にしみて痛むこともあります。
 トリコモナスに感染しているかどうかは、おりものを採取して顕微鏡検査、あるいは培養試験を行って確認しますから、検査への抵抗感は少ないもの。躊躇せず、異常を感じたら検査を受けましょう。

治療の方法
 薬の服用と、服用するのと同じ薬を膣錠にしたものを膣内に挿入して治療します。外陰部にかゆみがある場合も軟膏が処方されます。期間は7〜10日程度。終了後は完治しているかどうかを確認するためにもう一度検査を受けてください。トリコモナス膣炎はこの治療法でほぼ治りますが、原虫がしつこく残存して再発する可能性がないとはいえません。治療の注意点は必ず守りましょう。もちろん特定のパートナーがいる場合は一緒に検査、治療を受けましょう。

医師に聞いておくこと
 治療期間の禁止事項について確認しておきましょう。また、治療後にはどんなことにきをつけて再発を防ぐかについても、きっちり説明を受けておくことを忘れずに。

治療日数と費用
 服用治療薬による期間…10日、約2000円


カンジダ膣炎 しめったところが好きなカビの一種!

おりものが異常で、外陰部にかゆみが強い時のチェックポイントはこれ。
●おりものに”カス”のようなかたまりがありますか?
●においはつよいですか?
●外陰部のかゆみはひどいもの?
●生理前にかゆみが増しますか?
 比較的、はっきりとした症状を持つのがカンジダ膣炎です。さまざまな病気とも関連を持つケースがありますから、「そのうち治る」などどたかをくくらず受診しましょう。

病気の特徴
 カンジダは真菌というカビの一種です。珍しいもとではなく、至る所にカンジダ菌は存在しています。ジメジメしたところが好きで、酸性の状態を好みます。尿が混じりあう赤ちゃんのおむつのなかでもよく繁殖します。膣の中の酸性の状態、湿度はカンジダ菌にとっては生息しやすい場所。正常な状態でも約10%程度は膣の中にカンジダ菌は存在しているといわれています。
 このカンジダ菌が異常に繁殖して起こるのがカンジダ膣炎です。症状として最初に感じるのは外陰部のかゆみ。カンジダ膣外陰炎という病名がその状態を示しています。
 なぜ急激に繁殖するのか。それについては免疫力の低下が言われています。かぜを引いたり、疲れがたまっていたり、精神的なストレスを受けることによっても”体の抵抗力”は衰え、そもそも膣が持つ自浄作用がうまくはたらかなくなって菌が繁殖しはじめるのです。また、抗生物質を服用したあとにも発生しやすい傾向があります。かぜやケガをしたときなど、抗生物質を処方されることがあると思いますが、それが耐性菌を生んで、自浄作用を低下させているとされます。
 そのほか、カンジダ菌が繁殖する”環境”には、膣内が酸性に傾きやすい生理前、妊娠中、糖尿病のほか、ピルを服用している、膠原病や花粉症、ぜんそくなどの治療を行っているといった場合にも発生しやすいといえます。免疫系の病気では抑制を目的に薬が処方されるため、その関係でカンジダ菌が発生しやすいといえます。カンジダ膣炎の症状はおりものにあらわれ、極めて特徴的な形状を持っています。酒粕のよう、豆腐カスのよう、カッテージチーズのようなどと表現されるように、おりものに白い、あるいは黄色いかたまりが混じり、強いにおいを発します。湿り気の多い外陰部にもカンジダ菌は繁殖し、痛痒い、ピリピリする、しみるようなと表現されるかゆみがあります。

治療の方法
 治療は抗真菌性の薬が用いられます。膣に挿入するものと、外陰部のかゆみを止めるために軟膏剤を併用します。膣の洗浄も併行して、治療項目に加わります。これは1週間か10日に一度通院して膣洗浄をするものですが、これらの治療でほぼ完治します。なお、市販のかゆみ止め軟膏でカンジダ膣炎は治りません。婦人科受診が早道でしょう。

医師に聞いておくこと
 病気治療のために飲んでいる薬は、簡単にストップするわけにはいきません。その場合の注意点など、病状ごとに詳しく聞いておきましょう。ピルを服用している場合も同じです。また、ビデなどの自分で行える膣洗浄はどの程度行えばいいのかも確認。ビデは使いすぎると膣が自ら持つ自浄作用を損なうことがあるからです。

治療日数と費用
 膣洗浄通院…5分、2〜7回、1回約5000円


尖圭コンジローム ”見た目”でわかる感染症のひとつ
 外陰部にイボができていたら、尖圭コンジロームが疑われます。その他の症状や、かたちをチェックしてください。
●イボに痒みや痛みはありますか?
●イボはたくさんありますか?
●イボはだんだん大きくなり、先端がとがってきましたか?
 かゆみや痛みがないからと、そのままにしないこと。市販薬を塗る前に、婦人科を受診してください。

病気の特徴
 尖圭コンジロームは”見た目”で診断できる性感染症のひとつ。小さくできたイボが、しだいに鶏のとさか状、あるいは乳頭のかたちに大きくなり、イボはポツポツとたくさんできるため、大きくなるとそれが集合して”カリフラワー”のようなと表現されるかたまりになります。
 セックスによって感染し、病原たいはヒトパピローマウイルスです。潜伏期間が数週間から数カ月と、感染してから発症するまでの期間が長いのも特徴。イボがちいさなうちはかゆみもなく、痛みもありませんが、大きくなって肛門付近、尿道にまで広がるとかゆみが出てきて、排尿時やセックスのときに痛むようになります。
 ヒトパピローマウイルスには60種類以上の”型”があります。尖圭コンジロームは良性の腫瘍ですから、悪化する心配はありませんが、ウイルスの型の中には子宮頸ガン、外陰がんなどを発症させるものもあります。再発しやすいので、一度かかったら定期的に検査を受けるようにしてください。

 初期の段階ではボドフィリンという薬が使われています。3〜4時間湿布したら患部を洗い、これを週に1〜2回くり返します。
 腫瘍の大きさが5ミリ以上、あるいは多発している場合は、外科治療が行われます。液体窒素で凍結させて取り除く方法、レーザーで切り取る方法などがあり、腫瘍の状態によって選択されます。なかには抗がん剤が使われる場合もあります。
医師に聞いておくこと
 ポドフィリンは毒性のある薬ですから、妊婦には使用されません。今後妊娠する予定がある場合でも使用して大丈夫なのか確認しましょう。外科手術についての説明も受け、自分に合った方法であることを確かめること。抗がん剤を使用する場合は、副作用についても聞いておきましょう。

治療日数と費用
 薬による治療…2週間、約2000円
 外科手術・凍結法…5分、約2000円
 レーザー治療…30分、約5000円(入院を必要としない場合)

 性器ヘルペス 放っておくと、かゆみはしだいに強くなっていきます。
 外陰部に軽いかゆみを感じることからはじまる性器ヘルペス。症状はしだいに強くなっていきます。
 ●外陰部にかゆみはありますか?
 ●かゆみが増し、はれてきていますか?
 これは性器ヘルペスの初期段階の症状です。かゆみ、はれがある場合はためらわず、婦人科を受診しましょう。
病気の特徴
 性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって感染します。単純ヘルペスウイルスはT型とU型に分かれます。T型は口の中、唇、目などにすでに住みついているウイルス。U型は性器にしか感染しないとされるウイルス。T型は乳幼児期に人と接触した段階で感染し、すでに抗体が出来上がっているのがふつう。T型の抗体を持っているとU型のウイルスにも感染しにくいといわれていますが、最近の清潔志向や人との接触機会の減少によって抗体を持たない人も増える傾向にあります。そのせいなのか、性感染症の中ではクラミジアに次いで多いのがこの性器ヘルペスなのです。
 性器ヘルペスにかかるとウイルスは体内に潜伏して、治ったかに見えても再び症状をあらわしてそれを繰り返します。2回目以降の発症はセックスとは無関係に起こります。生理のときに再発したり、体力が落ちた時などに症状が出て、これをくり返すのです。
 性器ヘルペスの特徴的な症状は、2〜5ミリ程度のポツポツとした潰瘍ができることです。最初外陰部にかゆみを感じ、はれて痛みだします。赤い水泡ができて破れ、潰瘍になるという段階を踏んでいきます。
 潰瘍はかなり痛みます。歩くのがつらいほど痛み、下着がふれたただけでも痛くなることがありますが、再発では、多少痛みは和らぐようです。
 性器ヘルペスは感染力が強いため、かかったらセックスはダメ。口からの考えられるのでキスも控えるべき。
 ウイルスに触れた手も感染源となりますから、手をよく洗うことでさらなる感染を予防しましょう。
 妊娠中に性器ヘルペスに感染したり再発した場合は、問題は深刻です。産道でウイするに感染した赤ちゃんの死亡率が80〜90%もあるため、帝王切開で赤ちゃんを産むことになります。

治療の方法
 血液検査、細胞診で感染しているかどうかを確認します。感染が認められると、抗ウイルス剤が使われます。軟膏、内服薬、点滴によるものなど、症状によって抗ウイルス剤の用い方は違いますが、抗生物質や鎮痛剤などが合わせて処方されます。
医師に聞いておくこと
 抗ウイルス剤には吐き気やめまいなどの副作用があります。どの程度のものなのか、その対処の仕方などについても聞いておきましょう。また、性器ヘルペスは感染力の強い感染症です。
 治療中の禁止事項、治ってからの生活の注意点など、詳しく聞いておきましょう。

治療日数と費用
 抗ウイルス剤による治療…2週間、約2000円

林病 最近おりものが増えたと感じませんか?
 淋病は感染しても自覚症状がでにくいものですが、最近おりものが増えたと感じていませんか?
●おりものは黄色いですか?
●膣の中、外陰部にかゆみはありますか?
●尿の回数が増えたり、残尿感はありませんか?
 パートナーが淋病に感染している場合は、症状がなくても感染している可能性は高くなります。パートナーの異常にも注意しましょう。
病気の特徴
 古くから知られる淋菌による性感染症で、感染経路はほとんどの場合セックスによるものです。症状は男性に顕著で尿道から膿が出たり、赤くはれたりしますが、女性は感染しても症状が軽いので気づかないことが多いものです。
 感染して発症まではほぼ1週間ほど。黄色いおりものが増えたと感じたら淋病が疑われます。淋病に最初に感染するのは子宮頸管。これはクラミジアと同じで、その後の感染の進み方もクラミジアと似たような経過をたどります。子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎、卵巣水腫とすすみ、不妊症のもとになったり、子宮外妊娠の可能性も出てきます。この段階まですすむと熱を出したり、下腹部痛を感じることも多くなります。
 黄色いおりものは津城の生理周期の中にも見られるため、自覚されないことが多く、膣に炎症を起こしたり、外陰部がかゆくなったりすることで異常を感じることも少なくありませんが、気づかずにいるとそのうち、感染が膀胱におよんで頻尿、排尿痛、残尿感などの症状が出てきます。膀胱炎の症状そのままで、泌尿器科を受診して淋病が発見されることもあります。
 また、最近のセックスの傾向なのか、オーラルセックスによって口腔、咽頭に感染してのどの痛みや咳が出るといった症状がでる場合もありますし、アナルセックスによって肛門や直腸に感染が認められることもあります。
 クラミジア同様、産道で胎児が感染すると結膜炎を起こす可能性も出てきます。
治療の方法
 治療には抗生物質が用いられます。ペニシリンやテトラサイクリンなどの抗生物質を服用しますが、耐性を持っている場合は効果のでないことも考えられます。適切な抗生物質を探すため感受性の検査が必要になることもあります。適切な抗生物質が特定されれば、1週間ほどで症状は消えていきます。ただし、慢性化しやすいので、完治するまでは医師の指示にしたがって治療をつづけなければなりません。治療は必ず、パートナーと一緒に受けること。これは原則です。
医師に聞いておくこと
 淋病にかぎらず、感染症の場合は日常の注意点はたくさんあります。下着は別に洗う、タオルは共有しない、など、細かに聞いておきましょう。治療中はセックスはもちろ禁止ですが、今後の注意点もしっかり説明を受けておくことです。

治療日数と費用
抗生物質による治療…2〜3週間、約3000円


非特異性膣炎 きつい下着やGパンも誘因とされています。
膣に起こる炎症はおりもので判断されます。
●おりものが黄色味を増していませんか?
●茶色のおりものがありますか?
●においは強いですか?
●膣の中がはれているような感じはありますか?
 きつい下着、締め付けるGパン…なども膣炎を発症させる誘因になります。
膣はつねに湿っていて炎症の温床であることを忘れず、その変化に敏感でいましょう。
病気の特徴
 トリコモナスや淋菌、カンジダ、クラミジアなどの特定の病原菌以外の、ごく一般的な雑菌によって起こるものを非特異性膣炎(膣炎)といいます。一般的な雑菌には大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌などがあります。これはからだのあちらこちらに付着している菌で通常は何の悪さもせずに存在していますが、なんらかのきっかけで膣内に侵入したり、繁殖すると膣炎になります。
 膣は対外と体内を隔てる重要な器官。通所はそうした状況を防ぐために自浄作用を備えています。その方法は膣内を酸性にすること。酸性の状態が保たれていること、最近が侵入してきても”迎え撃つ”体制は十分に整っているのです。ところが、その膣環境に変化をもたらすものがあります。それが女性ホルモンであるエストロゲンです。このホルモンは膣の守りの”影”の主役といっていい存在ですが、乱れが生じやすく、生理不順などが常態であるといったケースでは守り役としての機能が十分に果たせないことがあります。そんな”スキ”を狙って、通常はあまり悪さをしない菌が膣内で活動を始めるようになります。
 こうした条件のもとに、さらにさまざまな誘因がからんで膣炎を発症させます。ひとつには、尿道や肛門に近いということもあって、いつもなんらかの細菌感染にさらされていること。また、不衛生な手でさわってできたかき傷やセックスによる刺激、ビデによる洗浄や避妊具などがあげられます。生理中は特に守り役の力は衰える期間。湿度も十分、細菌の栄養となる血液も充分という条件が重なり、雑菌の繁殖が活発になります。こんな条件のもと、タンポンや避妊具の置忘れで膣炎を起こすことが実に多いのです。 
 膣炎の症状はかゆみと痛みとはれ。黄色味をおびたり、出血を象徴する茶褐色のおりものが増えて、においが強くなります。性感染症にも同様の症状を示すものがありますから、膣炎か性感染症によるものかは検査によって判断してみないと、容易には判断がつかないのです。また、膣炎をほっておくと、潰瘍からガンへの進行も否定できません。
 細菌性の膣炎に対しても、きちんとした治療が望まれます。
治療の方法
 治療方法の主役はまず、膣内の洗浄です。タンポンが置忘れられていたらそれを取り除き、炎症を抑えるための抗生物質が処方され、服用します。膣剤(座薬のようなもので、膣に挿入)や軟膏を合わせて用いる場合もあります。

治療日数と費用
カンジダ膣炎の頁参照


バルトリン腺炎・のう胞 抗生物質の服用でほとんどが治ります。
外陰部のはれや痛みにはさまざまな症状が隠れています。
●腫れや痛み、かゆみのほかに症状はありませんか?
●膣の下側、片方にしこりを感じますか?
病気の特徴
 膣の入り口の左右下側に1こずつ、粘液を分泌する期間があります。それがバルトリン腺です。
粘液はふだんにも多少は出ていますが、性的な興奮を覚えると分泌量が増えてセックスをスムーズに行えるはたらきをしています。このバルトリン腺に細菌が入って起こるのがバルトリン腺炎です。炎症を起こす細菌は一般的な大腸菌、ブドウ球菌などのほか、淋菌の場合もあります。肛門や尿道近くにあるため、不潔になりがちなところ。おりものなどの影響を受けて炎症を起こします。腫れて痛み、かゆみを感じます。
 バルトリン腺炎がおわ待って排出口がつまると、腺から分泌される粘液が外に排出されずにたまってきます。この状態で再び最近に感染すると膿がたまってふくらんできます。これがバルトリン腺のう胞です。はれて痛むようになり、痛みが激しくなると、発熱することもあります。のう胞は腫れや痛みがない段階ではそのまま様子をみますが、痛みやはれが強くなると、のう胞を切開して膿を出す手術が必要になります。

治療の方法 
 バルトリン腺炎、バルトリン腺のう胞のいずれも、治療は抗生物質の服用です。バルトリン腺炎では抗生物質だけで治ることが多いものですが、バルトリン腺のう胞で痛みが激しい、熱が出るといった場合は、のう胞を切開する手術が行われます。局部麻酔で切開しますが、膿を出してしまえば痛みは急激に軽くなっていきます。通常尾は入院を必要としないケースが多いものですが、のう胞を繰り返したり、大きなものになるた摘出手術も考えます。

医師にきいておくこと
 治療も清潔が第一。のう胞の切開手術を受けたあとの注意点を聞いておきましょう。

治療日数と費用
 抗生物質による治療…7〜14日、約2000円
 切開手術…30分、約5000円(入院を必要としない場合)


外陰炎 清潔にすることがいちばんの予防法
 外陰部にかゆみや痛みを感じたら、次のチェック項目を確認しましょう。
●アレルギー症状を持っていますか?
●性感染症の疑いはありませんか?
 外陰部に感じる症状の原因は多岐にわたります。「ちょっとかゆい」だけから「すごく痛い」など、感じる不快感の原因は、早い段階で確かめておく必要があります。
病気の特徴
 外陰部に起こる炎症を総称して「外陰炎」といいます。原因にはさまざまなものが考えられ、なかには性感染症に感染して起こる外陰炎もありますが、一般に「外陰炎」というときはその他の原因から発症したものをさしています。
 その外陰炎の原因として考えられるものには、慢性の皮膚炎、脂漏性の皮膚炎と湿疹、アレルギーなどがあり、カンジダ菌やケジラミによる感染もこの中に含まれます。外陰部は汗腺からでる分泌物やおりものなどによってつねに湿っているため、皮膚の状態はちょっとした刺激にも敏感なもの。セックスによる刺激が影響することもあり、かゆみや痛みは比較的起こりやすい箇所といえます。
 清潔にすることが一番の予防策であり、治療法です。アレルギーは石鹸や化学繊維の下着などで起こることが多いので、低刺激性の石鹸に変えたり、綿素材の下着に変えるなどの方法が考えられます。入浴剤でもアレルギーを起こすことがあり、もともとアレルギー性皮膚炎などの症状を持っている場合は、特に考えてみたい予防策です。
 そのほか、おりものが比較的多いといった人では、下着はこまめに取り換えたり、市販のおりものシートを利用することでも改善はみられるものです。生理のときは特に湿った状態に拍車がかかりますから、こちらも”こまめ”がキーワードです。
 かゆみが強い場合は特に、かきこわしてその部分にびらんや潰瘍ができてしまうといったケースも考えられます。それががん化しないという絶対的な保証はないので、かゆみや痛みがひといときは、性感染症の疑いも考慮に入れながら、婦人科を受診するようにしましょう。
治療の方法
 外陰炎の炎症が最近か真菌かによるものかで治療薬は違ってきます。その判断なしにステロイド剤が混入した市販薬を使うと、かえって治療が困難になるケースがあります。保険も適用されますから、婦人科で治療するのがいいでしょう。
医師に聞いておくこと
 炎症を起こしている原因を特定してもらうことが先決。それに応じた治療が行われるはずですから、処方される薬の内容物を確認し、あわせて日々の注意点も聞きましょう。

治療日数と費用
カンジダ膣炎の頁参照


まだまだ聞きたい〔Q&A〕
Qあそこが異常にかゆくてたまりませんでした。思わず手をやってかいてしまいたい衝動にかられるかゆさです。よく見ると陰毛の中にうごめくものが!思わず背筋が寒くなってしまいました。いろいろ調べてみたとこと、その正体が”ケジラミ”とわかりました。どうしたらいいですか?
A過去の遺物のように考えられるケジラミですが、これはセックスによってうつる病気で、感染するケースはけっして少なくありません。むしろ、増えているといってもいいでしょう。ケジラミはi陰毛の毛根部に寄生し、血を吸って生息します。寄生すると1日2〜3個の卵を産み、半月後に成虫となって以降1カ月の間卵を産み続けます。
 治療は、毛根に産み付けた卵を根絶するために陰毛を剃り、ケジラミに効果のある薬(スミスリンパウダー)で行われます。かゆみのもとがケジラミかどうかは、必ず病院で調べて確認してもらいましょう。市販のかゆみ止めなどを素人判断で使わないこと。症状を悪化させる可能性が否定できないからです。
 ケジラミはタオルや寝具、衣類などからうつることもありますから、同居人がいる場合は共有をさけること。診察を受けるときはパートナーも一緒が原則です。

Qセックスのときに出る液体が、そのときどきによって違います。水のようにサラサラしているときと、黄色味をおびたドロッとした状態のときなどがあります。においも違うような気がしますが、これは病気なのでしょうか?
A膣の入り口付近にはバルトリン腺があり、ここからバルトリン腺液という分泌物が、性的な興奮状態になったときに出ます。いわゆる潤うという状態をつくりだすわけです。通常はサラサラとして水っぽい状態ですが、興奮が過度になると白く濁り、量も多くなります。さらに、膣や子宮頸管からの分泌物も混じりあいます。生理の周期によって変化するおりものの状態も反映されますから、いつも一定の状態の分泌液でないことのほうがふつうなのです。病気ではありません。

Qセックスをするたびに、そのあと痒みが出てきます。コンドームを使っているのでそのせいかとも思いますが…。それとも病気によるものでしょうか?
Aアトピー性皮膚炎やぜんそくなどのアレルギー疾患を持っている人は特に、コンドームに含まれる成分にかぶれ、アレルギーを起こすことがあります。また、潤いが充分でない場合、コンドームが膣の中で引っかかってしまい、かゆみとなってあらわれる場合もあります。ゴム成分を含まないポリウレタン製のコンドームも市販されていますから、一度それを試してみる、あるいは、コンドームにゼリーをぬってみるといったことも試してみるといいかもしれません。
 なお、免疫力の低下と関連するカンジダ膣炎にかかっているばあいもかゆみを覚えますから、一度婦人科で検査することをおすすめします。

Q乳首が突起していません。あきれかに他の人とは違う形をしていて、恥ずかしい…。治す方法はあるのでしょうか。
A乳首のかたちはさまざま。小さい突起の人もいれば、枝豆大の人もいる。乳輪の広がりも違います。色もピンクから黒っぽい人まで、だれ一人として同じかたち、色、大きさの人はいません。乳首が突起していないという人もいます。割合としてはそれほど多くはありませんが、病気ではないので、ひとつの個性と考えてはいかがでしょうか。
 乳首が引っ込んでいる状態は陥没乳頭、引っ込んではいないまでも突き出ていないものを扁平乳頭と呼びます。どちらも機能的には問題はありませんが、赤ちゃんが吸い付きにくいということはあります。乳腺の中でおっぱいがいっぱいつくられているのに、うまく吸うことができないと乳腺炎になることが心配です。
 乳首の整形手術を考える人もいると思いますが、そこまでしまくても、日常的に乳首をつまみ出すよういしてマッサージをくり返すことによって、ある程度は矯正できるもの。1日何回か根気よく繰り返してみてください。矯正用のマッサージ器具を使って引き出すことも可能ですから、一度婦人科で相談されてはいかかでしょうか。

Q入浴したあと、プールで泳いだ後などに膣から水がこぼれます、これって、あそこが大きいということですか?ばい菌なども入りやすいような気がします。
Aリラックスすると筋肉の力がスーッと抜けて、からだ全体がやわらかくなったようなやわらかくなったような感じを体験したことはありませんか?お風呂でリラックスするとおなかや骨盤の筋肉がやわらかくなって、いつも緊張している膣もゆるむもの。お風呂のお湯が膣の中にはいるのはそんなときです。
 おおきさとはまったく関係がなく、病気になる心配もありません。確かに浴槽のお湯には雑菌も多く存在していますが、少しお湯が入ってきた程度では雑菌による影響はないと考えていいでしょう。膣にはそもそも自浄作用があって、”侵入物”には敏感です。プールで泳いでいるときの侵入物程度では、早々病気にはなりませんから、大丈夫です。

Qエイズの検査はきちんとしておいたほうがいいと思うのですが、なんだか、抵抗があります。最近はエイズに関する報道も少なくなってきたように思いますが、それほど増えてはいないということなのでしょうか?
Aエイズは感染してから10年以上の潜伏期間を経て発症する感染症です。
感染した当初、2週間ほど経ってから「かぜでも引いたか…」といった症状があらわれますが、それ以降は沈黙を守り続けます。人によって発症の速度は違います。
 平均的に見ると、10年間は、エイズに感染していることを気づかずに過ごすことになります。
 発症したときにあらわれるのは免疫機能が低下することによって起こるカリニ肺炎、カンジダ症、日和見感染症といわれる病気など、さまざまな病気が発症します。
 菌に対する抵抗力が著しく低下するために、ふつうなら打ち克つ細菌に、抵抗できないのです。
 日本のエイズ患者は2010年には5万人に達するのではないこと予測されています。もちろんこの数値は、現在血液検査を受けてその可能性があると判断された場合、血液検査を受けずにエイズを内在している人がどれほどの数に達するのかは、まだ未知数とはいえます。
 新聞、テレビで報道されなくなったからといって、エイズ患者が減少しているわけではないのです。
 少しでも不安を感じているなら、エイズ検査は受けておくべきでしょう。エイズは血液、精液、膣分泌液、母乳などから感染がすすみます。同性愛者のセックスが感染経路だといわれたこともありましたが、それはすでに過去の話。異性間のセックスが断トツの感染経路であることはいまや常識になりつつあります。知らずに感染し、母子感染へと発展するケースも少なくありません。
 治療薬の開発はすすんでいますが、根治薬ではありません。カクテル療法といって、何種類かの”抗エイズ”薬を飲み続けることが、現在医療の世界が提供できる最大限の方法といえます。
 でも、いちばん大切なのは、エイズに感染する前の予防策です。セックスによる感染でもっとも効果のある予防法はコンドームの着用です。
 エイズにかぎらず、性感染症では無防備なセックスが原因の大半を占めています。性におおらかな「楽しければいいじゃん!」という発想は危険。
 時代はそんな甘い考え方を許していないともいえると思います。
 エイズ検査は血液を採取して診断できます。
 婦人科でも受けることができますが、全国の保健所でも実施。問い合わせて早めに検査を受けたいものです。
 ちなみに、婦人科でエイズ検査を受ける場合は、3000円程度の検査費用が必要です。

婦人科を受診しよう&どんなお医者さんがいい?
婦人科へ行こう!
 気になる症状があっても、「婦人科」にはなかなか足が向かないものですね。内診に抵抗がある、生殖器にまつわる病気で受診するというイメージがあるから行きにくい…などの理由があるからでしょう。
 婦人科には「妊娠、出産をするところ」というイメージがあるからか、特に未婚の女性は「行きにくいところ」を感じている人は多いと思います。
 でも、女性のからだは妊娠、出産という機能を備えているだけに、男性に比べてとても繊細です。
 男性にはない子宮という臓器を持ち、ホルモン分pの影響をうけやすいのも違い。
 女性だけを専門に診る「科」があって当然なのです。
 たとえば、一般的な症状を診る内科にも、循環器科などの専門分野があるように「女性科」という専門分野を受診するといった感覚で「婦人科」をたずねてみてはいかがでしょう。

 やはり、女性だから持つ気になる症状は、専門家に診てもらうのが一番です。
 とはいえ、他の科と違って保険が適用されるものとそうでないものがありますから、受診の費用などが気がかりです。はじめて受診するときは特に、どんな先生に診てもらうのかも気になるところ。病気が見つかってしまったら…などなど、いまある心配事をチェックしていきましょう。

お医者さん選びのコツ
 勇気をふりしぼって婦人科を受けたのに、医者の印象がとても悪かったといったことになると、ますます婦人科への足は遠のいてしまいます。
 相性が合う合わないということもあるでしょう。最初に受診するときは特に、いろいろな”情報”を集めておくといいと思います。
 いい病院、いい医者の選び方のポイントは4つ。
評判がいいこと
 口コミで広がる情報には、比較的間違いのない情報が多いものです。「あそこの先生は感じがいい」「腕は確かみたい」「とっても親切に説明してくれる」などなど、友人・知人に聞いてみるといいでしょう。女同士。親身になってくれるはずです。
 インターネットで調べる方法、タウンページで調べる方法などもあります。そうした中にもよく探せば有力情報はあるもの。「タウンページに掲載されていた広告文句で選んでみたら、とってもいい先生だった」というケースもあります。
院内が明るくて清潔なこと
 個人病院を受診するつもりなら、”下見”をしておくのも方法かもしれません。実際に病院まで行ってみて、院内は明るいか、清潔そうな感じかを確認してみるのです。評判のいい医院は人の出入りも多いもの。チェックポイントに加えておきましょう。
通いやすいところにあること
 場所はなるべく、生活圏内にあることが望ましいでしょう。家から、あるいは、職場や学校から1時間以内のところがベスト。通院することになれば、遠く離れた病院からは体にも負担ですし、治療途中で「もう症状も軽くなったから、行かなくてもいいか」といった気持ちも芽生えやすいもの。きちんと治療を続けることを前提に考えて、近くの病院を選ぶのがベターといえます。
医師、看護師が親切なこと
 病気治療では、医師との相性がいいということはとても重要なことです。
 話しづらいことでも話せる医師、それに対して親切に受け答えしてくれる医師に出会えればベストです。
 医師の病気治療に対する考え方は、そこではたらく看護師たちにも確実につたわっているはず。受付での対応などもチェックポイントにあげられます。
 「感じがいい」「親切だ」という感覚は、受ける側が大切にしていいポイントだと思います。
診察ってどんな感じ?
 風をひいたとき、内科を受診する場合と最初の手順はまったく同じ。保険証を受付に提出して順番を待ちます。
 最近は予約診療を行っているところが増えていきますから、病院へ行く前に電話をして、予約の有無を確かめておきましょう。
 診察を待つ間、婦人科では「問診票」という用紙に必要事項を記入します。
 病院によっても内容は異なりますが、だいたい以下のような内容が書かれたシートが手渡されます。

生理の周期…月経周期や最終月経日を記入する欄があります。事前にメモしていけばスムーズです。
気になる症状…いくつかの項目が並び、該当するものに○印をつける質問形式であることが通常です。
出産、流産の有無…病院によっては中絶の有無を記入することもあります。中絶に関しては記入するのがはばかれるといったこともあるかもしれませんが、診察の重要なデータになりますから、正直に。

子宮ガン検診の有無…過去に子宮ガンの検査を受けたことがあるか。あればそれを記入します。
性交経験の有無…「あり」「なし」から選びます。

 そのほか、これまでにかかった病気、薬をのんでいるか、薬に対するアレルギーはないか、家族に病気の人はいるかどうかといった内容が加わります。
 医師は問診票をもとにより具体的な情報を聞いてきますから「きになる症状」についてはできるだけ詳しく説明しましょう。「生理日以外で出血があり、○日つづいた」「おりもののにおいがきつくなった」「かゆみは○○のあたり、○○のような痛みもある」といったぐあいです。
 事前に気になる症状のリストを作っておき、自分の中で整理しておくと医師には伝わりやすいもの。メモにして持っていくといいでしょう。基礎体温をつけている場合はそれも医師に見てもらいます。
いちばんの難関、「内診」てどう診るの?
 婦人科に足を向かせない大きな要因は「内診」かもしれませんね。「診察台は、どんなふうになっているのだろう?」といったことも気になります。
 びょうい病院によっても違うとは思われますが、診察室にはベッドと脱衣かごが置かれています。診察台に上がるときは下着を脱ぎます。パンツスタイルだと全部脱ぐことになるので、フレアーのスカートがこの日の服装としてはベスト。下着を脱衣かごにいれたらベッドに横になります。
 ベッドは美容室のシャンプー台のような形式で、上半身がうしろに倒れるようになっています。
 診察が行われるときは、ちょうとウエストのあたりにカーテンが引かれ、診察している様子は見えないようになっています。
 内診ままず、外陰部を洗浄し、ペンライトを用いて外陰部に炎症やしこりがないかどうかをチェックします。
 それが終わると触診が行われます。膣の中に指を入れて行い、子宮のかたさや位置などを確認します。膣の中を具体的に観察するために行うのが膣鏡診。膣鏡という器具を使ってびらんやポリープ、出血の有無などを調べます。
 検査はこれで終了。
 かかる時間は5分くらいです。
 「こんなに簡単な検査なら、もっと早く受診しておけばよかった」と感じる人は多いようです。
 ここまでの検査費用は、病院によても違いますが、だいたい1000円くらいです。
 なお、検査を受ける際は、より正しい判断をするために生理日はさけて受診してください。

症状によってはこんな検査もあります。
 この検査で診断が下される場合は、診察のあとに医師から結果を説明されます。治療方法についてはよく説明を受け、どのような注意点があるのかも、しっかり聞いておきましょう。
 さらに検査が必要な場合があれその検査も同時に受けるか、あるいは日を改めて検査を受けることになります。次回の診察日も合わせて相談しておきます。
 その他の検査には、次のようなものがあります。
血液検査…血液を採取して、貧血の有無、血中の女性ホルモンの量、甲状腺ホルモンの量、風疹抗体の有無と、HIV感染の有無、梅毒などの性感染の有無を調べます。それぞれの費用は3000円が相場です。ちなみに、エイズ検査を特別に受けるばあいは3000円程度が相場となります。
尿検査…妊娠、排卵の有無、最近の有無、糖タンパクの有無を調べます。検査費用は1000〜2000円が相場です。
おりもの検査…膣に綿棒を入れ、おりものを採取します。おりものの量が増えたり異常な状態が見られるとき、外陰炎などの炎症が起こっているときにこの検査をします。
費用は保険適応で2000円(特定の感染症を調べたい場合を除く)くらいが相場です。
超音波検査…内診だけではわからない子宮や卵巣の状態を観察するときに、この調音場検査が行われます。膣の中に入れる方法もあり、こちらのほうがより精密に検査ができます。費用の相場は2000円(保険適応)くらいです。

婦人科検診をうけよう
 特に症状がなくても、婦人科検診は定期的に受けておきたいもの。どんな病気であれ、早期発見、早期治療は病気から解放されるいちばんの近道です。
 会社勤めをしている人なら、定期的に行われている検診で婦人科検診を選択して簡単に受けられます。病院で受けるより安く受けられます。
 会社勤めでない人は、毎年市区町村が実施している検査を受けることができます。こちらの検査費は2000円前後。ただし、年齢に制限(例えば、40歳以上など)があって若い世代を対象にしていないことが多いと思いますから、その場合は病院に申し込んで受けることになります。
 検診を受けるさいは、事前に電話で申し込みをしておくといいでしょう。病院によっては検診日が特定されていることもありますし、子宮ガンの検査でも体ガンと頸ガンが別々の日に行われることがないとはがぎりません。電話で「子宮ガン(乳がん)の検査を受けたいのですが…」と告げ、日時を決めましょう。
 一般病院で個別に検診を受ける場合、費用は割高になります。子宮がんの検査ではだいたい5000円から10000円前後。保険が適用されないのでこういった費用になってしまうのです。
 でも、健康保険や雇用保険から還付金がもどってきますから、領収書をとっておいて申告しましょう。

ガン検診はこう行われます。
 子宮ガン検診は内診といっしょに行われます。繰り返しになりますが、その内容をもう一度お話ししておきましょう。

子宮頸ガン検査…膣の突き当り、子宮と膣をつなぐ頸管から細胞を採取します。方法は綿棒を挿入してその部分の細胞をこすりとり、プレパラートにとって顕微鏡に観察します。こすり取るときに痛みはほとんどなく、所要時間は数秒で終わります。

子宮体ガン検査…子宮内膜の細胞を採取する必要がありますから、子宮口を広げ、そこに細長いチューブ(あるいはやわらかいブラシのようなもの)を挿入して細胞を吸引(こすりとる)します。採取した細胞をプレバラートで観察するのは頸ガンと同様です。
 検査の結果はクラス1〜5段階に分かれます。細胞に異常がなく、炎症も認められないケースはクラス1。細胞に異常はないけれど、炎症があり、ホルモンによる影響がみられるケースはクラス2。この段階まではガンの危険はなしと考えていいでしょう。検査結果は、だいたい2週間ほどで出ます。

セカンドオピニオンってなに?
 健診は病気を見つけるためではなく、病気がないことを確認するためのもの。そういう気持ちで受けてほしいと思います。定期的に健診を受けていれば、症状も病巣も小さくて軽いうちに発見できます。定期健診はそのためにあるものと考えて、積極的に受けてほしいものです。
 このときに病気が見つかったら、治療を躊躇しないこと。医師と充分なコミュニケーションをとって対処しましょう。
 手術ということになれば、重大な決断をしなければならないとき。
「手術しかすすめない!」「治療法についての説明がたりない」…。そんなちょっとしたわだかまりを抱いたまま手術に臨むのは、手術を受けること以上に不安なことです。
 子宮を取るといった大きな手術になればなるほど、あなた自身が”納得”できる治療を受けることは、その後の回復にもかかわってくる大切なことです。
 セカンドオピニオンという言葉をご存じでしょうか?一人の医師(主治医)の診断だけではなく、第二の意見として他の医師に意見を求めることをいいます。欧米ではこの考え方が定着し、医師は診察の最後に「セカンドオピニオンをとりますか?」と聞いてくるのが当たり前になっています。保険制度などの基本的な医療制度の違いがあるので単純な比較はできませんが、「自分の体は自分が守る」ことに根付いた考え方であることは確かといえます。
 日本には古くから、医師と患者の間には「診てやる」「診てもらう」といった関係が根強くあるように思います。
 それもしだいに、医師から病気に対するきちんとした説明を受けるインフォームドコンセントという考え方が芽生え、定着しつつありますが、これとて、にほんではまだ徹底されたものではないのが現実です。
 しかし、治療を受ける側としてはいろいろな意見を聞きたいと思うのは当然のこと。治療する側の立場ではなく、あくまで治療を受ける側の立場に立った医療がこれからもとめられていくことは間違いのないところでしょう。
 いまは既成の考えを守ろうとする守備に立つ側と、よりよい治療を受けたい側の葛藤の時期といえるかもしれません。「○○病院ではこういわれたのですが…」といった対応に気持ちよくセカンドオピニオンを引き受けてくれる医師は、まだまだ少数派ですが、医療は日進月歩の時代。 
 より新しく、より適切な治療を求めることが「自らの体は自らが守る」基本だといえるでしょう。
 そのためにも、ふだんから定期検診を受け、さまざまな医師に出会い、コミュニケーションをとって信頼のできるドクターを見つけておくことはとても大切なこと。少しの変化に気づいてくれて、重大な病気の時には大きな病院とのパイプ役になってくれる、そんな「婦人科」のホームドクターを持ってはいかがでしょうか。


不妊症
ひとりで悩まないでください、医師に相談してみましょう。

「不妊症」について正しい知識を持ちましょう
 不妊症というのは、妊娠を願っているカップルが一定の期間、妊娠できないでいる状態をいいます。
その一定期間ってどのくらい
 以前は2年以上の不妊期間がある場合に不妊症と判定していましたが、このところ、結婚年齢が上がって2年では実情に合わなくなり、1年以上不妊期間があるケースを不妊症と考えるようになってきました。現在、日本では赤ちゃんを望みながら恵まれず、悩んでいるカップルが200万組もいます。けっして珍しいことではないのですから、人知れず悩んだりしないで、専門医に積極的に相談しましょう。
 不妊症は当然、女性側に原因がある場合と男性側に原因があるケースに分かれます。そのパーセンテージは女性に原因がある場合が50%、男性が40%とされています。残りの10%は残念ながら、原因がはっきりとわからないケースです。不妊症というと、女性側の原因ばかりが問われがちですが、男性が原因であることも想像以上に多いのです。検査を受けるときはパートナーといっしょにが原則です。
 不妊症について正しい理解を深めていただくためには、まず、妊娠がどのようなメカにズのもとに成立するのかを知ることが大切です。そこから話をはじめましょう。
 卵巣のなかには15万〜40万個の卵子が卵胞細胞に含まれるかたちで入っています。このなかから月に1個が排卵されるわけですが、これをキャッチするのが卵管の卵管采と呼ばれる器官です。子宮体部から左右の卵巣に向かって伸びているのが卵管で、卵管采は先端にあってラッパのような形をしています。
 排卵が近づくと卵管采は卵巣にかぶさるようになり、排卵によって飛び出した卵子をキャッチし、卵管の中央部にまで運びます。
受精が行われるのがここ。
 待ち受ける卵子に向かって射精された精子が突進してきます。卵子の周辺までたどり着ける精子の数は200個程度といわれますが、もちろん、卵子と結合して受精となるのはただの1個。
 精子が卵子のなかに入ると、卵子を包んでる透明な殻が閉じて、ほかの精子の侵入をシャットアウトします。
 受精した卵子(受精卵)は細胞分裂を繰り返しながら、卵管を子宮に向かって進み、子宮のなかに送り込まれますが、このとき子宮内では内膜がふかふかの状態になり、受精卵の受け入れ態勢を整えています。子宮に到達した受精卵が子宮内膜に潜り込むように安定すると(着床)妊娠が成立します。
 このように妊娠は排卵、射精、受精、着床というプロセスに支障をきたし、妊娠にいたらないのが不妊症ということになります。

さまざまな不妊症の治療方法
 不妊症治療の方法には「タイミング法」「人工授精」「排卵誘発剤による方法」「体外受精」があります。このうち、人工授精法は配偶者同士の卵子、精子を用いるもの、凍結保存精子を使うもの、配偶者以外の精子を用いるものに分かれます。それぞれについて簡潔に説明していきましょう。
タイミング法
 各種の不妊症検査の結果、異状がないと判定されたケースで行う方法です。排卵日を特定し、もっとも効果的なタイミングでセックスをもつようにアドバイスするのがこれ。排卵日を予測する検査結果をもとに「命中率」を最大限に高めようとするものです。

人工授精法-配偶者同市
もっとも初歩的な府に治療であるタイミング法を何度か試してみて妊娠しなかったケースで行う方法。排卵日を特定し、その日に人工授精を行います。精子はマスターベーションで採取しますが、自宅採取で持参してもかまいません。さいしゅした精子はパーコール液による洗浄、スイムアップ法などによる処理を施しますが、処理方法は実際に精子を観察してもっとも適切なものを選択します。この方法はまた、頸管粘液に問題があるケースや抗精子抗体が陽性というケースでも有効です。
 ちなみに、1回の人工授精での成功率は4〜5%とされています。ずいぶん率が低いと感じるかもしれませんが、人工授精による妊娠を試みるのは、セックスではどうしても妊娠しなかったというケース。それを考えれば、希望は十分持てます。
人工授精法-凍結保存精子によるもの
 精子に問題があってどうしても妊娠が不可能なケースでは、配偶者から精子の提供を受けて、人工授精を行うこともあります。精子の提供者については知らされません。

排卵誘発剤による方法
 排卵に問題があるケースは排卵誘発剤を用います。排卵誘発剤については、赤ちゃんがたくさん生まれる多胎、卵巣過剰刺激症候群などの副作用を心配する声があるのは確かです。しかし、投与法に細心を期し、超音波検査などで綿密なチェックを行いながら用いる限り、副作用は大幅に軽減できるといえます。
 用いる誘発剤には内服するクロミッド、セキソビット、注射によって投与するHMG製剤、純粋FSH製剤、hCG製剤などがあります。
 クロミッドは、下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌量を増やし、卵胞成熟を助ける内服薬です。月経開始5日目から5日間、当初は1錠ずつ服用します。その後、様子をみながら必要なら3錠まで量を増やします。誘発剤の代表的なものですが、頸管粘液の分泌を抑制する作用がわずかながらあるのが、欠点といえます。なお、クロミッドを内服した場合の人工授精の成功率は7〜8%とされています。
 セキソビットは、クロミッドに比べて頸管粘液の分泌抑制が小さい内服薬。月経開始5日目から飲みはじめ、服用日数は状況によって調整されます。排卵を促進する効果としてはクロミッドに劣ります。
 注射で投与するHMG製剤は、下垂体ホルモンであるFSH(卵胞刺激ホルモン)とLHによって使い分けられます。注射剤には卵胞の発育を促し、成熟卵子の質を高め、受精能力をパワーアップさせる効果が期待できます。HMG製剤を用いた場合の人工授精成功率は12〜13%。
 純粋FSH剤は、ほとんどLHを含まないFSH製剤で多嚢胞卵巣症候群の女性には有効だとされています。
 hCG製剤は、排卵誘発剤の使用によって排卵が誘発された卵胞を排卵させる作用を持つもので、LHと同じはたらきをします。

体外受精
 体外受精とはからだの外で卵子と精子を受精させ、受精卵(胚)を子宮に戻す方法です。”対外”ということで違和感や不安を持つ人がいるかもしれませんが、受精のさせ方以外は、通常の妊娠と少しも変わりません。胎児に異常が出る可能性も同じです。
 これまでお話ししてきたような不妊治療を試みて、いい結果が出なかったケースでは体外受精が有効だといえます。高齢で不妊症の人、両側卵管閉塞症の人、男性側に妊娠しない原因がある場合、原因がはっきりわからない不妊症…などは体外受精を視野にいれてはいかがでしょう。もちろん、本人が希望し、納得して受けるということが大原則です。
「体外受精は最後の手段だから40歳過ぎてから考えよう」
 そんな思いでいる女性もいることと思います。しかし、体外受精を最後の手段というふうに悲観的に捉えないでください。すぐれた不妊治療の方法のひとつ。それが体外受精なのです。また、できれば高齢にならないうちに取り組むほうがいいということも知っておきましょう。
 1回の体外受精で妊娠する確率は30%程度ですが、40歳を過ぎた女性ではこれが10%程度にまで下がってしまいます。卵子は30歳を超えると質的な低下が激しく、成功率にも影響してきます。また、受精には成功しても、子宮に着床させることがうまくいかないということも考えなければなりません。子宮も年齢が上昇するとともに機能的な低下を免れないからです。
「あと5年早かったら…」
 そんな後悔を残さないためにも、パートナーとじっくり話しあったうえで早めに決断することが大切ではないでしょうか。
 体外受精の流れはほぼ次のようなものです。
 準備をはじめるのは、体外受精の約3週間前からです。だいたい月経がはじまってから21日めくらいから点鼻薬を使って、からだのなかで自然に分泌されるホルモンを抑えます。これは純粋なホルモンだけで卵胞の成長を促して数を増やし、質を高めるためです。
 その後次の月経開始3日目から毎日、排卵誘発剤を注射します。この間、超音波検査で卵胞の様子を見守り、最大直径が20ミリになったところで、血中ホルモン値を測定し、採卵日(卵子を取り出す日)を決定します。
 採卵の方法は膣式採卵法と呼ばれるもの。採卵にかかる時間は15分程度ですが、痛みがないように麻酔薬をつかいますから、採卵後は2時間から3時間、病院で安静にしてから帰宅することになります。入院の必要はありません。
 その後、いよいよ体外受精となるわけですが、受精したかどうかの確認は精子と卵子を結合させた翌日に行います。受精卵は2日めに2〜4細胞期、3日目に4〜8細胞期という状態を経て、4日目に8〜16細胞期に入り、5日目には桑実胚、6日目に胚盤胞と呼ばれる状態に育っていきます。受精卵を子宮に戻す(胚移植)のはふつう、2日目、あるいは3日目ですが、受精卵の状態および子宮内膜の状態によって多少の差異はあります。もっとも適切な時期を主治医が判断します。
 それぞれの不妊治療の費用は以下のとおりです。ただし、不妊治療の場合は自由診療となりますから、費用は保険適応を除き、あくまで目安の値段と考えてください。
 ・排卵誘発内服薬…1錠約30円程度(保険適応)
 ・排卵誘発注射…1回薬1000円〜1500円程度(保険適応)
 ・人工授精…約2万円程度
 ・体外受精…約30万円程度(採卵、麻酔、受精卵培養、胚移植、投薬)

基礎体温をつけることが大切です。
 基礎体温をつけ、その曲線をチェックすることは、排卵がおきているかどうかを知る最も基本となる方法です。基礎体温に打ちえの正しい知識を身につけておきましょう。
 基礎体温とは、体温が変化するような状態にない時の体温のことをいいます。たとえば運動などからだを動かせば体温は上がりますし、食事をしても体温の上昇がみられます。また、驚きや悲しみといった精神的な変化も体温に影響を与えます。
 1日のうちでそうした体温に影響を与える要素がないのは、目覚めてまだベッドに横になっているとき。この時間帯に計った体温がお基礎体温です。そこで基礎体温は「覚醒時体温」ともいわれます。
 基礎体温の測定には婦人体温計を使います。目盛りが見やすくなっている婦人体温計なら、微妙に変化する基礎体温も正確に計れるからです。
 基礎体温は、毎日、測定することが原則ですが、必ず一定の時間にはからなければいけないということはありません。「目覚めたときにベッドのなかで計る」と覚えておきましょう。4時間以上の睡眠がとれていれば問題はありません。婦人体温計はベッドの脇など、手を伸ばせばすぐ届くところに置いておくのがいいでしょう。
 測定時間は5分間。婦人体温計の水銀の部分が下の裏側に当たるようにくわえて計ります。
 婦人体温計には「摂氏(C)]の目盛りと「OV]の目盛りが刻まれています。摂氏の目盛りは1度の間が20等分されています。36度と37度の間に20の目盛りがあるわけですから、2目盛りが1分になります。
 一方、OV目盛りは35・5度から38度の間を50等分してあり、1目盛りが1です。図の場合は25と判定します。
 測定した基礎体温の数値を記入するのは基礎体温表。その日の数値を黒点で記入し、翌日の数値の黒点とを線で結びます。これでできる折れ線グラフのような曲線を基礎体温曲線と呼びます。注意が必要なのは、体温に影響を与えるような変化があったとき。眠れなかったとき、風邪などの熱が出る病気にかかったとき、排卵誘発剤やホルモン剤を服用したとき…などがそれにあたりますが、その際は必ず、備考欄にその旨を記入するようにします。
 月経のあった期間は赤く塗りつぶすか「×」印をつけます。月経がはじまった日から次の月経の前日までが月経周期。月経のはじまった日が月経周期の第1日となります。体調の変化もわかるように記入しておきましょう。たとえば、中間に痛みがあったら「△」、不正出血がみられたら「▲」、セックスをしたときは「○」、おりものに変化があったら、「+」といったぐあいです。
 1カ月以上、基礎体温を測り、表に記入していくと、体温が低い時期と高い時期があることがわかるはずです。ふつう36・7度C(OV24)付近を境にそれより低い低温期と高い高温期に分かれます。月経周期の前半が低温期、後半が高温期です。
 曲線がこのように変化している場合は排卵が起きていると考えられます。排卵日は低温期の終わりに少し体温が下がった日。翌日からは体温は上がり高温期に入ります。
 一方、基礎体温曲線に上下の変化がほとんどなく、36・7度C以下の低温期がずっとつづくというケースがあります。これは月経があるにもかかわらず、排卵が起きていないことを示しています。この状態は「無排卵性月経」と呼ばれます。
 無排卵性月経の原因は、ストレスやダイエット、不規則な生活などが影響して、排卵に必要なホルモンが分泌されないことだと考えられています。排卵がないわけですから、この状態では妊娠しません。
 排卵にはエストロゲンという卵胞ホルモンとプロゲステロンという黄体形成ホルモンが関わっています。
 エストロゲンは月経が終わるころから分泌量が増え、排卵の直前に最も多く分泌されます。それにあわせて分泌されるのがプロゲステロンで、両者の相互作用で排卵が起きるのです。無排卵性月経ではプロゲステロンが分泌されず、エストロゲンの作用で月経のみが起こっています。
 先にあげた原因によって、脳の視床下部の機能がうまく働かず、プロゲステロンを分泌させる指令を出せなくなる、というのが無排卵性月経のメカニズムです。
 無排卵性月経の症状としては、月経が10日以上もつづく、出血量が少ない、生理周期が短いなどがあります。無排卵月経の状態では妊娠しないでかではなく、貧血を起こしたり、無気力感や不安感にとらわれやすいともいわれています。












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不妊症
ひとりで悩まないでください、医師に相談してみましょう。

「不妊症」について正しい知識を持ちましょう
 不妊症というのは、妊娠を願っているカップルが一定の期間、妊娠できないでいる状態をいいます。
その一定期間ってどのくらい
 以前は2年以上の不妊期間がある場合に不妊症と判定していましたが、このところ、結婚年齢が上がって2年では実情に合わなくなり、1年以上不妊期間があるケースを不妊症と考えるようになってきました。現在、日本では赤ちゃんを望みながら恵まれず、悩んでいるカップルが200万組もいます。けっして珍しいことではないのですから、人知れず悩んだりしないで、専門医に積極的に相談しましょう。
 不妊症は当然、女性側に原因がある場合と男性側に原因があるケースに分かれます。そのパーセンテージは女性に原因がある場合が50%、男性が40%とされています。残りの10%は残念ながら、原因がはっきりとわからないケースです。不妊症というと、女性側の原因ばかりが問われがちですが、男性が原因であることも想像以上に多いのです。検査を受けるときはパートナーといっしょにが原則です。
 不妊症について正しい理解を深めていただくためには、まず、妊娠がどのようなメカにズのもとに成立するのかを知ることが大切です。そこから話をはじめましょう。
 卵巣のなかには15万〜40万個の卵子が卵胞細胞に含まれるかたちで入っています。このなかから月に1個が排卵されるわけですが、これをキャッチするのが卵管の卵管采と呼ばれる器官です。子宮体部から左右の卵巣に向かって伸びているのが卵管で、卵管采は先端にあってラッパのような形をしています。
 排卵が近づくと卵管采は卵巣にかぶさるようになり、排卵によって飛び出した卵子をキャッチし、卵管の中央部にまで運びます。
受精が行われるのがここ。
 待ち受ける卵子に向かって射精された精子が突進してきます。卵子の周辺までたどり着ける精子の数は200個程度といわれますが、もちろん、卵子と結合して受精となるのはただの1個。
 精子が卵子のなかに入ると、卵子を包んでる透明な殻が閉じて、ほかの精子の侵入をシャットアウトします。
 受精した卵子(受精卵)は細胞分裂を繰り返しながら、卵管を子宮に向かって進み、子宮のなかに送り込まれますが、このとき子宮内では内膜がふかふかの状態になり、受精卵の受け入れ態勢を整えています。子宮に到達した受精卵が子宮内膜に潜り込むように安定すると(着床)妊娠が成立します。
 このように妊娠は排卵、射精、受精、着床というプロセスに支障をきたし、妊娠にいたらないのが不妊症ということになります。

さまざまな不妊症の治療方法
 不妊症治療の方法には「タイミング法」「人工授精」「排卵誘発剤による方法」「体外受精」があります。このうち、人工授精法は配偶者同士の卵子、精子を用いるもの、凍結保存精子を使うもの、配偶者以外の精子を用いるものに分かれます。それぞれについて簡潔に説明していきましょう。
タイミング法
 各種の不妊症検査の結果、異状がないと判定されたケースで行う方法です。排卵日を特定し、もっとも効果的なタイミングでセックスをもつようにアドバイスするのがこれ。排卵日を予測する検査結果をもとに「命中率」を最大限に高めようとするものです。

人工授精法-配偶者同市
もっとも初歩的な府に治療であるタイミング法を何度か試してみて妊娠しなかったケースで行う方法。排卵日を特定し、その日に人工授精を行います。精子はマスターベーションで採取しますが、自宅採取で持参してもかまいません。さいしゅした精子はパーコール液による洗浄、スイムアップ法などによる処理を施しますが、処理方法は実際に精子を観察してもっとも適切なものを選択します。この方法はまた、頸管粘液に問題があるケースや抗精子抗体が陽性というケースでも有効です。
 ちなみに、1回の人工授精での成功率は4〜5%とされています。ずいぶん率が低いと感じるかもしれませんが、人工授精による妊娠を試みるのは、セックスではどうしても妊娠しなかったというケース。それを考えれば、希望は十分持てます。
人工授精法-凍結保存精子によるもの
 精子に問題があってどうしても妊娠が不可能なケースでは、配偶者から精子の提供を受けて、人工授精を行うこともあります。精子の提供者については知らされません。

排卵誘発剤による方法
 排卵に問題があるケースは排卵誘発剤を用います。排卵誘発剤については、赤ちゃんがたくさん生まれる多胎、卵巣過剰刺激症候群などの副作用を心配する声があるのは確かです。しかし、投与法に細心を期し、超音波検査などで綿密なチェックを行いながら用いる限り、副作用は大幅に軽減できるといえます。
 用いる誘発剤には内服するクロミッド、セキソビット、注射によって投与するHMG製剤、純粋FSH製剤、hCG製剤などがあります。
 クロミッドは、下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌量を増やし、卵胞成熟を助ける内服薬です。月経開始5日目から5日間、当初は1錠ずつ服用します。その後、様子をみながら必要なら3錠まで量を増やします。誘発剤の代表的なものですが、頸管粘液の分泌を抑制する作用がわずかながらあるのが、欠点といえます。なお、クロミッドを内服した場合の人工授精の成功率は7〜8%とされています。
 セキソビットは、クロミッドに比べて頸管粘液の分泌抑制が小さい内服薬。月経開始5日目から飲みはじめ、服用日数は状況によって調整されます。排卵を促進する効果としてはクロミッドに劣ります。
 注射で投与するHMG製剤は、下垂体ホルモンであるFSH(卵胞刺激ホルモン)とLHによって使い分けられます。注射剤には卵胞の発育を促し、成熟卵子の質を高め、受精能力をパワーアップさせる効果が期待できます。HMG製剤を用いた場合の人工授精成功率は12〜13%。
 純粋FSH剤は、ほとんどLHを含まないFSH製剤で多嚢胞卵巣症候群の女性には有効だとされています。
 hCG製剤は、排卵誘発剤の使用によって排卵が誘発された卵胞を排卵させる作用を持つもので、LHと同じはたらきをします。

体外受精
 体外受精とはからだの外で卵子と精子を受精させ、受精卵(胚)を子宮に戻す方法です。”対外”ということで違和感や不安を持つ人がいるかもしれませんが、受精のさせ方以外は、通常の妊娠と少しも変わりません。胎児に異常が出る可能性も同じです。
 これまでお話ししてきたような不妊治療を試みて、いい結果が出なかったケースでは体外受精が有効だといえます。高齢で不妊症の人、両側卵管閉塞症の人、男性側に妊娠しない原因がある場合、原因がはっきりわからない不妊症…などは体外受精を視野にいれてはいかがでしょう。もちろん、本人が希望し、納得して受けるということが大原則です。
「体外受精は最後の手段だから40歳過ぎてから考えよう」
 そんな思いでいる女性もいることと思います。しかし、体外受精を最後の手段というふうに悲観的に捉えないでください。すぐれた不妊治療の方法のひとつ。それが体外受精なのです。また、できれば高齢にならないうちに取り組むほうがいいということも知っておきましょう。
 1回の体外受精で妊娠する確率は30%程度ですが、40歳を過ぎた女性ではこれが10%程度にまで下がってしまいます。卵子は30歳を超えると質的な低下が激しく、成功率にも影響してきます。また、受精には成功しても、子宮に着床させることがうまくいかないということも考えなければなりません。子宮も年齢が上昇するとともに機能的な低下を免れないからです。
「あと5年早かったら…」
 そんな後悔を残さないためにも、パートナーとじっくり話しあったうえで早めに決断することが大切ではないでしょうか。
 体外受精の流れはほぼ次のようなものです。
 準備をはじめるのは、体外受精の約3週間前からです。だいたい月経がはじまってから21日めくらいから点鼻薬を使って、からだのなかで自然に分泌されるホルモンを抑えます。これは純粋なホルモンだけで卵胞の成長を促して数を増やし、質を高めるためです。
 その後次の月経開始3日目から毎日、排卵誘発剤を注射します。この間、超音波検査で卵胞の様子を見守り、最大直径が20ミリになったところで、血中ホルモン値を測定し、採卵日(卵子を取り出す日)を決定します。
 採卵の方法は膣式採卵法と呼ばれるもの。採卵にかかる時間は15分程度ですが、痛みがないように麻酔薬をつかいますから、採卵後は2時間から3時間、病院で安静にしてから帰宅することになります。入院の必要はありません。
 その後、いよいよ体外受精となるわけですが、受精したかどうかの確認は精子と卵子を結合させた翌日に行います。受精卵は2日めに2〜4細胞期、3日目に4〜8細胞期という状態を経て、4日目に8〜16細胞期に入り、5日目には桑実胚、6日目に胚盤胞と呼ばれる状態に育っていきます。受精卵を子宮に戻す(胚移植)のはふつう、2日目、あるいは3日目ですが、受精卵の状態および子宮内膜の状態によって多少の差異はあります。もっとも適切な時期を主治医が判断します。
 それぞれの不妊治療の費用は以下のとおりです。ただし、不妊治療の場合は自由診療となりますから、費用は保険適応を除き、あくまで目安の値段と考えてください。
 ・排卵誘発内服薬…1錠約30円程度(保険適応)
 ・排卵誘発注射…1回薬1000円〜1500円程度(保険適応)
 ・人工授精…約2万円程度
 ・体外受精…約30万円程度(採卵、麻酔、受精卵培養、胚移植、投薬)

基礎体温をつけることが大切です。
 基礎体温をつけ、その曲線をチェックすることは、排卵がおきているかどうかを知る最も基本となる方法です。基礎体温に打ちえの正しい知識を身につけておきましょう。
 基礎体温とは、体温が変化するような状態にない時の体温のことをいいます。たとえば運動などからだを動かせば体温は上がりますし、食事をしても体温の上昇がみられます。また、驚きや悲しみといった精神的な変化も体温に影響を与えます。
 1日のうちでそうした体温に影響を与える要素がないのは、目覚めてまだベッドに横になっているとき。この時間帯に計った体温がお基礎体温です。そこで基礎体温は「覚醒時体温」ともいわれます。
 基礎体温の測定には婦人体温計を使います。目盛りが見やすくなっている婦人体温計なら、微妙に変化する基礎体温も正確に計れるからです。
 基礎体温は、毎日、測定することが原則ですが、必ず一定の時間にはからなければいけないということはありません。「目覚めたときにベッドのなかで計る」と覚えておきましょう。4時間以上の睡眠がとれていれば問題はありません。婦人体温計はベッドの脇など、手を伸ばせばすぐ届くところに置いておくのがいいでしょう。
 測定時間は5分間。婦人体温計の水銀の部分が下の裏側に当たるようにくわえて計ります。
 婦人体温計には「摂氏(C)]の目盛りと「OV]の目盛りが刻まれています。摂氏の目盛りは1度の間が20等分されています。36度と37度の間に20の目盛りがあるわけですから、2目盛りが1分になります。
 一方、OV目盛りは35・5度から38度の間を50等分してあり、1目盛りが1です。図の場合は25と判定します。
 測定した基礎体温の数値を記入するのは基礎体温表。その日の数値を黒点で記入し、翌日の数値の黒点とを線で結びます。これでできる折れ線グラフのような曲線を基礎体温曲線と呼びます。注意が必要なのは、体温に影響を与えるような変化があったとき。眠れなかったとき、風邪などの熱が出る病気にかかったとき、排卵誘発剤やホルモン剤を服用したとき…などがそれにあたりますが、その際は必ず、備考欄にその旨を記入するようにします。
 月経のあった期間は赤く塗りつぶすか「×」印をつけます。月経がはじまった日から次の月経の前日までが月経周期。月経のはじまった日が月経周期の第1日となります。体調の変化もわかるように記入しておきましょう。たとえば、中間に痛みがあったら「△」、不正出血がみられたら「▲」、セックスをしたときは「○」、おりものに変化があったら、「+」といったぐあいです。
 1カ月以上、基礎体温を測り、表に記入していくと、体温が低い時期と高い時期があることがわかるはずです。ふつう36・7度C(OV24)付近を境にそれより低い低温期と高い高温期に分かれます。月経周期の前半が低温期、後半が高温期です。
 曲線がこのように変化している場合は排卵が起きていると考えられます。排卵日は低温期の終わりに少し体温が下がった日。翌日からは体温は上がり高温期に入ります。
 一方、基礎体温曲線に上下の変化がほとんどなく、36・7度C以下の低温期がずっとつづくというケースがあります。これは月経があるにもかかわらず、排卵が起きていないことを示しています。この状態は「無排卵性月経」と呼ばれます。
 無排卵性月経の原因は、ストレスやダイエット、不規則な生活などが影響して、排卵に必要なホルモンが分泌されないことだと考えられています。排卵がないわけですから、この状態では妊娠しません。
 排卵にはエストロゲンという卵胞ホルモンとプロゲステロンという黄体形成ホルモンが関わっています。
 エストロゲンは月経が終わるころから分泌量が増え、排卵の直前に最も多く分泌されます。それにあわせて分泌されるのがプロゲステロンで、両者の相互作用で排卵が起きるのです。無排卵性月経ではプロゲステロンが分泌されず、エストロゲンの作用で月経のみが起こっています。
 先にあげた原因によって、脳の視床下部の機能がうまく働かず、プロゲステロンを分泌させる指令を出せなくなる、というのが無排卵性月経のメカニズムです。
 無排卵性月経の症状としては、月経が10日以上もつづく、出血量が少ない、生理周期が短いなどがあります。無排卵月経の状態では妊娠しないでかではなく、貧血を起こしたり、無気力感や不安感にとらわれやすいともいわれています。
排卵誘発剤やホルモン剤を使った治療法がありますから、婦人科の診断を受け、治療に取り組みましょう。
 基礎体温に低温期と高温期があれば、妊娠は可能ですが、排卵された卵子の寿命は約24時間ほどだといわれています。また、精子の受胎能力は3日間ほどあるとされますから、排卵日の3日前から排卵日翌日までの5日間が妊娠可能な日ということになります。ただし、可能性がもっとも高いのは排卵日およびその前日です。
 基礎体温のほかにも排卵日を知る方法はあります。「排卵日検査薬」がそれ。検査薬は尿でチェックするタイプと唾液でチェックするタイプの2種類で、前者のほうが安価です。検査薬には「判定窓」と「終了窓」があり、それぞれの窓にでたラインの色の濃淡で排卵日を判定します。判定窓のラインが終了窓のラインより薄ければ陰性、同じか濃ければ陽性。陽性になった日と翌日がもっとも妊娠する可能性が高いといえます。
 排卵日検査薬は、前述したプロゲステロン(黄体ホルモン)の有無をチェックすることで、排卵日を知ろうとするものです。ただし、プロゲステロンは分泌される期間が36時間ほどと短いため、必ずしも尿の中にある間に検査できるとはいいきれません。検査を排卵前後の12時間ごとに行わないと、分泌の有無がわからないこともあります。基礎体温の測定を継続しながら、予備的に使用するという姿勢でいるのがいいと思います。


異常を感じたら、すぐに婦人科へ
 不妊症になる原因はさまざまです。不妊につながりやすい病気の一つが子宮内膜症。
 子宮内膜が子宮内膣以外の場所にできて増殖するものですが、不妊に悩む女性の約30%はこの子宮内膜症だといわれています。
 子宮内膜症が卵巣や子宮腺筋、卵管開口部などで起こり、組織が癒着すると不妊の原因になります。
 自覚症状がない場合もありますが、生理痛やセックス時の痛みなどを感じるケースも少なくありませんから、異常を感じたら婦人科で診断を受けてください。
 生理不順や排卵障害を引き起こす多嚢胞性卵巣症候群も不妊の大きな原因となります。
これは成熟卵胞になる前に卵胞の発育が止まり、卵巣の中に排卵しない小さな嚢胞がたくさんできる病気ですが、排卵障害が起きるため妊娠できなくなります。
 多嚢胞性卵巣症候群は、超音波検査やホルモン負荷テストで診断が下され、治療には排卵誘発剤が使われます。誘発剤の投与法や投与するケース・バイ・ケースですが、通常は月経がはじまって3日目ころから1日おきに注射によって投与します。注射は3回ほど行い、超音波検査で様子を確認しますが、ときにはたくさんの卵胞が一気に発育する過剰反応がみられることもあります。
 手術による方法としては、卵巣表面に多数の穴を開けて治療し、自然排卵を起こさせるというものがありますが、効果が短時間しか持続しないというデメリットもあります。適切な治療をつづければほとんどのケースで妊娠できるようになりますから、医師と相談しながら根気よく治療に臨みましょう。
 排卵障害の原因になる病気としては、乳汁漏出症もあります。文字通り、乳頭から白い分泌物が漏れ出る症状をきたすものですが、ほとんどの場合、自覚されないようです。原因はプロラクチンというホルモンの血中濃度が高くなることです。プロラクチンは乳腺刺激ホルモンとも呼ばれ、通常は出産後に分泌量が増え、おっぱいの出を促す働きをします。妊娠していないときには、このプロラクチンの血中濃度は低いのですが、なんらかの原因で濃度が異常に高くなる高プロラクチン血症が起きることがあり、その約90%に乳汁漏出がみとめられるとされます。
 プロラクチンは1日のうちでも濃度変化が激しく、正確に病気を診断するにはTRHテストが必要です。これはTRHというプロラクチンの産出を促すホルモンを注射して、30分後、60分後にプロラクチンを測定するというもの。高プロラクチン血症がはっきりみとめられた場合は、乳汁分泌抑制剤が投与されます。抑制剤は内服です。
 また、最近増加の一途をたどっているクラミジア感染症も進行すると卵管閉塞を引き起こし、不妊症の大きな原因になります。感染しても初期段階では自覚症状が出ないことが多く、ひそかに進行してしまうことが少なくありませんから、検査で発見し早い段階で治療を受けることが必要でしょう。
 いずれにしても、子宮や卵巣の病気は不妊症の引き金にもなりますから、異常を感じたら先延ばしにすることなく、婦人科で診断を受けてください。その結果、なにも問題がないということなら安心できるのですから…。

ブライダルチェックを受けてみよう
 あなたはブライダルちぇくという言葉を聞いたことがありますか?ブライダルという言葉から結婚に関わりあるチェックらしいということは想像できると思います。そう、ブライダルチェックとは、結婚前に婦人科系の病気がないかどうかを調べることをいいます。結婚後は当然、妊娠ということが想定されますから、妊娠中になりやすい品稀有tの検査や、妊娠中に感染すると胎児の異常の原因になりかねない風疹の抗体があるかどうかの検査なども行われますが、もちろん、血液検査、性病の検査、性感染症の検査といったものも検査項目に含まれています。いわば、婦人科系の人間ドックという感じです。
 とくに最近はクラミジアなどの性感染症にかかる女性が急増しています。いつパートナーから感染しないともかぎりませんし、パートナーにうつさないためにも、一度受けておいてはどうでしょう。
 ちなみに、ブライダルチェックでの主な検査項目は次のようなものです。
・血液検査…血液型をはじめ、肝臓、腎臓機能を調べるため。また、梅毒の有無も判定。
・貧血検査…妊娠中になりやすいのは前述のとおり。流産の原因にもなる。
・風疹抗体価検査…妊娠中の風疹感染は胎児の異常の原因。流産の原因。
・レントゲン検査…心臓、呼吸器系の機能を調べるため。
・HIV抗体検査…エイズ感染を調べるため。正確に判定されるのは感染後、2カ月以上経過してから。
・B型管炎抗体検査…B型肝炎ウイルスを保有していないこどうか調べるため。
・クラミジア検査…感染していると不妊の原因にもなりかねず、出産時に赤ちゃんが感染する。
・ドキソプラズマ検査…ドキソプラズマは寄生虫。妊娠中に感染していると胎児に悪影響が出る。
・子宮卵巣部超音波検査…子宮筋腫や卵巣腫瘍の有無を調べるため。
 検査費用は内容や検査項目によって異なりますが、10項目程度の検査で3万円前後が目安でしょう。


子宮・卵管・頸管のチェック
子宮
 子宮は受精卵が着床する重要な器官ですが、妊娠中絶や流産の手術の後に子宮内膣の癒着が起きたり、結核性子宮内膜炎や子宮筋腫、子宮の奇形などがあると、着床障害が起きることがあります。子宮の機能を調べるための検査が子宮卵管造影です。
 子宮卵管造影では、子宮内に造影剤を注入して子宮のかたちや卵管のとおり具合をレントゲンで観察します。卵管は排卵された卵子をキャッチし、受精させ、受精卵を子宮に送り届ける大切な器官。ここに障害があると妊娠は困難です。卵管造影は、卵管のとおりをよくしますから、それまで妊娠しなかった女性が検査後、3カ月で妊娠したといったケースも少なくありません。
「でも、卵管造影は痛いってきいたけれど…。痛い検査は受けたくないなぁ」
 そんなイメージを持っている女性がいるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。卵管造影はほとんど痛みをともなわない検査ですし、かりに痛みがあるようなら鎮痛剤を使いますから、なんの心配もありません。
 検査を行うのは月経5日目から10日目の間。10分程度ですむ検査ですが、当日は昼食を控えるようにしてください。翌日にレントゲンを撮って造影剤の広がり具合を観察します。

卵管
 卵管の働きについてはすでに説明したところですが、卵管炎を起こしていると、卵管が閉じてしまい卵子が卵管内に入れなくなったりします。これも不妊症の原因になります。卵管炎の原因は卵管水腫やクラミジアへの感染。
 また、子宮内膜症の場合は、卵管開口部(卵管采)に癒着がみられることがあります。卵管采はラッパのようなかたちをしており、卵子をキャッチする役目を担っている器官ですから、癒着があると卵子がキャッチできなくなります。
 もちろん、卵子をキャッチするところを確認することはできませんが、腹腔鏡検査でおなかのなかをよく観察することが必要です。実際、原因がよくわからない不妊症のケースでは、卵管采が卵子を上手にキャッチできないことによるものという考え方が主流になています。
 腹腔鏡検査では、おへその下から直径訳5ミリの細いスコープを差し込んで、子宮や卵巣、卵管の状態を調べます。全身麻酔で行いますから、痛みを感じることはありません。この検査では同時に卵管に水をとおしたり、腹腔内を洗浄しますから、検査後数カ月で妊娠することもあります。手術時間は1〜2時間程度。ふつう3日間の入院となります。
「おなかに穴を開けるんでしょう。傷跡がきにならないかしら?」
 当然の疑問ですが、前述したように挿入するスコープの直径はわずか5ミリ、傷跡はほとんどきになりません。からだへの負担も軽く、退院したらすぐにふつうの生活に戻れます。

頸管
 頸管は子宮の入り口にあたります。ここから分泌される頸管粘液も妊娠するうえで重要な役割を果たしています。排卵日が近づくと、頸管から頸管粘液が分泌されますが、セックスの後精子はこの頸管粘液のなかを泳いで子宮に向かうのです。
 ですから、頸管粘液の分泌がよくなかったり、精子と相性が悪かったりすると、セックスでは妊娠しにくく、人工授精が必要になります。粘液の検査は大切です。
 検査法はフューナーテストと呼ばれるものや血液検査です。ヒューナーテストとはセックスのあった翌日に頸管粘液をとり、顕微鏡で観察するもので、これで精子との相性がわかります。血液検査では抗精子抗体を測定します。抗精子抗体は最近、不妊症の原因として注目を浴びているもので、女性がこれを持っていると、精子を遮断してしまうことになり、受精障害を起こします。抗体がある場合には人工授精、体外受精による妊娠を試みることになります。
 それぞれの検査費用は以下のようになっています。
・子宮卵管造影…約3000円程度(保険適応)
・腹腔鏡検査…約10万円程度(保険適応・入院費込)
・ヒューナーテスト…約500円
・抗精子抗体測定…約7000円(保険適応外)

排卵機構もチェックしてみます
 妊娠に絶対かかせないのが「排卵が行われる」ことです。排卵日は基礎体温でわかりますが、より正確を期すために血中ホルモン検査、超音波による成熟卵胞測定、尿中LH判定、頸管粘液検査などを行います。いずれも排卵日を予測するものです。
 血中ホルモン検査は、排卵直前にエストロゲンと黄体かホルモンを測定するものですが、これによって排卵日が予測できます。超音波による検査では発育してきた卵胞をみてその大きさから排卵日を測定します。卵胞が20ミリに達すると排卵直前と考えられます。 
 排卵直前におしっこのなかの黄体ホルモンを測定するのが尿中ホルモン検査。超音波検査との総合判断で、かなりの確率で排卵日がわかります。
 頸管粘液検査はおりものを調べるものです。排卵直前になると、ほとんどの女性はおりものの量が増えてきます。これは精子がスムーズに子宮内に入れるようにするための変化です。おりものの構造もふだんのものとは違ったものになり、精子が泳ぎやすい環境づくりをするのです。そのため、顕微鏡検査でおりものの変化をみると、排卵前後かどうかの判定がある程度つくわけです。
 排卵が行われるのは、通常月経がはじまってから12〜15日目ですから、排卵チェックの検査はその時期に受けましょう。
 排卵には多くのホルモンが深く関わっています。各ホルモンが分泌される器官は、視床下部、下垂体、卵巣です。たとえば、視床下部からはGn-RHと呼ばれる、黄体ホルモンと卵胞刺激ホルモンの分泌を促すホルモン、TRHという甲状腺刺激ホルモンや乳汁分泌を促すホルモンが分泌され、下垂体からは卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体ホルモン(LH)などが、卵巣からはエストロゲン、プロゲステロンが分泌されます。
 これらのホルモンの分泌が正しく行われることが排卵の条件。その条件が整っているかを調べる検査が、ホルモン負荷試験と呼ばれるものです。このテストではLH-RH負荷をかけることで、LH・FSHの反応を測定し、視床下部、下垂体、卵巣のどの部分に異常があるのかを調べます。
 たとえば、多嚢胞性卵巣症候群などが原因で排卵障害を起こしていると、LHの過剰反応が認められます(FSHは正常)し、卵巣自体に機能障害があると、FSH・LHとも過剰反応を示します。このテストは月経がはじまって2日目から5日目までに行います。
 なお、検査費は以下が目安です。
・超音波検査…約1000〜1500円(保険適応)
・血液ホルモン検査…約700円〜1000円(保険適応)
・尿中ホルモン検査…約500円程度(保険適応)
・頸管粘液検査…約300円程度(保険適応)
・ホルモン負荷試験…約6000円程度(保険適応)


パートナーのチェック
不妊症のうち男性側に原因げあるケースは約40%にものぼります。
その主なものは乏精子症、無精子症、精子無力症、精巣静脈瘤、勃起不全症、心因的要素などです。どのような症状かおよそ想像はつくと思いますが、乏精子症は精子の数が少ないもの、無精子症はまたく精子がないもの、精子無力症は精子の活動能力が弱いもの、精巣静脈瘤は陰嚢表面の静脈に瘤ができるもの、です。また、勃起不全はペニスが勃起しないためにセックスができない状態、心因的要素は不安やセックスへの嫌悪感など、さまざまな精神的な理由でセックスができない状態です。
 男性のチェックとしては精液検査を行います。方法は3〜5日間禁欲して、マスターベーションで精子を採取し、顕微鏡で観察します。正常な精液の基準をWHOでは次のように定めています。
・精液量…2ミリリットル以上
・精子数…20000万/ミリリットル以上
・運動率…50%以上
・奇形率…50%未満

なお、病院で精液を採取するのに抵抗があるという場合は、自宅で採取して持参することも可能です。ただし、採取後、おそくとも2時間以内に検査が行えるという条件付きです。
 男性はなかなか不妊症の検査を受けたがらないのが現実ですが、妊娠にはパートナーシップがとても重要です。二人三脚で妊娠を実現するという姿勢を持ちましょう。































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